「ぶーん!ぶーん!ぶーん!」
長い黒髪の女子高生がふと気づくと、周りは不気味な空間となっていた。
クレヨンで殴り書きしたような景色。同じくクレヨンで書いたような物体?が楽し気に動きまわる。
「…………」
女子高生は何食わぬ顔をして、スマホをいじりだした。
やばいやばい、どうしよう!これはかなりほんとやばい!
へたり込みそうなのを堪えつつ、気づいていないというスタンスを保つ。
彼女はいわゆる『見える人』。通常の人間では見ることのできないこの世ならざる存在を見ることができるのだった。
そのため異様なモノが見えるのはよくあること。そういった異様なモノ達は、コッチが認識していないとわかれば、これまで手出しをしてこなかった。
だが空間そのものが異様なモノとなり、こうして迷い込むのは初めてのことだ。
震えながら何ごともないように、歩く。
そうしていると、上空を飛んでいた落書きの様な飛行機が、くいっと向きを変え、突っ込んできた!
「…………!」
だいじょうぶ。どのみち、どうにもならない。はず。シカト一択……!
震える唇を噛み、スマホを凝視する。
ざん!
切断音?おそるおそるさりげなく上げた視線の前には、赤い恰好の女の子が立っていた。
「やれやれ。こんなにニブチンがいるとは驚いたよ。あんた、たいしたタマだね」
「!」
目の前にいたのは。長く赤い髪をポニーテールでまとめ、気の強そうな釣り上がり気味の目と八重歯が印象的な可愛い少女だった。
赤い長衣を身に纏い、その右手には物騒な槍。それでお化けを斃したのだろうか?
「……」
状況がまったくわからない。とにかく、わからないフリをしなくては。女子高生はしらんぷりを決め込む。
「ううん?」
赤い少女は不審げに眉をよせた。
「まあ、いいや」
そういって赤い女の子は人間ではありえない機動力で落書きのお化けを追いかけ、手に持った槍で斬り捨てる!
すると落書きいっぱいの風景は歪み薄れ、いつもの路地裏となっていた。
「……」
まったくもっていつもと違う。わけがわからない。女子高生は茫然と目を瞬かせた。
とはいえ、なんとかなったのかな?女子高生は静かに息を吐く。
「災難だったね。食うかい?」
赤い女の子がニヤリと笑いながら菓子を差し出してきた。
「あ、うん……」
思わず手を出したところで固まる。
少女は面白そうに、女子高生を凝視していた。
「なんだ、やっぱりわかってたのか」
「っ!」
「安心しな。私にとってあんたはどうでもいい。少なくとも敵ではないってことさ」
「…………」
「まあ。いろいろ知っているようだけど、余計なことはしないほうが身のためだよ?」
赤い少女は首を傾げ、そのまま高く跳躍しその場を去った。
「…………」
いまのはなんだったのだろう?だがとりあえず。あの娘は見えている。そういうことにしないと。
見えていないことにしないとなのは、あの娘の隣に浮かんでいた
ううん。ともかく。見えてない。なにも見えなかった。これからは路地裏はなるだけ避けよう。うん、そうしよう。
女子高生は足早に去っていった。
→『見える子ちゃん』がおもしろくてつい、なクロスです!
→知らない人でもお楽しみいただきたいというステルスコラボシリーズ!なんちて!
→→またやらかしたー;
→→けっこー手直しいたしました;