織斑先生にこってりと絞られた俺はそのまま寮の部屋に戻ると、いつものようにクロエが来ていた。いつも通り轡木さんにメールで報告すると「もう諦めましたので、また適当に返してあげてください」と返信された。それで良いのか、理事長。
だが俺にとって実はこの状況はありがたかったりする。俺に対する実際の好意は不明だが、天使が二人というのはそこにいても癒される。楓でそれは実証済みだ。
先に風呂に入ってさっぱりさせてからベッドに倒れる。つうかここまで疲労したの、IS学園に来て初めてではないのだろうか?
それにしても枕が柔らかいな。何だろうこれ。
「お兄ちゃんお兄ちゃん」
「どうした楓」
「たぶん気付いていないと思うから言うけど、それクロエの膝だよ」
俺はすぐにその場から離れようとするが、クロエに捕まって動けなくなった。
「すまんクロエ。これは間違いだ。枕と間違えた」
「じゃあ私は千冬ちゃんの所に行ってくるね」
「流石に今日は止めておけ。今の精神状態だとマズいからな。あと助けてください」
「………私の膝枕は嫌ですか?」
「の、ノーコメントで……」
今この場に本音を喋る化身がいたら、今頃俺はテンション爆上がりだろう。うん。大体クロエがいる時はいつもだったな。……いや、もしかして膝枕は止めさせて隣で寝ることを要求するか? ダメだ。思考が変態化している。
「ラウラは随分と酷い事をしているようですね」
だがその言葉で俺は正気に戻った。
「……知っているのか?」
「はい。何故なら彼女は完成形。そして私はなり損ないですから」
と、本人は気付いていないだろうが悲しそうな顔をして言った。
「………サンドバッグの?」
「……何故サンドバッグ?」
「これからの奴の末路さ。なにせ俺は負ける気ないからな」
「……ドイツで開発されたAICをどう攻略おつもりで?」
アクティブ・イナーシャル・キャンセラー―――またの名を、慣性停止結界。その名の通り対象の動きを停止させるPICを発展させたドイツの第三世代兵器になる。
「そこは気合と根性でどうにかするさ」
「それで攻略できるなら……いえ、武様ならばそれで問題ないですね」
微笑むクロエを見て俺はふと、珍しい感情を抱いた―――彼女にキスをしたいという、極めて下劣で愚かしい感情を。
「……どうしました?」
「なんでもない」
それにしても、膝枕ってこうも気持ちいいものなんだな―――なんて考えていると、人間用ハイパーセンサーに「メッセージを受信しました」と表示された。相手は布仏本音から。内容は「月曜日に訓練機とアリーナを確保できたから、ISの練習に付き合って欲しい」というものだった。
「誰からですか?」
クロエの両目が怪しく光る。元から怪しい瞳を両目に宿しているのだが、今の彼女はまるで彼氏の浮気の証拠を探そうとする狩人のそれだった。いや姪だけども。
「ただのクラスメイトからだよ。月曜日にアリーナ確保できたから付き合って欲しいんだと」
「………」
「……ちなみに俺の友人が大切にしている人だから手を出す事はないし、むしろ破天荒な俺のフォローをしているからそろそろ返せってことだろうよ」
ただでさえ苦労をかけているからな。その代わりに色々と教えろという事だろう。
「………IS学園の生徒はレベルが高いですから、目移りする気持ちは理解しようと思います」
「いや無理だから。いくら何でもここの生徒と関係を持とうとは思わない。ボーデヴィッヒの言っていることはあながち間違いではないと思っているからな。ただ反対の意見を言って遊ぶのが楽しいんだ」
少なくとも俺には箒が織斑に惚れる理由がわからなかったりする。あんな奴に惚れるとか見る目無さすぎるだろとは思うが、箒の性格上、織斑以外の男とはあまり関われそうにないからな。そもそも俺だって姉関係で零司に仲良くなり、零司を通じて悠夜と仲良くなり、同じ妹持ちで苦労しているから弾と仲良くなれた。それ以外の奴らとは気が合うとは思えない。………そういえば、楓はともかく俺も姉貴も箒も割と人見知り気味だな。大丈夫か、色々と。
「……なるほど。つまりラウラ・ボーデヴィッヒが最大の障害ということですね」
「いや、何でそうなる」
「武様の心情を考えればと思って手を抜いてきましたが、ここからは本気で行きます」
その夜、嫌な予感がした俺は全力で抵抗し、なんとか一緒に寝るということで妥協してくれた。姪と一緒に寝ることが果たして正しいことなのか疑問ではある。………まぁ、俺には別に悩みがあるから、あまりそっちにリソースを割けないんだけどな。つうかなんか道化になり過ぎて疲れた。
