Fate/stay night[Limited Zero Over] 作:メカ好き
今日の授業も終わり、荷物をまとめて席を立つ。オレは帰宅部だ。このまま下校して必要ならば買い出しをし、家に帰って簡単な掃除や夕食の支度をする。それがいつのも日課だ。
しかし、それも今日は出来そうにない。
校門を出た瞬間から、オレにのみ注がれた殺気。このまま日常を謳歌すれば、周りを巻き込んでまで殺しに来る危うさを感じる。無関係な一般人を巻き込まないためにも、気が進まないがある場所へと向かった。
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桜に遅くなることをメールして向かった先は新都にある冬木中央公園。オレが全てを失った場所。ここは10年前の大火災の原因が元で怨念加えて厄介な物も染み付いて、中心に近ければ近いほど人気が無くなっていく。既に日は沈み、辺りを照すのは公園の電灯のみになった事もあり、追跡者と事を構えるのには打ってつけだった。
「いい加減、出てきたらどうだ?」
「・・・」
ヒュン・・・・・・キン
返答は、鋭い軌跡を描いて翔んできた矢の様な剣だった。それをオレは右手に握った刀で叩き斬る。
「そっちがその気なら・・・」
剣の翔んできた方向に目を向ける。オレの目には、驚愕の表情を浮かべながらも弓に剣をつがえる浅黒い肌に赤い外套を纏った白髪の男が写っていた。
「こっちから直接出向こうか!」
刀片手に人の領域を軽く凌駕するスピードで駆け出す。直ぐ様迎撃の剣が翔んできた。全てが必中、受ければ死ぬか動けなくなる急所に向けて翔んでくるそれを、オレは最小限の動きで全て叩き斬る。本当は避けた方が速いが、全ての剣に追跡能力が有ることが視えていた為放置できなかった。
しかし、剣群の少し後に飛来した赤い剣は下手に接近する訳にはいかなかった。
─幻日虹─
それは高速の捻りと回転による回避技。それにより、赤い剣はオレの残像を突き抜ける。しかし、剣は逃がさんとばかりに反転して追ってくる。更に前方から、追い討ちの剣群が迫ってきた。こっちは速度と威力重視で追尾能力がなかった。おそらく赤い剣の邪魔にならない様にする為だろう。
─幻日虹、舞─
オレは残像と共に舞う。全ての攻撃の先は視えている。なら、避けることは造作もない。そして、遂に件の男まで後30メートル位の所に来た。
「ちっ!」
男は苦い表情を浮かべながら弓を消し、空中に様々な剣を出現させ射出してきた。それすらも、オレを捉える事は叶わなかったがどうやら時間稼ぎだった様だ。
─円舞一閃─
キイィィィィィィン
「くっ!」
神速の踏み込みからの円を描くような力強い一撃を、男は白と黒の二本の短剣で辛うじて受け止めた。
「・・・貴様、本当に衛宮士郎か?」
「ようやく口を開いたかと思ったら、失礼な奴だな。オレは衛宮士郎だ。それ以上でも、それ以下でもない!」
そう言いながら短剣を弾き、下がる。そこに、先ほどの赤い剣がオレが居たところを通りすぎていった。
「
「
男が言っている事に違いはない。それに加え
仕方ない、切り札を切る。
「
オレは男に斬りかかりながら詠唱を始めた。
「憑依経験、共感終了
基本骨子及び構成を加工、修正、同調」
斬り結びながら詠唱を続ける。男も気が付いているが無駄だ。オレの目は魔力を可視化出来る他、他者の身体の中を透けて見る事が出来る。相手の骨格・筋肉・内臓・魔術回路・魔力の働きさえも手に取るように分かる。故に男の攻めを封殺できる。こっちも
「
「ッ!?」
男が何か気取ったのか退避行動に移る。それに入れ替わるように
「
オレの放った突きは、切っ先を起点に空間を削り取り
ドーーーーーーーーーーーン
男が叩き付けられた地点が爆ぜ、土煙が舞う。まだ警戒を解かない。手応えが軽すぎだ。まだ生きている。
ブオン!
その証左と言わんばかりに土煙が吹き飛び、中から魔力を滾らせた男が出てくる。ボロボロで血を流してはいるものの、致命傷や大きな傷が無く堪えた様子が全くない。
「貴様・・・なぜ
「知りたいならオレの質問に答えろ。お前、サーヴァントか?また聖杯戦争が始まるというのか?」
オレの問いに男──アーチャーと思われるサーヴァントは先ほどの動揺を消し、嘲笑うように表情を歪めた。
「ふん、だとしたらどうだと言うのだ?貴様はここで死ぬ」
「悪いがオレは死ねない。大切な家族を悲しませたくない。まだ親父との最期の約束を果たせてない。未だに己が願いの始まりにすら立てていない。だから、お前を殺してでもオレは生きる」
オレの言葉に怪訝な表情を浮かべるアーチャー。それを気にせずオレは
「それにだ、聖杯戦争が始まると言うのなら見逃すわけには行かない。悪に染まった聖杯を完成させたら、10年前の冬木の大火災以上の地獄が始まる。そんな事、させるかよ」
「・・・なぜ、知っている?」
「言う必要が有るとでも?」
「・・・確かにその通りだ。だが喋りすぎたな?私のマスターはどうやらその事を他に漏らされたく無いらしい」
「なに?」
「貴様はここで、死ぬと言うことだ」
アーチャーは再び魔力を滾らせる。こいつのマスターが気になるが、考え事をしながら勝てる相手じゃない。オレは思考を打ち切り、刀を再び正眼に構える。その次の瞬間、二人の間をガンドが通りすぎた。
ドカン
それは射線上にあった一本の木に直撃し、中程を大きく削った。
「!?」
物理的破壊力を有するフィンの一撃。これは使い手が凄腕の魔術師である事の証左でもあった。
「ちょっと聞き捨てならない事を話しているわね。私たちも交ぜてくれないかしら?」
そう言いながら現れたのは、今朝シャドートレーニングで相対した青い槍兵を引き連れた、桜の実の姉である遠坂凜だった。
本当は、ロードエルメロイⅡ世を出したかった。(知識が足りず、風呂敷を畳める自信が無かったため断念)