進撃の巨人 もしもこんな世界があったのならば 作:molte
5話です
進撃の巨人完結おめでとうございます
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「「「「かんぱーーーい!!!!」」」」
俺とアニがリビングに戻ってからBBQをすぐに始めた。
皆待ちきれずお腹が空いてたみたいであった。帰ってきたらミーナとアルミンがこっちを凄いニヤニヤして見てきたがさっきの話と何か関係あるのだろうか。
まぁそれ後で考えるとして、今はBBQを楽しもう。因みに昨日の反省としてグリルの炭を少し安っぽいものに変えた。
「うまっ!?」
ライナーがおもむろに齧り付いた肉はどうやらお気に召したようだ。他にも釜炊きしたご飯や近所のおばちゃんから貰った新鮮な野菜、冷蔵庫にはデザートとして高級メロンを用意してある。
「サシャの勢いすごいな…」
マルコが呟いた一言にみんな同意せざるを得なかった。明らかに動きがおかしい残像しか見えない。
「そんな動いたら腹痛くなりそうだけど」
「いっつもあんな感じだから気にすんなよ」
アルミンの発言にコニーが答えて、アルミンの心配は杞憂に終わった。そういえばコニーとサシャってどのくらい付き合っているんだろう…。学校で見せている彼らは特別仲がいいというイメージは今の所ない。だけど彼らは恋人関係にある。幼馴染で子供の頃から今までずっと一緒。ギスギスした感じもなくそんな関係が羨ましいとすら思ってしまった。
(そういえば俺も昔、幼馴染みがいたなぁ)
ジャンの一発芸で盛り上がっている中、大笑いしながら黒髪の女の子の顔を思い浮かべる。少しミカサの面影に似ていた気がしたが彼女に教室で会った時、特に反応はしなかった。俺が忘れている可能性があるかも知れないが…。
(名前が思い出せねぇんだよなぁ)
よく俺とアルミンとその子で遊んでいた記憶がある。川でロブスター捕まえたら母さんに危ないと怒られたり、花火大会に3人で行ったらアルミンが迷子になって花火そっちのけでずっと探してたり、その頃は純粋無垢で遊んでたなぁと回想してたりする。彼女は小学校に上がる前に引っ越ししてしまってそれ以降は連絡を取らなくなった。
「エレン?どうしたの?」
俺が記憶を呼び起こしてたらミカサが話しかけてきた。どうやら随分と考え込んでいたみたいで、気づいたのはミカサだけだった。現在、ライナーとジャンの即興漫才で盛り上がっている。
「今日は呼んでくれてありがとね」
ミカサはそう言って微笑んでくれた。笑顔もやっぱりあの女の子とどこか似てるな。
(聞いてみるか)
「なぁミカサ。俺と昔会ったことがあるか?」
そう言うとミカサはキョトンとして初対面だよ?と言って女性陣の方へ行ってしまった。
「なんか引っかかるんだよなぁ…」
俺の呟きは誰にも聞かれる事はなくそのままBBQは終わりを告げた。
☆☆☆
BBQが終わり片付けの途中、雨が降ってきたので、あとは男子がやるからと言って女性陣にはお風呂に入ってもらっていた。
「ちょっと強くなってきたな」
先ほどまで晴れていた空は黒雲に変わり、雨も小雨とは言えなくなってきた。
「マルコが持ってるやつは俺が持ってくよ。みんなは休んでて」
流石にお客様をこれ以上濡らすのは良くないと思って、俺は率先して動くようにしていたが、彼らの人柄が良いのかよく家に来るアルミンにも聞きながら片付けをしてくれていた。
「よし!これで終わりだな」
「おっけー。そろそろ女子も上がってくるかな?」
覗いてたのかと疑われるくらいアルミンの予想は的中し、ユミルとミーナを筆頭に続々とリビングに現れた。男達はシャンプーと女の子の香りに少し顔が赤くなり、ライナーに関しては風呂上がりのクリスタを見て「oh…」と鼻血を垂らしながらボソッと呟いていた。
「めっちゃ濡れてんじゃん早く入りなよ」