■■■
シャルル・デュノアはその日、内心では焦っていた。
真耶がIS関連の書類で一夏を連れて行ったため、油断していたこともある。自室でシャワーを浴びていると一夏が帰ってくる音がしてきたが、少ししてシャワーから出た自分とバッタリ出くわすというハプニングを起こしてしまったのだ。そのせいで彼の正体がよりにもよって織斑一夏にバレてしまった。
そう。彼は男ではない。本名は「シャルロット・デュノア」で女である。
普通の男はISを動かすことはできない。故にデュノア社は男として転校して来たのである。狙いは―――武と一夏の生体情報並びに彼らのISの情報である。
同室になった一夏の情報は何とか取れそうだが、武の場合は思うように進まなかった。それもそのはず。ガードが固すぎるのである。
ある時は話をそらされ、ある時は突っ込み担当に誘導され、ある時はゲームをしているという理由で断られる。しかもゲームの話で突っついた場合、説教が始まる。気が付けば「用事がある」と言って躱されることが大抵の事になっている。
「どうにか……どうにかしないと……」
彼女の顔は段々と青くなる。その青さは尋常じゃなく、見る人が見れば恐らくすぐに心配で彼女に駆け寄るだろう。だがそれでは彼女の気持ちは晴れない。
「……リゼットを助けるには……僕は……」
「人間って、本当に面倒だなぁ」
そう言ったのは楓だった。彼女は今学校の屋上におり、そこで密かにベースを設営していたのである。
周囲はもちろん、学園からもそのベースは知られていない。当然武たちにもだ。
「それにしても、リゼットかぁ」
楓は素早くフランスの行政システムに痕跡を残さずに侵入する。セキュリティレベルがかなり高かったが、彼女は簡単に突破して侵入に成功。デュノア家のプロフィールを閲覧した。
(最近、お兄ちゃんが邪魔して遊べないから、ちょっとぐらいいいよね。この子もできたし)
楓は笑みを浮かべながら自分の左手首に付いている腕時計を撫でた。まるでその仕草に反応するように腕時計は光ったが楓は別に驚きはしなかった。
各々が何かを企んで二日が経過した。
放課後になり、鈴音は第三アリーナのグラウンドに顔を出していた。
「あら、鈴さんもこの時間でしたか」
そう言って現れたのはイギリス代表候補生のセシリア・オルコット。彼女も鈴音と同じ時間に予約をしており、たまたまかち合ったというわけである。
「奇遇ね。アタシはこれから学年別トーナメントに向けて特訓するつもりだったんだけど、アンタも?」
「そうですわ。これを機に武さんにわたくしの評価を改めてもらおうかと思いましてね」
その言葉に鈴音は違和感があった。
「前から思ってたんだけどさ。アンタ、本当に武にそこまで興味あるの?」
「……と、言いますと?」
「アンタは確かに武に構っているけど、それって本心よりも国からの命令って感じがするのよ」
「まぁ、気持ちもわからなくはないけどね」と続ける鈴音。彼女は誤魔化すと考えたがセシリアは特に隠さずに言った。
「あら、気付いていましたの」
「たぶんアイツも気付いていると思うわよ。だからアンタにそこまで構ったりはしない」
「でしょうね。これまで何度か際どい事はしてきましたが、まったく反応がなかったのでそろそろ国には不可能と報告させていただきますわ。政府は是が非でも武さんを手に入れたいと思っているでしょうが、わたくしとしては愛のない相手と本気で恋愛をしたいとは思いませんもの」
堂々と語るセシリアに鈴音は顔を引きつらせる。
「アンタ、そこまで言う女だったんだ」
「それはもう。祖国に対してプライドがないとは言いませんが、だからと言って勝機のない事を長々と続けるつもりはございません。それに、既に彼とは縁はできていますもの。そこまでしていれば後はどうとでもなるでしょう?」
「………どうだか、ね」
「それにああいう手合いはあまり関わらない方が実は賢明だったりしますのよ」
「………で、本音は」
「今度の学年別トーナメントで優勝し、無理矢理付き合いますわ」
堂々と言い切ったセシリアに呆れ鈴音。何言っているんだと思っている間にセシリアはブルー・ティアーズと《スターライトMk-Ⅲ》を展開してピットに向けた。
「ところでそこのあなた、一体何をしていますの?」
「は……?」
