IS<インフィニット・ストラトス> 願いの果てに真理在れ   作:月光花

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あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします!

竜羽様より感想をいただきました。ありがとうございます。

アンケートにて意見をくださった八百万悪鬼様。ありがとうございました。

今回は一夏VSセカンド幼馴染です。

残念ながら、アドルフの出番は次からです。

では、どうぞ。


第11話 たとえ離れていても……

  Side Out

 

 ついに訪れたクラス代表 対抗戦(リーグマッチ)当日。

 

運命が数奇な方向に傾いたのか、第一試合の対戦表は1年1組 VS 1年2組。

 

ISを動かせる1人目の男、織斑一夏とつい最近IS学園に転校してきた中国の代表候補生、凰鈴音の戦いとなった。

 

試合が行われるアリーナの上空では、既に距離を置いた状態で2機の専用機のISが向かい合っていた。

 

一方は全体的な白色の装甲に青色のラインを走らせ、金色の推進ユニットを内部に備えた大きなウイングスラスターを広げる『白式』

 

もう一方は凰鈴音の専用機、機体名は 甲龍(シェンロン)。一見、こうりゅうと呼んでしまいそうだが、これは中国で作られたIS、読み方は日本語に当て嵌まらない。

 

ちなみに、いくら名前の読み方が同じでも、7つのボールを集めたら願いを叶えてくれるわけではない。

 

外見は小柄な搭乗者に合わせたようなシャープな細身のデザインで、装甲は紫の中にピンクを溶け込ませたような色に黒と黄色のラインが走っている。

 

だがその反面、肩の横部分に浮遊する巨大なスパイクアーマーを装着した 非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)がやたらと攻撃的な印象を与えてくる。

 

背中に装着されている巨大なアックス……いや、中国製という点で見るなら青龍刀だろう……も充分に危機感を感じさせる武装だが、 非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)の比ではない。

 

見ると、武装を認識した白式のセンサーが青龍刀のデータを表示している。そこに表示されている名前は『 双天牙月(そうてんがげつ)』。

 

『それでは両者、試合開始位置まで移動してください』

 

アナウンスを聞いた、一夏と鈴は同時にPICでフワリと浮遊を始め、空中で向かい合う。互いの距離は約200メートル。

 

ISの機動性ならば数秒でゼロに縮められる距離だが、近距離スタイルにとってその数秒はかなり重要になってくる。

 

お互いにしばらく無言だったが、痺れを切らしたように鈴の方から 開放回線(オープン・チャンネル)で通信が届いた。

 

「一夏、色々言いたいことがあるけど……とりあえず、今はアンタをブッ飛ばすことだけを考えることにしたわ」

 

「……わかった。俺も色々訊きたいことがあったけど、今は無しだ。勝たせてもらうぜ、鈴」

 

そう言うと、鈴の雰囲気が変わり、目つきが攻撃的なものになった。

 

口元を歪め、試合開始前から気分が高揚し始める。両者共にもう頭の中に雑念は無く、考えることは眼前の相手を倒すことのみ。

 

「言っとくけど、ISの絶対防御があるからって安心しないことね。シールドエネルギーを貫通するくらいの攻撃力があれば、本体にもダメージを与えられるんだから」

 

鈴の言っていることは事実である。

 

世の中には、IS操縦者に直接ダメージを与えることができる武装も存在するし、殲機にまで視野を広げればその数はさらに増えるだろう。

 

それが無くても、代表候補生の実力があれば充分に出来る 芸当(裏技)だ。

 

というか、一夏の輝装、『 斬魔不撓(レイジング・ベルセルク)』も一夏がその気になれば操縦者を殺すことができる武装の1つだ。

 

対消滅機能をフルパワーで相手に叩き込めば、生身の肉体を叩き斬ることなど容易い。

 

まあ、鈴がこの場で言いたいのはつまり、殺さない程度にならボコることが出来る、ということだ。

 

だが、そんなことで織斑一夏の 希求(エゴ)を揺るがすことは出来ない。

 

 

『それでは両者、試合を開始してください』

 

 

アナウンスの後に鳴り響いたブザーに続き、一夏と鈴はほぼ同時に声を上げる。

 

「「 起動(ジェネレイト)!」」

 

響く声に応えるように、心臓の部分から凄まじいエネルギーが解き放たれ、2色の……白とマゼンダの素粒子がアリーナの上空にて乱流を起こす。

 

