IS-Black Gunner-   作:reizen

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第32話 不気味な気配

「―――この、馬鹿野郎!!」

「いやアンタは声的にミリって死ぬわ!!」

 

 咄嗟に正拳突きを回避した俺。さっすがは俺だ。

 

「周囲に喧嘩を売ってどうする! 死にたいのか!?」

「別に死ぬ気はないけど? ああ、それとも何? お偉いさんに喧嘩を売ったら困るって? やだなぁ。それで学園の経営が成り立たなくなるって言うなら潰せば良いじゃん。むしろいるの?」

 

 そう言うと千冬はため息を吐いた。

 閉会式が終わった後、俺は担任に呼び出されたので仕方なく付いて行くと殺されかけました。

 

「大体、俺じゃなきゃ死ぬんだけど」

「むしろ死ね」

「ちょっと辛辣過ぎない!?」

「安心しろ。瀕死になれば私が介護してやる」

「是非ともよろしく。たぶんあのアホ姉が回収しに来ると思うけど」

 

 そう言ってから不思議とヤンデレ化したクロエが甲斐甲斐しくお世話してくれるのが過ったが、気の迷いはまだ残っているらしい。早くどうにかしないと。

 

「というか先生って介護できたんですか?」

「馬鹿にするなよ。私にだってそれくらい―――」

「むしろ数日が汚部屋ができそうな気がするんですが」

「何を言っている。私だって本気を出したら―――」

「いやアンタ、高校生の時くらいから酷かっただろ」

「………おい」

 

 並々ならぬ殺気を放出する千冬に俺は少し後ずさった。

 

「死にたいか?」

「やれるものならやってみるか?」

 

 俺はダークフェイトを展開して構えると、近くから楓の声が聞こえた。

 

「あー、とりあえず落ち着こう?」

「………そうだな」

「ああ。そうだ」

 

 可愛い妹を引き寄せて抱きかかえる。楓はされるがままだったので頭を撫でていると、千冬が少し疑問に思ったのか尋ねてきた。

 

「そういえば、先ほど箒を「篠ノ之家最弱」と言っていたが、何故だ? 弱いという点ならこの子もそうだろう?」

「簡単だよ。楓が本気出したら戦争勃発は回避不可。今は俺にこうして懐いているけど、現時点では気に入った奴がいたらとんでもないことになるからな」

「大丈夫。私はお兄ちゃんみたいな人じゃないと結婚しないから」

「実質零司だけじゃねえか」

 

 悠夜はもう好きな奴いるからなぁ。

 

「あーあ、私の遺伝子が別の奴を使われてたら良かったのになー。例えば千冬お姉ちゃんとか」

「おいおい。それじゃあガサツで女として見れないのができちゃうだろ?」

「……………」

 

 急に黙り込む千冬に疑問を持ったが、楓の頭を撫でるのに忙しいためそこまで構っていられない。

 

「とりあえず、ラウラの迎えに行くか」

「そうだね」

 

 ピットから勝手に離れてVIP席に向かうと、道中にすれ違った何人かに睨まれたが無視して目的のVIP席のドアをノックする。返事があったので中に入ると、俺と認識したからか全員が怯え始めた。

 

「え? 俺そこまでの事をした?」

「……最後の挨拶は笑えたよ?」

「だろ?」

 

 ラウラに近づくと、何故かラウラも怯えている。

 

「……あの……」

「帰るぞラウラ」

「………はい」

 

 いや、何でそこまで怯えているんだ、こいつ?

 不思議そうな顔をしつつも部屋を出ようとすると、一人の女性が立ちはだかった。クラリッサ・ハルフォーフ。零司に連れてこられた女だ。

 

「一つお聞きしたい。あなたは彼女に何をするつもりですか?」

「抱き枕」

「……はい?」

「抱き枕にするつもりだけど……えっと、もしかして何か勘違いしてない?」

「……ああ、そういうことか」

 

 零司は何か納得したような顔をする。俺は疑問に思っていると、零司は笑いながら言った。

 