鈴音は驚いてピットを見ると、そこには誰もいない―――と思ったところでラウラ・ボーデヴィッヒが姿を現した。
「え? え?」
「この試合ではあまりできそうに見えなかったが、これは少しばかり評価を改める必要があるようだな」
ラウラはシュヴァルツェア・レーゲンを展開する。
「何? やる気? アンタなんて許可した覚えはないんだけど?」
「なに。貴様らにはあの種馬共の実力を見るための撒き餌に過ぎん」
「………何ですって?」
鈴音は怒りを露わにする。だがラウラは眉をひそめていた。
「………何故、何も言わない?」
「いえ。ただまぁ、どうせ改心するに時間がかからないと思ったまでですわね」
「改心だと?」
「むしろボーデヴィッヒさんの場合は改心というよりも従僕でしょうか?」
と言った瞬間にラウラの顔は怒りで真っ赤になった。
「……丁度いい。まずは貴様をスクラップにしてからだ」
「あらあら。弱い犬は良く吠えるとはよく言ったものですわね」
「殺す! 今この場で!!」
「―――ちょっと」
二人の間に不可視の砲弾が横切った。
「こっちが先約だってのになに勝手におっぱじめようとしてんのよ」
鈴音も甲龍を展開して戦闘態勢を取る。
「安心しろ。貴様もまとめて潰すつもりだ」
「言ってくれんじゃない。こっちこそトーナメント前にスクラップにしてやるわ!!」
こうして専用機持ち同士の激突が起こる。当初はバトルロワイアルだったが、徐々にそれはラウラ対セシリア、鈴音というように形を変えていった。
■■■
俺は今、三人の女に止められていた。身体が見ちゃっくしており、少し身体を動かせば彼女たちの秘部にも簡単に触れられるほどの距離だ。普通の男ならば泣いて喜ぶところだが―――今の俺は切れていた。
アリーナの使用時間というものは限られており、本来ならばどれだけ遅くとも5分前後ぐらいには訓練を終わらせて地面を均すなりするのが礼儀だ。だが奴らは今もフィールド内を独占しており、俺たちは使用できないようになっていた。しかも時間は既に5分経過しており、このままでは布仏たちの訓練時間が無くなってしまうだろう。
「落ち着け武! いずれ終わるのだから待てばいいだろう!!」
「いずれ終わる? んなこた知るか!! 自由にISを展開できる身でありながら他の奴らに気を遣えない奴なぞ存在自体不要!! 今この場で潰してやるわ!!」
「それは武もだろうが!!」
「たけっち落ち着いて~。いくらゆうやんがいるからって私が抑えられるわけじゃないんだから~」
「……篠ノ之君、落ち着こう?」
布仏とかなりんも止めて来るが、現在進行形で俺の野望を阻止されている以上、聞く耳は持たない。
「大体、何故そこまで怒っている!? この中で気になる者でもいるというのか?!」
「え?」
何故かかなりんからの力が弱まったが、これならば簡単だ。まず箒から離れて布仏は紳士的に離れる。
「簡単だ、箒。俺には試したい武装が山ほどある。それを使う時間が減らされるのが気に入らない!!」
「……本当にウチの馬鹿が済まない」
「……だ、大丈夫」
「たけっち~今のは酷いよ~」
「え? 何で俺が責められてんだ?」
どこか悲しそうにするかなりん。その時、俺の耳にある言葉が入って来た。
『終わりか? ならば―――私の番だ』
俺はすぐさま《ヴァリアブルシューター》を展開してエネルギーをチャージしてぶっ放した。
「ランダムフルバースト」
そう唱えると弾丸は質を変えて三人の専用機持ちに向かっていく。
「え? ちょ?!」
「なんですの?!」
「何だ?!」
三人が悲鳴が聞こえる。それは俺にとってスパイスになるのは昔だけだったはずなんだが、どうやらボーデヴィッヒとやりあった時に抑えていたものが少し出てしまったらしい。てっきりガチギレした織斑千冬を間近で見たせいで引っ込んだと思ったが、健在だったらしい。
「おいテメェら。今何時だ?」
「え? 何時って―――!?」
凰は気付いたようだ。オルコットも時計を確認するが、何故か首を傾げている。
「何の用だ、貴様ぁ!!」
ボーデヴィッヒだけは俺に牙を剥くつもりらしい。
「お前たちの時間は終わりだ。今すぐ失せろ」
「今私たちは戦っている事がわからんか!!」
「知ったことか。時間は時間だ。そんなに戦いたいならば生身でやれ。生身ならば制限がないからな」
そう言うとボーデヴィッヒは怒りを露わにするが知ったことか。俺は俺でしたいことをするだけだ。
