オーバーロードRTA 王国救済の裏技 作:星デルタ
他の人から見たホモ君編。
【イズエルク領の代官かく語りき】
最初に見たときは、『なんか知らんが変なガキが来た』程度の認識だった。
この国で幸せに暮らすためには、なにはなくともまず馬鹿じゃなきゃいけない。ちょっとでもマトモな頭を持ってりゃあ、自分がいかに詰んでるかってのを理解して生きていけなくなるからだ。
幸いにして俺はそれなりにバカでそれなりに優秀だったから、貧民出身でも要領よく商業ギルドの下っ端として適当に過ごすことが出来た。
凝り固まった権力は腐敗を生む。このギルドのトップは何代も前からの世襲制で、どんなボンクラだってハンコを押せさえすればギルド長になれる。んで、そんな無能がトップに立ってまともな事をする訳がないし、そんな奴の下にまともな奴が集まるわけもない。
俺が入った時のギルドはまあ酷いもんだった。親のコネだけで生きてるようなやつが若い女子職員にセクハラして、その下で俺みたいなチンピラあがりがヘラヘラ昼間っから酒を飲んでんのさ。誰も口に出さなかったけど、八本指らしき奴が普通にギルド長の部屋にいるのも見たぜ。
だけど、別に俺は何も思わなかった。良い事したら良い事が返ってくるなんて、きょうびガキでも思ってねえ。何十年後かにはこの国は滅びて帝国に飲み込まれてるだろうが、だからって俺には何の影響もない。年寄りになっても同じように、ヘラヘラ笑って酒を飲むだけだ。
そんな風に諦観を貼り付けて生きてきたから、『領主の息子が視察に来る』なんて聞いた時も、床に転がった酒瓶を片付けようとすら思わなかったね。注意されても「あんたも一杯どうだい?」なんてかましてやるつもりだった。
だから、まさかあんな怪物が来るなんて予想もしてなかったんだ。
「父の名代で来ました。ホールド・モルデラ・デイル・イズエルクです。ここの案内をしてもらえますか?」
思わず背筋が伸びたね。そいつがギルドに現れた瞬間から、そこはもうギルドじゃなくて奴のための劇場だった。
普段威張り腐ってるコネ野郎も間抜け面晒して、「あぁ」だの「うぅ」だの呻くだけになってしまったし、女子職員は地上の太陽みてえなそいつの顔から一ミリも目線を動かさなくなっちまった。
まあ、俺が言えた口じゃないんだけどな。床に散らばった酒瓶を慌てて掻き集めたし、よれた制服のシワを取らなかったことを死ぬほど後悔した。
今やうめき声しか出せなくなったコネ野郎が元々の案内役だったんだろう、そいつはちょっと困惑したように眉を寄せて俺にこう言った。
「困りましたね。そこのあなた、代わりに案内をお願いしていいですか?」
勘弁してくれって思ったね。ここまで見た瞬間に『ああ、格が違う』なんて思わされたのは初めての経験だったからだ。貴族ってのはみんなこんな感じなのか? 正直もう帰って寝てすべて忘れたかったし、二度とこいつに会いたくないとすら思った。
「畏まりました。わたくし、イズエルク領商業ギルド職員のトロントと申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします」
まあ、拒否できるわけもないんだが。ペラペラ回る口を持ってて本当に良かったぜ。
しかしこんなガキに何を案内すりゃあいいんだ、こりゃあガキのお使いのお手伝いかな? なんて俺は困ったんだが、数十分後には全く逆の理由でもっと困ることになる。
視察なんて、普通ちょっとお偉いさんと挨拶して飲みに行って終わりだ。だというのに、そいつはギルドのありとあらゆる所に首を突っ込み、少しでも非効率なところがあれば積極的に改善しようとした。勘弁してほしかったぜ。そんなもん皆気付いてて、でもどうしようもねえから諦めてんだよ。そう言えればどれほど楽だったろうか。
