IS<インフィニット・ストラトス> 願いの果てに真理在れ   作:月光花

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すっごい時間が経過してしまった。申し訳ない。

エタるか……エタってたまるものか……!

今回もアドルフサイドのお話になります。

では、どうぞ。



第14話 その先へ……

  Side アドルフ

 

 吹き飛ばされた時と叩き付けられた時の衝撃は、ほとんど同時にオレの体を襲った。前方と後方から絶対防御を貫通するほどの衝撃が響き、全身をくまなく痛めつける。

 

咄嗟に両腕を眼前で交差させて防御を行ったのだが、それを無駄だと言うように黒いISの攻撃はオレの体を軽々と吹き飛ばしてアリーナの外壁に叩き付けた。

 

頭を軽く横に振ってぐらぐらと揺れる視界を元に戻し、体を動かそうと力を込める。痛みに耐えながら手足を動かすと、壁にめり込んだ体が栓を抜いたように軽くなる。

 

ハイパーセンサを使ってギシギシと嫌な音を鳴らす体を見てみると、ほぼ全身を覆う銀色の装甲には無数の亀裂が走り、両腕とウイングバインダーは半壊している。

 

だが、オレの肉体の方は驚いたことに大きな打撲と打ち身のみ、ジリジリと今も痛むだけで骨折や内臓の破損は1つも無い。

 

シールドエネルギーの残量は危険域を知らせる赤色の光と共に『43』と表示されている。防御の上からだというにこのダメージ量、次に攻撃を受ければIS諸共オレの体は粉々にされるだろう。

 

そして、その敵の方を見てみると、これまた随分と劇的な変化を遂げていた。

 

全身の黒色の装甲の上に走った白いラインの部分が隙間を作るように全て開かれ、そこからスパークと共に赤色の光が放たれている。

 

まるでオーバーヒートを起こして自壊寸前のように見えるが、オレには分かる。あの赤い光は織斑達のと同じ素粒子の輝きだ。

 

その現実から目を逸らすことは許さないとでも言うように、黒いISの両腕には搭乗者の 希求(エゴ)が武装としての形を得て顕現していた。

 

右腕に装備されていたガトリングガンは姿を変え、腕を丸ごと飲み込んだかのように大型の回転機構と8本のブレードが取り付けられている。

 

それは重い駆動音を鳴らしながら8本のブレードをまるでドリルのように回転させ、周囲に凄まじい暴風を巻き起こす。

 

あの武器がオレをアリーナの端に吹き飛ばしたのだろう。両腕で防御していなければ最悪ミンチになっていたかもしれない。

 

対して、左肩に装備されていた物理シールドはそこまで大きな変化を遂げてはいなかった。

 

厚さはそのままのようだがサイズは全体的に小さくなり、縦の長さは指先から肘まで、横の大きさは胸部全体を隠せるかどうかというところだ。

 

先程までの形状をタワーシールドと例えるなら、今の形状はバックラーを少し大きくしたようなものだった。

 

しかし、その防御力を削って得た対価なのかは分からないが、盾と腕の間に見えた武装は今まで以上の脅威をオレに伝えてきた。

 

ショットガンを大口径にしたような筒状の銃口とリボルバーを巨大化させたような回転式弾倉。形状から見て内蔵型のグレネードランチャーだろう。

 

全身から赤い光を放ちながら立つその姿はまるで生贄の命を貪り喰らう悪魔のようにさえ見える。いや、実際オレにとっては悪魔のようなものだ。

 

アレがヤツの輝装なら、全身を構成する刻鋼の強度は織斑達と同等の領域。つまり、通常兵器を殆ど受け付けない頑丈さとなっている。

 

ヤツは遠近共に極悪な武装が追加され、こっちの攻撃をまったくもって受け付けない。対するオレの方は徒手空拳に加えてシールドエネルギーも残り僅か。

 

オルコットとの試合が天国のように思えてくるような状況だ。

 

どうしたものか、と内心で盛大な溜め息をつきながらも思考は止めない。こんなところで死ぬつもりは微塵も無いのだから。

 

そこで、じっとこちらを見ていた黒いISが再び動き出した。

 

重い駆動音を鳴らす右腕をそのままに、指を開いたまま左腕をゆっくりと水平に持ち上げてオレのいる方向に向ける。

 

それを見て即座にその場から跳躍した直後……

 

 

ボオオォォォォォン!!!