ユミルの催促により男性陣そそくさと脱衣所の方へ駆けて行った。あの場にいると理性が欠けると判断したのだろう。昨日といい今日もアニの妖艶な姿を見て眼福と思ってしまった自分がいる。
「アニのこと見過ぎだよーエレン」
「へっ?い、いやそんなつもりは」
ミーナに言われた一言により、慌てて口答えしてしまった。早く抜け出そうこの空間から。そうそれがいい。
邪な考えを振り払い脱衣所までなるべく早足で行った。その時に視界に入ったアニの赤面した顔により余計、足を早めたのであった。
「へぇ〜エレンの家ってサウナあるんだ」
俺がちょうど脱衣所(銭湯のロッカーのような場所のイメージ)に着いた時マルコがそのような事を言っていた。というかマルコもサウナ好きなのか気になるな。
「マルコもサウナが好きなのか?」
脱衣所に着くや否や、マルコがサウナーかどうか聞くとマルコは少し高揚した声で。
「もちろん!学校の銭湯にあるサウナにも早速行ったよ」
「マリ高サウナあんの!?」
やはりサウナ大好き男だったか俺の目に狂いはなかった。…ちょっと痛いなやめよう。
「というかあれって学生が使っていいのか?」
ガラガラガラとトイレに行っていたジャンが脱衣所の扉を開けながら、疑問を零す。
「一般の人もよく出入りしてるよね?」
「学生証出したら無料で入れたよ」
ジャンの後アルミンも付随して言う。そしてマルコが答える。
マリア高校の全生徒と職員は学生証と職員カードと言う物の携帯が義務付けられている。授業の出席確認をする時にこの学生証を教室の扉の前に置いてある端末にバーコードを見せることで後に教科担当がそれを確認すると言った大学のようなシステムになっている。
但し、全ての教室が当てはまる訳ではない。原則としてクラス教室のみ。他の移動教室での授業は出席シートなる物を書いて提出すれば出席が認められる。
そして国道から学校まで続く坂を登り続けると大きなビジネスホテルのような施設がある。一応名目上は部活の遠征や合宿で他校から来た団体の外泊施設だと思うが、マルコの話では生徒がそこに立ち入るには学生証が必須みたいだ。ない場合は料金を払えば入れるだろうか。今度行ってみよう。
「改めて思うけどめっちゃ環境いいな」
「それなーまじ入学出来てよかったわー」
他にも食堂には有名チェーン店やフードコート、誰もが聞いたことのある高級店を全て500円で食べることができる。それだけ良い環境を提供してくれるのは理事長の意向らしい。
「おー!まじで銭湯みたいじゃん!」
走ってやってきたコニーは家の風呂を見て歓喜の声を挙げていた。
「勢い余って滑るなよー」
おー。とライナーの忠告通りにコニーは歩いて掛け湯をして浴場に入ってきた。
「ん、丁度いい湯加減だね」
「お気に召したようで何よりだ」
マルコも早速うちの風呂を気に入ったみたいで鼻歌まで歌っている。こういうゆっくりした時間も大事だなぁとしみじみ思う。
「雨だんだん強くなってきたね」
ベルトルトが露天風呂の方を見ながらそう言うと、確かに雨足が大分強く露天風呂の外にある小石が雨に打たれて時折弾けている。
現在の時刻は17:37と記されている。浴場の反対、ジャグジーがある側の壁に掛かっているアナログ数字とプロジェクターは俺が好きなGoogle Homeが連携してある。もちろん防水機能も搭載してあるぞ。
「今日は多分親帰ってこないから、もし帰れそうになかったら泊まってもいいぞ」
俺のその言葉を聞いた瞬間、浴室にあるテレビから視線を逸らし、戦国時代の武将の様な勢いで
「「「「泊まります!」」」」
「お、おう」
取り敢えず男子全員は外泊確定という事で決まったが、女子をどうするかだよなぁ。流石にこの雨で帰れと言われたら酷だろうし、異性の家にそれも今日はコイツらも居るし変な気起こさないか心配だが…。
っとここであることに気づいた。
「なんでコニーはサウナハット被ってんだよw」
「あ、これサウナハットなの?オシャレな帽子が置いてあるから何かと思った」
