ダーウィンズゲーム 簒奪の異能者 作:かい
たった2話しか投稿してないのに涙がで、出ますよ。
あ、それと今回から少しずつオリジナル異能を公開していきたいと思います(いつかまとめを出す可能性が微レ存)
レナトゥス(生来の王)
取得者:アキラ
再生能力に特化した異能。
基本的にどんな傷をも治すことができ、他者の傷も治すことができる(レンが奪った際に他者を治す能力は失われたが、自身を治癒する効力は上がっている)
片腕を再生するには1時間ほどかかり、この能力を使えば心身疲労に加えとても腹が減る。
自動発動型なので気を失っていても発動する。
「うぉぉぉぉ!」
「っとぉ!流石にスタンガンなんて食らってられないな……!」
スタンガンを手に、俺は男へ特攻している。
先程の俺に残されていた選択肢は、戦う、逃げるの2択だった。
体の痺れが完全には取れていない中、逃げたところで追いつかれてもう一種の毒で殺されるのがオチ。
ならば戦うしかないが、俺の勝利条件というのは中々に細い糸を手繰り寄せる必要がある。
まず、もう一種の毒が回る前に気絶させるのが大前提なのであまり時間はかけられない(神経毒で長時間活動が不可能というのもある)
男がある程度の戦闘経験があったら詰みだし、ナイフか何かがあれば詰み。
今のところ賭けには勝っているが、だからといって有利になるわけではない。
とにかく、攻撃を当てないと!
「はぁ……はぁ……はぁ……」
三分後。
一度も攻撃を当てれず、それほどの時間が過ぎた。
俺と男は今、向かい合って互いの動向を窺っている。
互いに決め手がないように聞こえるかもしれないが、そうではない。
「ふぅー、やっと、やっと顕れた」
「くっ、そが……」
俺の体は、現在進行形で猛毒に犯されている。
もう一種の毒が効果を発揮し出したと判断するのが普通で、そしてそれは非常にマズい。
このままでは遠からず死ぬと、なんとなく理解できる。
「これで君は死ぬし、もし死ななくともポイントは圧倒的に僕の方が上。君に勝ち目は、万が一にもない」
「ふ、はは、あはははっ!勝ち目がない、だと!?」
毒の回りを少しでも遅くするために千鳥足で後退しながら、不敵に笑う。
勝ち目がない。なるほど、確かにその通りだ。
だが、アンタは一つ忘れている。
「降参」
「は?」
「降参と言ったんだ。これで、ゲームは終了だ」
『The game is over!Player”Ren” surrendered!』
腕の皮膚がぐじゅぐじゅと溶け、肉がぼとりと落ちる。
そんな中宣言した降参は無事承認され、ゲームは終了した。
俺の持っていた44というポイントはある程度男に移譲されたが、これでポイント全損で死ぬ事はない。
「マジか君ぃ……!そんなことされたのは初めてだよ!」
「そう、かよっ!」
男が凄まじい勢いで迫ってくるも、スタンガンを投げて牽制しているうちにデパートの中に入る。
痺れはほとんど引いた……と思うが、全身が溶かされる激痛はそう耐えられるものではなく、移動は相も変わらずスローだ。
「すぅー、ふぅー、すぅー、ふぅー」
さて、これからどうする?
どこに隠れ、何を使い、どう戦えば俺はあいつに勝てる?
最早、逃げるという選択肢はない。
顔を知られてしまっているという事は、これからいつでもエンカウントバトルを挑まれる可能性があるという事で、そんな生活は送ってられない。
ポイント全損かあるいは……
「殺すしかない、か」
覚悟を決めている隙などない。
それに、
「すごいね君!猛毒に犯されながらそんな活動できる人は初めてさ!決着をつけようぜ!?なんだか楽しくなってきた!」
あいつも、俺を逃す気はさらさらない。
起動しているエレベータを駆け上がっていると、ある事に気付く。
「傷が治ってきてる……?」
グチュグチュに溶け、肉が大きく露出していた腕にいつの間にか皮膚が被さっていた。
それに、さっきはショック死してもおかしくないほどの激痛があったのに、それが少しずつ楽になってきている気がする。
まさか、肉体の治癒がやつの毒を上回っているのか?
