進撃の巨人 もしもこんな世界があったのならば 作:molte
2話です。よろしくお願いします。
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入学式を終え、その後のHRも終えた新入生は、そのまま解散ということになった。
家に帰宅するものもいたり、仲良くなった友達と一緒に遊びに行く者もいたり、まだ学校に残って校舎内を見回ってみるなどと思い思いに高校生最初の放課後を過ごしていた。
エレン達はバスケ部を覗いてみよう、あわよくば混ぜてもらおうという精神でバスケ部専用の体育館Aに総勢8人で乗り込もうとしていた。
その8人の中には、エレン達4人はもちろんのこと。ジャンとマルコ、坊主頭でお調子者のコニー、更には、マネージャー志望で先程走ってきたクリスタが加わり、大所帯で移動していた。
「こんな大人数で押し掛けても大丈夫なのかな?」
「ったくー。正義感が強いんだから〜マルコはよ。ここは先輩達に新入生として気合を見せないとな!」
「おぉ!もちろんだぜ!そのために俺は練習着にバッシュも持ってきたしな」
「エレンはバスケがしたいだけでしょ」
そうとも言うと聞いたこのあるセリフをエレンが発し、場が和む。
「ね、ねぇエレン?」
「っ、クリスタか。何か聞きたいことでもあるのか?」
8人の大所帯の後方にいるエレンにクリスタが話しかける。エレンも唐突に話しかけられてびっくりしたのかそれとも女性耐性がないのかは分からないが、少ししていつも通りのエレンに戻る。
「エレンはなんでそんなにバスケが好きなの?」
「あー、まだ小さかった頃にな、父さんに連れられてストリートバスケの試合見に行った事があるんだけど、その時に当時の俺と同じくらいの背の子が高校生相手に圧倒してて、それでかっこいいなって思って始めたんだ」
「純粋だねエレン!」
キラキラとエフェクトが出そうな感じの上目遣いで見上げてくるクリスタをエレンは直視出来なかった。
「その人この学校にいるんだ」
アルミンの発言にクリスタがびっくりして「そうなの!?」とびっくりした様子で返す。
「確かリヴァイって名前の人だったかな」
「ん?それって確かミカサのお兄さんじゃ?」
「ミカサって?」
エレンがクリスタに伺うと、彼女は怪我の影響で今週は休みで来週から学校に来れるようになるという事を教えてくれた。
「ミカサとっても美人さんだからみんな惚れちゃうと思うよ」
「へぇー、怪我か大変だなぁ。俺らでサポートしてあげねぇと」
ジャンがミカサという子のサポートに転じる旨を言うとみんなは賛成の声を挙げ、ライナーは一人で「俺はクリスタが1番可愛いけどな」とぶつぶつ言っていた。
「そういえばクリスタはなんでマネージャーに?」
アルミンがクリスタに質問するとすかさずクリスタは答える。
「んー、本当はバレーやってたからバレー部にしようと思ったんだけど、私じゃついていけれないかなぁと思って」
「それと今日の朝に男子達がバスケ部入るからって言ってたから面白そうだと思ってついてきちゃった」
えへへと可愛らしくいうとエレン以外のほとんどの者が天使や女神など呟いていた。ライナーはというと、いや辞めておこう。
「すごい行動力だなクリスタは、尊敬するぜ!」
エレンがそう言うとクリスタは照れながら、上目遣いで「ありがと」と可愛らしく(本人にその意思はないが)言っていたが女性耐性が弱いエレンにはなぜか通じず、他のものには効果抜群のダメージであり、ライナーはというと、いや辞めておこう。
そうこう雑談しているうちに体育館に到着した。が、人の気配は全くなくもぬけの殻であった。
「流石に勝手に使うのは良くないから今日はやめておこうよ」
マルコが他7人にそういうと皆んなも入学初日から羽目を外すのは良くないと自負しているのか、流石のバスケ大好き人間エレンも常識は弁えているのでマルコの発言に反論はしなかった。
「別に使ってもいいんじゃねーかー?」
が、それもこの8人の中には常識の通じない"例外"がいる。
「なー、最近動いてないからよー、誰か付き合ってくんねーかー」
