IS-Black Gunner-   作:reizen

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第34話 本音を言うならビキニ姿を見てみたい

 IS学園発のモノレールに乗ってしばらくすると見えてくるショッピングモール―――レゾナンス。

 そこは一般人からオタクまでありとあらゆるニーズに応えるつもりなのか、単なるショップだけでなくアニメマートやウェポンショップなどもある。しかもそこそこの広さがあるため、その分新しいモノから古いモノまで各種を取り揃えている。そこには当然、俺の憧れだったものも置かれていたのだが、今は別のところに行く。

 

「武はこういうものが好きなのか?」

「……まぁな。戦隊モノはどうしても苦手なんだけど、ストーリー性の強いライダーモノは割と好み」

「そうなのか。私も今度見てみようかな……」

「だったら俺の部屋で見れる。これまでの奴はすべて買っているからな」

「ならば今度一緒に鑑賞しよう!」

 

 と言うラウラの姿が見た目と相まって放送を待つ子供みたいで癒される。って、ヤバいヤバい。

 そんな雑談をしながら到着したのは水着売り場。その隣に服屋があるので後で寄るつもりだ。

 

「とりあえず、ラウラは好きな水着を選んできてくれ。俺は俺で水着を買ってくるから」

「わかった」

 

 さてと。俺の水着だが無難なタイプで構わないだろう。控えめな柄の方が好みだし。ゴーグルは専用の物があるからそれを使用するとして、後はラウラの方か。……まぁ、水着も本来なら不要なのだが、これも付き合いというわけか。まぁ、私服だけでうろついていたらそれこそ目立つだろうし。それに水着を着ているといざと言う時に油断してくれるメリットがあるからな。

 先に自分の物を買ってから量子化してラウラの所に向かうと、まぁ案の定というかショートを起こしていた。

 

「た、武……助けてくれ……」

 

 俺を認識したラウラは涙目で迫ってくる。持っているのは明らかにアウトな代物。それを見て俺はため息を吐いてからほとんど紐同然の水着を回収した。

 

「まぁ、俺たち高校生だしそう言うのに興味が出て来るのはわかるが、まだなっても16だぜ? だったらせめてこれだろ」

 

 近くにあった黒いビキニを取った後、少し待った俺はそっと戻した。

 

「とりあえず、ちゃんとしたものはこれから考えるとして試着すれば良いんじゃない?」

 

 ラウラにビキニはまだ早い。そう思う事にしてさっき取ったビキニから手を離した俺は二人でラウラに合う水着を探そう……と思ったんだが、ちょうどいい奴が近くにいるのでそいつに頼む。

 

「という事でデュノア、交代だ」

「え!?」

「付いて来ているのバレてんだよ。あと織斑も」

 

 逃げようとするので奴らの周囲に鎖を展開して追い立てる。観念して出て来る二人。そしてデュノアの手を叩いてラウラをデュノアに任せる。

 

「ああ、言っておくがなデュノア」

「な、何かな?」

「もしラウラを殺そうとしたら、フランスそのものをこの世界から消してやるからな?」

「だ、大丈夫だよ!!」

 

 まぁ、おそらくデュノアは悠夜の戦いを近くで見ただろうからな。アイツがダークカリバーを振るったとしたら、それはおそらく慣れていない奴にしてみれば脅威でしかない。

 

「織斑、こっちだ」

「お、おう」

 

 大人しく従う織斑を連れ出して男性用水着売り場に案内する。

 

「え? 何で?」

「ん? お前は女の子のキャッハウフフを見たいというのか? おすすめしないが」

「いやそういうことじゃないけど……じゃなくて何で!?」

「? ああ、もしかして俺の親切がそんなにおかしかったか?」

 

 そう言うと織斑は頷いて来たので蹴り飛ばしたくなった。

 

「まぁ、あれだ。俺ではラウラにちゃんとしたものは選べないからだ。流石にあの年頃で「見た目が見た目だからワンピースタイプにしなさい」なんて言ったら怒られるだろうしな」