「ありがとうございました。また明日もよろしくお願いしますね」
聞き間違いだよな? 明日も来るって言ったか? いやいやまさか、この年の貴族はクズな遊びに手を染めるばかりのはずだ、(娼館選びを)よろしくおねがいしますの聞き違いだろう。
「こんにちは、トロントさん。今日もよろしくお願いしますね?」
間違いじゃなかった。クソが。しかもこいつはそれから毎日来た。毎日だ。今までぬるま湯だった職場に、貴族のガキが毎日来て、毎日俺に質問してきやがる。
しかも、こいつはこれ以上ないってほどに有能だった。初日の頃は誰にでも言えるようなことしか言わなかったくせに、来るごとに指摘が冴えていき、誰も思いつかなかった改善案を出してくる。
居心地が悪かった。ここはクズの俺にふさわしい掃きだめで、誰も彼も死んだ目をしていたはずだったんだ。
それがあのガキが来てからどうだ? ゴミと酒瓶でいっぱいだった床はホコリ一つないほど綺麗になり、上司からのセクハラに耐えるだけだった女子職員はいつあのガキが来てもいいようにと嬉しそうに着飾ってる。前は審査に何時間もかかっていた書類は即ハンコ付きで返されるようになり、死んだ目仲間だった同僚達はいまや働くことが楽しくって仕方がないって感じだ。はっきり言って、奴は侵略者だった。ゆるやかな閉塞感に包まれていた安息の揺り篭を壊す、俺の敵だった。
敵は、倒さなければいけない。
鬱屈した感情が爆発したのは、案内の途中の休憩時間だった。
一度言ってしまえば口も滑らかになるものだ。立場の違いも忘れ、俺は奴に悪態の限りを尽くした。
「悪いがもう俺に関わらないでくれ。俺はもうギルドを辞める。あんたのことが嫌いだからだ」
「街であんたのこと皆が何て言ってるか知ってるかい? 太陽の御子だってよ。恥ずかしくないのか? 俺なら恥ずかしい。とてもじゃないが外を出歩けないね」
「どうせそのお綺麗なツラの裏ではどいつもこいつも見下してるんだろう? 自分は特別で、周りとはちがうんだーっつってなぁ」
「周りがいかに褒めそやそうが、あんたを心の底から嫌っている奴がここに一人いることをよーく覚えとけよ。迷惑なんだよ。せっかく居心地のいい職場だったのに、あんたが来てから皆熱に浮かされたようだ」
「どうせあんたを慕っている奴も、あんたを不気味に思っていつかいなくなる。住む世界が違うんだ、太陽に近づきすぎた凡人は焼かれて死ぬだけなんだよ。その時に『ああ僕は下賤の民と近づくべきじゃなかった』ってせいぜい後悔しろ」
こんな感じの事を、思いつくままに言った。支離滅裂だっていい、とにかくこいつを傷つけたかった。傷つけて距離を取りたかった。これ以上こいつの近くにいて、自分に期待してしまうのが嫌だった。良い生活ができるんじゃないか、幸せになれるんじゃないかって期待するのが苦しかったんだ。
奴は大の大人にすごまれてるってのにも関わらず、ずっと笑顔だった。それが死ぬほど癪に障って、気づいた時には俺は奴の胸倉をつかみ上げていた。
「耳わりぃのか!? 何黙ってやがる、なんか言ってみたらどうなんだ! そんなに俺をバカにしてぇのか!?」
「げふ……っ。いえ、すみません。嬉しかったんです。あなたが初めて心から話してくれましたから」
は? って感じだよな。罵声を浴びせられて嬉しいだと? 思わず力が抜けて胸倉から離した俺の手を、奴は掴んでこう言った。
「ほら、こんなに近づいても焼けたりしませんよ。周りは色々と持ち上げてくれますが、僕なんて大したことありません。さっき言ったことは間違いです。僕は太陽なんかじゃないし、あなただって凡人なんかじゃない」
「は……はぁ!?」
