オーバーロード外伝 炎の魔術師   作:ヤギ3

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しばらく予約投稿になると思うので、感想欄なんかを物語に反映するのは出来ないと思います。
ただ、それはそれとして、感想来ると嬉しいので、ちゃんと見させていただきます。


問題児と蒼の薔薇

 いきなり現れた件の問題児K。

 それも、王国最強の戦士を伴っての登場に、全員が固まる。

「クライム」

 戦士長であるガゼフから声をかけられて、クライムがハッとした顔でいち早く硬直から抜け出す。

 

「し、失礼しました! 私はリ・エスティーゼ王国の兵士であるクライムと申します」

「私も改めて、自己紹介をさせていただこう。リ・エスティーゼ王国戦士長ガゼフ・ストロノーフだ。先ほどは、助けていただき感謝の言葉もない」

 クライムに続き、ガゼフも頭を下げる。

 

「失礼ですが、ストロノーフ様。先ほど、とは一体?」

「ん? ああ、簡単な話だ。今の王都は昨日の悪魔の襲来によって悪魔の残党が居残っているだろう」

 そう。

 首謀者である強大な悪魔ヤルダバオトによる悪魔の軍勢の襲来。

 ガゼフ達は知る由もないが「ゲヘナ」と呼ばれる作戦によって、王都には大量の悪魔が押し寄せ、多くの市民が行方知れずとなった大事件があった。

 

 その爪痕は未だに多い。

 ヤルダバオトが去った後にも居残った悪魔の残党が、今も王の膝元である王都に潜んでいることもその1つ。

 その掃討に王の懐刀である王国戦士長も駆り出されているわけだ。

 

「その際に、魔法で助けて頂いてな」

「助けたっていうか、あんただけでも問題ないところにちょっかい出しただけなんだけどな」

「何をおっしゃる。私だけでは部下の命が危うかった。それを救って頂いたのだ。本当に感謝の言葉もない」

「…………」

「私からも、我ら王国の民のため、そのお力を振るって頂きありがとうございます!」

「……ニガテだ。こいつら」

 むず痒そうにしている赤ローブ。

 問題児は、叱られ慣れても褒められ慣れていないのだ。

 

「それで、王国には何の用で来た?」

 イビルアイが強い口調で尋ねる。

 

「ちょっとイビルアイ」

「それを確かめるために、わざわざ手間をかけてまで情報を集めていたのだろう」

「それは……そう……だけど……」

「であれば、直接確かめるのが手っ取り早い」

「はぁ。わかったわ」

 

 イビルアイの発言に一理あると感じたのか、ため息交じりで矛を収める。

 そのままラキュースはKの方へと向き直る。

 

「ウチのメンバーがごめんなさいね。私はアダマンタイト級冒険者グループ『蒼の薔薇』のラキュース。さっきの子がイビルアイ」

 子とはなんだ子とは、という声が聞こえるが無視。

 

「……あぁ確か王国で1番とか何とか」

「ええ。自分で言うのもなんだけど、一応王国でトップの冒険者という自負はあるわ」

「ほぉ。俺は、知ってると思うけどKだ。俺のことが話題に上がっていたもんで気になって話に入ってきちまった」

「ええ、構わないわ。それでイビルアイもさっき言っていたけど、どんな用事でリ・エスティーゼ王国に来たのか教えて貰えないかしら。今、悪魔が王都に潜んでいてどこも厳戒態勢中なの。そのことを理解してもらえるとありがたいわ」

 

 うーん、と顎に手を添えながら考えるK。

「何か言えないことでもあるのかしら」

「いんや、用ってもんは特にないんだよ。ほら、さっき話にあったけど組合の建物を吹っ飛ばしちゃったもんで法国に行ったんだけど、そっちでも兵士の連中に睨まれてな」

 例の組合建物爆破事件。

 それと、スレイン法国での一触即発事件のことだろう。

 話題の尽きない人ね、とラキュースは内心呆れてしまう。

 

「それで今度は吹き飛ばさないようにさっさと帝国に帰ったんだけどな。なんか迷惑そうでよ」

 そりゃそうだろう。

「んで、居心地悪いし王国の王都はいま色々出るって聞いてたんで、稼げるかなーって」

 悪魔が出るとは思わなかったけど、と言って話を締めくくる。

 

「……え、終わり? 本当に何もないの?」

「ない」

 即答。

 そのうえ、この断言だ。

 ウソをついている様子はない。

 これですべて嘘ならば、こいつは稀代の詐欺師か何かだ。

 もしそうなら見破ることは、できないし、どっちにしろ特に理由はないと判断せざるを得ない。

 

「ま、ぐちぐちと悩んでてもしょうがねえな。取り敢えず信じてみようや。――蒼の薔薇のガガーランだ。よろしくな」

 ガガーランがそういって、手を差し伸べる。

 その光景を見て、他のメンバーのいままで警戒していた刺々しさが消える。

 

「それもそうね。改めて、同じく蒼の薔薇のラキュースよ。よろしく」

「ティア」

「ティナ」

「……イビルアイだ」

「おーぅ。よろしくぅー」

 

 軽い調子で返事を返す。

 軽薄というよりも間の抜けたと感じるあたり、下卑た視線を向けないと評価するか、単純に適当なだけと批評するか難しいところである。

 その適当な奴に対して、赤いバンダナをした暗殺者の片割れ――確かティナの方だったかな?――がジロッと下から値踏みするような視線を向ける。

 

「……何か?」

「……育ちすぎ」

「何が!?」

「それより、なぁお前童貞か?」

「セクハラっ!?」

「ええい! お前たち少し黙れ!」

 ショタコン、童貞喰い、と蒼の薔薇も中々の問題児ぞろいなのだった。

 

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