ゴールデンウィークが過ぎじわじわと暑くなってきた今日このごろ。俺は前に買った薄いカーディガンを着ている。うん、これがなかなか着心地。7分袖ということもあり安心して着れている。
そして今は昼休みである。教室はさらに暑さを増している。ちなみに比企谷君は今日も教室にいない。多分あの場所で食べているのだろう。
「ちょ、隼人ー。今日マジ暑くな~い?」
「確かにな、そろそろ夏だししょうがないんじゃないか?」
「でもまだっしょ、うわ暑いわ~周もっと窓開けてー」
「はいよー」
「サンキュー」
夏近くの昼休み。飯を食べ終わった後に吹き抜ける風、めっちゃ気持ちい。カーテンがなびいてるがそんなの気にしない。ああ、最高だ。そしてそのまま俺は眠りについた。
奉仕部。俺のもう一つの居場所(仮)である。今日もそこに向けて足を進める。
「こんちわー」
俺はいつものようにドアを開けて入る。しかし中には比企谷君がいなかった。どこ行ったんだろう?
「あ、周くん。やっはろー」
「こんにちわ。あの目が腐った男は一緒じゃなかったの?」
「俺が一度でも一緒に来たことがあったか?」
「知らないわ。興味ないもの」
「さいで」
適当に会話した後席について携帯をいじる。ああ、今日も平和だ。
「ってかヒッキー遅い!探しに行こう!」
「おう、いってらっしゃい~」
「なんであたしだけなの!?」
「いや、言いだしたの結衣だし」
「ついて来てよ~!」
「あ~はいはい。ついて行きますよ」
「ほんと!なら行こう!ゆきのんもだよ!」
「遠慮するわ。私はここで本を読んでいたいし」
「え~!ゆきのんも行こうよ~、ね~ね~」
そう言って結衣は雪ノ下さんを揺する。ああ、胸がつつましいからそこは揺れていない。
「はぁ……。わかったわ、私もついて行くわ。これでいいんでしょう?」
「ありがとうゆきのん!」
「くっつかないでくれるかしら。暑苦しい」
あぁ、なんという和む光景なんだろうか。
「それじゃー行くよー!」
そう結衣は言って部室を出て行き俺たちも後を追う。はぁ、めんどくさいな。
色々と学校中を聞いて歩いたが結論を言おう。比企谷八幡という人物は存在しなかった。
いや、本当なんだって。どこにいるか知らない?って聞いたら全員が誰?と答えるのだ。まじで本当に在籍しているのか怪しくなっちゃうよね。
「後、あり得るとしたら職員室だろ。平塚先生に捕まってるかもしれんし」
「なら、さっさと行ってみましょう」
少しばかりイラついているようだ。
職員室に入ると何やら平塚先生と作業をしていた。
「あー!本当にいた!」
結衣さんここ職員室。お静かに。
「おや、由比ヶ浜。悪いが比企谷を借りているぞ」
「べ、別にあたしのじゃないです!ぜ、全然いいです!」
結衣がぶんぶんと手を振って否定する。
「なんか用か?」
「探しに行くって言いだしたんだよ、結衣が」
「あなたがいつまでたっても部室に来ないから探しに来たのよ、由比ヶ浜さんが」
「お前ら、二人そろって倒置法で暗に自分は違うアピールいらねぇから、知ってるから」
おや、打ち合わせをしたわけでもないのに言い方が被ってしまったな。まぁ、強調って大事だよね。
「超大変だったんだからね」
「確かに超大変だった」
「わざわざ聞いて歩いたんだからね。そしたら、みんな『比企谷?誰?』って言うし。超大変だった」
「思わず名簿を見てしまった俺を許してくれ」
「その追加情報いらねぇ……。しかも信楽。俺も心を抉るための謝罪ならするな。余計傷つくわ」
雪ノ下さんがすごい帰りたそうにしてる。
「なんだ、その、悪かったな」
「別に、い、いいんだけどさ……。そ、その……、だから」
なんでもじもじしてるんですか?告白するんですか?くそ、羨ましい……え?
「け、携帯教えて?ほ、ほら!わざわざ探して回るのもおかしいし、恥ずかしいし……。どんな関係か聞かれるとか、ありえ、ないし」
なるほどね。俺のそういえば比企谷君の持ってないな。
「まぁそれはいいけどよ……」
そう言った後比企谷君は携帯を取り出した。ってかスマホじゃん。結衣のはいつも通りデコトラみたいなやつだ。
「……何その長距離トラックみてぇな携帯」
あ、やっぱりそう思いますよね……。
「え?可愛くない?」
「わかんねぇ。ビッチの感性わかんねぇ。なに、お前ヒカリモノ好きなの?カラスなの?それとも寿司通なの?」
「は?っていうかビッチ言うなし」
「比企谷。さすがにヒカリモノだからといって高校生には通じないと思うぞ。ネタのチョイスが間違っているな。……寿司だけに」
「ん~歳と同じく40点ぐふぇ!?」
「そんなに歳をとってはいない」
殴られた。俺はいつ殴られたんだ……。まるで気配を感じなかった……。という中二ごっこができるぐらい普通に痛かった。ミゾ!ミゾ!