「……確かに武はその子を抱き枕にするとは言っても、エロい意味じゃないよ。それに楓もいるからまずしない」

「……え? 何? もしかして俺はラウラに変な事をすると思われていたのか?」

「お兄ちゃん、忘れているみたいだから言っておくけど、そもそも女の子を抱き枕にするって言うのは物凄くマズいことなんだからね?」

 

 と楓に諭されて俺はようやく状況を理解した。

 

「……色々と大丈夫?」

「まぁ、私の事を日頃から抱いて寝てるし」

「……なら安心かな」

「それは俺が近親相姦していないことに対する安心だよな?」

 

 と尋ねると零司は頷いた。まぁ流石に俺もそこまで畜生に落ちるつもりは毛頭ないっての。

 

「良いかお前ら。確かに俺は思い上がった女が嫌いだし、正直に言ってここにいる誰よりも強い自信はある。だがこれだけは言わせろ。俺はそもそも純愛派だ」

「お兄ちゃんの持っている本に少女漫画が3割ほど占めている件について。おかげで私は漫画に困ったことがない」

「……それは意外だ」

「……少々良いでしょうか?」

 

 と、クラリッサ・ハルフォーフが近づいてくる。そして渡されたのは少女漫画の一冊。

 

「感想をお願いします」

「明日で良い?」

「構いません。私たちはこれからも大空島で勤務する予定ですので、いつでも」

 

 何故だか知らないがこの大尉とは話が合う気がした。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 夜。学年別トーナメントのお疲れ様会なるものが開かれている間、楓は一人離れてさっきから五月蠅い電話に出た。ディスプレイには「束」とだけ表示されており、ため息を吐いて電話に出る。

 

「もすもす? 終日(ひねもす)?」

『それ束さんの挨拶じゃん!? 何で盗ったよこの泥棒猫!!』

「まぁそれはそれとして、どうしたの、束お姉ちゃん。って言っても予想は着くけどね。だって私もまた天才だもの」

『何言ってんの。束さん並に頭が良くなってから言えよ』

「そんなんだから二人は婚期を逃す運命なんだよ。あ、ちなみにもう一人は千冬お姉ちゃんね? でももしかしたら、箒お姉ちゃんもそうなっちゃうかも」

 

 と相手が相手であるにもかかわらず、余裕で話す楓。

 

『結婚がすべてじゃないから大丈夫』

「まぁそうだけどね。それに関しては否定しない。それで、絶賛弟と本気で結婚しようと企むイケない長女が何か用?」

 

 帰ってきたのは沈黙だったが、楓は容赦なく言葉を続けた。

 

「別におかしい話じゃないよ。私も同じ事を考えたけど、それじゃあ束お姉ちゃんにとってベストなポジションをキープできないから止めたの。なんたって私は究極の悪女なんだから。戦争、起こそうか?」

『うっわぁ。引くわ』

「知ってる。でもそっちよりもマシじゃない? クロエ・クロニクルをわざとお兄ちゃんとくっつけさせてから成り替わろうとしていたんだし」

『………』

「あ、図星? でも予定外な事が色々とできちゃったんだよね? 例え恋愛によるクロエの自我の芽生えと、束お姉ちゃん自身が本当に娘として愛し始めた事だよね?」

『……何言っているのさ、そんなわけないじゃん』

「別に恥じゃないと思うよ。なにせ束お姉ちゃんは今までまともな理解者に恵まれなかったんだし。私だって遺伝子別だったら襲ってたし」

『そうなったら先にお前を殺すね』

「お兄ちゃんの理性舐めるなよクソ姉」

 

 お互いが笑顔。だが笑顔で物凄い言葉を吐いていた。

 

「それで、クロエの様子はどう? もしかして重症?」

『………あー、うん。正直ヤバい。もうあそこだけブラックホール起こってんじゃないのかなってくらいに』

 

 束の言葉に楓は小さく笑った。

 

『何がおかしいんだよ』

「そりゃあね。それで、お姉ちゃんのお願いってのは、どうしてクロエではなくラウラの方を選んだのかって話かな?」

『そうだよ。いくらたっくんと言っても、場合によってはこっちにもすることがある』

 