 

 

……発砲音に続き、それを掻き消すほどの大きな爆発音が連鎖して響いた。

 

見ると、オレが立っていた場所を中心にしてアリーナの外壁が扇を描くような広範囲の爆炎に覆われていた。

 

先程聞こえた発砲音は1つだけだった。つまり、あの武器は……

 

(拡散グレネード……左右の射程は半径20メートルくらいか)

 

最悪だ。あれほどの射程範囲ではさっきまでのガトリングよりも厄介だ。

 

しかも、アイツの攻撃はそれだけではない。むしろ、今となっては右腕に取り付けられたアレの方が主な武装なのだろう。

 

ギイイィィィィン!!!と唸り声を上げながら回転するブレードを持ち上げ、弾かれたように加速した黒いISがオレに迫る。

 

その速度は先程よりも目に見えて速く、跳躍で開いた50メートル近い距離を数瞬で半分に縮める。その軌道は獲物に狙いを定めた猛獣のように直線的だが、小手先の技術を捨て去るだけの圧倒的な力があった。

 

回転するブレードと共に右腕が突き出され、オレの体を粉々にしようと迫る。

 

アレをマトモに受ければ、今度こそ『エクリプス』は装甲と絶対防御を突破され、オレの体は細かい肉片となって形すら残らないだろう。

 

一瞬両脚で地面を踏みしめ、拡散グレネードの死角とブレードの取り回しの悪さを狙って左へと全力で跳躍、敵の直線軌道から離脱する。

 

 

だが、豹変した黒いISはまたしてもオレの予想を超えてきた。

 

 

まず感じたのは、跳躍で飛び退いた時の違和感。

 

黒いISと戦闘を開始してから何度も行った動作の中で、今までとは何かが違うと直感的に理解した。

 

そして、その正体はすぐに理解することが出来た。

 

『エクリプス』の馬鹿力を使って全力で地面を蹴り抜いたというのに、黒いISとの距離が、殆ど離れていないのだ。

 

見ると、未だ回転速度の上昇が止まらない回転ブレードの周囲に空気が集束し、吹き荒れる膨大な風が逃げようとするオレの体を渦のように巻き取っている。

 

とことんふざけている。普通の兵器としても凶悪だというのに、あのブレードはただ回転しているだけで刀身の周囲に真空領域を作り出しているらしい。

 

それによって吹き荒れる空気が常に強力な吸引機の役割を果たし、オレの動きを大きく阻害しているというわけだ。

 

そして、大して距離を取ることが出来なかったオレを粉砕しようと回転ブレードが唸り声を思わせるような駆動音を鳴らして迫る。

 

「くそ……がっ……!」

 

目の前から迫る回転する鋼の塊に嫌な汗をダラダラと流しながらも、オレは『エクリプス』のウイングバインダーを勢い良く展開する。

 

既に形状が半壊して無数の罅を走らせているが、まだ機能は死んでいない。

 

そして、加速時に襲い掛かる負担を一切考えずに後ろへとフルアクセル。

 

「っ!……ぁあ……!」

 

今までで一番強烈なGが全身に襲い掛かり、マトモな言語にもならない苦悶の声が漏れる。

 

襲い掛かる痛みと共に意識がごっそりと持っていかれそうになるが、暗転しそうな視界を気合で繋ぎ止める。

 