「初めて僕がここに来た時のことを覚えていますか? あの時、ギルドの中であなたが一番僕の話を真面目に聞いてくれた。貴族で、調子に乗ってて、大嫌いな僕の話を、だけどあなたは一度だって馬鹿にしなかった。知ってますよ? あなたが陰日向から女性職員を守ろうとしていたこと。僕を疎んで、馬鹿にしていた上司を説得してくれたこと。あなたは優秀で、優しくて、気高い人間です。だから、自分のことをそう嫌いにならないでください」
僕が悲しいです。そう言って奴はにっこりと笑った。街の異名がすとんと腑に落ちる、太陽のような笑顔だった。
本当に、あの時来るのがこんな怪物だと知っていたら一も二もなくサボっていたのに。こいつに出会ったのは人生最悪の間違いだった。限界だ。この引力から、もう逃げられない。
「それと、そんなに汚い言葉遣いはいけません。お嫁の貰い手がありませんよ? ……ふふっ、さんざん悪口を言われましたから、ちょっと仕返しです」
そう言って、するりと手を放して奴は廊下を去っていった。俺はただ茫然としてその背中を見送っていた。
それから、奴は二度とギルドに来なかった。その代わり、どこそこの地主に輪作かなんかの交渉をしに行ったとか、人足を募って下水道の整備をしたとか、そういう噂がどんどん聞こえるようになった。
俺は、まずきちんとした貴族の作法を勉強した。ぼさぼさの長髪を梳かし、いつも睨め付けているように見えるこの目つきも眼鏡で隠した。よれたボロ服ではなく、きちんとした礼服を初めて買った。
スラム上がりの荒れた女はいなくなって、代官採用試験に挑む勤勉な女学生が生まれた。
「それでは、面接試験を始めます。呼ばれた方から別室へお入りください」
聞いた話では、どうもホールド家にも色々あったらしい。あいつの父親はいなくなって、今はあいつがホールド家の当主だそうだ。その余波で役人の数が足りなくなり、俺にチャンスが生まれたのだから嬉しい限りだ。
「よう天才。凡人を焼くことにそろそろ罪悪感を覚えてきたか?」
久しぶりにみるあいつは、昔よりもはるかに成長していつつも、どこかあの時より柔らかい雰囲気を纏うようになっていた。太陽の輝きのような美貌がまずは困惑を浮かべ、そして次第に笑顔に変わっていく。
本人が何と言おうと、ホールド・モルデラ・デイル・イズエルクは地上の太陽だ。近づいた凡人は皆、焼かれると知っていても離れられない運命にある。
「失礼な受験生ですね。ふふっ、失格にしますよ?」
――だったら、せめて誰よりも近くに。
そう思いながら、俺はにやりと笑った。
「よう、俺だ。覚えてるか? 嫁の貰い手に困ってな。ここで拾ってもらえるか?」
【イジャニーヤの暗殺者かく語りき】
暗殺者に思考はいらない。ただ命令を実行する機械であればいい。
私はそう教えられてきた。まったくもってその通りだと思う。迷いは遅れにつながり、恐れは敗北につながる。暗殺者はそれらすべてを超越し、ただ相手に恐怖を与えるだけの存在にならなくてはならない。
うむ、かっこよくて良い教えだ。自分はそれを完璧に守っていると自負している。
ただ、それはそれとして。
依頼主の望みに応えるために、暗殺者は全力を尽くすべきだ。口に出さない種々の望みを叶えてこそ一流の証である。そのためには多少上記の教えを破っても、まあ仕方ないと言える。
「あのー……。圧がすごいんですけど」
部屋の隅でずっと依頼主を眺めていても、それもまた一流の証なのである。そういうことなのだ。
「暗殺者に思考は必要ない。私はただ護衛を務めて居るだけ。圧はホールド様の気のせい」
八本指の捜査を終えても、自分はこの少年に雇われていた。あの時の自分はのりにのっていたため、あっという間に仕事を完了させることが出来た。その辣腕に感服したのだろう、少年が自分の護衛兼子飼いの諜報員として雇いたいと交渉してきたのだ。正確に言えば自分から交渉を持ちかけた気もするが、それは彼の熱い目線がそうしてくれと訴えかけていたからだ。暗殺者に思考は必要ない。