「この可愛さが伝わらないとか、目が腐ってるんじゃないの?」
『目の腐り方に定評のある比企谷君』が一般常識化しそうだな……。
俺は床に寝ているのもあれなので起きることにした。
「ってか比企谷君のスマホ赤外線ついてないやつだよね?」
「ああ、ついてないぞ」
「えー、じゃあ手打ち?……めんどっ」
「そういう機能は俺には必要ねぇんだよ。だいたい携帯嫌いだしな」
そう比企谷君は言って携帯を結衣に渡す。
「あ、あたしが打つんだ……、いいんだけどさ」
「携帯を迷わず渡せるのがすごいな」
「いや、見られて困るもんないからな。妹とアマゾンとマックしか来ないし」
携帯を見た結衣が驚いている。そーいえば……。
「雪ノ下さん、せっかくだし俺と交換しない?」
「なぜ?」
「連絡とるときに不便だから?あと、俺が結衣から雪ノ下さんの聞くってのも嫌でしょ?」
「ええ、それは確かにそうね。意外だわ、男子で直接聞いてきたのはあなたが初めてよ」
「そうか?俺も『誰々から聞いてメールしましたー』とか嫌いなタイプだし」
「私もだわ。しょうがないから教えてあげる赤外線を出しなさい」
「ありがとさん」
よっしゃ、ゆきのんのゲットだぜ!多分そんなにすることないと思うがな。
「嘘……」
結衣がそう言った後携帯を落としていた。それ比企谷君のだよ。
「結衣ー、何が嘘なんだ?」
「え、ああ。ヒッキーって中学のとき女子とメールしたことあるんだって」
「嘘、だろ?」
「ねぇ、お前ら今酷いリアクションしてることに気づいてる?ねぇ?ねぇ?」
「ごめんな、なんというか想像できんかった」
「あたしも……」
取りあえず、比企谷君の携帯を拾っておこう。
「ばっかお前。俺なんてちょっとその気になればなんてことないぞ。クラス替えで皆がアドレス交換してるこきに携帯取り出してきょろきょろしてたら、『……あ、じゃ、じゃあ、こ、交換しよっか?』って声かけられる程度にはモテたといっていいな」
「じゃあ……、か。優しさはときどき残酷ね」
雪ノ下さんが温かな微笑みをしていた。というか憐れんでいた。
「やめろ、その憐み!その後はちゃんとメールしたし」
「どんな感じだった?」
「そうだな……。夜七時にメールを送ったら次の日の朝に返ってきて『ごめん、寝てたー。また学校でねー』とか帰ってくるぐらい健康的だったな」
「それって……」
俺にはこれ以上は言えなかった。
「寝たふりをしてメールを無視していたのね。比企谷君、真実から目を背けずに現実を知りなさい」
あーあ。言っちゃったよ。せっかく黙ってたのに。
「……現実とか超知ってるっつーの。むしろ知りすぎて比企ペディア作れるレベルだ」
なんだよ、比企ペディアって世の中の卑屈を知れそうだな。
そしてバッドトリップしている比企谷君であった。
「比企谷……。じゃあ私とも交換するか?」
平塚先生はそう言って結衣から携帯を受け取って打ち込み始めた。
同情なのかなんなのか……。
「あ、比企谷君。俺も貰っとくね」
「いや、同情とかいらないから」
「なら、君の携帯も貸したまえ私がついでに打ってやろう」
平塚先生に言われたのでおとなしく携帯を渡す。
うん。一日に三人も手に入ったな。
「比企谷。もういいぞ。手伝い助かった。行きたまえ」
「うす。んじゃ部活行ってきます」
比企谷君の手伝いが終わったっぽいな。まぁ依頼人は来ないと思うしまた携帯でもいじって時間を潰すか。
比企谷君が歩き出したので俺たちもついて行く。扉の近くで平塚先生が付け加える。
「ああ、そうだ。比企谷。伝え忘れていたが今度の職場見学、三人一組で行くことになる。好きな者たちと組んでもらうからそのつもりでいたまえ」
そういえばそんなイベントもあったな。忘れてた。
「……なんてこった。クラスの奴が俺んちに来るなんて絶対に嫌だ」
「え?比企谷君。見学先自宅にしたの?」
「そうだ。だから彼は私に呼ばれたんだが……反省していないな」
その後もああだこうだと言い訳をしていた比企谷君だったが結局は平塚先生に一撃をもらっていた。