それに耐えた甲斐あってか、どうにか回転ブレードが起こす風の拘束を引き千切って拘束範囲から逃れることに成功した。

 

だが、これは同時に失敗でもある。元々、黒いISの追撃を逃れるために左側に避ける算段だったのを真後ろに変えてしまった。

 

そして、地面に着地すると突然強い眩暈に襲われ、両足がぐらりと揺らいで強い吐き気がこみ上げてくる。

 

「う……ぉ、ぇ! ぁあ……がはっ、げほっ……」

 

敵の回転ブレードから逃れたことで一瞬気が緩んでしまい、オレはその場に派手に嘔吐してしまう。

 

我ながらひどく無様だが、ミンチにされるよりは遥かにマシだ。

 

そして、止まっている暇は無い。まだふらつく足で立ち上がり、ISの装甲越しに手の甲で口元を拭いながら黒いISを睨み付ける。

 

見ると、回転ブレードによる攻撃を外した黒いISはその場で動きを止めていたようだが、入れ替わるように左腕が持ち上げられる。

 

「くそっ……!」

 

嫌な予想が的中したことで慌てて飛び退こうとするが、意識がぐらついて両足にも未だ上手く力が入らない。

 

それを無駄だとでも言うように黒いISの左腕に取り付けられた回転式の大型弾倉がガシャン! と撃鉄音を鳴らし、銃口がオレを捉える。

 

そして、放たれた紅蓮の砲撃がオレを飲み込もうと迫る……

 

 

ババババババババ!!!

 

 

……寸前、連続した発砲音が響いた。

 

恐らくアサルトライフルのものと思われる無数の銃弾は黒いISへと迫るが、その全ては直撃の寸前に回転ブレードが引き起こす暴風に弾道を狂わされ、周囲の地面に穴を空ける。

 

ダメージが無かったとはいえ、突然の攻撃に黒いISはオレに向けていた左腕のグレネードランチャーをゆっくりと下ろして銃弾が飛んできた方向を見る。

 

同じくオレも視線を向けると、そこには『打鉄』を纏ってピットからアサルトライフル 《ヴェント》 を構えた更識の姿があった。

 

「早く……逃げて……!」

 

オレを見ながら声を上げ、更識は黒いISの動きを止めるようにアサルトライフルを連射する。だが、全て物理ブレードの暴風に巻き取られて弾道が狂う。

 

対して、数秒立ち尽くしていた黒いISは完全に更識を敵と認識したのか、オレに向けていた左腕のグレネードランチャーを更識に向かって持ち上げる。

 

「っ! よせっ……!」

 

咄嗟に出たその言葉は、更識に向けたものなのか、黒いISに向けたものなのかは分からなかった。だが、ただ遅いということは理解出来た。

 

そして、その行動を目にした更識が量子変換で大型シールドを取り出すのと、紅蓮の砲撃が放たれたのはほぼ同時のことだった。

 

拡散する爆撃がピットとその周囲を飲み込み、爆炎による熱と風が離れた場所に立つオレの前髪を一瞬だけ強く揺らした。

 

即座にハイパーセンサ―を切り替えて立ち込める煙の奥を見ると、まだ更識の反応は残っていた。だが、防御に使用したシールドは熔解し、装甲も所々が破損している。

 

壁に背中を預けるようにして倒れている更識の体に外傷などは見当たらないが、『打鉄』の方はもう限界だろう。

 

たった一撃で、と思うことは無い。むしろ、輝装によって発現したアレの直撃を受けて機体が大破していないだけマシというものだ。

 

だが、オレの前に立つ理不尽の体現は敵対する存在がまだ戦えるかどうかなど知ったことではない、とでも言うように再び動き出す。

 

回転式の大型弾倉が再び音を鳴らし、煙を吐き出しながら装填を終える。

 

その銃口は、変わらず倒れ込んでいる更識を捉えている。

 

「っ……!」

 