「たしか八本指がまた入り込んでいないかの調査をお願いしていましたよね。もう終わったんですか?」
「当然。すでに担当者に報告書も上げてある」
不思議な話だが、この少年のもとで様々な依頼をこなす内に技のキレが上がってきた気がする。これもまた一流の証……? まあとにかく、自分は仕事に手抜かりするような性格ではない。綿密な報連相は当たり前のことだ。
「うーん……優秀は優秀なんだよなぁ……これで他の領の偵察にも行ってくれたら文句なしなんですけどね?」
「それは無理。あなたの周りの警備ができなくなる」
「寝る時まで一緒にいる必要はないと思いますけどね……!」
そう言って雇い主がかぶりを振る。彼は優秀だが、自分の進言を時々聞き入れてくれないのが玉に瑕だ。寝る時こそ生物が最も危険な時間帯ではないか。だからこそ自分も同じベッドに入って警護するべきなのだが、断固として断られてしまった。何とか寝室に待機することは呑ませたが、それもどうやら不満なようらしい。
やれやれ。しかしわがままを言う依頼主の要望に応えるのもまた一流の暗殺者の証。今のところは我慢しておこう。
「僕、あなたの言う『暗殺者に思考はいらない』ほど薄っぺらな言葉を聞いたことありませんよ」
「心外。私に意思はない。ただ依頼人の命令に従う機械になんてことを言う」
自分は依頼人の深層心理に寄り添っているだけだというのに。
「私はあなたのメンタルケアを行う必要性を感じている。父親の悪事を告発するのは大きな負担だったはず」
空気が少し張り詰めたのが分かった。
自分が上げた報告を読んだホールド様はしばらく酷く苦しんでいた。まだ幼かった彼にとって、父親が汚職に手を染めているというだけでショックだったはずだ。そしてそれを自分が裁かなければいけないとなればなおさら。
自分はその場にいなかったため詳しいことは知らないが、王都の協力者のおかげで命だけは助けられたのはきっと幸運だったのだろう。
「……心配してくれているんですね」
「別に、そんなことは無い。私に意思はない」
自分に言い聞かせるようにそう言い、さらに続ける。
「ただ。護衛とは、物理的なものだけではない。傷ついた主の心を癒すのも、一流の暗殺者の務めだと思っただけ」
「ふふっ…! なんですか、それ。前から思ってましたけど、一流って言いたいだけじゃないですか?」
笑顔を見せてくれた。可愛い。ちなみに今の可愛いというのは恋愛感情ではなく慈しみの心から来るものなので誤解しないように。早口になんてなってない。
「確かに、最初は辛かったですよ? 父さんのことは大好きでしたから。一瞬、自分が揉み消せばなんて考えたりもしました」
「……無理もない」
「きっと、あれは何かの分岐点だったのだと思います。正義を捨てるか、正義に全てを捧げるか。きっとどちらの道を選んでも、僕は二度と自分のことを好きになれなかったと思います」
「今は、違うの?」
「ええ。少し考えを変えたんです。今まで、正しく生きれば幸せになれると思っていました。僕たちの頭上には絶対的な正義が太陽のように浮かんでいて、それに従って生きるのが正しいことだって思ってたんです。でも違うんですよね。何が正しいかなんて、みんなで話し合わなきゃ決められないんです。僕はこれから、一生かけて『皆が幸せになれる正義』を探していくんですよ」
そう語る彼の顔は、まだ幼い少年のものとは思えないほど成熟していて、思わず私は言葉を失ってしまった。
――きっとホールド様は、将来とんでもない人物になる。それを一番近くで支える事こそ、自分の役目な様に思えた。そう、きっとそれが一流の暗殺者の証というやつだ。
「……よし、仕事も終わったしご飯にしましょうか」
