ダーウィンズゲーム 簒奪の異能者 作:かい
効果は思いついて、名前は適当に海外の言葉使うだけなんですが、いかんせんランクをどこにするかが難しい。
最低ランクの獣級、五感拡張系はほぼ全てがヒイラギ スズネの下位互換になりかねない。
王級は名前を考えるのが、神話級はおいそれと出せないので、オリジナル異能は必然的に超人級が多くなってしまいます。
……例外とか、追加なさらないんですか?
肌に触れる冷たい、しかし瑞々しい空気にアイカワ ケイヤの意識は覚醒した。
不自然な体勢で固定されていたのか体の節々が痛く、しかし痛覚が機能している自らの体に違和感を覚える。
「うぐ……」
どうやら椅子に座っているらしく、顔を上げて正面を見据えるとこれまた不思議な光景が視界に入ってきた。
そこを一言で表すなら、教室だろう。
部屋には一切の椅子も机もなく、ましてバッグ等の荷物類もない。
しかし落書きが目立つ黒板に教壇、ひび割れた蛍光灯や木製の床などから、アイカワはここが教室だとあたりをつけた。
そして、次の疑問に移る。
「なんで俺が生きて、ここで椅子に縛られてるかだ」
アイカワの最後の記憶は、自分を見下しているイヅキ レンというプレイヤーと、都会にしては綺麗に輝く夜空だ。
冷静に考えれば、レンがここに運んで椅子に縛りつけたと考えるのが一番あり得るが……。
「いくら高校生といえど、あいつはCランカー……俺を殺さないなんてあり得るのか」
「それがあり得るんだよ。現実みやがれ覚悟ガンギマリ野郎」
声のした方、扉の方に視線を向けるとそこには件の少年、イヅキ レンが立っていた。
その顔は不機嫌そのもので、警戒と不信感丸出しである。
しかし、そこに殺意はない。
「俺は、一体どれほど寝ていた?」
「15時間ぐらいだ。そんな寝てない」
昨夜、レンが襲撃を受けたのが夜18時頃。
そこから15時間ということは、現在時刻はおよそ9時。
現在の季節は春なので、廃墟となった学校で放置しても問題ないとレンは判断した。
「……で、わざわざ俺を拘束した理由はなんだ。逃がしてくれる、なんて甘すぎる考えは流石にないだろう?」
「当たり前だ。俺に拷問の経験はないけど……まぁ、指の2、3本切れば全部話してくれるんじゃないか?耐性とかなさそうだし」
一週間と少し前までは普通の高校生だったのに、冷静にこんな事を言える自分にレンは思わず自嘲する。
(あぁ、やはり俺は、少しずつダーウィンズゲームに慣れてきている)と。
【レナトゥス】で何回も指を再生し、全身を内部からグジュグジュに溶かされた経験があるからこそ、肉体への執着がなくなってきているというのが正しいだろうが。
「なんでも、とは言えんが答えよう」
「だからそのなんでもを知りたいんだけど……いや、いいや。こういうのは本職に任せる」
「本職だと?」
本職、つまり警察の事なのだが、『ダーウィンズゲームの情報を漏洩させるとアカウント停止』というルールがあるため、アイカワはそこまで思考が回らなかった。
そして約1時間後。
首筋にバーコードのようなものが刻まれている綾小路が、アイカワの前に姿を現した。
◆◇◆◇
さて、綾小路さんが来てくれたものの、先程こいつ……アイカワに言った拷問云々はやらない。
というよりも、出来ないのだ。
アイカワの異能対策は出来ているものの、だからといって絶対に安全というわけではない。
そんな中奴の異能圏内に入るわけにはいかず、こう着状態に入る……と思っていた。
「アイカワ ケイヤと言ったか。私の目を見たまえ」
「何?……っ、貴様!あの時いた警察――」
「”動くな”」
瞬間、アイカワの動きが止まる。
これが綾小路さんの異能、【
能力は自身の目を見た者に、1日一度限りの命令を下す。
例えば私に会った記憶を忘れろ、と命令すればその記憶を24時間の間忘れさせる事ができ、動くな、といった持続型の命令なら一分だけ動けなくできるらしい。
非常に強力な異能だが、もう一つ。
【ピースメーカー】は能力を有す。
それは、
「……よし、抜き出せたぞ」
自身の目を見ている者の記憶を、遡ることが出来る。
綾小路さん曰く10秒で1日分の記憶を抜き出せるらしい。
つまり60秒たっぷりかけた今回は、6日分。
この人の前じゃあ、隠し事なんてなんの意味も成さない。
「……何を、した」
「なに、大したことはしていない。少々、お前の記憶を覗かせて貰っただけだ」
「なっ!?……そんな、異能が……」
アイカワは驚いた顔で綾小路さんを見つめるが、それも無理はないだろう。
しかし、異能は【レナトゥス】や【ポイズンメーカー】などの戦闘に使えるようなものだけだと思っていたが、【ピースメーカー】のような異能もあるのか。
「それで、アイカワがダーウィンズゲームを始めたのはいつなんですか?」
「六日間の中に、該当する情報はなかった。それ以前に始めたのだろうな。しかし、そう長くもないだろう」
「というと?」
「彼をダーウィンズゲームに招待したのは、件のゲームマスター[N]だ」
アイカワを気絶させてから、俺は綾小路さんをダーウィンズゲームに招待するためのメールを送った。
そのメールの招待名義には俺の名前があり、そこで俺と綾小路さんは一つの仮説を立てた。
おそらく、ダーウィンズゲームは完全招待制のゲームだ。
ダーウィンズゲームをやっている者がやっていない者にメールを送り、それでしかダーウィンズゲームを始める方法はない。
となれば、当然そこには二つの疑問が生じる。
一体誰が、そしていつ、数々の人間に招待メールを送ったのか?