 相手が本気であると認識している楓だが、どうしようかと考える。楓としては確かに言った方が良いと考えるが、同時に「このまま黙るのもアリなのでは」と考えていた。

 

「束お姉ちゃん」

『何だよ』

「ずっと気になってたんだけど、何でクロエを学校に通わせないの?」

『そりゃあくーちゃんにやってもらいたいことがあるからだよ』

「つまり束お姉ちゃんが一番の障害だねぇ、やっぱ」

 

 とクスクス笑う楓。向こうから怒りの声が聞こえてきたため、彼女はこう言って締めくくる。

 

「結局のところ、武お兄ちゃんって物凄く真面目なんだよ。そして何よりクロエは姪でしかないからねぇ」

『は? 何それどういう―――』

 

 最後まで話を聞かず、通話を切った楓。

 

「やっぱり束お姉ちゃんが障害だ。お姉ちゃんがあの時大人しくお兄ちゃんのお嫁さんとして受け入れておけば良かったのに」

 

 とクスクスと笑って自分の部屋に戻る楓。それからしばらく笑っており、顔が戻ったのは武が戻ってきた時だった。

 

 

 

 

 

 楓が束とやりあっていた時、ラウラもまた迷っていた事があった。彼女の手にはリンゴジュースが入ってコップが握られており、先程から何かを考えているようだ。

 

「どうしましたか、隊長」

「……クラリッサか。いや、もう名前で呼ぶのは違うな。もう私たちは軍人ではないのだから」

「……意外ですね。正直あなたは軍に拘ると思いました」

「…………正直、そのつもりだった。だがな、軍が私を消しに来て考えて思ったんだ。もっと生きたいと。情けない話だ」

 

 と言い、ラウラは涙を流す。ここで大抵の人間は次にかける言葉を選ぶが、クラリッサはすぐに言った。

 

「別に良いのでは?」

「……何?」

「生きたいと思うのは結構な事だと思います。それに、その状況で守ってくれたのはあの篠ノ之武なのでしょう? だったらこの際、真剣になっても良いのでは?」

「………はい? いや待て。どうしてその話になる?」

「幸い、あの方はあなたに興味があるようです。ならばここでさらに意識させるのはどうでしょう?」

「………いや、クラリッサ。実はそれは難しい」

「? 何故です?」

「あの時に言っていたが、実は昨日も一緒に寝たが」

「おおっ!」

「本当に抱き着かれて寝ただけなんだ。あと寝る前に頭撫でられた。

「やりたい放題ですね………チッ」

 

 一瞬、クラリッサから飛ばされた殺気を感じたラウラだったが、本当に一瞬だったこともあって気のせいだと思う事にした。おそらくそれはラウラが感じている悪寒とは違うと思っている。

 

「―――たぶんそれは脈あるね」

 

 二人が会話している時だった。ラウラの耳に聞き覚えがない声が聞こえてきたため振り向くと、そこには背中に「GREED!!」と激しい字体と装飾で彩られたエンブレムが入ったパーカーを着用している男が現れた。

 

「貴様は……」

「そういえば君は昨日いなかったか。俺は桂木悠夜。武と零司の仲間さ」

「ところで桂木悠夜、今のはどういう事でしょうか?」

 

 と瞳孔が開いた眼で尋ねるクラリッサ。悠夜は気にせず対応する。

 

「あー、単純な話。実は武ってラウラみたいな体型の方が好みなんだよ」

「………え? 変態なんですか?」

「もしかして、三年ほど前に襲われた事が原因か?」

「知ってたんだ。まぁ、これは憶測だけど、これは陰口になってしまうからあまり言いたくないけど、武って妹の楓ちゃんに対して物凄く甘いんだよ」

「「あー……」」

 

 二人は納得する。特にラウラは目の前で駄々をこねる楓に対して頭を撫でて諫めながらも暖かい目をしていた武を見ているからこそ納得できた。

 

「だけど武がベッドに連れ込んだ女の子って本当に少ないんだよ。だから可能性として脈があるのではないかってわけ。一応、武が助けた中にも小さい子っているけど、直接ベッドに連れ込んだ子っていないんだよ。別室で添い寝するくらいはあったらしいんだけど」

