オーバーロード外伝 炎の魔術師   作:ヤギ3

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オバロアニメ勢!
見切り発車出発進行!

最初に作ったプロローグ短すぎて投稿できずに、1話目と合体させたあたり、すごく見切り感すごいよね!


プロローグ:蒼の薔薇と騎士と噂のアイツ

 DMMORPG「ユグドラシル」

 現実の肉体から離れ、別の仮想世界にて冒険を繰り返す世界。

 そんな世界もあった。

 

 今は昔の話だが。

 

「おぉぉぉぉ!」

 悪魔が闊歩し、それを剣片手に立ち向かう。

 これが現実になっちまうんだからなァ。

 

「戦士長!」

「こちらは問題ない! そちらは戦線を維持しつつ、悪魔の残党を排除しろ!」

 帝国ではお上に睨まれたんで、リ・エスティーゼ王国に来てみれば、悪魔が夕暮れ時から現れる魔都になっているとは思わなかった。

 

「ちぃ!」

 数が多い。

 あの一等強い戦士でも、負けはしないが手こずる強さの悪魔がゴロゴロと。

 あれじゃ他の兵士はすりつぶされる。

 

「しゃーない」

 右の手を向けると、そこから炎が噴き出す。

 その炎は、まわりの悪魔を灰に変えていく。

 

 一番の戦士の前に躍り出る。

「〈龍炎(ドラゴン・フレイム)〉」

 第5位階魔法〈龍炎(ドラゴン・フレイム)

 龍を模した炎が悪魔たちに殺到する。

 その直線上には灰しか残らない。

 

「貴殿は……」

 戦士が尋ねる。

 

「――冒険者」

 ミスリルの銀の輝きを放つタグがちらりと顔を出す。

 

 

 

 リ・エスティーゼ王国にある冒険者組合。

 その片隅。

 飲食のためのスペースには、複数人の女性と1人の少年がいた。

 

 仮面をかぶった小さい奴や筋肉の塊のような奴もいるが、概ね美女ぞろい。

 そんな空間に、荒っぽい冒険者が声をかけないハズもなく――もなかった。

 

 彼女たちの名前は『蒼の薔薇』

 王国最強のチーム。

 最高峰であるアダマンタイトの冒険者たちだからだ。

 

 いくら力自慢の冒険者と言えど、虎の尾は踏みたくない。

 彼女たちの不興を買いたい冒険者は王国にはいないのだ。

 となると、そこに1人いる男の異様さが目立つ。

 

 見た目は凡庸。

 鍛えているのは見てわかるが、それだけの戦士風の少年だ。

 

 名前をクライム。

 リ・エスティーゼ王国第3王女ラナーに仕える騎士だ。

 彼は、主であるラナーと親交のある蒼の薔薇との会談に来ていたのだった。

 

「で、情報は集まった?」

「問題ない、鬼ボス」

「十分に集まった、鬼リーダー」

「むっ。……さすがの仕事ぶりね」

 

 鬼、鬼、と言われて頬を膨らませているのが、リーダー。

 ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラ。

 第5位階の信仰系魔法を使い、剣まで使える神官戦士。

 

 まるっきり生き写しの暗殺者、ティアとティナの2人の呼び方に文句はあるものの、仕事ぶりには文句はないようで、話を進める。

 

「蒼の薔薇の方々が集める情報とは一体、どんなものなのでしょうか」

「とあるミスリル級冒険者についてだ」

 

 クライムの疑問に答えるのは、仮面をつけている低身長の魔法詠唱者(マジックキャスター)だ。

 イビルアイ、という名前の蒼の薔薇の中でも頭1つ突き抜けた存在。

 

「ミスリル級の冒険者……ですか。アダマンタイト級の蒼の薔薇の方々が情報を集めるには、いささか……」

「おう。それは俺も気になっていたんだ。ちょうど寝ていたしな」

 筋肉の塊のような女性戦士、ガガーランが尋ねる。

 

「ミスリルってのは大したもんだが、それでも俺たちの問題になるような存在とは思えねぇな」

「問題になるから情報を集めているんだ。寝るな筋肉達磨」

「わりぃわりぃ」

「いいわガガーラン。ティナたちが集めた情報の共有ついでに、もう1度話しましょうか」

「頼むわ」

 

「まず、件のミスリル級冒険者の名前は『K』というわ」

「K? それ偽名じゃねえか?」

「お前がいうかガガーラン」

「イビルアイも人のこと言えない」

 ティアの発言にティナもうんうんと頷く。

 

「はいはい、話に戻るわね。その冒険者に関してはティア、ティナ。せっかくだから、集めた情報も含めて説明して頂戴」

「了解した鬼リーダー」

 ティアとティナがメモ用紙のようなものを広げる。

 

「Kは『赤熱』という2つ名で呼ばれていて、特定の拠点を持たないことが分かった」

「手に入れた情報でも、竜王国、帝国、法国、そしてまた帝国に戻ってから王国に入ってきている。チームも組んでおらず、個人で活動しているらしい」

「ま、そんだけの風来坊なら、ついていける奴の方が少ないだろうしな」

「『赤熱』の2つ名の通り、炎に特化した魔法詠唱者(マジックキャスター)