誰が、というのは予想が付いている。
間違いなくゲームマスターだ。
完全招待制のゲームを一番初めにやるのは、開発者で当然だろう。
となれば次は、一体ダーウィンズゲームというアプリはいつから存在するのか。
多分、とんでもなく短い。
始まって10日かそこらと綾小路さんは考察している。
俺もアキラも、招待者はゲームマスターと名乗る人物だった。
こういう会員システムの参加者は、放っておけば勝手に増えてゆく。
なら
答えは簡単、プレイヤーが少ない最初期だ。
「あぁそれと、彼の記憶には一つ面白い情報があった」
「なんですか?」
「《ダンジョウ倶楽部》、というクランに、彼は所属している」
あぁ、そういえばあったな、クランシステム。
いや待て、確かクランというのは、
「クラスB2以上じゃないと作れないんじゃないでしたか?」
何回かランキングを見たことがあるが、日本、世界共にクラスB2はおろかBクラスすら一人もいなかった。
まぁ出来たばかりのゲームだろうし、Bクラスは1000ポイントからなのでいないのは当然か。
「あぁ、だから仮と言った所か。そして、大事なのはここからだ」
綾小路さんはそこで言葉を一旦区切ると、俺の方に向き直った。
そして眼鏡をクイと押し上げながら、
「この《ダンジョウ倶楽部》、本拠地が新宿に位置している」
「へぇ、近いんですね、案外」
この廃墟となった学校も新宿だ。
「《倶楽部》は、アイカワがいなくなったのを認知しているはずだ。フレンドリストに登録した記憶がある」
「死んだ奴はフレンドリストから削除されるから、あっちはまだアイカワが生きている事も知っている……」
「となると、アイカワを救う為に私たちを殺しに来てもおかしくないだろう」
アイカワは昨日、完全に俺を殺すつもりでいた。
そんな奴が所属するクランなんて、血気盛んに決まってる。
つまり、
「俺たちは《ダンジョウ倶楽部》と話をしなくちゃならない、ですよね……?」
「あぁ、私たちはあなた方を傷付けないが、あなた方も私たちを傷付けない。そんな条件を取り付ける」
……出来れば、殺し殺されるような争いは避けたい。
それはダーウィンズゲームを始めた今でも変わらない。
けれど、このクランと話をしに行かなければこれから毎日怯えるような生活を送る羽目になるのなら、なんとかしなければならないだろう。
「……わかりました。いつでも行けます」
そんなわけで、俺と綾小路さんはアイカワを連れて《ダンジョウ倶楽部》の本拠地に向かう事になった。
あぁ、せめて1日でも良いから、心安らぐような日が欲しい。
カナメ並みにハードな人生だぁ(小並感)
ちなみに、【ピースメーカー】は強化を施しております。
ただ命令を与える、という能力の制限や副次効果、デメリット等が原作で表記されてないとこちらで考えられるので素晴らしい。
……というか、【ピースメーカー】の出番少なすぎやしませんかね?
あれ上手く使えば情報戦最強になれる希ガス。
ちなみに、俺はさして綾小路が好きなわけじゃないんですよね。
なんならカスミやタゴナカさんの方が好きです。
あ、それとレンくんの考察なのですが、「???」という方は感想欄で言っておいてください。
なんとかするので(無責任)