円環物語   作:ぶんた

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 メリークリスマス!
 けだるいほむら編?または、ふしぎキュゥべえ編続きです!


その20

 ぴろりん。

 

『ほむら!今度のクリスマスだけど、一緒に恭介のコンサートに行かない?』

 

 さやかからのラインだった。ヘンテコな天狗のスタンプが続く。

 

「もう……。なんなのよ」

 

 スマホの画面を見つめつつ、ほむらは溜息をこぼした。

 

『暁美さん!今年はクリスマスパーティ参加してくれるでしょ?ちょっとだけでもいいの。ね、お願いね!』

『クリスマスゲームイベントだってさ。どうせ暇なんだろ?行ってみようぜ?』

 

 マミと杏子。二人からもクリスマスの誘いがひっきりなしに来ていたのだった。

 

「そりゃまあ去年の君があんまりにあんまりだったからね。心配してくれてるんじゃあないのかい?」

「…………」

 

 のんきに伸びをするキュゥべえを、ほむらは不満げに睨む。

 

「……あなたが余計な事をしたからじゃない」

「やれやれだね。脳内フレンドに夢中な君だけれど。脳外にもそれだけ君のことを思ってくれている友人たちに恵まれてるってことを自覚しなくちゃあじゃないかな?」

「ふうん。それで、あなたはどうなの?」

「僕?」

 

 ほむらから問いかけにキュゥべえは赤い目を瞬かせた。

 

「なにか勘違いをしているようだけれど、当然感情の無い僕にはそんな思いやりのようなものはないよ。これっぽっちもね。僕は手駒を最大限に利用して、最高の結果をだすことにしか興味はないのさ」

「…………」

 

 言い放つキュゥべえに、ほむらは小さく眉をよせる。

 

「へえ、そう。そうよね。あなたはそういう存在よね」

「ああ。そうだとも」

 

 目を細めるほむらにキュゥべえは平然と答えて見せた。

 

 

*****

 

 

 クリスマス当日。

 

「あんなに嫌がっていたのに、マミ主催のパーティに参加するなんて、いったいどうゆう心変わりなのかい?」

「…………」

 

 肩の上で首を傾げるキュゥべえにほむらは無言で歩を進める。

 

「まあいいさ。去年のような無様を晒してくれないのであればね。精々楽しんでおくれよ」

 

 キュゥべえはあくびまじりに言い放つのだった。

 

 

*****

 

 

「メリークリスマス!!」

 

 マミ宅には見滝原近隣の魔法少女達が集まっていた。

 

「今日の主役の登場よ!」

 

 魔法少女達の視線の先。そこには静かな面持ちのほむらが立っていた。

 

「なんだかだいって君は本当人気者だねえ」

 

 勤勉に魔獣を捜すほむらは、魔獣と戦う魔法少女と遭遇する機会も多かった。その時、危ないようならすかさず援護をし、無言で立ち去る。そんなほむらに恩を感じている魔法少女は多い。

 

「……ええ、人気者なのよ?」

 

 のんきなキュゥべえに、ほむらの口角が吊り上がる。

 

「キュゥべえ、あなたがね」

「えっ?!」

 

 ほむらの言葉にキュゥべえは目を瞬かせた。

 

「いつも私達をサポートしてくれるキュゥべえに、この機会にお礼を言いましょう!」

「なっ!!」

 

 マミの言葉にキュゥべえは目を見開いた!

 

「あら、感情の無いあなたでも驚くということはあるのかしら?」

「ほむら、ま、まさか……」

「ええ。そうよ。ここの魔法少女達はなんだかんだと世話を焼くあなたのお陰で生き延びているわ。皆あなたに対して本当に恩に着ているの。あなたの思惑がどうだろうとね」

 

 魔法少女達の視線がキュゥべえに集まる。

 一つの願いとともに非日常に放り込まれた少女達。そのだれもが脱落せずに日常をおくることができ、今日という日を迎える事ができたのだ。

 

「キュゥべえ!ほんと、いっつもありがとう!」

「………」

 

 魔法少女達の視線にさらされ、キュゥべえは後ずさる。

 

 ほむらは常日頃、魔法少女のピンチな場面に偶然遭遇することが多すぎると感じていたのだ。だが重なる偶然は偶然たりえない。つまりそれは必然なのだ。

 考えてみれば簡単な事だった。そうなるように誘導されていたのだ。キュゥべえに。

 

 ほむらはキュゥべえにさとられないようそれをマミに知らせ、今回の催しが開催されることになる。

 

「ほらほら。あなたは主役なのだもの。しっかりなさい?」

 

 ほむらはキュゥべえの首根っこを捕まえて、ぺいっと魔法少女達の真ん中に放り込んだ!

 

「きゃー!キュゥべえ!」

 

 そしてキュゥべえは少女達にもみくちゃにされる!

 

「ほ、ほむら、謀ったなーー!」

「もちろんわたしも感謝してるのよ?じゃあ精々楽しんでちょうだいね?」

 

 キュゥべえの雄たけびが少女達の歓声に消える。もみくちゃにされるキュゥべえを、ほむらは微笑みつつ顔の横で掌をひらひらしつつ見送るのだった。

 

 

*****

 

 

「ふふっ!あそこのほむらちゃん、たくましいなぁ!」

 

 円環世界でまどかはそんなほむらを見つめつつ、嬉しそうに目を細めた。

 

「こら、まどか!まだなにか企んでるの?」

「ち、ちがうよう!」

 

 さやかからの詰問に、まどかは慌てて返事をする。

 去年のアレがあんまりにあんまりだったため、まどかとエリザベスは早々に拘束され、監視対象になっているのだった……。

 

「まどか様……」

「うん。状況は厳しいけれど、負けてられないッ!わたしはあきらめないよッ!みんなにハッピーどっきり☆クリスマスを届けるんだッ!」

 

 ――そうしてまどかは無駄に黄金の精神を奮い立たせ、脱獄を敢行!盛大にやらかして、さやかに叱られることとなる……。




 ええー……。
 一年経ったらしいですよ?びっくりですよね……。
 おつきあい、ありがとうございます!
 
 なにはともあれ、メリークリスマスです!
 皆さまの聖夜に幸あらんことを。
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