オーバーロードRTA 王国救済の裏技   作:星デルタ

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遅れてすみません。
課題に追われていたので初投稿です。



第八話の裏技

 生き残るのはこの世の『真実』だけだ…なRTA、はーじまーるよー。

 前回は我らがラナー派閥の決起集会の模様をお届けしました。今回は貴族派閥に取り入ってどんどん名を売りつつ、法国が早く接触してくれるようにアピールしていきましょう。

 

>あなたはレエブン侯の口利きで、ボウロロープ侯が主催するパーティーに参加していた。

豪奢な会場の中、着飾った貴族たちが自分にチラチラと目線を向けているのが見える。あなたは当主となったばかりであり、こういったパーティーに参加するのは初めてだ。周りの貴族に値踏みされるのを感じる。

 

>あなたは既に領地を見事に治めた実績を持っている……!

 

>周りの目線はあなたを称賛するもの、何とかして自派閥に取り込もうとするもので一杯だ!

 

 貴族界のパーティーは闇。これだけははっきりと真実を伝えたかった。

 ここまで稼いできた実績のおかげで、いきなり子供がパーティーに参加しても誰もホモ君を侮ったりなんかしません。様々な貴族が自分の派閥に入らないかとモーションをかけてきますね。何だお前!?

 まあホモ君の魅力と頭脳ならどうとでもなります。適当に周りをさばいて、本命の到着を待ちましょう。

 

>「やあ、ホールド君。パーティーは楽しんでくれているかね?」

周囲との歓談が一区切りついた頃、厳めしい顔をした大柄な男性があなたに声をかけてきた。

前線を退き身体は衰えたが、それでも今なお鋭い眼差しや声の張りに戦士の名残が窺える。彼こそ貴族派閥のトップであるボウロロープ侯であり、あなたが最終的に取り入るべき相手だ。

 

 来ましたねこのガチムチのホモが…(風評被害)。

 彼こそがこのゲーム屈指のイケオジ枠、ボウロロープ侯です。原作ではアインズ様が召喚した黒山羊でペッチャンコにされてしまった事しか見せ場がない、大変可愛そうなキャラですね。

 

 彼に気に入られる為にはどうすればいいか解説しましょう。

 貴族派閥とか言う無能共のトップである彼ですが、実際の所指揮官としてみればそこそこ有能なんですよね。仮に彼が王国最強の戦士、ガゼフ・ストロノーフと同じ部隊を指揮したとして、恐らくボウロロープ侯の方が勝つでしょう。それくらい指揮官としての腕前は卓越してます。

 ですが長所は短所と紙一重。

 軍事に傾倒しすぎるあまり、それ以外を軽視しがちなのが彼の最大の無能ポイントです。軍部至上主義の老害と言えばわかりやすいでしょうか。彼に気に入られる為には、いくら内政で成果を上げても意味がありません。彼の好きな軍事方面から攻めていきましょう。

 

>あなたはボウロロープ侯と戦術に関する談義で盛り上がった。

ボウロロープ侯は魔術師より戦士に重きをおいた考えのようだ。野戦において、詠唱が必要な魔術師は精々一発しか魔法を放つことが出来ない。それならば騎兵がそれを耐えられるよう教練し、しかるのちに必殺の突撃(チャージ)をぶちかませばよい、という彼の熱い語りをあなたは辛抱強く聞いた。

 

 まるでキャバ嬢相手にいい気になって熱演するジジイのようだあ……(直喩)。

 彼の思想の根本には魔法への無理解と、今までそれで戦果を上げてきた過去への執着がこびりついています。一朝一夕にどうにかなるものではありません。ここは適当にうなずいておいて、たまに鋭い一言を放って喜ばせておきましょう。あっという間にホモ君を気に入ってくれます。

 

>「はっはっは! 王国きっての才児と聞いてはいたが、全くもって予想以上だ! 君は実に見込みがある!」

そう言ってボウロロープ侯は豪快に笑ってみせた。第一印象は悪くないようだ……。

 

 良し(ベネ)。ファーストコミュニケーションは完璧ですね。戦術に明るいとの印象も与えられたのでなお良しです。

 これからはボウロロープ侯率いる貴族派閥に入り、彼らと外交を重ねて仲を深めていくことになります。特にボウロロープ侯は軍事に関しては明るいので、有能さを見せつけてやれば帝国との戦争で彼の部隊の指揮を任されることだってあります。ぜひそこまで信頼されたいものですね。

 

>初めてのパーティーは非常に満足のいく結果となった。あなたはこれからどうやって彼らの中枢へ取り入っていくか考えながら、パーティー会場を後にした……。

 

 欲望渦巻く貴族社会に順応していくことで、ホモ君のカルマも少し下がってきましたね。ガバのリカバリーが順調で嬉しい限りです。さっさとカルマを0にして善にも悪にもよらない完成された人間になるんだよ、おうあくしろよ。本当はもっと早くにこうなってくれる予定だったんですが……まま、いいでしょう。この世界、善良でいて得することなんか数えるほどしかありません。やっとホモ君も清濁併せ呑む覚悟が育ってきているようで嬉しいですね(親目線)。

 

 さて、その持ち前の魅力で貴族派閥に食い込んだホモ君ですが、しかしボウロロープ侯はいわば前哨戦。真に大変なのはここからです。

 なんとここからは屈指のリセポイント、秘密主義極まる近隣最強国家法国の特殊部隊が接触してくれるのを待つお祈りタイムが発生します。ふざけるな!(衛宮切嗣)

