やはり普通の俺には普通の学校生活しか送れない。   作:佐羅田

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由比ヶ浜参戦です。


由比ヶ浜結衣はいい子である

 

 

 

 

俺は今、教室にいる。

なぜ、奉仕部に行かないかというとさっき比企谷君が平塚先生に呼ばれていたからだ。関係ないのでは?と思うかもしれないが関係はある。平塚先生が比企谷君と喋っているなら今奉仕部にいるのは雪ノ下さんだけである。ぶっちゃけ二人だけで何を話していいかさっぱり解らん。本か本を読めばいいのか。いや、やめよう。

 

「そーいえば、あーし雨よりも晴れてる方がいいと思うわー」

 

「わかーる!雨降ってるとマジ萎えるわー」

 

「だしょ?ユイはどう思うん?」

 

「だよねだよね。遊びとかも行きづらいし」

 

「まあ、雨降ったら練習も中になっちゃうしね」

 

「うわーさすが葉山くん!マジ練習熱心だわ~」

 

うん。どーでもいい話をしている。まあ嫌いではないがな。ちなみにラグビー部の大和と野球部の大岡は、部活に行ったのでここにはいない。海老名さんは……知らん。

 

「やっぱりー?周もそう思うっしょ?」

 

「どうでもいい。しいて言うなら曇りが好きだ、過ごしやすくて最高だ」

 

「ちょ、信楽くん。そこは晴れって言うところでしょーが、流れ的に」

 

「シュウの意見もありかもね」

 

「えーでもユイの言った通り、遊ぶんなら晴れてる方がいいっしょ」

 

「だが、俺は曇りが好きだ」

 

「はあ、周はハッキリ言うしそれはいいと思うんだけど、たまには流れに乗るのも重要だと思うんし。それで険悪な雰囲気になったら嫌じゃん?」

 

「それもそうだがそんなんで仲悪くなるなら友達だとは、思わない」

 

「さすが信楽くん!マジ考えてるわー」

 

「シュウのそうはっきりと言うところ羨ましいよ」

 

多分、こんな性格のおれがここにいられるのは最初にお前が話かけたからだ。それがなかったら違う奴らとつるんでいただろうよ。

 

「はぁ、そんなもんかね」

 

「ほんと、ほんとそういうところ良いと思うよ、でさーあたし今日用事あるんだよね」

 

「あーそう、なら行かなくていいん?」

 

「いやーそろそろ行かないとまずいっていうかなんというか」

 

「そうか、なら、さよならだな」

 

「うん、そうだね。また明日!」

 

葉山隼人の言葉で結衣が教室から出て行く。俺たちはまた明日ーとか当たり前の挨拶を交わして終わる。

 

「でさ、隼人……」

 

女王様が隼人と話している。なので俺の出番は、ない。携帯でも見てよう。

その後、話がひと段落ついたのか隼人と戸部が部活に行くと言ったので俺もあの場所に行くことにする。

さて、最近静かだった教室が騒がしくなっている。客でも来ているのか?そう思い扉を開ける。

 

「こんち」

 

「また言った!人をビッチ呼ばわりとかマジありえない!ヒッキーマジでキモい!」

 

俺の挨拶はうるさい声でかき消された。ってか結衣じゃん、何やってんだよこんなところで。二人は俺の存在に気付いてないようだが雪ノ下さんは気付いたようだ。

 

「あら、信楽君。遅かったわね、今日は来ないと思ってたわ」

 

その言葉に二人は気付いたのだろう、こちらに振りかえり結衣は驚いていた。

 

「な、なんで周君もここにいるの!?もしかして依頼?」

 

「んなわけねーだろ。話聞いてなかったのかよ、このビッチが」

 

「こっの…っ!ほんとウザい!っつーかマジキモい!死ねば?」

 

「死ねとか殺すとか簡単に口にだすんじゃねぇ。ぶっ殺すぞ」

 

わお、比企谷君ようしゃねー。あれ普通の女の子なら泣いちゃうよ。

 