「第5位階の魔法が使えることも判明している」

 

「ハァ!?」

「なっ!」

 初耳のガガーランとクライムが驚愕する。

 

「おいおい! 第5位階っていやぁ英雄級かそれに準ずる魔法詠唱者(マジックキャスター)だろ!」

「それほどの魔法詠唱者(マジックキャスター)がミスリルとは」

「それが今回の話の肝なの」

 驚く2人をラキュースが制して、落ち着かせる。

 

「……実際、赤熱は問題行動の多い冒険者として有名だった」

「竜王国では森林の5分の1が焼け落ちて焦土に、法国では50人の兵士と一触即発、帝国に至っては、ある地域の冒険者組合の建物が丸々吹き飛んだらしい」

「…………」

 唖然。

 2人とも唖然である。

 

 当然と言えば当然。

 そのどれもが、1発アウトの大問題。

 とくに冒険者組合を吹き飛ばす冒険者など前代未聞。

 

 冒険者組合は、冒険者に仕事の斡旋はもちろん身分の保証もしてくれる場所だ。

 それに喧嘩を売れば、冒険者の資格を剥奪される可能性もある。

 というか、そうなるのが普通だ。

 

 だがそうなっていないということは――

「アダマンタイト級の実力が故に許されてきたということか」

「そうでしょうね。アダマンタイト級の実力を持つ問題児が王国に初めて足を踏み入れたってわけ」

「そりゃ傍迷惑な話だな」

「だからこそ、ラナーも私たちに情報収集を頼んだのでしょうね」

「ラナー様が?」

 

 ラナーの側付きの騎士であるクライムが主人の名前が出てきたことに反応する。

「ええ。詳しく調べて欲しいとね」

「なるほどなァ」

「ガガーランには、1度説明したと思うんだけどね」

 藪蛇だったと顔を顰めるガガーラン。

 

「それだけではあるまい」

 今まで黙っていたイビルアイが重い口を開く。

「それだけが理由なら、ミスリルとまではいくまい。1人であることも考慮すれば金か銀が妥当だろう」

「言われてみれば確かに」

「そうなのですか?」

 

「ああ。冒険者でミスリルといやぁ十把一絡げの連中とは違う。それなりの名誉ってもんが伴う。いくら実力があるからと言っても、それだけでランクは決まらねぇよ」

「それだけに不可解だ。冒険者組合からすれば頭の痛い輩のはずだからな」

 

「その内容が今回の調査内容の1つ」

「端的に言えばマジックアイテムの大盤振る舞いが理由」

「マジックアイテム?」

「それどういう意味?」

 ガガーランとラキュースがティアとティナの方へと前のめりになる。

 それにつられてクライムも、イビルアイも少しだけ傾聴の姿勢となる。

 

「被害を与えた国に対して、それ以上に魔法のアイテムを渡している」

「竜王国では炎が噴き出す5種類の魔法の武具を王家に献上し、法国には10以上の魔法のアイテムが市場に流れた。帝国にも第5位階の魔法が込められたマジックアイテムを吹き飛ばした建物の弁償代として支払っている」

「そのいずれもが1級品。正直、私達も欲しいくらい。しかも自作との噂もある」

「マジかよ……」

 

「えっと……つまりどういうことなのでしょうか」

「簡単に言えば、魔法でも道具の製作でも英雄級である可能性があるということだ」

 イビルアイのかみ砕いた説明に、目が飛び出るほど驚愕するクライム。

 説明をしたイビルアイはというと、頭が痛そうに額を抑える。

 

「全く……最近の情勢は一体どうなっているんだ……」

「おっ! 愛しのモモン様の活躍が霞んでご立腹かイビルアイ」

「モ、モモン様は今関係ないだろう!? というか、この程度の輩が出てきたところでモモン様の勇姿が霞むものか!」

「あー……そうだな……」

 心底めんどくさそうな顔。

 再度の藪蛇だと心の内で後悔する。

 

「それほどの方なのですか。一体どのような御仁なのか」

「このような、でござるよ」

 

 不意に聞こえてくる男の声。

 そちらを振り返ると、短めの赤地金糸の瀟洒なローブを着込んだクライムと同年代ほどの若い男。

「ようクライム。それと、蒼の薔薇の皆様もご壮健そうで何よりです」

 それと、王国最強の戦士ガゼフ・ストロノーフの2人がいた。

 

「俺の話が聞こえたんで話に混ぜてもらいに来た」

「ほう。では貴様がKか」

「そだよ」




『K』
炎特化の魔法詠唱者
詳しいプロフィールは物語の終盤にでも。

ガガーラン
『なんでそんな変な偽名を使ってんだ?』

K
『キーボード適当に打ったら、Kだったんだよね』

ガガーラン
『なにいってんだこいつ』

アルファベット1文字打ちは、僕がゲームで多用する業です。
今後、冒険者Kと容疑者みたいな表記になることもありますが、容疑者ではないので安心して読んで下さい。
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