日常掌編集のような短編百合

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葵(あおい)  ミルクティー色の髪と黒目のハーフのJK 口が悪い
柚子(ゆずこ) 黒髪黒目身長150センチのJK 幼女時代に出会ったお姉さんが忘れられない


大体君のせい

 

「あの!突然失礼します!お母さんか歳の離れたお姉さんがおられたら紹介してください!」

 

葵が学校の廊下を歩いているときにそれは起こった。

おそらく別のクラスの、目の前で頭を下げる少女を見下ろす。

 

「それは……ナンパとしては最低の類だと思うんだけど」

 

とりあえず浮かんだ言葉が口から出た。

 

 

 

 

 

どうやら同学年の別のクラス所属だったらしい少女――柚子と名乗った、によると10年以上前にお世話になった憧れのお姉さんにとてもよく似ていたけど、葵が同年代だったのでそういうお願いに至ったということだった。

 

あの後、とりあえず話を聞こうと柚子を捕まえて適当に屋上までつれてきた。後で回りにいた愉快犯の噂好きどもをどうにかする苦労を考えてため息がでる。

 

「ごめんね、迷惑かけちゃった……」

「まあいいよ、多分あんたはしばらく遊ばれるだろうけど。そこは我慢しろ」

「遊ばれるの!?!?」

「そりゃそうだろ……。いや私もうっかりナンパとか言ったのが悪いんだけどさ。とりあえず、私はこんな髪色だけど母親は金髪だし兄弟は男しかいないよ」

 

葵は自分の髪をひと房つまんだ。母親が金髪アメリカ人で父親が黒髪日本人で何でこんな薄茶だか灰色だか良く分からない色の子供が出来るのか割と本気で謎なのだが。

 

「そっか……じゃあ違うなあ。髪の色も目の色も葵ちゃんはホントにお姉さんにそっくりなんだよ」

「ちゃんとかつけんな鳥肌立つから。まあ似た人間は3人だか30人だかいるらしいからな」

「お姉さん30人居たらハーレムだね……!」

「変なやつだな……」

 

 

それからなんだかんだと懐いてくる柚子の相手をしているうちに一緒に居ることが増え、柚子はしばらく熟女趣味だという噂が流れたし、同級生にはまだ高校生だが葵でいいのか?とか言われることになった。

 

 

 

 

 

 

葵が柚子に捕まって2ヶ月ちょっと。そろそろ寒くなるので上着を買いに来たら柚子もついてきた。

「ねーねーマフラー選んで選んで!」

「さすがにまだ早くない?」

「もう10月になるもん!許される!」

「誰にだ」

 

 

もっこもこのを選んでやった。

 

代わりにカーディガン選ばせたら真っ赤なやつを選びやがった。

派手だと思いつつも今後葵はこのカーディガンを愛用していくことになるのだった。

 

 

 

 

 

 

「ああお姉さん… 葵は見れば見るほど見た目だけはお姉さんなんだけどなあ」

 

昼休憩に机に懐きながら柚子が言った。いつもながら舐めるように見てくる。

 

「見るな見るな擦り減るから」

 

あまりにも視線がうっとおしいので葵は柚子の目を手のひらで覆った。

 

「ケチ。葵があと10年くらい早く生まれてくれたら完璧だったのになあ」

「いやもうなに……その、なに!?本末転倒もいいとこだな!」

 

柚子は顔を手で覆われたままぶつくさ言っているが、葵の語彙ではもうなんと突っ込んでよいか分からなかった。

 

 

 

 

 

 

「ひ~ん葵えもん~」

 

休憩時間、無駄に泣き真似をしながら柚子が葵の元へとやってきた。

 

「誰が葵えもんか。なんだよ」

「田子せんせーが次の英語赤点だったら放課後一週間補習だっていうんだよ~たすけておくれよ~」

 

何かと思えば次回の中間の話だった。柚子は壊滅的に英語が苦手で赤点常習犯である。

 

「ゆず太くんはほんとにダメなやつだなあ」

「びええ~~ほんやくこんにゃくおくれ~~~」

 

葵もすでに前回の試験の前に手を尽したが、今回のこの話が出る時点で結果はお察しだった。

 

「100年後くらいに期待しような。諦めて補習受けてこい」

「だって補習受けてたら葵と帰れないじゃん」

「補習の間くらい私が適当に時間潰してくればいいじゃん」

「……」

「…………」

 

しばらく黙り込んだ後にまにま口元を緩ませて柚子は教室に戻っていった。

葵には何がなんだか分からなかった。

 

 

 

 

 

 

柚子は考える。今ごろお姉さんはどんな素敵な女性になっているのかしらと。

そして思いつく。もうすぐ学園祭だ!