『認証──汝が 希求(エゴ)を問う』

 

聞こえる“声”によってシステムの応答を認識し、両者の詠唱が紡がれる。

 

「我、下天の道より強者の高みを目指すものなり。

この身が護りしは暖かな絆。この手が否定せしは冷たき絶望」

 

噛み締めるように口にする一夏の宣誓に迷いは無く、ただ真っ直ぐに外界へと示される。

 

そして、それに続く鈴の声にも当然ながら迷いは無かった。

 

「我が身に纏うは(えにし)の糸。

故に我、孤高にして孤独にあらず。故に我、自由にして自在にあらず」

 

凰鈴音は、織斑一夏と小学生の頃から交友があった。

 

初対面は顔面にグーパンチを叩き込むという最悪なものだったが、その友情は中学2年の終わりまで続いたことから悪い物ではなかった。

 

しかし、祖国への帰国によって離れ離れとなった凰鈴音は切なさと共に自分の中の“ある想い”を強く認識し、己と繋がる数多の“縁”の大切さに気付いた。

 

「掲げるは不屈。懸けるは全て。

彼方の未来に至るを願い、暗き闇を断ち切らん」

 

気が付けば、その縁は鈴に前に進む為の力を与えてくれていた。

 

自分が持つ天性の才覚もあったのだろうが、中学3年からISの勉強を始めて猛勉強の末に専用機持ちの代表候補生になれたのは、目に見えないその縁があってこそだと鈴は思っている。

 

故に、鈴は信じている。いくら離れていようと、絆は確かに繋がっている。

 

「例え那由他の道に迷おうと、届かせ掴もう彼方の手を」

 

届かぬ手は無く、届けたいと願う“想い”は運命さえねじ曲げられると。

 

「我は諦観を踏破せし(つるぎ)なり!」

 

何故なら、目の前にいる“想い人”との再会が、それを証明してくれているのだから。

 

「我が身は想いを繋ぐ無形の鎖なり!」

 

だからこそ、その祈りと決意は唯一無二の力となって此処に具現する。

 

『受諾──素粒子生成』

 

『輝装展開開始』

 

炸裂する閃光が2人の全身を包み込み、相応しい形を成していく。

 

「「心装」」

 

変化の開始と完了は、ほぼ同時のものだった。

 

 

「輝装・ 斬魔不撓(レイジング・ベルセルク)!」

 

 

白色の素粒子の光を内側から大きな長刀が飛び出し、素粒子の輝きを斬り裂くと共に左右のウイングスラスターを広げたのは1人の騎士。

 

 

「輝装・ 龍衝轟撃(ドラグネイト・インパクター)!」

 

 

対して素粒子を内側から弾き飛ばすように姿を現した鈴の姿は、まるで力に満ちた一匹の龍。

 

全体的なサイズが一回り大きくなった両肩のスパイクアーマーが淡い光を放ちながら吐息を思わせるような低い駆動音を鳴らす。

 

逆に両腕の装甲は細くなっているが、手の平にあった 球体(スフィア)が手の甲に埋め込まれ、全体的に刺々しく無駄を削いだシャープな……“殴ることに特化した形状”になっている。

 

もはや腕部装甲というより、1つの 籠手(ガントレット)に見える。

 

「・・・・・・」

 

輝装展開を終えた両者はしばらく無言で睨み合っていたが、動き出すのは打ち合わせをしたかのように同時だった。

 

「「ッ……!」」

 

選択する行動はもちろん前進。吸い寄せられるように動いた鈴の右腕が瞬時に背中の青龍刀を抜き放ち、一夏は両手に握った雪片を左水平に構えて突撃する。

 

即座にウイングスラスターの全力噴射によって急加速し、雪片を右薙ぎに振り抜く。走る斬線が辿るのは鈴の胴元。

 

だが、この程度で終わるなら鈴は代表候補生になどなれはしない。

 

ガキンッ! という音を響かせ、雪片の刀身が防御に割り込んだ鈴の青龍刀と激突し、一瞬の間を挟んで一夏は鈴の横を通り過ぎる。

 

すぐに急ブレーキを働かせながら左旋回を行い、続けて鈴の背中を狙って振り向き様に袈裟の斬撃を放つ。

 

だが、ハイパーセンサーの全方位視界でそれを察知した鈴の右薙ぎの斬撃が雪片と激突して阻まれる。

 

