IS-Black Gunner-   作:reizen

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第3章 始動!!


第3章 激動の海戦/雌雄を決す時、血は騒ぐ
第33話 好奇心、いたずらを起こす


 思えば俺が彼女と出会った時点で既にそうだったのかもしれない。だけど当時の俺にはその感情がそういうものだとは知らなくて、ただ何も知らない少女に色々と教えていた。見た目も今の楓とそんなに変わらないから新しく妹ができたという認識しか持っていなかった。

 昔やったクラフト系のゲームでとある女性に対して誇張表現をしていたのだが、よくよく考えれば彼女もそれに該当するなと今更になって思う。

 

 だが、所詮俺たちは叔父と姪の関係でしかない。本来、法律でも禁じられている通り三等身以内の血縁関係者は結婚できない事になっている。

 

「………まぁ、お前はできるけどさ」

 

 と、目が覚めてラウラの頬をつんつんしていると、嫌がっているのか身体をモゾモゾとさせていた。

 

「……可愛い」

 

 ここで彼女を襲えるし、もしかしたらラウラもそれに応えてくれるかもしれない。だが俺はそこまでの事はしないだろうと確信していた。

 

「お兄ちゃんって、もしかしてヘタレ?」

「………この世界が女尊男卑じゃなかったらたぶん襲っているけどな」

「……ん」

 

 と身体を震わせるラウラ。そして目を覚ましたが、左目は寝る時は眼帯をしていないためかクロエと同じ越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)の後遺症が出ている。クロエの場合は両目だから怖がられると目を閉じていたのだが、改めて見るとやっぱり綺麗だな。

 

「おはよう、武」

「ああ」

「……やはりご主人様とかマスターとかの方が良いのか?」

「普通に名前で呼んで良いから」

 

 ただでさえ起きやすい例のアレが暴走してしまうじゃないか、と思っているとラウラが顔を近づけて来るので止めた。

 

「ストップ」

「何故だ?」

「いや、何故だか止めないといけない気がしてな」

 

 と言うか正直ラウラでも理性が持たないってなんだろうか。なんとか足の下に隠しているけど本気でマズかったりする。

 

「………」

 

 そして楓は楓でニヤニヤと俺たちを見ている。止める気はゼロらしい。俺は時計を確認すると、そろそろ出ないと流石にマズい事は理解しているのでラウラにそう言って事なきを得た。

 

 

 

 

 

「はー、疲れたー」

「お疲れだね~」

「あー、布仏か。悠夜とどこまで行った?」

 

 教室でボーっとしていると布仏に話しかけられたので、ほとんど脳が働いていない状態で尋ねると、顔を逸らされた。

 

「あ、もしかしてそれって一線超えた?」

「実はここに十二の試練を超えた英雄の触媒があるんだけど、召喚して良い?」

「できるの!?」

「できたら良いなぁ~」

 

 それはそれでして欲しいと思ったが、ここで召喚したら色々と面倒な事になるので敢えて我慢することに。でも俺は俺であまり悠子状態でも見たことがないからそんなに進展していないのだろう。

 

「到着っ!」

「おう、ご苦労なことだ」

 

 いつの間に来たのやら、そしてデュノアは何故展開しているのか知らないが、あそこの二人は酷い事になるのは目に見えている。

 

「本学園はISの操縦者育成のために設立された教育機関だ。その為どこの国にも属さず、故にあらゆる外的権力の影響を受けない。がしかし―――」

 

 今日も高らかになる出席簿による打撃音。流石にあれは擁護できんしする気になれない。

 

「敷地内でも許可されていないIS展開は禁止されている。意味はわかるな?」

「は、はい……。すみません……」

 

 周りは唖然としていたが、そもそもデュノアは元々スパイまがいの事をしているのでそう言う度胸もあるのだろう。まぁ、どういう経緯で織斑に惚れてしまったのかは知らないが、また面倒な事にならなければ良いなというのが本音だったりする。

 

「デュノアと織斑は放課後教室を掃除しておけ。二回目は反省文提出と特別教育室での生活をさせるのでそのつもりでな」

「「はい……」」

「……ところでラウラ、そろそろ席に戻れ」

「わかった」

 

