オーバーロードRTA 王国救済の裏技   作:星デルタ

2 / 9
第二話の裏技

 

 

 幼女に声掛け事案(意味深)していくRTA、はーじまーるよー。

 前回は走者の類まれなる豪運で最高級ホモくんを手に入れたところまででした。今回は幼少期にできる限り知力を伸ばし、5歳時点でラナー王女と出会う事を目的として走っていきます。

 

>「流石でございます坊っちゃん。貴族の教育係として長年勤めてきましたが、まさか半年足らずでお役御免になってしまうとは……。初めての経験でございます」

初老の男性があなたに向かってうやうやしく頭を下げる。その眼には自分への尊敬と、少しの畏怖が混じっていた。

 

 はい、操作できるようになってすぐイベントが入りましたね。主人公くんの才能は人類史上最高峰なので、初期に付けられた教育役ではレベルが低くすぐ教えられることが無くなってしまいます。さっさとクビにしてもらってもっと高度な教育を受けさせてもらいましょう。

 

>「なんと、今の教育係ではレベルが低いというのか。うーむ、仕方がない。王都からもっといい者を連れてこよう」

あなたの父親がひげを撫でながらつぶやく。隣にいるあなたの母親と共に、息子の才能にとても喜んでいるようだ。

 

>「しかし、替えを呼ぶのには時間がかかる。その間、何かしたいことはないのか?」

 

 よし、自由行動イベントが来ましたね。三歳まではろくなイベントが無いのでスキップしていたのですが、その途中の主人公の行動によってはホモ君はとんでもないクソガキとなり、周りからの好感度も下がりに下がってこのイベントが発生しなくなることがあります。今回はテキストから察する限り家族仲も良好なようですね。『魔性の貌』で好感度補正も入っているのでしょうか。

 

>あなたは王宮に行ってみたいと答えた。

 

>「それはお前にはまだ早いだろう。考えておくから、他の事にしなさい」

 どうやら断られてしまったようだ……。

 

 なんで(憤怒)?ダメだって言っても行くんだよ王宮に……と言いたいところですが、これは断られる前提で言いました。他にも剣の修行がしたいとかガゼフ・ストローノフに会いたいとか言ってもステータスや名誉値諸々が足りていないので断られます。ですがここで王宮に興味がありますアピールをしておくことで、次回父親が王宮に行くときに好感度が足りていれば連れて行ってもらえるようになります。

 

>あなたは領地を見て回りたいと答えた。

 

>「ふむ、領地を見て回りたいのか。いいだろう、護衛の騎士を付けるから、気を付けて行ってきなさい」

 

 はい、ここで領地の状態を確認することが出来ます。先に言っておきますと、領地は100%荒れ果てています。このゲームでは原作通り、エ・ランテル領以外にまともな領地は存在しません。クソみたいな領地で可愛いね♡王国の未来を憂うわ。

 ですがクズにも十人十色と言うように、荒れた原因もそれぞれ違います。帝国と繋がってるとか、土地が貧しいとかですね。その中でも『八本指によって汚職が進んでいる』だと一番ありがたいのですが……。

 

>あなたは護衛を連れてイズエルク領を見て回った。道ゆく人の顔は暗くこけており、民が飢えていることが一目で分かった。

 

>『叡智の人(アポローン)』があなたの眼に知恵を授ける…!

 

>あなたはスラム街が町の規模に比べて大きい事と、そこに出入りする地方荘官に気づいた!

 

 よっしゃあ! このテキストが出たということは八本指が領地に蔓延っている事確定です! 余計なことしかしない害虫にたかられたイズエルク領くん可哀想…今助けてあげるからね♡

 

>あなたがスラム街を見ていることに気づいた護衛騎士は悲しい顔をしながら帰還を提案してきた。

>従うしかないようだ…。

 

 これで『領地に蔓延る八本指の存在に気づく』というフラグを得ました。帰ると父親から『明日から別の教育係が来る』と伝えられます。超スピード!? と言いたくなりますが、まあゲームなので仕方ないですね。テンポの犠牲になったのだ……犠牲の犠牲にな……。

 ちなみに次来る奴も全体から見ればせいぜい下の上くらいなので、どうせまた半年程度でいなくなることになります。ここからしばらくは教育係が来ては去っていく繰り返しで画面が単調なので、倍速でお送りします。

 

 甥の木村、加速します(倍速中)……

 

 この倍速処理中にルートに関して説明しておきましょうか。今回のルートにおけるキーパーソンは3人います。

 一人目はメンヘラ骨太郎ことアインズ・ウール・ゴウン。これはもう言うまでもありませんね。いくら王国が強国に成長してようが、ナザリックにとってはアリがちょっとでかくなったようなもんです。全く違いがありません。いかに早くナザリック勢と友好的に接触し、アインズ様の好感度を稼げるかが肝になります。

 二人目は法国の執政官たち。残念ながら王国に自浄作用なんざ期待するだけ無駄です。どこかで腐敗した貴族たちを切り落とす大粛清を行わなければいけません。そのための武力調達先として最も有用なのが法国くんです。もともと法国くんは王国に豊かになってほしかった立場なので、ちょっと主人公が有能さを発揮すれば精鋭部隊を派遣してくれます。なんや法国くんチョロインやんけ! いっぱいちゅき♡