「……なるほど」

 

 しかしラウラは沈黙した。

 

「どうしましたか、隊長」

「いや、私ばかりこんな状況で良いのかと思ってな。そもそも私がレーゲンの中にVTシステムが入っている事に気付いていれば隊員を危険に晒さなかったんだ。そんな私が幸せになる権利なんてない」

 

 その言葉に悠夜が静かに笑った。

 

「何がおかしい」

「君、他の隊員とはまともに話した?」

「……いいや」

「他の隊員は自ら望んでここに残ると聞いているけど?」

 

 零司は別に隊員たちにここに残ることを強要した覚えはない。実はラウラが朝にVIP席に来る前にあらかじめ確認を取っているのだ。他の道に歩むつもりはないのか、と。そしてそれは無理矢理連れてきたとはいえ、クラリッサにも確認を取っている。

 

「だったら別に君がそんなことを考える必要はないさ。君の気持ちに正直になって向き合えば良い」

「………少し、考えてさせてほしい」

 

 そう言ったラウラは別の場所に移動する。それを野次馬の如く追おうとしたクラリッサは止められていた。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

「今日はですね……みなさんに転校生を紹介します。転校生といいますか、既に紹介は済んでいるといいますか……ええと」

 

 翌朝。山田先生が現れてそんなことを言い出した。俺は心当たりがあったこともあり欠伸をしている。

 

「じゃあ、入ってください」

 

 その声で入って来たのは女子用の制服を着たシャルル・デュノアだった。

 

「シャルロット・デュノアです。諸事情で男装をしていましたが、この度女子として振る舞って良いと上から許可が出たので女子として再入学する事になりました。皆さん、改めてよろしくお願いします」

 

 どうやらこの分だと上手くいったみたいだな。流石は悠夜。あとでリゼットの事をデュノアと確認しておこう。

 

「ええっと、デュノア君はデュノアさんでした。ということです。また寮の部屋割りを組み立て直す作業がはじまります……」

 

 ……え? それって寮監している千冬の仕事じゃ……。

 

「え? デュノア君って女……?」

「おかしいと思った! 美少年じゃなくて美少女だったわけね」

「って、織斑君、同室だったから知らないってことは―――」

「ちょっと待って! 昨日って確か、男子が大浴場使ったわよね!?」

 

 と一気に教室が騒がしくなる。中には俺に厳しい視線を向けてきたが、俺は俺で山田先生に話があるため教卓の方に向かっていると、前のドアが開いた。

 

「一夏アアアって武!?」

「………何の用だ、凰」

「え? あ、いや、その、一夏が女子と一緒に風呂に入ったって聞いて―――え? 待って。何でキレてるの? アンタ一歩間違えれば普通に人を殺すって感じなんだけど」

「その認識は間違っていないぞ。おい山田ァ。男子の風呂が解禁されているってのはどういうことだァ?」

「あ、いや、その、それは、見つからなくて、仕事が忙しくて……」

「OK、わかった。死ね」

 

 《ヴァリアブルシューター》を展開してボタンを押す。辺りに【End of Charge, Explosion Shot】と響くが、構わず脳天をぶち抜こうとしたところで殺気を感じたので回避した。

 

「何をしようとしていたんだ、お前は」

「え? 何が? ダニを一匹殺す事のどこに問題があるの?」

「……山田先生、まさか」

「すみません! ここまで激怒されるなんて思いませんでした!!」

 

 別に激怒してないけど? ただ蛆虫を殺そうとしているだけで。

 と思っていると腕を突かれたのでそっちを見ると、ラウラがいた。

 

「どうしたラウラ」

「……その、だな」

 

 何故かモジモジとしているラウラ。ギャップ萌えなのか何かがそそる気がしてきた。

 

「何故あの時、私を助けたんだ?」

「……あの時?」

「一昨日、私が脱走した時だ。私の事なんて放っておけば良いと思わなかったのか?」

 

 あー、あの時か。

 

「まぁ、楓が悲しむってのもあるけどさ。俺としては天使並みに可愛いお前が死ぬのは嫌だからな」

 