「ハハッ、ならまだ可能性はあるな」
多分、あいつの異能圏内の外に出たからだろう。
圏外に出れば猛毒は俺の体に残り続けるも、その程度なら俺の異能でなんとかなるということか。
となると、猛毒の侵食が上回るあいつの異能圏内をどうするか、だな。
「出てきなよっ、ほら、僕はこんなに無防備だぜ!?絶好のチャンスだ!銃でも撃たれたら一向の終わりさ!」
「そんな騒ぐなよ。俺も逃げるつもりはないんでな」
『Encountering Battle is open!』
デパートに入ってすぐに位置する大きな噴水、その側に立つ男に向かって、俺はバトルを挑む。
しかし俺にも男にも遠距離を攻撃する手段はなく、必然的に硬直状態に入った。
「……もしかして、このままタイムアップまで待つつもりかい?」
「アンタの異能は射程圏内に麻痺毒と劇薬を散布する能力だ。つまり、アンタの側に寄らなきゃ俺が殺される事はない」
「だけど、それは殺されないだけだ。イコール勝ちというわけじゃないだろう?君には何か秘策がある。時間稼ぎ目的なら教えてくれよ」
クソ、毒を治癒したいから時間稼ぎをしている、なんて楽観的な捉え方はしてくれないか。
毒の治癒も兼ね、勝利できるとこいつは考えており、そしてそれは正しい。
「ダーウィンズゲームの勝敗は三つのポイントで判断される。ダメージ、技術点、芸術点。ダメージはまんまで、芸術点は危機回避、技術点は異能の使用で増えてく」
もっとも、無意味に異能を使用しても意味はない。
なんらかの意味を持つ、例えば攻撃に異能を使うとかしなければ貯まらないらしい。
「そして、今んとこアンタはポイントを貯める手段はない」
「だから?」
「俺は意味のある異能の使用をしているから、技術点が貯まるんだよ」
そう言って、俺は両腕を男に見せるように突きつけた。
その腕は今なお毒の影響で皮膚が溶けており、そして少しずつ再生し続けている。
スマホを見ても、ちゃんと技術点が溜まっているので作戦は成功と言えるだろう。
「僕が降参をすればその作戦は意味をなさなくなるだろうけど」
「ハッ、バカ言うなよ。お互いのポイントが150以上にならないと降参は出来ないって、ちゃんとマニュアルに書いてある」
「……はぁぁ、なんだ、ちゃんと読み込んでるのか。とことん君は面倒くさいなぁ」
そう言って、頭をがしがしとかく男。
なんだ?なぜそんな余裕でいられる?
普通なら、もっと慌てるだろ?
武器である毒を無効化され、ポイントは貯められず、降参は出来ず、状況は完全に逆転している。
なのになぜ、お前はそんな勝ち目があると言わんばかりの表情なんだ。
「じゃあ……モグラ叩きゲームの始まりだ」
「はぁっ!?」
男がポケットから取り出したのは、黒い球にピンがついたもの、手榴弾だった。
ピンを抜き、こちらに投げるフォームを取った瞬間に飛び退く。
落下防止用の柵の上に手榴弾が見えた瞬間、
「がっ……!」
手榴弾は爆発し、衝撃波を撒き散らした。
吹き飛ばされて服屋のガラスを突き破り、木製のテーブルに突っ込んだ。
手放しそうになる意識を必死に掴み、クラクラと揺れる視線をなんとか整える。
クソ……武器がないっての、嘘か……。
「スマホ……無事、か……」
ヒビが入っているが、電源は付く。
安堵の息を吐くも、それより心配すべきは俺の体だろう。
何もかもが何重に見え、脳震盪でも起こしたのか体は動かない。
その体にはいくつものガラスが突き刺さっており、これでもかと血が噴き出している。
あぁクソ、なんだよこの威力。
「初めて使ったけど、上手く決まって良かったよ。フィクションじゃただの演出になりがちだけど、やっぱり凄まじい威力だな」
パリン、パリンと。
ガラスを割る音とともに、煙の向こうから男が現れた。
絶望感が、胸の底から湧き上がってくる。
急げ、急げ!