「別に被らなくてもいいだろw」
なぜ被るのか彼の精神は到底理解できないが、それより裸のマッチョ少年(ハゲ)が帽子を被った姿を想像してみて欲しい。これこそ本当の頭隠して尻隠さずである。
そんな一悶着もあって話はアルミンにより恋愛話に変わった。
「ジャンってさ」
「どうした?」
「絶対ミカサのこと好きでしょ」
「っ…い、いやどうかなぁ?」
「絶対好きだろ」
「まぁ見てれば分かるからね」
ジャンの分かりやすい反応にツッコミをするライナーとマルコ。
ジャンは分かりやすい反応こそするけど、隠せないほどミカサの事が好きってのがわかる。そういう所はジャンのある意味長所なのかも知れない。
「あぁそうだよ!大好きだよ!」
お手上げと言わんばかりか隠し切ることができないと判断し、ジャンは自分の気持ちを曝け出した。
そのジャンの反応を見てか、アルミンとライナーとコニーはひゅーひゅーとジャンを煽っていた。
「ジャンはミカサのどこに惚れたの?」
ベルトルトが率直にジャンに質問する。と同時にライナー達も煽るのをやめた。
「ミカサが来た当日の放課後だったかな?あいつ学校の近くのコンビニで柄悪いやつ絡まれてたんだよ」
「モデルみたいな人が学校に居たらナンパもするだろうなぁ」
「エレンも?」
「いやしねぇよ」
俺がミカサの容姿に触れると何故かアルミンが突っかかってくる。なんなんだコイツは…。
「それでミカサも結構嫌がっててな。それが気に召さなかったのかは知らないがそいつら強引にミカサ連れて行こうとしてて、それ見てたら腹立ってきてな」
「どうやって助けたの?」
「流石に不意打ちでも殴るのは学生だし良くないと思っから警察のサイレン音をBluetoothに繋いで爆音で鳴らしたら逃げてったわ」
「おぉ。ジャンにしては頭使ったな」
ライナーが茶化す。
「俺にしてはってなんだよ!こっちは真剣に…」
「いやーこういう所に惚れちゃうんじゃない?」
「エレンとジャンってちょっと似てるよね」
「はっ?俺とジャンが?」
ジャンの必死な弁明にベルトルトは何事にも直向きなジャンに魅力を感じると言う。確かに俺もそう思うけど決して俺とジャンが似ているという発想には至らないだろう。
「いやいや俺はそんなジャンのように必死になれないぞ」
手振りを加えてジャンと似てないと否定するが…
「謙虚だねぇ」
「中学校の頃はエレンの一生懸命な所が好きって色んな人が言ってたのに…そんなエレンさんがこんなに丸くなっちゃって」
「へぇー、羨ましいぜ全くよー」
確かに俺は中学時代色んな人に告白された。けどほぼ全員が俺の外見を見ただけで、まともに話した人なんて誰一人として居ない。
付き合ってからお互いに人を知っていくというのもアルミンのアイデアとしてあったが、それでもし自分に合わなくて振ってしまったら絶対にその人を傷つけてしまう。
「ふぅ…」
「?」
俺は中学3年の夏に1人彼女ができた。けどその人はマウント癖でエレン・イェーガーの彼女という肩書きを色んな人に言いふらしていた。しかも裏では全く関係ない後輩の子に顎で使うような性悪女だった。
そのような事実があったというだけでもかなりショックなのに、実際にその場面を見てしまって本当にショックだった。彼女の本心は俺への好意ではなく悪く言えば自分の地位向上。
そんな出来事あったからか、性格が変わったと両親にもアルミンにも言われるようになった。
無鉄砲に突っ走っていくタイプが物事を俯瞰するようになったねとアルミンに言われた。まぁ少しは前より考え事をするようになったかもしれないけど。
でも結局、俺もそいつの中身じゃなく外見だけを見ていただけかもしれないな。
「でもエレンは昔よりちょっと情熱魂が無くなったよね」
どうやらベルトルトもなんとなく気づいているみたいだ。
「そうかな?それより俺はコニーとサシャの話を聞きたいな」
あまり自分の過去をほじくって欲しくないため、コニーにはすまないが話を逸らした。