あー俺、どことか決めてないけど。まぁいいか。
そうして俺たちは部室へと戻る。特別棟の4階、東側。グラウンドが見下ろせる場所にある。
ん。風が気持ちい。いつも通りの風景である。
今日は比企谷君が少女漫画を読み、雪ノ下さんは文庫本、結衣と俺は携帯を見ている。
ダラダラの部活である。まぁ、他にもダラダラしているところはあるのだが……。特に大和が入ってるラグビー部はもはや雀荘である。俺もたまーに行ったりして混ざって打つことがある。結構楽しい。
「うわー」
「ん?どうした結衣?」
「いや、ちょっとね変なメールが……周くん来てない?」
「どれどれ。来てないなー」
「比企谷君、裁判沙汰になりたくないのなら今後そういう卑猥なメールを由比ヶ浜さんに送るのをやめなさい」
「俺じゃねぇよ……。証拠はどこにあんだよ。証拠を出せ証拠」
「そのセリフが犯人だよ……」
「そうね。犯人のセリフなんて決まっているのよ」
「まぁ、でも比企谷君は違うと思う」
「うん。ヒッキーは犯人じゃないと思うよ?」
「どうしてかしら?」
「んーなんちゅうかさ、内容がうちのクラスのことだし。だからヒッキーは無関係かなーって」
「ほぼ同じ考え」
「俺も同じクラスなんですけど……」
「なるほど。では、比企谷君は犯人じゃないわね」
「証拠能力認めちゃったよ……」
「まぁ、こういうのってたまにあるし気にしないほうがいいかもな」
「そう、だね」
実際にたまに来るよね。多分今回のもいずれ俺も貰うことになるのだろう。
話が終わりまた退屈な時間が始まる。
「……暇」
携帯をしまった結衣にはやることがないのであろう。
「することがないのなら勉強でもしていたら?中間試験まであまり時間もないことだし」
それにしてはずいぶんと余裕ですね。まぁ、学年一位の人だしなーもうばっちりしているのだろう。
「勉強とか社会に出たら使わないし……」
「出た!バカの常套句!」
「勉強なんて意味ないってば!高校生活短いんだしもったいないじゃん!」
「だから失敗できないんだけどな」
「超マイナス思考だ!」
「リスクヘッジだ」
「あなたの場合、高校生活全部が失敗してるじゃない……」
「ヘッジできてなかったね、比企谷君」
「うるせーよ。というか失敗なんてしてねぇ……。個性だ!みんな違ってみんないいんだ!」
「そうそう!個性、個性!勉強が苦手なのも個性!」
二人がバカに見えてきた……。じゃあ、俺の個性は普通かな?これって個性なの?
「金子みすゞが聞いたら怒るでしょうね……」
確かにな、個性という言葉は便利すぎる。
「由比ヶ浜さん。あなた勉強に……」
始まったよ。雪ノ下さんの正論攻撃。
「だって周り、誰もやってないし……」
あれ?なんか空気重くない?あ、前こんな感じで雪ノ下さんに怒られたんだっけ?
「や、ちゃ、ちゃんとやるけど!……そういえばヒッキーは勉強してるの!?」
お、ナイス自分で自分のフォロー。
「俺は勉強している」
「マジか……」
「ヒッキーはバカの仲間だと思ってたのに!」
「失礼な……。俺は国語なら学年三位だぞ……、他の部系も別に悪くねぇ」
「うっそ、全然知らなかった……」
「比企谷君、頭よかったんだね」
「さほどよくないわよ」
「……なぜお前が答える」
まぁ、確かに雪ノ下さんからしたら皆そうでもないかもしれないけどさ……。
「うぅー。あたしたちがバカキャラだよ~」
待て、俺も入ってるのか?
「結衣、俺はバカじゃない。理系ならいいし、この前も学年五位だ。それ以外はほぼ平均点だ。普通の男なめるなよ?」
「えー!周くんまで!?これじゃあ、あたしだけバカキャラじゃん……」
「そんなことないわよ」
あ、雪ノ下さんがフォローしてる。なかなか珍しい。
その言葉を聞いて結衣の顔が明るくなる。
「ゆ、ゆきのん!」
「あなたはキャラじゃなくて真性のバカよ」
「うわーん」
訂正。とどめを刺してました。
ぽかぽかと雪ノ下さんのつつましい胸元を叩く結衣であった。
その後も色々話した結果雪ノ下さんと比企谷君は勉強しかやることがなかったらしい。泣けてくるっ!