 

「というわけで!」

「どういうわけだ」

「わたしコスプレ喫茶がいいと思います!」

「別のクラスの会議に参加してくるんじゃない」

「葵の!コスプレが見たい!!!OLとか!ナーもごごご」

「アホでごめんな、気にせず続けて」

 

悪い予感がした葵に口を押さえられて抱えられたがそれはそれで葵がいいにおいだったので堪能した柚子だった。

 

 

 

 

 

 

「ぴえっ」

 

柚子が飛び上がった。葵が柚子の首筋に冷たい手を当てたからだった。

柚子が唸りながらゆっくりと振り返る。

葵はにやにや笑いながら見ている。

 

「うがー!やりかえしちゃる!」

「子供体温ちゃんには無理だよ」

「なにおう!」

 

そのまま中庭まで追いかけっこしていって結局雪合戦に発展した。

 

 

 

 

 

 

「何作ってるの?」

「ゆきうさぎ」

 

 

 

「なに作ってんだ?」

「おねえさん!」

 

 

 

雪ウサギとお姉さんだるまは仲良く並ぶことになった。

 

 

 

 

 

 

「なんで!?」

「暑い」

 

カーディガン着る着ない論争だった。葵にはよく分からないが柚子は何故かカーディガンにこだわる。

 

「なんで脱いじゃうの!」

「もう4月も終わるから。気温20度近いから」

「いいじゃんもうちょっと着とこ?」

「やだよ。これ冬用だし」

 

すでに新入生も入ってきて桜も散った。

秋に選んだ冬用の分厚いニットはさすがに暑くなってきた。

 

「夏用も選ぶよ~~選ばせてよお~~~」

「それはいいんだけど真夏もずっと着てるのは無理」

「分かった!下を半そでにしよ!」

「すごい粘ってくるな。じゃあこうする。これで諦めろ」

 

そう言って葵はその赤いカーディガンを腰に巻いて袖で縛った。柚子はそれを散々葛藤して、唸って、納得しきれないような顔をしながら

 

「…………わかった」

 

と言ったのだった。

 

 

 

 

 

 

夏のある日。今日もまた学校帰りに葵と柚子はだらだらと歩いていた。

柚子と出合ったのが1年の夏なのでもうそろそろ付き合いも2年目となる。

半袖の制服に、柚子と出会ってからトレードマークとなっている赤いカーディガンを腰に巻いたスタイルだ。さすがに暑いので着ない。柚子になんと言われようが着ない。

 

「暑い。照り殺される。女子高生の照り焼きができる」

「おいしそうだなそれ……いや今日も暑いねーアイス食べて帰ろうよアイス!」

「柚子あんた今何か言わなかった?まあいいやファミレスでカキ氷が良いんだけど」

「いいよー」

 

とかなんとかやっていると不意に柚子が居なくなった。

 

「あん?どこいったんだあいつ……」

 

見回しても周囲には通行人しか居ない。悪戯か?と思い葵はおもむろにカーディガンを羽織った。散々拒否したから見てたらなんか騒ぐはず、と思ったけど柚子も現れずただ暑いだけだった。

 

悪戯じゃないとすると暑さで幻覚でも見たのか?今までのが全部幻覚で1人でしゃべってた?こわっ。

 

色んな意味で怖い想像を振り払い、とりあえず柚子に連絡を取ろうとスマホを取り出した。何故か繋がらない。よく見たら圏外のようであった。

とりあえずスクショした。圏外なんて始めて見たけど今じゃなくてもよくない?と思いつつもスクショした。

 

あとで柚子に見せてやろうと思っていたところで、どこからか子供の泣き声が聞こえる。葵が振り返るとそこにはいつの間にか幼稚園児くらいの女の子がいた。鼻水まで垂らして泣きに泣いている。

 

声をかけると迷子だった。お母さんを探しに葵とその子が数歩歩き出したところで

 

「ゆずこ!」

「おかあさん!」

 

どうやらお母さんが見つかったようだ。

 

「ありがとーおねえさん!」

 

満面の笑みでお母さんに手を引かれてく女の子に手を振り替えして、忘れてたカーディガンを脱いで結びなおす。

で、どうやって帰るんだと振り返ったらそこには

 

「葵?」

 

不思議そうな顔をしてる柚子が葵の目の前に居た。

 

 

 

どうやら時間は柚子と歩いているときの続きのようで、あの白昼夢のような一瞬の邂逅が何だったのかは分からないが葵には柚子の『お姉さん』の正体がなんとなく察せられた。

 

「いやお姉さんとの邂逅短すぎない?」

 

柚子には……まあ絶対うるさいからしばらくは言わないでおこ。

つーかこのあっついのにカーディガン着て来いってせがむのこれのせいかよ…お姉さんがカーディガン着てたのお前のせいだよ……。

 

葵は自分の腰に縛ってある赤いカーディガンをちらりと見たのだった。

 

 

 

 

 




某pi○ivの企画より。マルチ投稿ダメって書いてなかったので!ヨシ!

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