Fate/stay night[Limited Zero Over]   作:メカ好き

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Episode3『剣王召喚』[2月2日]

オレが屋上に着いたときには遠坂の姿はなく、桜だけが待っていた。そして、桜から遠坂と何があったのか、一字一句正確に聞かされる事となった。

 

「なんでそんな事を・・・」

「だって士郎さん、遠坂先輩が危険な目にあったら放って置けないでしょう?今の遠坂先輩は足元を疎かにしていましたから、一度しっかり自分を見直すべきです。でも、勝手に同盟の詳細を取り決めてしまいました。ごめんなさい」

「別にそんな事を責めてる訳じゃない。オレが怒ってるのは桜が自分を傷付ける様なマネをした事だ」

 

実際、オレがやって来た時の桜の顔色は悪かった。オレが彼女の頭を撫で始めてから大分良くなったが。

 

「まだ完全に心の傷が癒えた訳じゃないんだ。無理しないでくれ」

「はい、分かりました」

 

同盟の事に関しては責めるつもりはない。

正直この条件の方がオレにとってはプラスだ。聖杯戦争が始まる以上、彼女は必ず冬木にやってくる。いや、もうこの町に来ているかもしれない。彼女を探す都合上、自由に動けるこの同盟内容は有り難いのだ。

 

親父との最期の約束を果たす為にも、必ず彼女を救って見せる。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

夕方、家に帰ったオレは桜に晩御飯の支度を頼み、土蔵に向かう。オレの魔力の高まりは、あまり差が生じない。ただ、日が出ている時間帯の方が確実にほんの少しだけだが夜より魔力が高まる。故に朝確認した魔法陣で日が完全に沈む前に前に召喚を行う事にした。

 

魔法陣の前に立つ。魔力は十分。だが更にここで魔力を高める。

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオ

 

オレの呼吸は特殊だ。その為か身体能力は高いし魔眼と呼べるほどの視覚能力を持っている。更に、呼吸を深くする事で急速に大量のマナを吸収しオドに変換する事が出来る。

 

さあ、準備は整った。始めよう。

 

()に銀と鉄。()に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。

四方(しほう)の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路(さんさろ)は循環せよ。」

 

第一節の詠唱完了と共に魔法陣が淡い魔力光を放ち始める。ここまでは出来て当たり前だ。

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる(とき)を破却する。」

 

第二節で魔力光が強くなり、魔法陣が完全に起動した。だが本番はこれからだ。

 

「――――告げる。

(なんじ)の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この(ことわり)に従うならば応えよ。」

 

第三節、英霊への呼び掛け。これも魔力光が命の息吹を想わせる黄金に変わった事により上手くいった事を確信した。

 

「誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷しく者。

(なんじ) 三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!!

 

全詠唱が完了すると同時に黄金の光が弾ける。流石に許容量以上の魔力を用いて召喚を行った為、膝を床に付いてしまった。

 

「サーヴァント、セイバー。召喚に従い参上した」

 

しかし、無茶しただけあって召喚に成功したようだ。

 

「問おう、貴方が私のマスターか?」

 

凛とした空気を纏った、金髪の髪を後ろで結い上げ、青と銀の甲冑を着た見目麗しい少女がそこにいた。オレは立ち上がり、答える。

 

「ああ、そうだ。オレの名前は衛宮士郎。宜しく頼む、セイバー」

 

そう言いながら手を前に出す。セイバーは一瞬キョトンとしたものの、直ぐに意味を理解したのか握手をしてくれた。

 

「はい、マスター。これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある。ここに契約は完了した」

「ああ。後、マスターは止めてくれ。これからは戦場で肩を並べる訳だし、そう言う呼ばれ方はちょっとな」

「それではシロウと。ええ、私としては、この発音の方が好ましい」

 

そういう言い方は、勘違いするヤツが出てきそうだから止めような・・・

 

「取り敢えず飯にしよう。同居人がご飯を作ってくれているんだ。詳しい話はその後で」

「分かりました」

 

セイバーと一緒に母屋へと向かう。どうもセイバーを召喚してから疲労の回復が異常に早いし調子も良い。となると彼女の真名はやはり・・・

 

