二人の“誓い”は運命を変える   作:坂本パン

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 ランキングにのった……だと!?

 ありがとうございます!!!


[第十一話]必要なもの

「確かに、そんな事おいそれと口外する訳にはいかないわね」

 

「平行世界の、お兄ちゃん?同じだけど、違う存在?うぅ~~?」

 

「なんか面白い事になってきましたね~」

 

 鏡面界から帰ってきて、一息ついたみんなに説明をする。

 俺達の事を改めて話した所、反応はそれぞれだ。勿論、ルヴィアに話した内容よりはもっと簡潔に話している。

 

「あまり詳しくは話せない事もあるが、俺達はクラスカードの知識があって、その回収に協力してる事を分かってくれればそれで良いさ。あと、表向きは俺は衛宮士郎ではなくて、言峰士郎って事になってるからよろしく頼む」

 

「うん…おに、士郎…さん」

 

「言峰…って呼びたくないから、士郎って呼ぶわよ。とにかく、あまりその情報を簡単に話さないこと。本当なら信頼出来る人間以外には、話さない方が良いことよ、それ」

 

「あー、そうだな。話した方が早いかなと思ってな。気をつけるよ、遠坂」

 

 一通り話し合いが終わったあと、俺はこちらの世界の俺の妹と二人で話をした。

 

「イリヤスフィール、だったよな?」

 

 少女は首を振る。

 

「イリヤでいいよ。お兄ちゃんと同じ顔をした人にそう呼ばれると、距離を取られてるみたいでちょっと傷つく…」

 

「あぁ、なんかごめんな?今度からはイリヤって呼ぶよ」

 

 こうやって、他愛の無い会話を交わしていると、確かにこの子が妹というのは何だか、しっくりくるような感じもする。

 

 俺が繋がった英霊エミヤの影響もあるのかもしれない。彼の生涯ではこの世界の衛宮士郎のように、この子が妹だった可能性もあるからだ。

 

「イリヤ、よかったら俺の妹の美遊と友達になってくれないか?」

 

「美遊さんと?うん、私も同じ魔法少女同士、仲良くしたいかも…」

 

「ぜひお願いするよ。…美遊には、友達がいなかったからな」

 

「それって…」

 

 イリヤがそう言いかけた時、俺が美遊に呼ばれた為彼女は開きかけた口を閉じた。

 

「じゃあ、またな。イリヤ」

 

「うん。士郎さん」

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、イリヤスフィールと何を話してたの?」

 

「あぁ、もしかしたら美遊の友達になってくれるかと思ってちょっとな。多分、年頃も同じだろ?」

 

 話を聞いた美遊は、むーっとなんだかむくれている。

 

「わたしにはお兄ちゃんがいれば、それで良いのに…」

 

「ははっ、本当に甘えん坊だな美遊は。ただ、この先生きていくのに、ずっとそういうわけにもいかないだろ?それに、美遊に信頼する友達が出来るのは俺の願いでもあるしな」

 

「んー…お兄ちゃんがそう言うなら」

 

「無理にとは言わないさ。美遊のペースで良いんだ」

 

「ルヴィア。美遊はこれから学校に通うことになるんだろ?」

 

「そうですわね。イリヤスフィールと同じ学校への転入を予定していますわ」

 

「きっとお前なら、すぐ友達もできるさ」

 

 その次の日から、美遊は学校に通い始めた。

 

 その間俺はルヴィアの執事として働いている。これも生活の保証に対する対価の一端ではあるが、労働時間に見合わない程の多額の給与も支払われているため特に不満も無い。

 

 それに、こちらの世界の衛宮士郎がすぐ近くにいる環境では、カード回収以外で積極的に外出する事が出来ないので手持ち無沙汰にならなくて正直助かっている。

 

「ふむ………なかなかやりますね…」

 

「あら、オーギュストが認めるなんて珍しいわね。執事の才能も充分ね、シェロ」

 

 …このままずっと、ルヴィアの専属執事にされるなんて事ないよな?

 

 

 

 

 

 また今日の夜もカード回収が控えている。

 

 残るカードはキャスター、セイバー、アサシン、バーサーカー。そのなかには、俺が英霊化しても常勝とはいかない手強いクラスカードもある。美遊にも、カードの扱い方を教えるべきだろうか。

 

 そんな事を考えながら支度をしていると、部屋にその美遊が入ってきた。

 

「どうかしたのか?」

 

「イリヤスフィールの事なんだけど…あの子が悪い人間じゃないのは分かったよ。でも、あんな遊び半分の気持ちで英霊を打倒できるなんて思えない。あのままじゃ、そのうち後悔する事になる。わたしはイリヤスフィールと共闘するのに反対」

 

 どうやら、今日の学校で何かあったようだ。

 だが一見して、突き放すような言葉に聞こえて根底にあるものはイリヤへの心配だ。

 

「ほんとに立派になったな美遊」

 

 美遊の頭を撫でながら、言葉を続ける。

 

「正直な所、俺はイリヤが戦うのも、美遊が戦うのだってあまり喜べない。だけど、俺が美遊を助けたように。美遊が俺に力を貸してくれるように。知ってしまったら、見て見ぬ振りなんて出来ない事だってあるだろ?」

 

「お兄ちゃん…」

 

「だから、イリヤの決心が固まるまで俺は否定しない。それに、何かあっても俺が守ってみせるさ」

 

 そう宣った俺だが、恥ずかしくもその日のカード回収は惨敗で終わる事となる。

 

 

 

 

 

「陣地を整えたキャスターがあそこまで恐ろしい敵だったとはな…」

 

 鏡面界に接界(ジャンプ)した瞬間、集中砲火された俺たちはまたたく間にボロボロにされ逃げ帰った。

 

「あの魔力反射平面も問題だわ。あれがある限り、こっちの攻撃は届かない。士郎の矢なら貫通できるかもしれないけど、その時間もくれない」

 

「魔法陣の上まで飛んでいければ戦えると思いますが…」

 

「あ、そっか。飛んじゃえばよかったんだね」

 

 すると、ふわふわとイリヤは飛び始めた。

 何というか、魔術の世界の知識が無い事が逆に強みとなっているようだ。

 

 対抗心を燃やしたルヴィアが、美遊にも飛ぶように言う。

 

「人は…飛べません」

 

 美遊の返答は、実に夢のないものだった。

 やっぱり、もっと絵本とかを読ませたほうが良かったのかもしれないと、改めて思った夜だった。

 




補足1:士郎は言峰に魔術の世界について教えてもらってるので、時計塔の存在も認知しているし魔術師が目的のためなら非情になれる事も理解しているが持ち前の性格と警戒心の低さから、あっさりと凛たちにも事情をもらしています。
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