それを理解した瞬間、オレは即座に地面を蹴り抜いて姿勢を低くしたまま黒いISへと距離を詰めた。

 

思考を放棄したわけではない。だが、次にあの砲撃を受ければ間違い無く更識は死ぬ。

 

何か言葉を飛ばしてヤツの注意を引くという選択肢もあったが、戦闘が開始してから未だ一言も喋らないヤツが相手では成功の見込みは低いし試す時間も無い。

 

距離が近づくと共に体を撫でていた風が暴風へと変わり、領域内にいる得物を捉えようと不可視の拘束具が纏わり付く。

 

コレの存在を知っていながら距離を詰めるのは、一見自殺行為にしか見えないだろう。

 

確かに、この風は逃れようと距離を広げる際には領域内の敵の動きを阻害する効果を発揮する。だが、逆に全速力で向かってきたモノにはどう働くだろうか。

 

答えは単純だ。吹き荒れる暴風がそのまま推進力となって加速する。

 

『エクリプス』の馬力にさらなる加速が加えられ、黒いISがオレの接近を感知して行動を起こすよりも速く懐へ入り込む。

 

そして、左足だけで空中を足場として一瞬踏み抜き、姿勢を低くした状態から右足を引き絞るように体の内側へと引き寄せる。

 

「ふっ……!」

 

左足で地面を蹴ると共に上へと突き穿つような右足の蹴りを放つ。

 

狙ったのは黒いISの左腕に取り付けられたグレネードランチャーの先端、銃口の部分をピンポイントに蹴り抜く。

 

瞬間、右足の裏を起点として凄まじい痛みが走る。

 

「がぁッ……!」

 

同時に、右脚を覆う『エクリプス』の装甲がバキッ!! という破砕音を鳴らした。

 

こんなことをしても、輝装の位階に到達したISを傷付けることは出来ない。だが、それでも無意味で終わるわけではない。

 

渾身の蹴りが銃身の先端部に命中し、黒いISの構えるグレネードランチャーは損傷こそ無いが照準を大きく狂わせた。

 

結果、放たれた砲撃は更識が倒れている場所とはまったく違う方向に直撃し、アリーナの一角を広範囲の爆炎が包み込んだ。

 

加えて、態勢を崩した状態でグレネードランチャーを撃ったせいか黒いISは反動を制御し切れず、オレに背中を向けるように体を大きく仰け反らせた。

 

その背中を踏みつけるように左足で蹴りを放ち、反動を付けて後ろへ大きく飛び退く。それにより、背中を押された黒いISは今度こそバランスを崩して地面に転倒する。

 

予想以上の結果となったことに少し驚いたが、オレは即座にハイパーセンサ―を通して周囲をスキャン。黒いISの回転ブレードが生み出す真空領域の“穴”を見付ける。

 

ウイングバインダーはもう使い物にならなくなってしまったので両足で地面を蹴り、数回の跳躍で真空領域から離脱して更識の傍に着地する。

 

「更識!」

 

「うっ……ぁ……」

 

呼び掛けながら肩を揺する。

 

すると、小さい声を漏らしながら更識の瞳がうっすらと開かれていく。

 

意識があることに一先ず安堵の息を吐くが、ハイパーセンサ―から鳴り響くアラートの音が即座にオレの思考を呼び戻した。

 

黒いISの方向をハイパーセンサ―で見てみると、体を起こして左腕のグレネードランチャーの照準をゆっくりとこちらに向けている。

 

アレを受けたら、オレと更識は今度こそISの装甲ごと消し炭にされる。

 

舌打ちしながらもすぐに更識を横抱きに抱えて離脱しようとする。そして、その場を離れようと両足に力を溜めるが……

 

「っ……!」

 

……『エクリプス』の各所の装甲が少量の煙を立ち上らせると共に音を立てて砕け、全身を覆っていたPICの浮遊感とパワーアシストが消失する。

 

驚きながらも視線と思考を走らせて何が起きたのかを探ろうとすると、オレの目前に赤色のモニターが表示された。

 

 

『シールドエネルギーの減少値が許容限界を突破。戦闘続行不可能』

 

 

(ここでか……っ!)

