二人の“誓い”は運命を変える   作:坂本パン

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誤字報告してくださった方、ありがとうございます。

誤字自体は良いものではないですけど、ちゃんと読んでもらえてるんだなぁと思うとちょっと嬉しいです。


[第十四話]クラス・アサシン

 次の日、美遊は学校に登校せず、休養するようにとルヴィアに言われた。

 

 当然と言えば当然かもしれない。キャスター、セイバーとの戦闘。

 そして、カードの夢幻召喚(インストール)

 

 まだ十歳の少女には負担であった事は間違いないだろうし、無理は良くない。

 

 だが、普通に執事として働いている俺の姿を見て、美遊も午後から侍女としての仕事をし始めた。

 止めようかと思ったが、休んでいた午前中、特に辛そうにしている様子も無かったので本人の意思を尊重する事にした。

 

「そんな所まで、俺に似なくても良かったのにな」

 

「何か言った?お兄ちゃん」

 

「いや、なんでもないよ」

 

「?」

 

 唐突に、ピピピピピと電子音が鳴る。

 

「どうしたの、姉さん?」

 

「今の音…なに?サファイア」

 

 音の正体はサファイアだったらしい。なんでも、カレイドステッキには通信機能もあるらしい。

 通信者はルビーもとい、そのマスターのイリヤ。

 

 どうやらイリヤも今日は念の為休養をとったらしいが、暇で暇でしょうがないらしい。

 だが、自身から連絡をとってきた割には不器用な会話で、会話があまり続かない。

 

 それを見かねたステッキ達は、テレビ電話を始めるようとする。

 

 美遊は止めようとしたが、間に合わなかった。

 

「メッ…メイド服ーッ!?しかも士郎さんは執事服だしーーッ!?」

 

「あらあらまああ…!なんとも良いご趣味をおもちのようで」

 

 大興奮のイリヤ&ルビー。

 

「あっこっ…これは違う…っ!!」

 

「あー…、そういえばこんな格好だったな、俺達」

 

 すっかり忘れていたが、美遊と俺は仕事着としてそれぞれメイド服と執事服を着ている。

 

 なんと言うか、ルヴィアの強い主張によりそうなった。雇用主の希望ならばと、俺も安請け合いしてしまった部分はある。

 

「ミユさん…今すぐあなたに会いたいわ。うんすごく会いたい。なんて言うか、生で見たい。来て、今すぐ来て!そのまんまの格好で来て!!」

 

「はっ、はいぃっ!?」

 

 イリヤのおかしなテンションに押し切られ、美遊はメイド服のまま隣の家に出向いていった。

 

 後から聞いた話だと、身体を拭いて欲しがったイリヤが裸になり、そのタイミングで学校の同級生が見舞いにくるというドタバタハプニングがあったらしい。

 

 何だかんだと、二人は友人として少しずつ歩めている。

 

 そう安堵していた矢先、その夜のカード回収は俺達の予測を裏切る形で終わる事となる。

 

 

 

 

 

「敵を視認!総数…50以上!!」

 

「そんな…!」

 

「なんてインチキ…!軍勢だなんて聞いてないわよ!!」

 

 …抜かった!

 

 カードに契約されている英霊は本来、カード一枚につき一人。

 だが、聖杯戦争に用いられるクラスとはそもそも、英雄の一側面を限定的に当てはめる枷のような物。

 

 つまりは、俺が英霊エミヤの力を持ちながら、座に存在している彼とは違う存在であるように。

 同じ英霊の名を持った、別人物が召喚される可能性だってあるという事だ。

 

 それを見落とすとは…!!

 

「か…からだが…うごかない…っ!」

 

「ちぃ…、毒か!イリヤッ!!」

 

 先程投擲されたナイフ(ダーク)により負傷したイリヤ。その傷自体は小さなものだったが、毒が塗られていたようだ。

 

 隊列から遅れたイリヤに、四方八方から降りそそぐ凶刃。

 

 毒に魔力循環が乱されている今、その身体にルビーの物理保護は機能していない。

 

 一番最初に駆け出した俺よりも、攻撃の方が早い。

 

 絶体絶命。

 

 そう思われた時突然、イリヤの体から膨大な魔力が噴出を始めた。

 

 それは急速に収束を行い、爆発しようとしていた。

 

「マズイッ!!」

 

 (アイアス)は間に合わない。

 咄嗟に低ランクの剣を大量に投影し、壁のように地面に突き立てる。

 

 次の瞬間、イリヤから放たれた魔力は辺り一帯を焦土に変えた。

 

 

 

 

 

 俺が盾代わりに投影した剣、美遊の魔力壁、遠坂とルヴィアの宝石魔術による防御。

 

 各々が持てる手段を講じたおかげで幸いにも、こちらの被害は一番イリヤに近かった俺が多少手傷を負った程度だった。

 

 結果的には、アサシンの軍勢を一網打尽にしカードの回収は完了した。

 

 だが、イリヤは自身が俺に怪我をさせた事にショックを受けたようで、鏡面界から逃げるように抜け出してしまった。

 

「イリヤ…、君は一体…」

 

 先程の力は、明らかにひとりの人間が許容できる魔力量ではなかった。

 

 ただの人間ではありえない事象。

 

 平行世界の『衛宮士郎』の妹。

 

 それらの情報を考えると浮かび上がる、ひとつの可能性。

 

「まさか……あの子も聖杯、なのか…?」

 

 俺の胸騒ぎは増すばかりだった。

 




補足1:アサシンの撃破はほぼ原作通りに。多分、イリヤの封印の解放ってクロの登場の為に必要なものだと思ったので、とりあえず一回は解放させる展開にしました。

補足2:魔術障壁では魔力砲は防げないらしいので、美遊が防御に使ったのは魔術障壁ではなく、イリヤの砲撃に乗った時使ってたのと同じ理論のものです。
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