1人で弁舌をかます坊主頭のチビこと、コニー・スプリンガーは声変わりをしてるのかしてないのかよくわからないラインの声で皆んなに自分の意思を伝える。
「コニー。流石に今日は辞めとこう。正式に入部が認められたらまた来ようよ」
「それもそうだな」
アルミンが上手くコニーを丸め込むとコニーは馬鹿なのかいや馬鹿であるが、すぐに納得した。
「じゃあエレンの家は?バスケットコートあるし」
ベルトルトがエレンの家に行こうと提案した。同じ学校であった4人は違和感は感じなかったが、他の4人は家にバスケコートがあるってどんな家だ?と少しばかり驚いていた。
「ん?俺の家か?別にいいと思うけど…母さんに聞いてみる」
ベルトルトがコニーの為にエレンの家へと選択したが、それに伴いエレンに手数をかけたとベルトルトは申し訳なさそうとしてた。
が、エレンは気にすんなと言って携帯を取り出し、母へ友達と遊んで良いか承諾の確認の電話をした。
「オレもエレンの家行っていいのか?」
ジャンが家にバスケコートがあると聞いてウズウズした様子でアルミンに話しかける。ライナーとコニーは当然行くと豪語していたが…
「おっけー。ん、わかったよ」
「どうだった!?」
「おい落ち着けよ?」
ジャンは承諾の結果が気になるのか、エレンを急かそうと近寄るがエレンがすかさず窘める。
「取り敢えずはおっけーだったぞ、ライナーとベルトルトは来るんだろ?」
「もちろんお邪魔さしてもらうよ」
ライナーは1人でなにかぶつぶつ言っているので反応しなかったが、代わりにベルトルトがエレンの問いに返答してくれた。
「クリスタもくる?」
「へっ!?い、いや私は…」
突然話が振られたのに驚いたのか、それとも男子の家に行くのに抵抗があるのかは知らないが、クリスタは返答にこまった様子だった。
「……今回はやめとくよ。また次の機会に女子のみんなも連れてお邪魔さしてもらうね」
「ん、了解」
流石に友達になって1日で異性の家に行くのは気が引けたのか、クリスタはアルミンの誘いを丁寧な言葉で断った。エレンもそれがなんとなく分かって聞いたので特に気にすることもなくのほほんして、自分の家に帰るのであった。
☆☆☆
エレン達御一行はクリスタと教室で別れ、そのままエレンの家に行くのであった。
クリスタは、同じ学校であったユミルとミーナと、そしてライナーらの幼馴染のアニと共に、エレン達に挨拶をして帰宅して行った。ライナーだけ何故かユミルに睨まれていたが…それはまぁ言及するまでもないことなので割愛する。
帰宅途中にコニーの提案で、コンビニに寄っておやつやジュースなどを調達して、エレンの家に到着した。道中にアルミンとライナーとベルトルトは一旦家に戻り、着替えを持ってやって来た。
「ジャンとマルコが固まってるけど…」
「いや概ね、察しはつくけどな」
「まぁ最初はこうなるよね」
エレンの家は大富豪の家のようなイメージで規模がとても広く市役所よりも広いとアルミンが豪語するほどなのだ。
ハンターハンターの某暗殺家のように玄関から家までが果てしなく遠いわけではない。
流石に比較対象が規格外であったが、それは置いといてエレンの家系が医者の血筋で且つ、歴史に名を残す名医であるために、自ずと資産も増えてしまい、エレンの曽祖父が経済を回すという名目のために、適当に土地を選んで建てたらしい。(真意はどうであるかは定かではないが…)
外観は、木で覆われて外からは見えないようになっているが、中に足を踏み入れると、初見の人は絶対に固まるらしい。事実、ジャンとマルコは硬直状態である。
「にしてもコニーは驚かないんだな」
ライナーが怪訝な目でコニーに問いかける。
「いやでかいけどそれよりもめっちゃ綺麗だなって思った」
「あ、そう…」
ライナーは馬鹿の考えることはよく分からないと胸に刻み、一部始終を見ていたアルミンも今回ばかりはライナーに少し同情したのであった。
「固まってないで行くぞー。母さんが飯作ってくれてるからさ」