 と、俺の膝の上から降りて隣に座るラウラ。元々こいつはクロエの誘惑に耐え、慣れるために欲しかったんだが、今では彼女もまた積極的になってきており、正直困っているがこれはこれでアリだと思っている俺もいて少し怖い。

 

「今日は通常授業の日だったな。IS学園生とはお前たちも扱いは高校生だ。赤点など取ってくれるなよ。特に織斑」

「何で俺だけ!?」

「知らんのか? 篠ノ之兄の成績は学年首位だぞ」

 

 全く。俺はお前と違ってこれでも真面目なんだよ。まぁ中学一年の途中から学校なんて行かなかったけど。なんて思っていると、周りは意外そうに俺を見て来る。オルコットなんて半泣きだ。

 

「それと、来週から始まる校外特別実習期間だが、全員忘れ物などするなよ。三日間だが学園を離れることになる。自由時間では羽目を外し過ぎないように。特に篠ノ之兄、ボーデヴィッヒ。開放的だからと言っていたしたら殺す」

「殺意! 殺意隠しきれてないから!!」

 

 と、織斑が姉を止めている。あの馬鹿女。今その話題に関しては俺たちにとってデリケートなんだから頼むから止めてくれ。

 ちなみに校外特別実習期間とは、七月六日から八日までの二泊三日で行われる操縦試験期間だ。代表候補生は各国から送られてくるテスト装備の実施。俺は所属国はないが、色々と試したい武装はあるのでこれを機にやる予定だ。それに量産機向けの武装も使用するため、更識簪と共に零司が作成した新規武装のテストもする予定である。まぁ最悪、もう一機は布仏辺りにでも貸せばいいかと思っている。例年は女子だけだったので問題は早々起こることはなかったが、今回は男が二人いるという点で色々と問題があるわけだ。特に俺とラウラに関しては言わずもがな。あの時に盛大な告白をされているため学園公認カップルとして扱われているところもあるわけだ。零司の奴も空気を読んだつもりかコンドームを十箱くらい飛ばして来たからな。

 

「ではSHRを終わる。各人、今日もしっかりと勉学に励めよ」

「あの、織斑先生。今日は山田先生はお休みですか?」

 

 と口を挟んだのは箒の同居人でクラス内のしっかり者の鷹月だった。実際、中学の頃には彼女は学級委員をしていたらしく、クラス代表をするのはある意味彼女が適任だったのかもしれない。

 

「山田先生は校外実習の現地視察に行っているので今日は不在だ。なので山田先生の仕事は私が今日一日代わりに担当する」

 

 何故だか知らないが「無茶がすぎるんじゃ?」と思ったが黙っておこう。

 

「ええっ、山ちゃん一足先に海に行ってるんですか!? いいなー!」

「ズルい! 私にも一声かけてくれればいいのに!」

「あー、泳いでるのかなー。泳いでるんだろうなー」

 

 と妄想に浸る女たち。当然織斑先生はため息を吐く。

 

「あー、いちいち騒ぐな。鬱陶しい。山田先生は仕事で行っているんだ。遊びではない」

 

 本人はたぶんそんなタイミングがなかったからだろうが、今のこいつらにそれを言うのは無駄だろと思いながら俺はこれまで作ったは良いが使用しなかった武装を確認すると、物凄いことになっていた。犯人はノヴァだろう。アイツは電脳世界で色々とアクセスしているからそこから得た武装を作っているに違いない。……まぁ、テストするのに困らないから良いか。

 

 

 

 

 

 そして週末。俺はラウラを伴って学園の外に出ていた。理由は言わずもがな、彼女の私服を増やすためである。まぁ他の奴らは既に買いに行っているらしく、俺とラウラだけで行くことになったわけだ。楓は「今日他に用事があるから」と言って断ったし、箒は箒で捕まらなかったので仕方なく二人で来ているわけだ。

 

「……それにしても、よくこんな服があったな」

 

 と、ラウラがISスーツの上にミニパンとパーカーを着用している状態で言った。

 

「ああ。元々箒の物だったんだけど、あのクソ共がギリギリに引っ越しすると言いだしてな。バレないようにすべて片した後に出し忘れていたらしくてそのまま放置してたからこれを機に、と思って」