「? そういうもんか?」

「流石はデリカシーの欠片もない阿呆だな。今時のはそういうもんなんだよ」

 

 というか、ラウラみたいな奴に「これが似合う」とか言ってビキニタイプを渡してみろよ。それこそ変態の極みじゃねえか。そもそも防御面においてビキニって薄い気がするんだけど。でもそれを言うならISスーツなんてもっとそうか。だから俺は銃姫を展開していない時は戦闘服を展開しているが。

 

「言っておくが、これでもかなり気を遣ってんだぞ」

「………え?」

「今お前、「何サラッと嘘ついてんだ?」って思ったか?」

「いや、まんまそうだと思って……」

「おいおい。お前本気でそう思っているのかよ。俺が本気出したらそれこそこの辺り一帯が焦土と化すぞ」

 

 そうならないように日頃から聞き流すようにしているんだがな。中学時代はそこまでの威力で暴れていなかったのは中一までの話だ。

 

「……なぁ武。何でお前そんなに強いんだ?」

「そりゃ前から色々なところで戦って来たからな。経験が違う」

 

 そう答えると織斑は「やっぱり……」という感じがした。

 

「じゃあ、何で雪片にそっくりな武装を持っているんだよ」

「……まぁ話しても良いけど、下手すりゃ機密に触れるものだぞ」

「え?」

「数年経ったら閲覧禁止とかあるからな。ラウラの前の機体に仕込まれていたシステムだって今では機密どころか知る事すら禁忌になっているものだ。その為、今の生徒のほとんどは知らない」

「でも武は知ってたよな?」

「禁止される前に知ったんだよ。まぁ知っていて大したことじゃない。必要なものはすべて把握し終わっている」

 

 そう言うと織斑は何かを言いたそうな顔をする。教えろと言われたらすぐに拒否するが、どうやらそんな空気ではないようだ。

 

「……なぁ、武。お前に何があったんだ?」

「何がって?」

「だって、武は引っ越す前でも剣道はしなかったのにあれだけ剣が触れるようになっているし、ISを作ることもできるんだろ? でもあそこまで女を否定するようなことはしなかったはずだ」

 

 言われてみれば確かにそうだな。引っ越す前は剣道もしなかったどころかどうして銃があんなにも飛ぶのか気になって研究していた時さえあった。

 

「一体何があったんだ。教えてくれないか?」

「別にお前が知る必要はねえよ」

「何でだよ」

「どうせ知ったところでお前が勝手に傷つくだけだ。それに話しても無駄だしな」

「無駄な事なんてないだろ?」

「じゃあお前が時間逆行でもして過去を変えるつもりか?」

 

 そう質問すると織斑は動きを止めた。

 

「か、過去を変えられるわけないだろ」

「俺の思想の変化とかもう過去を変えないとできない代物だ。それでも知りたいっての?」

「……それは」

「まぁ、そういう事だ。じゃあ俺はアイツらの様子を見に行くから」

 

 そう言って女性用の水着コーナーに入る。どこに行ったのかと辺りを探していると急に声をかけられた。

 

「そこのあなた」

「……俺に言っているのか?」

「そうよ。そこの水着、片付けておいて」

 

 と差されたのはおそらく俺に命令してきた女が持ってきたものだろう。

 

「悪いが先約があるのでな」

「何? 私の言う事が聞けないっていうの?」

「ああ、そうだ」

 

 そりゃあ見ず知らずの年上よりも知っているクラスメイトの方に時間を使うに決まっているだろう。

 

「ふうん、そうなの。自分の立場がわかってないみた―――」

「―――それは貴様だろう?」

 

 文句を言おうとしたのだろうか。声がした方を見ると、流石は元軍人。睨みつけるだけで俺をこき使おうとしていた女を委縮させた。

 

「な、何よあなた。私に意見しようって―――」

「―――私の連れが何か?」

 