「―――あ…、ご、ごめん。そういうつもりじゃ……えっ!?今言ったよ!超言ってたよ!」

 

さすがの結衣でも気が付くか。ってか

 

「楽しそうだな」

 

と思って、言ってしまっていた。

 

「え、ああ、うん」

 

結衣がいつもと同じようになってしまった。うわーやらかした。

 

「それで、依頼というのはなんなのかしら?」

 

「……あのさ、平塚先生から聞いたんだけど、ここって生徒のお願いを叶えてくれるんだよね?」

 

「そうなのか?」

 

比企谷君がそう呟いた。いや、俺も忘れてたけどさ。

雪ノ下さんは比企谷君の発言を一切無視して結衣と話す。

 

「少し違うかしら。あくまで奉仕部は手助けをするだけ。願いが叶うかどうかはあなた次第」

 

おうおう、カッコイイこと言っちゃって次の依頼主には俺がそれを言ってみせる!無理か

 

「何が違うの?」

 

怪訝な表情で結衣が聞く、比企谷君も同じ表情だ。ぶっちゃけ俺も同じく思っていた。

 

「方法論を与えるものであって結果のみを与えるものではないということよ。自立を促す、というのが一番近いのかしら」

 

なるほどな。よう出来てるよ、この部のシステム。やることより教えることのほうが格段に難しいのに。さすがは雪ノ下さん。

 

「な、なんかすごいねっ!」

 

この子理解してないのに納得したな。悪徳商法にひっかからないよーにな。

 

「必ずしもあなたのお願いが叶うわけではないけれど、できる限りの手助けはするわ」

 

雪ノ下さんの言葉で本題を思い出したのか、結衣はあっと声をあげる。

 

「い、いや、大したことじゃないっていうか。その……」

 

明らかに気まずい感じで何かを必死に隠してるようだった。俺をちらちら見ている。なるほど。

 

「結衣」

 

「な、なに周君!?」

 

驚きすぎだろ

 

「優美子や隼人たちに俺が言うんじゃないかという心配ならいらないぞ。俺はここの部員でもあるしな」

 

「あ、ありがとう」

 

「おう、気にするな」

 

「あのね、実は、クッキーを……」

 

そう言いかけ今度は比企谷君の事を見る。

 

「比企谷君」

 

雪ノ下さんは顎で廊下の方を指していた。失せろという合図だこりゃ

 

「……ちょっと『スポルトップ』買ってくるわ」

 

俺もこれに続こう。

 

「俺もなんか買ってくるわ。行こうか比企谷君」

 

そうして俺たちは教室を後にするべく行動を開始する。

そして雪ノ下さんはこう付け加える。

 

「私は『野菜生活100いちごヨーグルトミックス』でいいわ」

 

これ、どっち払うんだよ。

そう思った俺は比企谷君を見る。『お前が出せよ』、そういう目で見てきた。

まあいいか。

 

 

 

 

特別棟の三階から一階までは往復で十分かからないぐらいなので俺は比企谷君との距離を縮めることにする。

 

「比企谷君」

 

「なんだ?」

 

「ぶちゃけ最初俺の事どう思ってた?」

 

「なんだよ、急に」

 

「いいからいいから」

 

「葉山に一番近い金魚の糞」

 

「お、おう。はっきり言うな」

 

「あ?嘘ついて欲しかったのか?ならそう言えよ」

 

「いや、そーいう訳じゃないんだけどね。なら、今は?」

 

「なんで俺みたいな性格なのにあそこに居られるのか不思議な奴」

 

「すこし進化したのか。まあその答えは比企谷君が奉仕部に来てる理由と同じだと思うよ」

 

「どーいうことだよ」

 

「比企谷君、地味にあの場所気に入っているでしょ?」

 

「まぁ、嫌いではないな。沈黙も嫌とは感じないし」

 

「俺が思うのもそんな感じなんだよ」

 