「了解した。毒見なら任せてほしい」
「嫌ですよあなた7割もってくんですから……!」
【イズエルク領元領主かく語りき】
どこから間違えたのかと言えば、きっと最初からとしか言いようがない。
青き血をもつ者としての責務。ノブレス・オブリージュ。そういったものに熱意を燃やしていた頃が遠い昔のようだった。
厳しい教育と悪い遊びの誘惑に耐え、王国法の判例を詰め込んだあの日。煩雑なマナーが何度やっても覚えられず、手に鞭を受けて泣きながら奮闘したあの日。尊敬する父から家督を受け継ぎ、イズエルク領をさらに発展させていこうと意気込んだあの日。その全てが無駄だった。私は周囲からの期待も、親からの愛情も裏切ってしまった。全く貴族としての資質を持たない落ちこぼれだったのだ。
的外れな施策を行い、そのたびに失望のまなざしを向けられる日々。こんなはずじゃなかったという思いは日々膨らんでいき、いつしか私には諦念がこびりついていた。
そんな時、ある商人が取引を持ち掛けてきた。自分にかかれば、領地をもっと発展させる有能な人材を紹介できると持ち掛けてきたのだ。疲れ切っていた私はその話に乗り、紹介された人材を役人として迎え入れた。
この時に死んでいればよかった。この時に自殺していれば、その後の身を焦がすような苦しみを味わわなくて済んだというのに。
紹介された人材はみな優秀なものばかりで、優れた政策を次々と打ち出していった。領地の中での私の評判はみるみる回復し、私は有頂天になった。
みたか! これが私の力だ! 貴族に必要なのは頭脳ではない、優秀な人材を見つけて任せる力なのだ! そう驕る私のなんと滑稽な事か。
彼らが皆八本指の下部組織であり、政策はすべて自作自演という事に気付いたのは、全てが手遅れになってからだった。
すでに彼らはこの街に根を張っており、そして自分は逆らう気力も起こらないほど徹底的に懐柔されていた。
一度自分はとことん失敗しているのだ。無能な貴族である私が、王国最大の闇組織である彼らを追い出す? いったいどうやって。 それに追い出した後、どうやって統治していくつもりなのだ。それが出来なかったから八本指に付け込まれたというのに。夢を見るのは寝る時だけにしておけ。彼らを放っておけばほら、こんなにも旨い蜜を吸わせてくれる……。
死にながら、苦しみながら生きているようだった。
家族といる時間だけ、自分の罪深さを忘れられた。私の最愛の家族。遠縁の親戚からとった気立てのいい妻に、初めてできた聡明な息子。息子のホールドの頭の良さはすさまじく、私が長年かけて身につけたことをたったの半年でものにしていった。
全く嫉妬しない自分に、逆に驚いた。息子がどんどん成長していくのが素直に嬉しかった。彼ならきっと、私のように八本指につけ込まれるようなこともない。安心して自分の後を任せられる、素晴らしい息子だと思った。不器用な自分なりに、全力で愛情を注いだ。
ああ、自分は最初から間違えていた愚か者だった。
家督を継ぐべきではなかった。商人の甘言に乗せられるべきではなかった。真に息子のことを考えるなら、八本指に気づいた時点で何らかの対策を考えるべきだった。家族の思い出をもっと作っておくべきだった。あの子と、父親らしくキャッチボールでもしてあげればよかったのだ。
自分は裁かれる。それは構わない。与えられる苦痛のすべてが、我々への罰に過ぎない。ただホールドよ、わが最愛の、今は遠くにいる息子よ。
願わくばもう一度、君にパパと呼んでほしかったよ。
「あーあ、早くホールドも王宮に来ないでしょうか? ずっと領地にいたらつまんないです! あ、そうだ! 今度の手紙はそういう内容にしてくださいね? もし来てくれたら……そうですね、一週間延ばしてあげましょう!」
ラナーちゃん良い空気吸ってるなあ