 さらに声がしたのでそっちを向いた女は今度こそ完全に委縮したと思う。なにせ相手は―――

 

「お、織斑千冬……」

「私の連れが何か問題でも?」

「え、いや、その―――」

「ちなみにだが、お前が今命令しようとしているのはISを持たなければ間違いなく死ぬレベルの問題児だ。戦ってみるか?」

「え? 良いの?」

「ダメに決まっているだろう」

 

 どっちだよ。

 

「ご、ごめんなさい。失礼しました!」

 

 女は一目散に逃げていく。だけど本音を言えば俺の手で始末を付けたかった。

 

「別に助けてなんて言ってないが?」

「勘違いするな。お前の被害者が出ないように立ち回っていただけだ」

「さいですか」

 

 全く。せっかく人目のないところに連れ込んで潰してやろうと思ったのに。

 

「ところでだ、武。少し意見を聞きたいのだがな」

「?」

「この水着、どっちがいいと思う?」

 

 出されたのは、二着の水着だ。片方は動きやすそうだが一部メッシュ状にクロスされているところがあり、あえて言うならばセクシーさが出るかもしれない黒い水着。もう片方は一般的な白い水着。どちらもビキニタイプだが、正直白い方は合わないだろう。

 

「黒かな。たぶんアンタに白い方はダサい気がする」

「……ハッキリ言うな」

「まぁ、俺が興奮する保証はないけどな。ただ白は急な生理や溢した時に汚れが目立つから黒い方が良いだろう。あとやっぱりアンタに白は合わない気がする」

 

 そう考えるとジャージが合っているのは奇跡だったんだなと思った。

 

「……そうか。では黒にしよう」

 

 と、何故か意気揚々と買いに行く千冬。何かミスったかと思いながらも喜んでいるなら良いかとスルーすることにした。……まぁ、買いに行く時に何故かサングラスをかけたが、ミッションでもこなす気か?

 近くに弟いるし、俺は放置してラウラのところに向かうがまだ決めかねているみたいだ。女の買い物は何かと色々とかかるというし、しばらく待つとしよう。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 その頃、水着売り場から逃げ出した女性は忌々しそうな顔をして移動していた。

 

「クソッ、あの男。よりにもよって織斑千冬と繋がっているなんて予想外だったわ」

 

 周りを気にせず歩いているからか、通る時に誰かとぶつかる。

 

「ちょっと、邪魔よ!」

 

 ぶつかった相手に怒鳴る女性。だがそれは相手が悪かったとしか言いようがなかった。

 女性の前に誰かが現れ、ぶつかる。

 

「なにするんのよ!?」

 

 と、またクレームを付けようとした女性だったが、その言葉は最後まで言えなかった。何故なら相手の顔には―――何もなかったから。

 

「え?」

 

 今度は誰かが女性の肩を叩く。そっちを見ると、女性は思いっきり殴られた。さらには大きな虫が彼女の身体に何匹も引っ付き、身体に突き刺していく。次第に彼女の身体破裂して良き、身体中から蛆が湧き始めた。

 

「いや、いや、誰か、誰か助けて―――」

 

 だけど彼女の周りには誰もいない。いるのは虫や醜悪な存在で、彼女に取り付いては様々な酷いことをしていった。

 

 

 ―――それはすべて幻覚だった

 

 実際、そんなことはなく、ただただ彼女が一人で怯えているだけに過ぎない。次第には泣きわめき、漏らして醜態を晒した。周囲は面白がるものが大半で、男たちはこれ見よがしに復讐を始める。

 その様子を遠くで見ていた少女二人はハイタッチした。

 

 

 

 

 

 一方その頃、まだ水着を選んでいる二人の方は。

 

「そう言えばボーデヴィッヒさん。臨海学校の二日目が篠ノ之君の誕生日だという事は知っているの?」

「何?」

 

 と、ラウラは驚いた。

 

「え?」

「え?」

 

 お互い顔を見合わせる。

 

(あれ? もしかして……?)