 

 原作未読兄貴たちの為にご説明いたしますと、法国と言うのは周辺国家最強の戦力を擁する覇権国家であり、実は最弱である人類種の守護者として日々身を擦り減らしている超有能国家です。しかし人類種を守るためには手段を選ばない所があり、腐敗しきった王国は人類の足枷にしかならないと判断して帝国に滅ぼさせようとしています。お慈悲^~。

 

 ですが彼らの人類種を守りたいという信念だけは本物であり、そこにホモ君が付け込む隙があります。基本法国出身でもない限りほぼ接触の機会が無い法国ですが、名声値を一定以上稼ぐと法国勢が『味方に取り込む価値あり』として交渉してくるイベントが発生します。そこで彼らを説得し、王国を滅ぼすよりも良い案を提示することが出来れば彼らは普通に賛同してくれます。法国も別に好き好んで王国を滅ぼしたいわけじゃありませんからね。

 いかに上手く法国の譲歩を引き出すか、その説得フェイズがある意味私の腕の見せ所さんな訳ですが……このイベント、発生時期がランダムなんですよね。名声値の高さと発生確率はある程度比例しますが、あくまである程度。なんやこのクソイベ!? ここは私の祈祷力も試されると言ってよいでしょう。

 

>領地に戻った後も、あなたのやる事は変わらない。今まで通り領地を改善していき、すっかり自分のそばが定位置となったイジャニーヤを使って不穏分子を炙り出していく。そういえば彼女の名前は何というのだろうか……?

 

>ただ今までと少し変わったのは、他の貴族たちとの交渉が新たな仕事として加わったことだ。あなたの改革によって豊かになり、八本指の排除も成したあなたの領地と違い、他の領地は未だ貧しく、貧困と賄賂が蔓延している。きっと自分の父は、この様にして少しずつ汚職に手を染めていったのだろう。

 

 ホモ君が(今は亡き)父親を思い出してしんみりしてますね。八本指を排除したと言っても、あくまでそれはイズエルク領のみの話。他の貴族領ではブイブイ言わせていますし、こっちも対策を取らなければまた前に逆戻りです。ですがピンチはチャンス、名誉値が服着て歩いてるような彼らをもう一度ぶちのめしてやりましょう。

 

>『お前は自慢の息子だ』という父の言葉が、あなたの胸の中で暖かく残っている。あの時の父は、罪を暴かれているというのにどこかホッとしたような表情をしていた。卑怯な手段で一時豊かになったとしても、それは他の何かを犠牲にしているだけだ。もう二度と、あのような事を繰り返させはしない。

>あなたは他の貴族の領地経営に懇切丁寧にアドバイスを送り、彼らの領地を豊かにさせるとともに八本指の影響力を少しずつ削いでいった。

 

 ああ^~名誉値の音^~。前にも言いましたが、悪党をぶちのめすというのは名誉値稼ぎの上で非常にうま(テイスト)です。こんなもん(名誉値)なんぼあっても困りませんからね。このまま周辺貴族への影響力を強めつつ法国からの接触を待ちましょう。それでは法国の使者が来るまで倍速です。

 

>(走者倍速中……)

 

>(走者倍速中……)

 

>(走者倍速中……)

 

 すいませ~ん、木下ですけどぉ! ま~だ時間かかりそうですかねぇ~!

 

>昼下がり。あなたはいつも通り、執務室で書類を捌いていた。

「……っ! ホールド、今すぐ下がって」

傍にいたイジャニーヤが、突然あなたの襟首を掴んで自らの背後へと引っ張った。

……! いつのまにか、部屋の中央にあるテーブルに誰かが座っている! 突如現れた金髪の軽薄そうな男は、こちらを一瞥するとへらりと微笑んでこう言った。

「ええー、もう見つかったんですかぁ? すげーな、噂には聞いていましたけどマジで良い護衛雇ってるんすね~」

そこからの数瞬は、あなたの目ではとても捉えきれなかった。イジャニーヤが暗器を抜いて飛び掛かり、室内を暴風が吹き荒れたと思った次の瞬間には、彼はイジャニーヤを床に組み伏せていた。

「おおっと、ちょっと待ってくださいって! 突然来たのは謝りますから、ちょっとは話聞いてくださいよ」

そのヘラヘラとした顔を全く崩さない彼を見て、あなたの脳内を一瞬で様々な考えがよぎる。自分の身を守るため、この部屋には隠し通路といくつかの武装がある。しかし、あなたの知る限り最高の暗殺者である彼女をこうも容易く制圧した相手に対し、はたしてそれが通用するだろうか? それに相手の目的も人数も不明。そして、彼はこちらに対し確かに敵意がないように見える……。

結論を出したあなたは、落ち着いた表情で『まずは紅茶でも入れましょうか』と笑ってみせた。

「おっと、話が早いのは僕的にポイント高いですよ。どうもこんにちは、スレイン法国から来た風花聖典の者です。……って、他国の人にはこう言っても伝わらないっすよね!」

 

 来ました! 法国の接触、しかも六色聖典です! ちょっとタイムが遅れたときは焦りましたが、ただの下っ端ではなく六色聖典が出てきたのでお釣りが出ますよ。

 幸先が良くなった所で今回はここまで。次回はやっと来た法国とのファーストコミュニケーションと、恐らくホモ君を裏切るであろうラナー王女対策の模様をお届けしましょう。それでは、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 


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