IS<インフィニット・ストラトス> 願いの果てに真理在れ   作:月光花

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以前より気にしていた問題が解決し、一回作品を消して再投稿しました。

この作品は、インフィニット・ストラトスとZero Infinity -Devil of Maxwellのクロス小説です。

相変わらず亀更新になると思いますが、よろしくお願いします。

では、どうぞ。




プロローグ

 ある所で、戦いがあった。

 

それは決して長くなく、大きくもなかった。

 

だが、確かに力が激突し、血が溢れ、涙が流れ、命が輝き、失われた。

 

そして、戦いである以上、当然結末には勝者と敗者がいる。

 

勝者はその人物が望んで生きる世界、プラスでもマイナスでもない、ゼロの平穏へと帰った。

 

対して敗者は、全人類を見下ろし見定めていた場所とは対極の、誰もを見上げる暗き海底へと没した。

 

だが太陽の光すら届かない暗黒の世界の中で、卵のように座した 機械(敗者の残滓)は、静かにゆっくりと、だが確かに鼓動していた。

 

「……() 起動(ジェネレイト)

 

微かな駆動音と共に小さな輝きが宿り、“声”が聞こえた。

 

その中に込められた感情は理解出来ないが、その言葉をトリガーに機械から漏れ出す光は、確かな永遠と今を獲得した。

 

 

 

 

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  

 

 

 

 

 「……ふむふむ、この辺かなぁ~? 気まぐれで海底探査としゃれ込んでみたけど、思わぬ発見があったもんだね~」

 

楽しそうな笑みを浮かべながらモニター越しに海底を眺める女性がいた。

 

不思議な国のアリスのような服を着込み、頭部には機械的なウサミミが装着されている。目前には無数のモニターと、両手にそれぞれ配置された電子キーボードがある。

 

女性の名前は 篠ノ之(しののの) (たばね)

 

IS……インフィニット・ストラトスと呼ばれる超高性能のパワードスーツをほぼ1人で開発した正真正銘の大天才。

 

そんな彼女は今、気まぐれで海底に目を向け、ゴーレムシリーズと名付けて開発したISの1機をすぐさま改造。現代の技術では潜行不可能な深度で海底探査を行っていた。

 

だがその途中、ゴーレムのハイパーセンサーが微弱なエネルギー反応を感知した。

 

この現象に、束は途轍もないほどに好奇心を刺激された。

 

(こんな太陽の光も届かない海底でエネルギー反応? 束さん以外の人類が辿り着いた痕跡も一切無いのに? 何さソレ、気になって仕方が無いじゃん♪)

 

古代文明の産物? 海底都市? それとも異星人の残留物?

 

想像を膨らませながら心を躍らせる束の命令に従い、海底を進むゴーレムはついにエネルギーの発生源を発見した。

 

「アレは……」

 

モニターに映ったのは、半壊した巨大な鉄塊だった。破損した形状から逆算するに、どうやら卵のような球体のようだが、束にはソレがまるで鋼の恒星に思えた。

 

「信じられない……」

 

モニター越しにソレを見た束の顔には、彼女の親友でさえ見たことの無い驚愕の色があった。

 

「こんな超高深度の水圧の中で凹みが1つも無い。それに動力供給なんて無いのに確かに起動してる。ありえない……ありえないよ、こんなの」

 

目の前の事実を信じられないとでも言うように小さく首を横に振りながら、束はゴーレムを鉄塊へと近付けていく。

 

距離が縮まる中で、ありえないと否定した束の脳は無意識の内に視界からの情報を分析し、新たなる事実を見出した。

 

「やっぱりだ……本当に信じられないけど……コレを作ったのは、人間だ」

 

形状や意匠、そこから連想される使用用途などは、どう考えても“人間”のものだ。

 

だが、束にとって、尚更そんな現実は受け入れたく無かった。

 

もし、束の推測が全て当たってしまっていた場合……それが意味するのは、篠ノ之束でさえありえないと否定するこの鉄塊が、“過去に人間の手によって生み出された”という馬鹿げた事実の確定だ。

 

「……とにかく、コイツをどうにか持って帰って徹底的に調べよう。何処の誰が作ったのか知らないけど、この残骸だけでもかなりの成果があるはず……」

 

もはや余裕や笑みが一切消え去った表情で呟きながら、束の操るゴーレムは鉄塊に触れる。

 

だがその瞬間、暗き深海に新たな異変が起こった。

 

ほんの僅かな光を宿していた鉄塊が突然大きな輝きを放ち、その光の全てがゴーレムの中へと溶け込んでいったのだ。

 

「なっ……!」

 

不意打ちに近い異変を前に、束の体は数秒間だけ硬直した。だが、見開かれた瞳はゴーレムの体に溶け込む光を見詰め、思考は回転を止めない。

 

(違うっ! これは光なんかじゃない……! これは……素粒子の集合体!?)