 

ダメ押しで絶望を突き付けるようなメッセージが現れる。そして背筋に冷たい汗が流れたと同時に、大きな発砲音が轟いた。

 

振り返った先に見えたのは、発射と同時に広がるマズルフラッシュを放ちながら迫る紅蓮の砲撃。

 

もはや逃れる力も時間も無い。

 

迫る『死』を目に映しながら、走馬灯のような時間圧縮によって体感時間が引き伸ばされていく。その加速する時の中でオレの思考は絶えず秒針の針を刻む。

 

此処で終わってしまう。

 

その事実が心に重く圧し掛かり、心の中にある抵抗の意思を押し殺していく。

 

では諦めるのか? このまま、向けられる理由さえ分からない理不尽な力に全てを奪われるのを受け入れるのか?

 

否、断じて否だ。

 

昔のオレは“空っぽ”だった。

 

家族も、記憶も、全てを失ってオレは真っ白になった。

 

だが、今は違う。歳月を重ねたオレの心はあの頃と違って確かな“色”を持っている。

 

例え他人に嘲笑われようと、オレが生きて刻んできた自分自身の記憶は間違いなく本物だ。オレがオレとして生きてきた胸を張れる証だ。

 

そうだ。だからこそ……そんなオレの命が、こんな理不尽なだけの力に屈服させられる結末など、認められるはずがない!

 

目前に迫る『死』の結末を決して認めないと睨み付け、怒りという感情によって諦めようと沈みかけていた心が再び熱を取り戻して存在を叫ぶ。

 

時間が、世界が、色を取り戻していく。

 

そして前へと歩を進めた刹那、オレの中で『カチン』と大切な何かが上手く噛み合う音が響いた……気がした。

 

『起動準備完了』

 

瞬間、『エクリプス』の内部……正確には心臓の部分から無機的な機械音声(マシンボイス)が発せられ、オレの中で目に見えない変化が起きたのを感じた。

 

目の前に、()()()()()

 

今度こそ、そこに手が届く。

 

そして、オレは今こそ……

 

 

起動(ジェネレイト)

 

 

……その扉の()()へと足を踏み入れた。

 

『認証──汝が 希求(エゴ)を問う』

 

内側へと開かれた扉の先……そこに見えたのは、無色透明の色形無き大海。

 

求める自分自身との邂逅。そこに至る為の言霊が自然と脳裏に浮かび上がり、オレという存在を研磨させるように心を奮い立たせていく。

 

「我が身は(おぼろ)

我が心は空虚。

我は否定と肯定の狭間を彷徨う迷い人なり」

 

紡がれる言葉は、他ならぬ自分自身に向けられた誓いだった。

 

アドルフ・クロスフォードはこう生きて、こう在ることを望んでいるのだという自己確認。その言葉を噛み締めると共に、全身に不可視の力が張り巡らされる。

 

「されど我、確かなる命の道筋を持つ者なり。

絆を結び、誠を貫き、己が意思を胸に歩む者なり」

 

視界を塗り潰すような閃光が全身を包み込む。その光はすぐさま収束し、身に纏ったISの装甲越しにオレの全身を回路のように駆け抜ける。

 

「練磨の果てに道を描き、ただ此処に在る己に誇りを抱こう」

 

爆発しそうな程のエネルギーに指向性が宿り、流れるエネルギーは皮膚を通して体内に……やがては指先に至るまで力を行き渡らせる。

 

 

「無形の理想よ形を成せ、我は踏破の先へ至る者なり!」

 

 

『受諾……素粒子生成』

 

声を上げた瞬間に全身を走る光が爆発的な閃光を発し、白銀の光……素粒子の輝きが左右の腕を包み込むように集まっていく。

 

『輝装展開開始』

 

その声と共に、目に映る世界が完全に元に戻る。

 

放たれたグレネードは今まさに拡散を始め、オレと更識を飲み込もうと迫る。

 

両腕にズシリとした確かな重さを感じ、両腕を真横に振り抜いて包み込んでいた素粒子を周囲に吹き飛ばす。

 

その輝きの中でオレは……()()()()()()()

 

 

ボオオォォォォォン!!!