「? ならば返せば良かっただろう?」

「もう入らねえよ」

 

 中学三年間であそこまで胸が大きくなれば無理だと思う。

 

「……そうだな」

 

 と自分の胸を見て答えるラウラ。もしかして自分の胸が小さいからと思っているのだろうか? まぁ否定はしないが。

 

「とりあえず行こうか」

「……そ、そうだな」

 

 それにしてもどういうつもりだ、アイツら。誰かまでは流石にわからんが、三方向から視線を感じる。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 同時刻、一夏とシャルル改めシャルロットは武たちと同じ駅にいた。二人は水着を買いに来たのだが、目の前にいる二人を見つけて影からこっそりと様子を伺っている。

 

「どうしたんだよ、シャル?」

「向こう見て、向こう」

「向こう?」

 

 指を差された先を見ると、まるで初々しいカップルのように歩き出す武とラウラの姿。その姿に暖かい目を見せたシャルロットはどう見ても付いて行く気だった。

 

(ま、待ってシャルロット。今僕は一夏と二人っきり。だったらここはラウラのためにも一度離れて様子を見るべきなんじゃないかな?)

 

 と、本来の目的を思い出した彼女なのだが、どうしても目の前のカップルが気になって仕方ない。

 

「……なぁ、シャル」

「何かな、一夏」

「付いて行くか? たぶん行先は同じだろうし。俺も正直、武がどうやってあの子をエスコートするのか気になるし、もしかしたら恋人とかできた時に参考になるかもしれないし」

 

 野次馬根性を見せる一夏にシャルは見えないようにガッツポーズをする。

 

「そうだね。行こう」

「ああ」

 

 二人は意気揚々とバレないように歩き出すが、少し歩いたところでシャルロットが足を止めた。

 

「ところで一夏」

「どうした?」

「……ごめん、やっぱりなんでもない」

 

 そう言ってシャルロットは顔を怒りで顔を赤くした状態で先に進むのだった。

 

 

 

 

 

 そしてその二人の後ろにさらに追跡者がいた。

 

「ねぇ、アレってどう見ても……」

「ええ。そうと思いますが……何故わたくしまで巻き込みましたの、鈴さん」

 

 一人闇に落ちる鈴音。その隣で呆れた顔をしているセシリア。

 

「あー、いや、気分で?」

「気分って何ですか、気分って」

 

 ため息を吐くセシリアだが、とても今のように空ろな目をしている鈴音を放置するという考えはなかった。別に他国の人間がどうなろうが知ったことがないのだが、一時期とはいえコンビを組んだ間柄。このまま放置するのは忍びないと考えたため、こうして付き添っているのだ。

 今にも暴れそうな相方に対してさらにため息を吐いていると、たまたま視線の先にいる一人の男と目が合う。

 

「………あなたは?」

「あ、えっと………」

 

 黒いバンダナに限りなく赤に近い茶髪をした男―――もとい、五反田弾である。手には何か持っており、袋からして女性向けのブランドものだった。

 

「あ、弾」

「もしかしてお知り合いですの?」

「まぁね。アタシが日本にいた時のライバル店の跡取り」

「その言い方は止めてくれ。確かこの人ってイギリスの貴族令嬢だろ? その言い方だとあのオンボロ定食屋が老舗の料理店だと勘違いされるじゃねえか」

「事実じゃない。それに人気もあるし」

「というか、ジジイとお前の親父が勝手に張り合っていただけで俺は別に興味なかったんだが」

 

 弾の様子を見ていたセシリア。彼女は弾から何かを感じ取り、同情的な視線を向けた。

 

「あなたも苦労人ですわね」

「いやいや、そちらほどでは。その様子だと今頃他の女と出かけている一夏の追跡でしょう?」

「正解ですわ」

「……やっぱり」

 

 同じく呆れる弾を見て鈴音が睨むが、弾はため息を吐くだけだった。

 

「定期的に武から聞いてたけど、お前まだ一夏に伝えてないのかよ」

「つ、伝えたわよ。伝えたけど……」

「伝わっていなければ意味ないだろうに」

「……ちょっと待って。今定期的に武に聞いてたって言ったわよね?」

 