 

だが、時既に遅し。素粒子は全てゴーレムの体内に溶け込んでしまった。

 

『素晴らしい』

 

声が、聞こえた。

 

男とも女とも取れるような 機械音(マシンボイス)だが、そこには確かな感情の気配があった。

 

『当初の計算では再構成の完了まで3世紀は掛かる予定だったが、これは嬉しい誤算だ。まさかこんな海底で“同属”に出会えるとは、数奇なものだ』

 

それは、確かに束に向けられた言葉なのだろう。

 

だが、何故か束は言葉を発することが出来なかった。今は言葉を返すより、その言葉をもっと聞いてみたいと思えたのだ。

 

『“彼等”がこの世に存在する内に戻ること叶わなかったのはやはり残念だ。しかし、こうして新たな可能性と出会えたことは実に喜ばしい』

 

直後、束の眼前にあるモニターに無数の情報が雪崩のように入り込み、ゴーレムに搭載されているISコアが“変異”を始めた。

 

それだけでは留まらず、流れ込んだ情報はゴーレムの体を通してISのコアネットワーク全体へと拡散していく。

 

「なに……これ……複合式、心装永久機関?」

 

モニターに流れる情報を束は1つたりとも逃さず目を通していく。

 

その中にあったのは、基礎理論であり、設計図でもあった。しかし、1つとして束が今まで目にしたものはなく、いつの間にか視線を釘付けにされた。

 

『ささやかなお礼だ。キミならきっと、その全てを解き明かし、理解出来るはずだ。 希求(エゴ)を掲げ、 陰我(イド)と向き合い、そのさらに先の領域へと辿り着いた時、私達は再び巡り合える』

 

そこで声は途切れ、ゴーレムの目の前にある鉄塊は輝きと共に機能を停止させた。

 

そして、最後の部分に声の無いただのメッセージが表示される。

 

『自動輪の導く先にて、煌く魔法を創始せよ。無限の鼓動が成る果てに、オルフィレウスは待っている。無謬の 我執()を携えて、新たな真理を待っている……さあ、時計の針を進めよう』

 

それは宣言であり、賛辞であり、期待だった。

 

気が付けば、束の口元には笑みが浮かび、モニターにスッと手を伸ばしていた。

 

「待っている、か……いいね、実にいいよ。コレは普通に見つけるだけじゃつまらない。応えてあげるよ、キミの渇望に……」

 

そう言って虚空を見上げる束の顔は、何処までも嬉しそうだった。

 

 

 

 

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  

 

 

 

 

 ある日、事件が起こった。

 

全世界に存在する467機のIS全てが、作動中・停止中を問わずに突然機能を停止させ、外部からの命令を一切受け付けなくなったのだ。

 

幸い、死傷者の類は一切出なかったが、当然世界中は大混乱となった。

 

その状態が数時間と続いた時、全世界の政府と代表的な企業の情報ラインのみにある情報が公開された。

 

その情報の発信源は、驚くことに篠ノ之束。

 

公開された情報の中にあった内容は、“ISコアの大規模な機能拡張”について。

 

この情報を目にした者達は、今の状況を見てこう思った。

 

まるで、白騎士事件の再来のようだと。

 

そして、それが意味するのは世界に訪れる大きな変革。

 

篠ノ之束という1つの歯車が動き出し、他の歯車も全て動き出す。

 

こうして、世界という1つの時計は動き出し、チクタク、チクタクと新たな時を刻み始めた。

 

 




ご覧いただきありがとうございます。

海底に沈んでるパンドラの箱を束さんが発見し、とんでもなく厄介な存在が目を覚ましました。

こっちの小説では、ゼロインフィニティーの要素も徐々に出して行きたいと思います。

では、また次回。
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