エレンがそういうとエレン母の料理の味を知っているアルミン達3人は、我が我がと駆け出して行ってしまった。ジャンとマルコもようやく正気を取り戻し、エレンに誘導されながら、走って駆けて行った。
7人全員が居間に着くと、エレンの母カルラと挨拶を交わし、少し遅い昼食を摂った。
アルミン達3人は、獲物を狙う獣のような状態で、今にもかぶりつきそうによだれを垂らしていた。(比喩)
ジャンとマルコは少し遠慮気味であったが、それでも美味しそうに料理に魅入っていた。
「んじゃっ、いただきまーす」
「「「「「「いただきます!」」」」」」
それからはまぁ何というか、特に会話もなく猛スピードで、料理が彼らの胃に消えていった。
エレンは、昼食を少量で済ましてシャワーを浴びに行ってしまった。他の男どもはいまだにヤケ食いを続けているが。
「ふぅー。」
いつもより少ないメシを済ませた俺は、少し汗をかいたのでシャワーを浴びてゆっくりすることにした。
(アイツらも当分母さんのメシに釘付けだろうしなー)
今日はたくさん友達ができたし、最高の日だった。クラスも賑やかで楽しそうだし、部活も念願のあの人と同じチームでプレイできることに俺はワクワクしていた。
慣れた操作でスマホのLINEアプリに1-Aのグループ招待が来ていたので参加して、今家にいるメンツを招待して物思いにふけていた。
(アルミンも言っていたけど、誰かと恋人関係になりたいよなぁ)
ライナーやアルミンはよく恋愛沙汰の話をしているが、俺も全く興味が無いわけではない。将来、独身だけにはなりたくはないと思ってる。
(かといって、誰かれ構わずそういうアプローチをするのは良くないってアルミンが言ってたしなぁ)
「まず俺を好いてくれる人が今後現れてくれるかどうかが問題だけど…」
そんな心配はまぁ杞憂に終わるのだが、それは"神のみぞ知る"ということである。
兎にも角にも、高校生活は今日から3年間もある。時間はたっぷりあると自分に言い聞かせて、俺は浴室を出ようとした時
ピロンッ
あまり鳴らない俺の携帯が珍しく鳴った。
恋愛について思考していたため、女子からのLINEかと期待を寄せつつ、自分が妙に恋愛沙汰に取り込まれつつあることに悪態をつき、メールの旨を見る。
〈クリスタ〉
『来週の金曜の祝日に皆んなで入学お祝いパーティーしない?今日行けなかった分その日に行くって言うことでいいかな??』
クリスタからのメールを読み、速いフリップで返信の旨を送る。いや送ろうとしたが女子とのLINEということで変に緊張してしまい、数十秒程度で打った全文を消し、熟考する。
(というか女子は仲良くなるのが早くないか?)
まぁ仲良いに越したことはないけど、取り敢えずクリスタの提案には了承するということで、少し考えて返信した。
〈エレン〉
『了解!来週から復帰するミカサも招待してみんなでワイワイしようぜ!』
ふぅ〜。
(いやたかが女子とのLINEだぞ)
なんでこんなに気を張っているんだろう、いやこれはアルミンが悪いと自問自答して、今度こそ浴室から出た。
昨日は結局バスケをせずに、メシを食った後みんなで映画を見た。
なんの映画かはお察しの通り、たまたま列車に乗った新米剣士が鬼を倒すという人気漫画の続編映画を見た。
ここで発見したことがマルコが意外とアニメや漫画が好きということなのだ。アルミンとライナーとで大分盛り上がっていたが…。
映画を見た後は、みんな寝てしまって起きた頃には太陽が沈みかけていた頃で、みんな急いで帰っていった。
因みにクリスタとのLINEはまだ続いている。
俺がパーティーの了承の意を伝えてミカサの招待を促すと、クリスタは賛同してくれて「女子の方は任せて!」と文面からは自信に満ち溢れていた。
「今日から本格的に授業が始まるんだよなぁ」
俺は決して勉強が苦手ではないけど得意でもないし、好きでもない。
アルミンとよく模擬試験で勝負していたが、相手にならず毎回ジュースを奢る羽目になっていたのは1年前の懐かしい話だ。
ただ、俺の夢の実現には勉強という分野は避けては通れない道であり、かなり憂鬱ではある。
ピロンッ
(ん?こんな朝から誰だ?)