恐らく俺だけじゃなくみんなも気になるだろう。
「あっ!そうだよ!コニーとサシャっていつからそういう関係なの?」
話の急展開に突っ込まれるかと思ったが、アルミンが俺の事情を知ってくれているが為にか同調してくれた。やはり持つべきものは小悪魔幼馴染みなんだなと思ったりする。
「俺とサシャか?去年の花火大会で俺が告白して付き合ったぞ」
「コニーとサシャってあまり学校で話すイメージがないんだけど」
「そうか?毎日登下校してるし…今日だって一緒にここまで来たし」
どうやら不仲説というのは全くなく俺達が知らないところで2人は過ごしているらしい。おバカキャラなのにちょっとミステリアスなのはどうなんだろうか。いや別にいいんだけどその感じでミステリアスはやめてもらいたい。
「でもそういうのって羨ましいと思うぜ。友達とかといる時の顔と好きな人に見せる顔って違うって言うしな?」
「あぁ〜、確かに違うと思うぞ」
ジャンのさっきまで風呂で流れていたテレビ番組の話にコニーは全く気づかず少し賛同する。
「でもさ、こんな若い内から一生を添い遂げれるような相手を見つけれたら最高だよね」
マルコがこんな話についてくるとは意外だったが、俺もマルコと同じで高校生くらいの内に見つけておけば将来的に楽だろうと思う。打算的かも知れないがだいたいの人間はそういうものだ。
というかうちの両親が幼馴染結婚でさらに、アルミンの両親も同様に幼馴染結婚という少し特殊な家柄であった為にそのような傾向が強いかも知れない。
「それなー。マルコは今いる女子の中だったら誰がいい?」
「そうだなぁ…」
またも話題が変わり風呂だけで何分話すんだとツッコミたくなるが、こんなにも友達と喋れるのが一番最高だと俺は思った。
☆☆☆
「あっ映画見てるよー」
風呂での長話が続いた結果、気づいたら1時間ほど話し込んでしまった。しかもそろそろ出ようと声を挙げたのがコニーである。いや別にいいんだけどね。こうイメージが。ね?
上がってリビングに出ると女子達は恋愛映画を見ていた。恐らくクリスタが昨日、下準備で来た時に見ていたので、同じ用途で付けたのだろう。
「そうだ。なかなか食べれない高級なメロンを貰ったからみんなで食べよう」
俺がそういうと急に女性陣は目をキラキラさせながら餌をねだる犬の様に(比喩)今か今かと待ち望んでいた。主にサシャとクリスタが。
というかユミル。お前はキラキラ顔のクリスタをよだれ垂らしながら撮るな。メロンで垂らせ。
「エレン手伝うよ」
「ん。助かる」
俺もアルミンも手慣れた包丁さばきでみんなが食べれるように一口サイズに切っていく。
「普通にすげぇな」
「ずっとやってたら誰でもなれるよ。僕だってエレンに教えてもらって出来るようになったから」
「四角く切ったメロンをサイコロステーキのように扱いながら言われても…」
アルミンは昔から言ったらすぐに覚えてしまう才能マンだったからな。唯一、魚を捌くことはできなかった。「血が臭くてね…」と言っていた。みんなそうだよ。アルミン。
数分程で人数分切り分けた俺たちは、ガラスの大皿に高級メロンとスモールライトを点灯させて盛り付けを終える。オシャレかどうかは分からんが俺とアルミンが満足したのでいいでしょう。
「じゃあ二次会的な奴で、かんぱ〜い!」
やはり甘いものは別腹なのかあんだけ昼食べたのに、さらに盛り付けられたメロンがあっという間に無くなってしまった。
「あ、そうそう今天気大荒れだけど女子たちはどうやって帰る?」
アルミンが思い出したように女性陣に聞いた。
「流石にこの雨では帰れそうにねーな。電車も止まってるし」
「エレンが良ければもう少しここに置いてくれない?」
ユミルが電車運行の状況を見ながら言い、アニが申し訳なさそうに俺にお願いしてきた。
「うちは全然いいけど、もし天気がこのままだったら…」
「じゃあ泊めてもらおう!」
「「「「へっ?」」」」
天使の一言でまだまだ波乱は続きそうだ