 

 大体の代表候補生はIS学園に入る際、重要人物のプロフィールを閲覧させられる。シャルロットもラウラも当然閲覧しているが、シャルロットは真面目に覚えていたのに対してラウラはそう言うところはすべて抜け落ちているのだ。なにせ武の写真を見た時にその男が当時は国の研究機関を襲撃し続けた黒い翼を持つ男(レイヴン)と知ったからである。

 

「……何も準備していない」

「嘘!?」

 

 幸い、既に離れている武には聞こえていない様子を確認したシャルロットの耳が何かの音を拾った。

 

「む? 武か? 「外で待つから、決まったら先に教えて」だと?」

「……ちょっとボーデヴィッヒさん。その端末を貸してくれない?」

「何故だ?」

「メールを送るの。「少し別行動をしたい」って。そしてそれで僕たちと篠ノ之君へのプレゼントを買いに行こう」

 

 その提案を聞いたラウラは満面な笑みを見せる。

 

「そうだな。恩に着る。デュノア」

「僕の事はシャルロットで良いよ」

「ああ。ならばラウラで構わん」

 

 と、ここに人知れず金銀コンビが結成される。シャルロットは一夏に声をかけて水着は後にして先に別の場所に向かった。

 そしてそれは―――近くにいた空気を読みまくる鬼女の耳にも入っていた。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 ラウラに「外で待つから、決まったら先に教えて」とメッセージを送ってベンチで座る。手にはそこらへんで買ったヨーグルト味の水があり、それを口に含んだ。

 少ししてメッセージが届いたので中を確認すると、「少し用事ができたので別行動させて欲しい」と帰って来たので「トラブル?」と送ると「トラブルだが私にしかできない案件だ」と帰ってきた。

 俺は箱を取り出してそれを起動させる。鳥型になった黒い式神みたいなものにラウラの護衛に付いて、異常事態を起こった時に知らせるように指示した。映像を保存する機能があるので、いざ裁判になれば有利に働くこともある。

 どこで暇しようかと考えていると、人だかりに目が行った。

 

「なぁ彼女、良かったらお茶しない?」

「……すみません。用事がありますので」

「そんな事を言わずにさ、俺たちと楽しもうぜ」

 

 声を聞いた俺は立ち上がり、人だかりの方に移動する。予想通りというかクロエが囲まれていた。今回はいつもの衣装につばが大きい麦わら帽子をかぶっている。どこかの令嬢と間違えたくもなる気持ちはわかる気がするが、生憎それは連れて行ってはいけない奴だ。

 

「………なぁ、アンタら」

 

 一気に注目されたが、気にせず俺は言ってやった。

 

「死にたい?」

 

 おっと、待った。今のはミスだ。俺は「そいつ俺の知り合いだから」と言おうとしていたんだ。何で初対面の奴に「死にたい?」なんて聞いているんだ、俺は。

 

「あ、何なんだテメェは?」

「その子の知り合いだが?」

「ただの知り合いだろうが。とっとと失せ―――」

 

 無視してクロエの所に行くと、クロエが俺に抱き着いてきたので頭を撫でる。気のせいかクロエの胸が大きくなっている気がした。確か前に姉貴は「コアが体内に入っている関係上、これ以上の成長はない」とか言っていたはずなんだけど。女性ホルモンが分泌されたのか? 一体何で?

 

「おい兄ちゃん、何俺たちの事を無視してんだ?」

「とっとと離れろって言って―――」

「あ?」

 

 とりあえず一人だけ睨んで黙らせると、そいつは座り込んで怯え始める。ただ少し睨んだだけでオーバーな反応をするなぁ、こいつ。だけどまぁ、少しばかりオイタが過ぎるようだし懲らしめておくか。

 

「この世とお別れしたいって言うなら良いけど、死にたい?」

 

 敢えて右手を怪物のような形に変えると、奴らはビビって逃げ出した。

 

「大した能力もないのにビビってやんの」

 