まあ、今考えても仕方がない。ご飯を食べてから考えよう。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

桜にセイバーを紹介し、夕食をとった。二人は最初はぎこちなかったが、セイバーが桜の料理に感動し、食事が終わる頃には仲良く話すようになっていた。オレもかなり食べる方だがセイバーはその上を言った。どうも生前の食べ物が美味しくなかったんだとか。彼女曰く「雑でした」だそうだ。

 

そして食後、桜に片付けをお願いして、オレはセイバーとこれからの事について話し合う事にした。

 

「まずセイバー、おまえの真名はアーサー王で合ってるか?」

「! はい、そうです。しかしよく分かりましたね。何か触媒を使って召喚を行ったのですか?」

「結果的に触媒になったと言った方が正解かな」

「結果的に?」

「ああ。その事でセイバーに謝らなければならない事があるんだ」

「? なんでしょうか?」

 

正直ここで話せば初手から関係が崩壊しかねない。だがいつかは分かることだ。話してしまうほうが良いだろう。

 

「実は、オレの身体にはセイバーの聖剣の鞘が埋め込まれている。いや、今ではオレの血肉になっていると言った方が正解かな?」

「なっ!?どういう事ですか!それ以前に何故貴方が鞘を持っているのです!?」

「落ち着いてくれ、セイバー」

「あ、すみません」

「いや、オレの説明が悪かった。順序を追ってに話すよ」

「お願いします」

「ああ」

 

オレは一呼吸置いて話し始めた。

10年前に起きた聖杯による大火災によって家族を失った事

その大火災から養父である衛宮切嗣に助けられた事

その時に鞘を埋め込まれた事

 

「・・・」

「セイバー?」

「シロウ、貴方に話さなければならない事があります」

 

話さなければならない事?

 

「私は、前回もこの時代に招かれ、アインツベルンのサーヴァントとして戦いました」

「ちょっと待ってくれ。じゃあ、前回のセイバーのマスターは・・・」

「前回の聖杯戦争の詳細もご存知のようですね。そう、前回の私のマスターの名は衛宮切嗣」

 

驚いた。前回の聖杯戦争にセイバーが参加していた事ではない。それは把握している。オレが驚いたのは・・・

 

「・・・英霊はサーヴァントとして呼ばれた時の記憶は記録となり、次の召喚時には引き継がないと記憶しているけど」

「はい、普通はそうです。ですが私は死に際に世界と契約し、生きたまま聖杯戦争に参加しています。故に私は未だ英霊ではなく、記憶を保持しているのです」

「そういう事だったのか・・・」

 

世界との契約とは、死後を売り渡し守護者となること。つまり、それほどまでにセイバーは聖杯に願いたい願いがあるという事だ。だが聖杯は汚染されており願いを叶えることはほぼ不可能だ。この事を今セイバーに言うべきではない。セイバーもオレの言葉から薄々気が付いているだろうし、お互い信頼関係を築いてからの方が良いだろう。

 

「ところでセイバー、鞘の事なんだが・・・」

「そうですね。取り敢えず、調べさせて貰っても構いませんか?」

「ああ、構わないが・・・」

「では、失礼します」

 

そう言ってセイバーはオレの後ろに回り込むと服をシャツごと捲り上げた。

 

「上着がズレ落ちないように持って貰いませんか?」

「あ、ああ」

 

オレは言われた通りにしてじっと待った。スベスベした手の感触とかが気になって仕方がなかったがなんとか耐えきった。別に台所からの視線が怖かったから耐えきれた訳じゃない。日々の鍛練の賜物です、はい。

 

セイバーの触診後、衣服を整えてセイバーに向き直る。

 

「・・・正直信じられません。鞘がきめ細かく分裂しているのは分かるのですが、本当に血肉に満遍なく馴染んでいるだなんて・・・。一体シロウは何をやってきたのですか?」

「鍛練の賜物だな」

「宝具を血肉として取り込む程の鍛練ってなんですか・・・。取り敢えずは鞘はこのままで行きましょう。シロウが持っていた方が生存率も上がるでしょうし、取り出す手立てもありませんしね」

「すまない、セイバー」

「謝らないでください。それほどの鍛練を必要とするほどの目的があるのでしょう?」

「ああ」

「なら、存分に役立ててください。まだシロウと会って間もないですが、貴方が芯のある人物である事は分かりますから」

「ありがとう、セイバー」

 

こうして、オレ達セイバー陣営は発足された。これから、彼女と聖杯戦争を戦っていくこととなる。

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