互いの腕に力が籠もって数秒間の鍔迫り合いが起こるが、何の合図も無く一夏と鈴の右足が後ろに引かれ、互いに相手の腹を蹴り飛ばそうとして蹴りが衝突。

 

その反動で距離が開くが、一夏は雪片を正眼に構え、鈴は粒子変換で青龍刀をもう1本取り出し、柄尻の部分を連結させて1つの武装へと変える。

 

再び両者が動き出し、互いの刀身がぶつかり合って衝突音が響く。

 

しかし、今度は鍔迫り合いなどにはならず、舞うような鈴の動きと共に迫る斬撃と、それをひたすら雪片で受けて流して返して潰す一夏の斬撃の一瞬の激突のみ。

 

火花が空に飛び散り、装甲を通して感じる衝撃が腕を震わせる。

 

『剣』という武器を扱う上では、恐らく一夏の腕が勝っているだろう。だが、体術や身体能力に関しては恐らく鈴の方が上だ。

 

一夏の知っている鈴は昔から、小柄ながら運動神経が抜群に良く、体を動かすのが特に上手かった。

 

どれだけ優れた武器を持とうと、全てはそれを扱う人間次第だ。

 

機体や武装のカタログスペック、様々な情報をぶつけ合った結果、“現状で”近距離の戦闘能力はほぼ互角。しかし、一夏と鈴は互いに詳細不明の手札を残している。

 

打ち込んだ雪片の逆袈裟の斬撃が回転する青龍刀に弾かれ、一夏の体が僅かに後退する。そこへ鈴の左薙ぎが迫るが、一夏は青龍刀の横腹を下から右肘を叩き込んで強制的に軌道を変える。

 

鈴はその反動に逆らわず、くるりと身を翻して反対方向の青龍刀を下から斬り上げるが、一夏は咄嗟に雪片を割り込ませて阻む。

 

反動を利用したことで再び距離が開くが、此処で鈴が先に『手札』を切ってきた。

 

「遠慮は無しよ! 喰らいなさい!」

 

言うや否や、ニヤリと笑みを浮かべた鈴が双天牙月から右手を放し、拳を握る。

 

互いの離れている距離は約10メートル。遠い距離ではないが、普通に考えればどれだけ力を込めても拳が届く距離ではない。

 

だが鈴は、まるで()()()()()()()()拳を強く振りかぶる。

 

(ヤバい……!)

 

理屈ではなく、第六感が一夏の全身に危険を知らせる。

 

だが同時に、避けようとも致命的にタイミングが遅いと理解してしまう。

 

そして、振りかぶった鈴の拳が振り下ろされるその瞬間……

 

 

……降り注いだ一条の閃光がアリーナ上空にて爆発した。

 

 

「なっ……!」

 

驚愕の声を上げた鈴を他所に、閃光はアリーナの地面へと突き刺さり、大爆発と共に起きた衝撃波がアリーナ全体を激しく揺らす。

 

アリーナに張り巡らされたバリアをぶち破ってもまだあの威力。もし爆心地に人がいれば、一瞬で消し炭になっていただろう。

 

その爆発のせいで一夏と鈴は動きを止め、互いに爆心地を見詰める。一瞬で緊急事態と化したその場には、2人の勝負を続けられる気配など無かった。

 

やがて、2人の耳に地面を踏むような音が聞こえ、ハイパーセンサーが新たな熱源反応を爆心地から昇る黒煙の中に感知した。

 

感知した熱源の数は―――1つ。

 

姿を現したソレはISだった。

 

黒い色の装甲を纏った珍しい 全身装甲(フルスキン)だが、その見た目も何処か異様な姿をしていた。

 

全身装甲(フルスキン)に加えて両の腕が身の丈と同等に巨大な形をしている。搭乗者のいる位置からセンサーレンズの光が不規則に輝き、両腕に取り付けられた合計4つの銃口を一夏達に向ける。

 

語りかける言葉は無かった。

 

だが、考えるまでもなく、一夏と鈴には当然のように理解出来た。

 

アレは、敵だ。

 

 




ご覧いただきありがとうございます。

活動報告の方で鈴についてのアンケートをやっているのですが、何か意見がある人は是非お願いします。

キャラに関してはともかく、輝装は出してしまったので、武装とか詠唱は影装のみになりますが。よろしければ。

鈴の輝装の詳細は次回で明らかになります。アドルフの出番も次回になりますね。

では、また次回。

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