 弾がポロリと漏らした事に気付いた鈴音だが、弾は特に気にせずに答えた。

 

「ああ。まぁ」

「何でアンタが武と知り合いなのよ」

「……? おかしいですの?」

「まぁね。武が転校していったのはアタシと入れ違いなんだけど、こいつと知り合ったのは中学の時なのよ。だから時期的に知り合いになるわけないんだけど……」

「それくらいの時から武が来たからな」

 

 と驚いたのは他でもない鈴音だった。

 

「まぁいいや。流石に武相手に直接聞く気にはなれなかったから教えて欲しいんだけどさ―――武っていつから彼女できた?」

 

 興味津々で尋ねる弾。それを見たセシリアはどことなく弾と鈴音が似ていると感想を持った。

 

 

 

 

 

 そんなやり取りが行われている時、とある場所では周辺が歪んでいた。

 

「……………」

「クーちゃん、歪んでる。周囲が歪んでいるから」

 

 慌てて随伴者である束が止めにかかるが、武とラウラが手を繋いで一緒に歩いている姿を見て悔しそうに唇を噛み締めている。

 

「なんていうか、予想以上にカオスね」

「お前は……」

「たぶんこうなっているだろうなって思って遊びに来たよ」

 

 楓だった。彼女もまた、今回の武とラウラを追跡しに来た野次馬であり、とある理由からクロエに会いに来たのである。

 

「……楓様」

「ねぇクロエ。ちょっと提案があるんだけど」

「何ですか?」

 

 束に似ている悪魔的な笑みを見せた楓は提案した。

 

「私と一緒にお兄ちゃんのプレゼントを買いに行かない?」

「……プレゼント」

 

 と言われてクロエはある事を思い出す。

 

「……確か、明後日は武様の誕生日……」

「クーちゃん、もしかして誕生日プレゼント用意してなかったの?」

 

 束に言われて顔を赤くするクロエ。

 

「? そういうお姉ちゃんはもう準備したの?」

「もちろん。この束さん特製ドリンクを―――」

「絶対に拒否されるから別の方が良いと思う」

 

 断言した楓に苛立ちを見せる束。

 

「じゃあ、箒お姉ちゃんに束お姉ちゃんから出された薬を飲みたいか聞くね」

「お前喧嘩売ってるだろ」

「やっぱり受け入れられないってわかってるんだ」

 

 さらに苛立ちを見せる束。彼女から発せられる殺気で空間が歪んだ。

 

「束様。空間が歪んでます」

「大丈夫。この生意気な小娘を殺したら大丈夫だから」

「―――何をやっているんだ、お前は」

 

 と、束と楓にとって聞き覚えのある声がしたことで、三人共その方に向くとそこはまた変わった組み合わせがいた。千冬と真耶、さらには箒とクラリッサがいるのである。

 

「……あの子供は」

 

 クラリッサの呟きに気付いたのか、クロエは束を使って隠れる。

 

「おかしな気配がすると思えば……こんな所で悪だくみか、束」

「わ、悪だくみなんて失礼な!」

「大丈夫だよ、千冬お姉ちゃん。お兄ちゃんに性欲剤を盛るぐらいしか考えてないよ」

「………姉さん」

「ちょ、違うからね!? 襲って欲しいとかそう言うんじゃないし!!」

 

 と誤魔化そうとする束。千冬は睨むも他の事はしようとしなかった。

 

「……そういうちーちゃんはどうしたのさ? もしかしてたっくんが気になって仕方ないとか?」

「……そんなわけないだろう」

「あー! その反応は怪しい!!」

 

 と盛り上がる二人を他所に楓は小さい声で他のメンバーに提案する。

 

「ねぇねぇ。あそこの二人は真耶お姉ちゃんに任せてお兄ちゃんに誕生日プレゼント買いに行かない?」

「賛成です」

「……そうだな」

「行きましょう」

「……え? 私放置ですか?」

「頑張ってね」

 

 そう楓は真耶に言って他三人を連れて逃亡した。




こんな展開もアリだよねってことでやってみました。
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