早くしないと、殺される……!
「ぐ、ぁぁ、ア゙ァ゙ア゙ァ゙ァ゙……!」
「うぉっ、まるでゾンビだね。凄まじい治癒力と執念だ。でもまぁ、無駄だよ」
この距離で再度手榴弾を使えば男も被害を負うので、異能を発動したのだろう。
射程10メートルといったところか……意外と、長いな。
「ごぷっ……」
口から血が垂れる。
全身を違和感と激痛が襲い、同時にビリビリと痺れる感覚。
世界で一番苦しい死に方は溺死と言われているが、そんなバカなと笑い飛ばしたくなるほどの苦痛。
あぁ、死にたくねぇ。
「テ、メェが死ね、よ……」
「……もしかして君、再生じゃなくて不死の異能持ちだったかな?爆発くらって、毒も相当溜め込んで。それとも再生系はそんなものなのか?じゃあ念には念を入れ、木っ端微塵になってくれ」
そう言って、男がピンを抜こうと力を入れる直前、俺は男へ特攻した。
前どこかで見たが、手榴弾というのは誤爆を防ぐためにピンがかなり固くなっているらしい。
だからすぐには抜けず、俺への注意が僅かにでも薄れると読んでの特攻。
それは見事に成功し、右の拳で男の頬をぶん殴った。
「ぐぅっ、ぁぁぁぁぁっ!!」
腕が、折れる。
泣くな、思考を止めるな。骨が折れるとわかってたろ、痛みは覚悟してたろ!
「ぎぃぃぃぃ!」
手榴弾を奪おうと手を伸ばし、そして思いっきり引き寄せた。
すると、すでに半分外れていたピンが抜ける。
突然の事に、思考が空白化する。
しかし反射か何かか、俺の体はちゃんと反応してくれた。
手榴弾を前方、男にとっては後方に投げる。
男が殴られた所を抑えてこちらを向いたのと同時、男に抱きつく。
何がなんだかわからないという表情のまま、
「まさか君っ――!?」
前方で起きた爆発で、男もろとも吹き飛んだ。
シェイクされる脳味噌と内臓、点滅する視界、鼓膜が破れたのか何も聞こえず、死にたくなるほどの激痛。
それらに苛まれ、俺の意識は耐えられずに暗転した。
レンくんは小さい頃、格闘技とか剣道とかスポーツ系の多くをかじってました(習い事はいずれも半年以内に辞めてますが)
なのでこんな超人なのです。異論は認める。手榴弾で吹き飛ばされても活動する気力のある高校生ってなんだよ(マジレス)
字数の問題、というか自然と挿入されなくなった会話。
「なんで俺を狙うんだよ」
「君もシェルターは知っているだろう?ランクマッチバトルを防げるというのはかなり有難い。けど、必要なポイントは10もある。月で換算すると40だ」
「あぁ、で?」
「生存報酬ポイントが月毎に貰えるけど、Dランクプレイヤーはたった1、Bランクですら12だ。あまりにも、少なすぎるだろう?別に君を狙ったのに理由はない。バトルせずとも毎週シェルターを購入するために、早くAランカーになりたいんだ。だから、死んでくれ」
糸目男は人殺しに興味はなく、シェルターを買い続けることの出来るAランカーになりたかったんですね。
まぁ、必要とあらば容赦なく人を殺すのでレンくんにはさして大差ないですが。