「でも比企谷君が勉強頑張るとか意外だわ」
「いや、ほかの連中も進学希望ならもう勉強始めてるんじゃね?」
「そんなもんかなー?」
「それに俺は予備校のスカラシップ狙ってるから」
「なるほどね……」
結衣はすくらっぷ?とか言っていたが雪ノ下さんに説明してもらっていた。
「つまり、スカラシップ取って、さらに親から予備校の学費貰ったらそれがまるまる俺の金になるんだよ」
「詐欺じゃん……」
「一概に詐欺と言えないのがこの男の性質の悪いところよね」
「進路、かぁ……」
「どうした?」
「あ、いや。皆卒業したら会うこともなさそうだな、ってちょっと考えちゃって」
「そうね……そこの男二人となんて絶対に会わないわね」
「おいおい、言われてますぜ比企谷君」
「お前もだろ」
確かにそうですな……。
「でも、携帯あるしそんなことないよね。いつでも連絡取れるし!」
「だからといって、毎日メールをしてくるのはやめてもらいたいのだけれど……」
「え!?や、やなの……?」
「……、ときどき非常に面倒くさいわ」
「この正直もの!」
「いつのまにそんな仲になってなんだよ……」
「ていうかよくそんなにメールできるな。なに話してるんだよ?」
比企谷君が疑問を口に出した。
「『今日シュークリーム食べたよ☆』とか」
「『そう』とか」
「『ゆきのん、シュークリーム作れる!?今度ほかのお菓子も食べてみたいんだけど!』とか」
「『了解』とか」
「雪ノ下、返信が雑すぎるだろ……。信楽たちはどんな感じだ?」
「ん?俺と結衣か?」
「いや、誰でもいいけど。葉山は?」
「えーと、『そろそろ暑くなって来たね』ってきたら『そうだな』って返して『こんど夏服買いたんだけどどうかな、一緒に行かない?』ってくるから『そうだな』って返して『じゃあ、皆にも連絡しとくね。決まったらまたメールするから』ってくるから『了解』って返す」
「お前も返信雑だな」
「そうか?」
「そうだよ……」
雑だったのか今度から気をつけてみるか……。
「まぁ携帯電話もかなり不完全なコミュニケーション手段だよな……」
「そうね。メールを返すのも電話を取るのも受け手に側に一任されるものね。それに、本当に嫌なメールは無視してしまうし」
「じゃあ……、あたしのメールは嫌じゃないってこと?」
「……嫌とは言ってないわ。面倒なだけ」
うんうん、照れてるゆきのん可愛いね。怖いから口に出さないけど。
「まぁ、携帯もそんなに便利じゃないってことだね~」
「ゆきのんって大学とか決めてるの?」
「いえ、まだだけど。志望としては国立理系ね」
「頭いい単語が出てきた!じゃあ、ヒッキーたちは?」
「俺は私立文系だ」
「俺は私立理系かな~」
「ヒッキーと同じ所なら行けそう!」
「言っておくが。私立文系ってバカってことじゃねぇぞ。だいたい俺とお前じゃレベル違うだろ」
「そうだよ、結衣。全国の私立文系の人に謝りなさい」
「うっ……と、というわけで。今週から勉強会をやります」
「意味わからん」
「どういうことかしら?」
「テスト一週間前は部活ないしいいよね!」
雪ノ下さんと比企谷君の疑問を一切無視してテキパキと段取りを始める。
んー俺隼人たちとあるんだけどなー。被らないかな?
「じゃあ、プレナのサイぜでいい?」
「私は構わないけれど……」
「ゆきのんと二人でお出かけって初めてだね!」
「そうかしら」
あ、俺たち男は呼ばれてなかったのね……。
比企谷君も誘われたと思ってたらしい。んー取りあえず。
「俺たちも二人で勉強するかい?」
「うるせぇよ」
ですよねーー。
yui's mobile
FROM ☆★ゆい★☆ 22:05
TITLE nontitle
おつかれ( ・ω・)ノ゜+゜
ヒッキーとかゆきのんとかヒエログリフ
って言ってるんだけどなに?最近の流行?
周くん知ってる(´・ω・`)?
amane's mobile
FROM 周 22:07
TITLE Re
おつかれさん。
多分皆知ってると思うぞ、俺も知ってるし
yui's mobile
FROM ☆★ゆい★☆ 22:08
TITLE Re2
本当!!(*∀*;)説明してくれますか?
というか教えてほしいデス☆
amane's mobile
FROM 周 22:09
TITLE Re3
いいよー。ってか結衣も似たようなのも
う使ってるよ
yui's mobile
FROM ☆★ゆい★☆ 22:10
TITLE Re4
え!?あたし流行にのってる?
amane's mobile
FROM 周 22:11
TITLE Re5
いや、だいぶ遅れてるよ。
だいたい1900年ほど前に廃れてるから
詳しくは歴史の教科書を参考に
yui's mobile
FROM ☆★ゆい★☆ 22:12
TITLE Re4
それ、ゆきのんにも言われた!!Σ(°□°)
メールのやつ書くの楽しいデス。