 馬鹿にした後にクロエの方を見ると、クロエはクロエで元に戻した右手に注目していた。

 

「今は一体……」

「視覚的に変貌させただけだ。まぁ、本物を出すのは色々と問題があるしな」

「……本物?」

「ああ。まぁ本物って言ってもインフィニット・ストラトスみたいに装着するんだが、まぁアレみたいな感じだよ」

 

 ちょうど近くにあったおもちゃ紹介用の映像で女性俳優がバックルに何かを入れて起動させると、外部に人型サイズの装甲を纏った。

 

「腰回りに布が?」

「それはないから安心しな」

 

 まぁ、俺は双子ということもあって女装すれば短髪の箒みたいになると自負しているが、流石に女装は嫌だなぁ。そう考えると守るためとはいえ平然と女装して学園に入り込む悠夜は凄いんだな。

 

「で? クロエは一体ここで何を?」

「……買い物に」

 

 水着売り場で買い物とは、今度は一体何をするつもりなのやら。いや、クロエがいつも着ている服装で浜辺で水遊びしている姿は絶対に映えると思うがな。もしかして初日から来るつもりか、あの姉は。

 

「で、どうする? まだ買い物があるなら付き合うが」

「買い物はありませんが、行きたいところがあります」

「行きたいところ?」

「はい。付いて来てください」

 

 そう言って自然の流れで手を繋ぐクロエ。一瞬心臓が跳ねたが、すぐに気を落ち着かせて付いて行く。まぁあれだ。幸いクロエは俺よりも背が低いし、兄を自分が思っている場所に連れていきたい妹みたいなものだと思っておけば良いだろう―――と思っていた俺はすぐに後悔した。

 

「ここです」

 

 ショッピングモールの周りには、買い物を終わった後にするためにかご丁寧にホテル街が存在する。まぁレゾナンス自体は十年前にはなかったものでホテル街は元からあったから、おそらくレゾナンスで買い物した後に休憩所として設けたというのはあるかもしれないが。

 実は女尊男卑が進んだ今の社会でもホテル街というのはそれなりに需要があったりする。例えば援助交際や女性同士とか、割とそういう事に使われることが多い。

 

「……クロエ」

「何でしょう?」

「まだ俺たちにここから先は早いと思うんだけど」

「必要ですよ?」

 

 そんな可愛い顔して首を傾げるの止めろ。マジで興奮するから。可愛すぎて辛いってこういう事なんじゃないだろうか?

 

「ダメですか?」

「ダメです。他の買い物とかなら付き合うからそっちに行こう」

 

 と、逆方向に移動するとクロエは俺の腕にしがみつく。……まぁ、懐いているだけだろうし、これが平常運転だと思っておこう。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 一夏から離脱して武の様子を見ていた三人。途中で弾に丸投げしていたとはいえ、今は合流していた。

 少しベンチに座っていたが、何かに気付いた武が今度は別の女の子を連れてホテル街に向かっているのである。

 弾は唖然とし、一緒にいた鈴音とセシリアもいけないものを見ている気分になった。

 

「う、浮気?」

「落ち着け鈴。相手はあの武だぞ? 顔が似ているから、もしかしたら単にさっきの子に似ているだけかも……」

「いえ、それよりもボーデヴィッヒさんよりも親しそうですわ」

「ってか似ているだけなら他人の空似だし、どっちにしろ浮気じゃん……」

 

 そんなテンションで盛り上がる三人。その近くでは楓もまた弾たちの様子を伺っていた。

 

「ちょっと言ってくる。あれじゃあボーデヴィッヒが可哀想だし―――」

 

 鈴音が行こうとした時に楓は鎖を飛ばして拘束する。

 

「ちょっ!? 何!?」

「余計な事をしたら、中国滅ぼすよ?」

「……楓ちゃん?」

「やっほー、弾お兄ちゃん」

 

 手を振る楓に驚く弾だが、少し考えて「別にいつも通りか」と納得した。

 