「わかったならさっさと失せろ。どうせ決着は半分付いているようなものだ。それで納得がいかないって言うなら学年別トーナメントやりあえば良いだろう。そんな事すら理解できない……あ、発情期?」
「黙れ!! そんなものではない!!」
「いやぁ、ごめんな。見た目だけならばともかく、代表候補生に手を出すのは流石に色々とマズいんだわ」
「人の話を聞け!!」
「だってさ、代表候補生って国の代表みたいなものだろ? だったら―――その国にはこの世界からご退場いただくしかないからさ」
別に難しい事ではない。俺のすべてを使えば国を亡ぼすなど容易いことだ。そんなことしたところで周りの国が黙っていないし、何より割りに合わない。だからクロエのようにどこの国にも所属していない奴の方が俺の嫁としては理想的になんだが、あんなことしてもらっておいてなんだが、クロエは結局姪だしなぁ。
「だから国を捨てるか、無理なら一人で慰めてくれ」
「……良いだろう。死ね」
ボーデヴィッヒは俺にレールカノンを向けると発射する。どうやら怒りのあまりの事らしいがどうでもいいか。
射角からカタパルトにいる俺を狙うにあたりピット内部には届かないので回避した俺はため息を吐いた。
「どうしたボーデヴィッヒ。俺ばかりに目を向けて大丈夫か? お前の相手は既にいないようだが?」
「……ふん。尻尾を巻いて逃げたのだろう? 知ったことか」
「ああ。良い判断だな。あのままこの場にいるようならば俺が奴らを再起不能にしていた」
「戯言を!!」
「俺ならば可能だ。アンタを潰すことも」
すると全身が拘束される。俺の方に腕を向けているのを見るに、どうやら俺に向けて何かを発動しているようだ。
「どうだ! 身体が動かない感想は!!」
「………なるほど。これがお前たちの言う
「これで貴様はまな板の上の鯉という奴だ!」
「―――首を垂れてつくばえ。平伏せよ」
ボーデヴィッヒは突然地面に叩きつけられる。俺に対するAICは解除された。
「な、なんだ……これは……」
「なぁに。効果的だろう? 本来ならばあの発言なんてせずとも発動できるものだが、ちょうど高いところにいたので言ってみた」
「―――なるほど。それは使い勝手が良いな?」
その声を聞いた瞬間、俺は固まった。
「……あっれぇ?」
「どうした、篠ノ之兄?」
「何の用です、織斑先生」
「なぁに。たまたま近くを通りかかったところにISを人に向けて使う馬鹿とその馬鹿におかしなことを言っている奴がいるから覗きに来たまでだ」
その割には怒気が膨れ上がっている気がするが、おそらくこれはボーデヴィッヒの件だろうな。俺には関係な―――
「先程布仏から聞いたんだが、どうやらお前にISの操縦を見てもらうという話になっているらしいな。だから後でで構わん。寮長室に来い。来なければ―――わかっているな?」
「ハハハ。俺がアンタなんかに怯えるなんて―――」
振り返らなければよかったと思う。何故ならそこには人ではなく―――鬼がいたのだから。
「…………………」
とりあえず思った事がある―――早く篠ノ之の血を自在に操れるようになろうと。少なくとも、本気でキレた阿修羅を対応する力を俺はまだ持っていない。
■■■
―――力が欲しい
誰にも負けない力が。本来証明し、自分の敵がどれだけのモノか、あの男がどれだけ無様かを見せたかった。
だがなんだ。今日の私は。別の男のあの力は。専用機を与えられても、自分の力を見せても―――弱すぎる。
「どうしたボーデヴィッヒ」
敬愛していたはずの教官にも今は興味を持てない。こんなことをしていては強くなれない。もうあんな目に遭いたくない。弱かった―――弱すぎた自分に戻りたくない。
強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい強くなりたい………
誰にも負けない力が―――欲しい。
彼女は願う。それが禁忌の力を目覚めさせるためのものとは知らずに。
「………で、じいちゃん、本当に良いの?」
『何がだね?』
「だってシュヴァルツェア・レーゲンには仕込まれているんでしょう―――例のシステムが」
『そうだな。だが、良いだろう。どうせあの少年が処理する。ところでそっちは?』
「例のシステムが仕込まれているから何かあると思って調べたら簡単だったよ―――近い内に消えるね。例の部隊が」
その話が何なのか。だがこれだけはわかることがある―――近い内に何かが起こる、と。