執拗に明るいスマホ画面の明暗を操作し、メールを確認する。
送信主は、クリスタだった。
〈クリスタ〉
『おはよう!昨日の帰り際にキース先生に聞いたけど1年生は新入生歓迎会があるまで部活には出れないらしいよ!』
(オーマイガー…)
朝からなかなかに重いニュースを持ってきたクリスタに罪はないが、それでも内心かなりショックであった。
(これは当分自主練か…)
〈エレン〉
『そうなのか!?ショックだけど家で自主練するよ。情報提供ありがとな!』
無意識に出たため息に気付く訳でもなく(いやむしろ気づかないのが普通だが)充電プラグをスマホに挿し忘れるほどショックだったのかと後から気づくのだが、スマホをベッドの上に置き、いつも通りの日課をこなして、アルミンと合流するのであった。
キーンコーンカーンコーン
校舎中に鳴るチャイムの音がHRのスタートであり、生徒が教室の自分の席に座っておくタイムリミットを指し示すわかりやすい合図である。
1-Aの教室にはあの坊主バカですら、遅刻せずに来ている。めちゃくちゃ眠そうな様子だケド。
空いている席はミカサの席のみであって、今ちょうど先生がミカサの話をしているのだ。
(はぁー。部活できねぇーのかぁ)
朝のクリスタからメールで、今日のモチベーションはパワプロ君でいう紫状態である。
まぁいつもの3人はどうせ放課後家に来るので楽しいに越したことはないが、やっぱり早く部活動はしたいし、あの人にも早く会ってみたいのだ。
あぁでもないこうでもないと頭を悩ましていると学級委員やら、学級の目標やら、色々決めて終わってしまっていた。
本当は1時間目の授業がこの係員決めだったのだが巻いて決まってしまったため、キース先生の表情はなんら変わりは無く、1時間目が暇なので自分が受け持つ、世界史の授業をするということだけを伝えて、退室していった。
「はぁ〜。今日から授業が始まるのかぁ」
コニーは自分の机にうつ伏せてしまい現実逃避していた。
「なんだ〜コニー。勉強苦手なのか?」
「元気だしなよコニー」
立候補して学級委員になったジャンと、ライナーとベルトルトの幼馴染であるアニが、落ち込んでいるコニーを、励ましに(?)行っていた。
俺は俺とて、昨日配られた教材に名前を書き、世界史の準備をして、1人1つずつ廊下に設備してある、ロッカーの整理をしていた。
「あっ、エレン。おはよっ」
「ん?クリスタか、おはよう」
俺がクリスタに挨拶した途端、後ろからすごい殺気を感じた。多分ライナーだと思うけど。
「あ!そうそう、パーティーのことなんだけど…」
「ん?あぁ…そのことね」
少しぼーっとしてしまったが、クリスタの話に耳を傾けようとした瞬間
「おうおうおうおう!私の嫁に手を出してるのはどこのどいつだぁ!?」
ドシドシと相撲取りのような足踏みをした、クリスタの護衛役ユミルがなにやら高圧的な態度で俺たちの元へやってきた。
(というより嫁って…)
「エレンさんよ〜。あんたにはまだ、このレベルは早いんじゃないかい?なぁサシャ?」
俺には理解できない言いがかりをつけたユミルは、サシャに誘発させる。
サシャはコニーと幼馴染で2人は恋人関係にある。2人のラブラブな姿は見たことがまだないが2人にとってそれが丁度いい距離感なのかも知れない。
「え、えぇ?エレンならいいんじゃないですか?」
サシャのお眼鏡に俺は適しているのかそれともユミルに巻き込まれるのが面倒なのか彼女の真意は読み取れない。
「んなっわけねぇーだろ!芋女!私のお眼鏡にこいつが合うと思ってんのか!?」
怒髪天を衝きたてユミルはサシャに詰め寄る。何を見せられてるのか俺にはさっぱりわからない…。
「ちょっとユミル!サシャが困っているでしょ!それにそんなあだ名はよくないよ!」
(これが修羅場というやつなのだなアルミン)
「え、えぇ。と、取り敢えずエレン助けてください!」
「いや、急にそんなこと言われても無理があるだろ」
ましてや知り合って数十時間の関係であって、明らかに理不尽な要求だとその時エレンは思った。
(なんか人も集まってきそうだし…。)
「えっと〜」
「ユミルとクリスタは付き合っているのか?」
「「えっ?(はっ?)」」
「えっ?なんかまずいこと言った?」
「はっはっはっそんな親身になって真に受けるなよ!」
どうやら俺の発言がツボに入ったらしく、ユミルはチャイムが鳴るまで、笑いすぎて声が出ていなかった。