円環物語   作:ぶんた

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その5

 ぼうっと座っているマミに杏子が声を掛けた。

 

「マミさん。どうしたのさ?ぼんやりしちゃって」

「あ、佐倉さん。なんだかみんな、私に対してよそよそしくないかしら?」

 

 肩を落とすマミに、杏子が目を丸くする。

 

「なんだよ、マミさんもか」

「え?佐倉さんも?」

「いや。さやかがおんなじようなこといってたからさ」

「…………」

 

 杏子が首を傾げ、マミを見る。

 

「ここの連中がまどかを特別視してるのはわかるだろ?」

「ええ。円環の女神様ですものね」

「ああ。その女神様がべったり懐いちゃってる人は誰でしょう?」

 

 杏子の問いに、マミは目を瞬かせる。

 

「そう。マミさんですってな。そりゃ恐れ多いってもんなのさ」

「ええっ!私、そんな……」

 

 マミは眉をよせる。

 

「まぁ、ただでさえマミさんは完璧超人ですからねー」

「美樹さん!」

 

 ひょっこり顔を出したさやかに、マミが驚く。さやかは訳知り顔で小さく何度も頷いた。

 

「美人でスタイルがよくって、正義の味方でお姉さまで、実力だってピカイチ!そりゃーもう、どうしてくれようってもんですよ」

「そんなもんか?」

「杏子、シャラップ!」

 

 首を傾げる杏子を、さやかは黙らせた。

 

「そんなマミさんに、さやかちゃんアドバイス!欠点を作ればいいんです!」

「……欠点?」

「イエース!人は他人の欠点に対して共感を得たり、気を許したりするものなのですよ!」

 

 明らかに動揺するマミに、さやかはしたり顔で指を指す。 

 

「なるほど……。確かに完璧な自分を目指し近づけば近づく程、他人と遠ざかった気がするわ……」

「さもありなん」

 

 視線を下げて考え込むマミを、腕を組んださやかは、目を閉じ大きく頷く。

 

「ん?おーい!ジャンヌ!」

 

 手持ちぶたさな杏子は、丁度見かけた知人であるジャンヌに声を掛けた。

 

「うーん。でも欠点といわれても……。大体私は、皆に思われてるような完璧人間なんかじゃないのよ?」

「!」

 

 杏子の呼びかけに近寄ったジャンヌは、そこの面子にびくりと震えた。マミとさやか。女神様が特別視している魔法少女だ。

 

「ああ。そんな気にすんなよ」

 

 そんなジャンヌを、杏子は面白そうに眺めた。

 

「では!このさやかちゃんにバーンと!まかせちゃってくださいな!」

「じゃ、じゃあおねがいするわね。美樹さん!」

「まかされた!じゃあ今からマミさんは私の嫁二号!」

「え?よ、嫁?」

 

 さやかは高らかに宣言した!その内容が理解できないマミは首を傾げた。

 

「んっふっふ!嫁にはこうだぁ!」

「ちょ!なんで胸を……。だめぇ!」

「はっはー!よいでわないか、よいでわないか!うふ!こうして弱いところを見られれば皆、気を許すってもんですよ!」

 

 さやかはマミの後ろから、がばり!と抱き着きその胸を、こねりだしたのだ!

 

「ちょっ!美樹さん?」

「え?なにこれ。おかしくない?なに?これなんなの?」

 

 さやかの掌がマミの胸に、むにゃりと埋まった。その塊はさやかの掌の動きに従い、むるむると蠢く。

 驚愕のさやかは、ひたすらそれをこねまわす。杏子とジャンヌは向かいあって両手を繋ぎ、真っ赤になって目を見開き、その蠢く塊を見つめ固まっていた。

 

「だめ!だめだったら!」

「おかしい。これおかしいって!なに?なんなのこれ!エロだよ!エロスだよ!まどかと全然ちがうし!ちょっと!あんたらも触ってみてよ!」

 

 身悶えるマミを容赦なく責め立てるさやかは、杏子達にやたらと訴えるが、二人はただただ小さくふるふると首を振った。

 

「いいかげんになさい!」

「ぎゃぼー!」

 

 マミはさやかをブン投げて、地面に叩きつけた!

 

「み、みきさん。ありえないってなによ?きにしてるのをよくもまあ、やりたいほうだいやってくれたわね……」

「こ、こわい。マミさんこわい……」

 

 マウントをとったマミは無表情にさやかに打撃を浴びせる!

 

「や、まって!マミさんまって!ここではケガとかしないけど、微妙に痛いから!グーパンはやめて!」

 

 ごすごすっ!

 

 マミは無表情に連撃を放ち続ける!

 

 ――暫し後。

 肩で息するマミ。道路に陥没するさやか。それを両手繋ぎに見つめ、ガクブルする杏子とジャンヌという地獄絵面となっていた……。

 

*****

 

 

 そして。

 怒らせたらヤバイ、マミさん。

 そのマミさんにすら、セクハラするさやか。

 ますますもって二人は、他の魔法少女から遠巻きにされることとなった……。

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