 

 

爆音が轟き、紅蓮の炎が燃え盛る熱がオレの()()()弾けた。

 

「心装……」

 

呟きながらオレは……

 

「輝装・ 銀輝幻殲(シルヴァリオ・イレイザー)

 

熱風に髪を揺らしながら、白銀の鋼鉄を纏う両手に顕現したオレだけの 武装(覚悟)を握り締めた。

 

無数の亀裂が走っていた『エクリプス』の全身は完璧に修復され、無機質な銀一色だった装甲は新たに白銀色の輝きを宿し、確かな存在感を発している。

 

関節部に走る紺色のラインが脈動するように光を放ち、全身に満ちるエネルギーが長年使いこなしてきたように()()()

 

続いて、視線を自分の両手に落とす。

 

右手に握られているのは、一見すると巨大な鉄塊にさえ見える重量感を漂わせたロングバレルの大口径拳銃。長さは先端部を地面に突き刺しても明らかに腰の位置より上だ。

 

全体的なカラーは『白』とは異なる『銀』であり、銃身は『黒』、鋭利な各所の先端部は『金』の色を宿している。

 

トリガーが供えられたグリップの先に伸びる銃身に加え、それと一体となるように下部には分厚さと鋭さを両立させた大型の銃剣が沿えられている。

 

実際の仕組みはロングバレルの銃身に大型ブレードを銃剣として沿えているのだが、見た目だけを見るのなら大剣の峰となる部分に強引に銃身を組み込んだように見える。

 

それに対して左手……いや、左腕を覆うように現れたのは、長く大きい白銀の(シールド)

 

縦の長さは肘の少し下の場所を中心として、先端部は太もも近く、後方は肩の少し下辺りまでの長さをしている。

 

横の長さは腕を覆い隠せるほどであり、上から下へ行くごとに細くなっていく。

 

両手に持つ武装の感触を確認することで、オレは即座に両手の武装の性能や使用の用途を己の一部であるように理解する。

 

そして、持ち上げたオレの視線が爆煙の隙間から黒いISを捉える。

 

「これでようやく対等だ。さあ……砕いてみろ」

 

その言葉を合図のように投げて、オレは再び前へと踏み出した。

 

 

 




ご覧いただきありがとうございます。

どうにか、今回でようやくオリ主の輝装を出すことが出来ました。

というか、もうこれで分かる人はオリ主が誰の関係者が分かる確率が高いですね、うん。

機体や武装の外見を上手く説明出来ているのか不安なので、一応例えのようなものを出させていただきます。

オリ主の専用機『エクリプス』の外見は、『Another Century's Episode:R』というゲームに登場する『アルファート』という機体です。

アレの装甲に銀色を混ぜて、関節部の色を紺色にしたような感じです。

殲機については、右手の銃は『魔法戦記リリカルなのはForce』の主人公トーマ・アヴェニールが使う銃剣が近いです。

アレの持ち手の部分を銃のグリップに変えて、大剣の刃の部分を綺麗に揃えて上の部分にロングバレルの銃身をくっつけた感じです。

左手の盾の外見に関しては、『機動戦士ガンダムUC』の『シナンジュ』のシールドです。アレの赤色の部分を白銀に、黒色の部分を薄い金色にしたものです。

こんな感じですかね。私の知ってるものから例えを出しているので、分かり難かったらすいません。

アドルフの輝装の詳細については次で黒いISに実験します。

では、また次回。

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