ぼうっと座っているマミに杏子が声を掛けた。
「マミさん。どうしたのさ?ぼんやりしちゃって」
「あ、佐倉さん。なんだかみんな、私に対してよそよそしくないかしら?」
肩を落とすマミに、杏子が目を丸くする。
「なんだよ、マミさんもか」
「え?佐倉さんも?」
「いや。さやかがおんなじようなこといってたからさ」
「…………」
杏子が首を傾げ、マミを見る。
「ここの連中がまどかを特別視してるのはわかるだろ?」
「ええ。円環の女神様ですものね」
「ああ。その女神様がべったり懐いちゃってる人は誰でしょう?」
杏子の問いに、マミは目を瞬かせる。
「そう。マミさんですってな。そりゃ恐れ多いってもんなのさ」
「ええっ!私、そんな……」
マミは眉をよせる。
「まぁ、ただでさえマミさんは完璧超人ですからねー」
「美樹さん!」
ひょっこり顔を出したさやかに、マミが驚く。さやかは訳知り顔で小さく何度も頷いた。
「美人でスタイルがよくって、正義の味方でお姉さまで、実力だってピカイチ!そりゃーもう、どうしてくれようってもんですよ」
「そんなもんか?」
「杏子、シャラップ!」
首を傾げる杏子を、さやかは黙らせた。
「そんなマミさんに、さやかちゃんアドバイス!欠点を作ればいいんです!」
「……欠点?」
「イエース!人は他人の欠点に対して共感を得たり、気を許したりするものなのですよ!」
明らかに動揺するマミに、さやかはしたり顔で指を指す。
「なるほど……。確かに完璧な自分を目指し近づけば近づく程、他人と遠ざかった気がするわ……」
「さもありなん」
視線を下げて考え込むマミを、腕を組んださやかは、目を閉じ大きく頷く。
「ん?おーい!ジャンヌ!」
手持ちぶたさな杏子は、丁度見かけた知人であるジャンヌに声を掛けた。
「うーん。でも欠点といわれても……。大体私は、皆に思われてるような完璧人間なんかじゃないのよ?」
「!」
杏子の呼びかけに近寄ったジャンヌは、そこの面子にびくりと震えた。マミとさやか。女神様が特別視している魔法少女だ。
「ああ。そんな気にすんなよ」
そんなジャンヌを、杏子は面白そうに眺めた。
「では!このさやかちゃんにバーンと!まかせちゃってくださいな!」
「じゃ、じゃあおねがいするわね。美樹さん!」
「まかされた!じゃあ今からマミさんは私の嫁二号!」
「え?よ、嫁?」
さやかは高らかに宣言した!その内容が理解できないマミは首を傾げた。
「んっふっふ!嫁にはこうだぁ!」
「ちょ!なんで胸を……。だめぇ!」
「はっはー!よいでわないか、よいでわないか!うふ!こうして弱いところを見られれば皆、気を許すってもんですよ!」
さやかはマミの後ろから、がばり!と抱き着きその胸を、こねりだしたのだ!
「ちょっ!美樹さん?」
「え?なにこれ。おかしくない?なに?これなんなの?」
さやかの掌がマミの胸に、むにゃりと埋まった。その塊はさやかの掌の動きに従い、むるむると蠢く。
驚愕のさやかは、ひたすらそれをこねまわす。杏子とジャンヌは向かいあって両手を繋ぎ、真っ赤になって目を見開き、その蠢く塊を見つめ固まっていた。
「だめ!だめだったら!」
「おかしい。これおかしいって!なに?なんなのこれ!エロだよ!エロスだよ!まどかと全然ちがうし!ちょっと!あんたらも触ってみてよ!」
身悶えるマミを容赦なく責め立てるさやかは、杏子達にやたらと訴えるが、二人はただただ小さくふるふると首を振った。
「いいかげんになさい!」
「ぎゃぼー!」
マミはさやかをブン投げて、地面に叩きつけた!
「み、みきさん。ありえないってなによ?きにしてるのをよくもまあ、やりたいほうだいやってくれたわね……」
「こ、こわい。マミさんこわい……」
マウントをとったマミは無表情にさやかに打撃を浴びせる!
「や、まって!マミさんまって!ここではケガとかしないけど、微妙に痛いから!グーパンはやめて!」
ごすごすっ!
マミは無表情に連撃を放ち続ける!
――暫し後。
肩で息するマミ。道路に陥没するさやか。それを両手繋ぎに見つめ、ガクブルする杏子とジャンヌという地獄絵面となっていた……。
*****
そして。
怒らせたらヤバイ、マミさん。
そのマミさんにすら、セクハラするさやか。
ますますもって二人は、他の魔法少女から遠巻きにされることとなった……。