 同じ型なのか知らんが、クロエ並みに可愛いのだからこいつも態度とかはともかく天使族に入れてもおかしくはない。どこかの黒足シェフではないが、天使並に可愛い女の子をいたずらに殺すのはそれこそ人類にとっての損失だろう……と思っていると、周りが騒がしくなる。

 

「いや、天使って……」

「……でも今のボーデヴィッヒさんって可愛くない?」

「確かに。なんか養いたい気がする」

「とりあえずあなたは鼻血噴きなさい」

 

 鼻血出している奴とはいい酒が飲めそうだなと感心していると、ラウラの顔がみるみる赤くなる。気のせいかもしれんが彼女の顔から湯気が出ている気がしなくもない。

 

「………ズルいぞ、馬鹿」

「いや、馬鹿って酷すぎ―――」

 

 それは唐突だった。彼女は俺に近付いてつま先立ちをしてから口で口を塞ぐという離れ業をやってのけた。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 ラウラはかかとを床に付けた状態で武に言った。

 

「………お前が……好きだ」

 

 そう言ってラウラは教室から出て行く。しかしは武は追おうとしない。その場に訪れたのは完全な沈黙だった。

 

「た、武? 大丈夫か?」

 

 見かねた一夏が武に声をかけるが、武は反応しない。

 

「お、おい、武………」

「……」

「ちょ、武、大丈夫か?」

「………ああ、うん。大丈夫」

 

 フラフラと移動して自分の席に戻る武。そのまま座ったが、放心していた。

 

 

 

 

 

 そこはとても暗い研究所だった。世界の大半が把握していない名もなき島と言える場所に建てられた施設内で女性の喘ぎ声が響き渡る。だが誰もその行為を止める者はいない。

 一通り終わったのか、相手をしていた男性は女をその場に残して自分だけシャワールームに入る。身体を洗ってから満足したのかシャワールームから水気を拭った後に自分用の服を着用して女の経過観察して後につまらなそうに施設を歩いた。

 

「あーあ。暇だなぁ」

 

 そう呟いた男に対して誰も返事をしない。

 

 その施設は異常だった。培養液に怪物や化け物と定義されてもおかしくない生物が入れられており、しばらく歩けば死体が吊るされているエリアへと移動する。そこには四肢の一部またはすべてが欠損しているという身体が多くあり、無事な身体はほとんどなかった。

 ひとしきり満足したのか、男はさっきまで自分がいた部屋に戻ってくると、空ろな目をした女性が近寄ってくる。

 

「あ、あの、わ、私……」

「餌の時間は後でしょ? それより君には別の仕事があるんじゃなかったっけ?」

「は、ハイ! 行ってきます!!」

 

 女性は震えあがり、すぐに裸のまま部屋を飛び出す。特徴的なのは彼女の首に金属製の首輪があるという事だろう。

 

 その女性は女権団の中でもタカ派―――男を積極的に貶し、支配しようと企む一人として有名だった。だが今では相手の男に対して委縮し、言いなりとなっている。もう彼女には尊厳なんてものはなくなっているだろう。

 

「あの奴隷女もそろそろ潮時かなぁ」

 

 そんなことを呟く男。彼にとって女というのは奴隷程度の認識でしかない。

 

「にしても面白いよねぇ。たかがこのコアを入れた機械を動かせるってだけであそこまで威張っちゃってさ………」

 

 男の手の中にコアが出現する。コアを弄んでいると男の前にあるパソコンにメール受信の連絡が入った。

 

「……IS学園に不愉快な男があり。……IS学園?」

 

 男はネットでIS学園の事を調べる。そして概要を知ったところで笑ってパソコンを操作した。

 

「もう女を犯すのも殺すのも飽きたし、少しこの「IS学園」ってので遊ぶか」

 

 そう笑みを浮かべた男。その笑みは不気味だった。




ということで第2章はここで終わりです。本当は30話で終わらせるつもりが2話長くなってしまった。

武に関してですが、少し危険区域ですね。多分納得されないでしょうが、一応彼にとって譲れない理由があったりします。
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