 三人目にして最も攻略手段に難儀するキャラが、我らがヤンデレ腹黒王女様、ラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフです。原作ではナザリックにいち早く接触して売国かました行動力ありまくりのヤンデレです。その暗黒の頭脳はナザリックの最上位勢にも匹敵するとかいう、まさに生きるバグみたいな存在です。ですが幼少期は自分と周りの人との乖離に悩むかわいらしい一面もあり、まさにそこが攻略の鍵になってきます。

 

 このルートでは彼らを最大限活用しまくって王国の軟着陸を狙いましょう。

 まずは幼少期に教育係を変えまくって天才エピソードを存分に貯めていきます。こうしているといずれ『イズエルクの一人息子は大変な天才であるらしい』との噂がどんどん広まっていくので、名声値の上昇も見込めます。

 噂が十分に広まったと判断したら、父親と共に王宮へ向かい、ラナー王女と接触します。彼女は当時『訳の分からないことを言う不気味なガキ』と避けられているので、その心の隙間に付け込んで(ゲス)、何とか『王国にはいい人間もいる』と思ってもらいましょう。将来の売国を避けることができ、曲がりなりにも王族の権力を借りることで領地の運営や他陣営との交渉がうまくいきやすくなります。どこに地雷があるか分からない彼女はほぼ猛獣みたいなもんなので、丁重に扱いましょう。暴れるなよ…暴れるなよ…。

 

>あなたが五歳の誕生日を迎えてからしばらくたった。すでに王国内で最高の教育係がつけられているが、彼もまた半年持たずに変わってしまいそうだ。

>ある日、父親が王宮に登庁するということで、あなたも一緒に連れて行ってもらえることになった。

>「いいか、王宮は二枚舌ばかりの伏魔殿だ。お前なら心配ないと思って連れていくが、何か困ったことがあればすぐに私に言うんだぞ」

>真剣な表情をする父に、あなたは笑顔で頷いた。夢にまで見たキラキラの王宮! どんなものがあるのか、今からあなたは楽しみで仕方がなかった。

 

 か゛わ゛い゛い゛な゛ぁ゛ホモ君……。選択肢でカルマを上げまくったホモ君は超有能な善良ショタです。蒼の薔薇のショタコンが見たら黙ってないでしょう。こうでもしないとナザリックに寝返っちゃうからね、仕方ないね……。それでは王宮に着いたらラナー王女に会うために中庭、図書室、庭園裏の順番で見て回りましょう。

 

>あなたは庭園裏に足を運んだ。手入れの行き届いた薔薇園から少し離れたここは、雑草と虫で荒れ果てている。今の王国を象徴するようなこの場を見て、あなたは少し嫌な気分になった……。

> ! あなたは一人の少女が一人でうずくまっているのを発見した。

 

 お、ラナーちゃん発見しましたね。途中二回からぶったのはガバですが、まあ誤差だよ誤差。早速話しかけましょう。

>「あなたは……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 私、ラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフにとって、王宮というのは実に息の詰まる場所だった。

 無能。無能。無能。私の周りにいる人たちはどいつもこいつも脳を胎内に置き忘れたんじゃないかと思うくらいの能無しばかりだった。

 誰も私の言うことを理解してくれない。それどころか、自分の無能さを棚に上げて『あいつは意味の分からないことしか言わない』と蔑んでくる。

 どうして? 私はただ理解してほしいだけ。もっと効率のいい手段、もっと手際のいい解決策。もっと皆が幸せになれる方法を教えてあげたいだけなのに。

 精神の異形種。私はきっとそう呼ばれるべき存在だった。彼らが私を理解しないのと同様、私も彼らの事が理解できないのだから。

 

 世界で一人しかいないような疎外感。周りから疎まれることへのストレスはまだ幼い私を蝕み、私は徐々に衰弱していった。

 この先、自分には二つの道しかなかったと思う。つまり、誰にも理解されないことを悲しんでゆるやかな自死にむかうか、余計なモノ全てを振り切って完成されたバケモノになるか。

 

 どっちにしろそれはもうヒトではない。幼い私、ラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフはここで死ぬ運命にあった。

 

 だから。

 だから、私が()の事をどう思っているかなんて、今更言うまでもないだろう。

 

 唯一私を理解してくれた人。唯一私に()()()()()くれた人。彼といる時だけ、私は普通の少女の様にはしゃぎ、思いっきり息をすることが出来た。

 今は彼こそが私にとって唯一の同種。

 この凡愚しかいない世界で、ただ一人しかいない私の大切な人。

 彼はまだ王国のカスどもを救うことに奔走しているみたいだが、いつかきっと気づくだろう。彼にとって、私以外のすべてが取るに足らないこと。そして私が彼に並びたてる唯一の同類だということに。その時、知性が劣る虫けらのような存在を今まで丁重に扱っていたことをきっと恥ずかしく思うはずだ。

 まあ、それまでは許してあげよう。何の価値もないガラクタを大切にしているのも見逃してあげよう。

「夫のコレクションを許してあげるのも、妻の度量というものですものね」

 世の中にはそれで離婚するものもいるというのだから度し難いものだ。私はそうならないように気を付けておこう。スポンジのような脳を持った下等生物も、彼が愛しているのだから大事にしてあげよう。

 

「……何かおっしゃいましたか、ラナー王女?」

「ふふふっ。何でもありませんよ、私のホールド」

 

 ただ、いつまでも私より大事にしているようだったら……その時は、私が捨ててあげるわね?

 

 




うーん、ガバは無いな(盲目)!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。