「あの、あなたは―――」

「なんかお兄ちゃんの邪魔をしようとしている奴らがいるから、その邪魔をしに来たの」

 

 くすくすと笑いながら鈴音に近付く楓。そして距離を無くした後に銃を展開して先を鈴音の口に突っ込ませる。

 

「ここで殺しても良いんだけど、それじゃあつまらないか」

「あー、楓ちゃん。悪いんだけど離してやってくれないか?」

「別に良いけど、そうしたらもしかしたらこの女に薬刺しちゃうかも」

「それも止めてくれると助かる」

「仕方ないなー。弾お兄ちゃんは好きだから開放してあげる」

 

 楓は鎖と銃を収納して鈴音を解放する。

 

「アンタ、何者よ。弾の事を知っているみたいだけど」

「篠ノ之楓。篠ノ之姉兄姉妹が三女だよ」

「……知りませんわよ、それ」

「たぶん日本が秘匿しているんだよ。私の存在は特殊だし。そして天才だもん。捕まえたら技術進めちゃうからね。だから―――」

 

 楓は鈴音に顔を近づかせる。

 

「お前の精神を壊してお兄ちゃんの道具として存在することが生き甲斐なメスにすることだってできるわけ」

「まさか……ボーデヴィッヒの気持ちも操作したってわけ?」

「ま、種はあるけどそれは私は関係ないし、あれは天然ものだよ」

 

 と答える楓に戦慄する三人。さっきまでの殺意はなく、今は無邪気に振る舞っているためだ。

 

「だから邪魔しないで欲しいわけ。って言うか本気で邪魔しないで欲しいのよ」

「何でよ。あんな状況を許してやるほど、アタシは―――」

「今のお兄ちゃんってヤバいのよ。だから―――死にたくないなら今は行動しないで」

「……その言い方、まるで暴走でもするような―――」

「うん。するよ。そして果てに生存者はいない。理性なんて完全に飛んでいる状態で、お兄ちゃんは基本的に女は敵だと思っているから暴れ出したら止まらない。だからお兄ちゃんにはこれまで通り接してほしい。それに今の状況もそうだけど、ラウラお姉ちゃんと一緒にいる事だって付き合っているなんて思っていないぐらいなんだから」

 

 急に真面目な顔をして言った楓に何も言えなくなる三人。反論しようにも雰囲気から本気だという事を察してしまった。

 

 

 

 

 

 とある場所。ビルの一室で行われている会議。その席に座るのはすべてが女性で誰もが厳しい目付きをしている。それもそのはず。これから行われる作戦はある意味世界に喧嘩を売るようなものだ。幸いなのは、相手は世界そのものから嫌われているという事。おそらく、いつも通り話をすれば誰もが理解するだろう。彼女らは特にISが世に出てからその方法を取っていき、今も裏で牛耳り続けている。

 

「これが、篠ノ之武の関係者たちです」

 

 写真が並べられる。その中には武の周辺で特に武と仲が良いと思われる者がリストアップされているが、大半がIS学園関係者で容易に手を出せない存在だった。

 一人の女性がリストを確認し、一枚の写真を選ぶ。

 

「この女にしなさい」

 

 その写真は―――武の立場上の姪であるクロエ・クロニクルだった。

 彼女はここ数年、一人で買い物をしているところを目撃されている。彼女らはどういう関係かまではわからないが、少なくとも付き合いとしてはかなり深いと思われている。特に今回の調査ではクロエの方から抱き着いたりしていることも目撃されている。

 

「そうね。見せる前に洗脳すればそれで良いわ」

「そうですね。彼にはしっかり絶望を味わっていただき、自分がどれだけ愚かな事をし続けたのか自覚してもらいましょう」

 

 と、今から絶望する武の姿を想像する女たち。

 彼女たちは知らない。それは武だけでなく束にも喧嘩を売る行為だという事を。




ロリっ娘のビキニ姿って背徳感を感じる為、どうしても言い出せない武君でした。
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