「あーそうかい」

 

そう言って比企谷君は自販機にお金を入れてスポルトップを買い俺に道を譲る。比企谷君は俺が買うのを待ってくれているようだ。

俺はお金を入れて野菜生活とレモンティーを買う。ちなみにレモンティーは結衣の分だ。俺は別に喉乾いてないしな。俺はレモンティーを比企谷君に投げる。

 

「っていきなり投げんなよ、あぶねぇだろ」

 

「ごめんごめん。それ結衣に渡してくんない?」

 

「なんで俺が渡さないかんのだ。めんどくさい」

 

「まあ、いいからいいから」

 

取りあえず、まだそんなに仲が良くないだろうと思い俺は比企谷君から結衣に渡すように言った。ちなみにレモンティーにしたのは、結衣も女王様も優劣なく同じく友達だと思ってるぞという意味もあるのだが伝わらないであろう。逆に解ったらわかったで怖い。そんな察しのいいやつが三次元にいるわけがない。

 

 

 

 

「遅い」

俺たちが帰ってきてからの雪ノ下さんの開口一番のセリフである。そして俺が持っていた野菜生活を取ってさっそく飲み始める。

 

「……はい」

 

結衣はそう言って、比企谷君にお金を払おうとする。由比ヶ浜結衣は素直でいい子なんだなと再認識してしまった。

 

「ああ、別にいいよ」

 

そう言って比企谷君はレモンティーを結衣の手に乗っけた。やるな~比企谷君。

結衣は小さな声でありがとうとお礼をいい嬉しそうに両手で持ってはにかんでいる。そして比企谷君も少し嬉しそうだった。

 

「話は終わったかのか?」

 

「ええ、あなたたちがいないおかげでスムーズに話が進んだわ。ありがとう」

 

こんなありがとうは初めてだ。

 

「……そいつはよかったな。で、何すんの?」

 

「家庭科室に行くわ。あなたたちも一緒にね」

 

「家庭科室?ってことはクッキーを焼くのか」

 

「正解よ、話が早くて助かるわ」

 

「なんでさ?」

 

おいおい、比企谷君。そこは、わかろーぜ。

 

「由比ヶ浜さんは手作りクッキーを食べてほしい人がいるのだそうよ。でも、自信がないから手伝ってほしい、というのが彼女のお願いよ」

 

「なんで俺たちがそんなこと……、それこそ友達に頼めよ」

 

「う……、そ、それはその……、あんまり知られたくはないし、こういうことしてるの知られたらたぶん馬鹿にされるし……。こういうマジっぽい雰囲気、友達とは合わない、から」

 

「はっ。ってか信楽がここにいんじゃん、こいつ友達じゃねぇのかよ」

 

「そうだぞー俺はここにいるぞーってまぁ確かにあの雰囲気じゃ言いづらいわな」

 

「あ、あう……」

 

結衣は言葉を失って俯いてしまった。あれ、おれ同情したつもりだったんだがなんか違った?

 

「あ、あははー、へ、変だよねー。あたしみたいのが手作りクッキーとかなに乙女ってんだよって感じだよね。……ごめん、雪ノ下さん、やっぱいいや」

 

「あなたがそう言うのなら私は別に構わないのだけれど……。ああ、この男たちのことは気にしなくてもいいわ。人権はないから強制的に手伝わせるし」

 

まじかー。俺たちに日本国憲法は適応されないのかー。周、超ショック

 

「いやーいいのいいの!だって、あたしに似合わないし、おかしいよ……。優美子とか姫菜とかに聞いたんだけどさ、そんなの流行んないっていうし」

 

聞いたには聞いたんだな、よし偉いぞー。

俺もなんか言っとくか

 

「結衣、確かに結衣のような派手に見える女の子がやりそうなことではない」

 

「だ、だよねー。変だよねー」

 

「でも、別にいいだろう。そんなに空気ばっか読んでたらお前、友達じゃないだろ。俺は空気読まないからよく解らんが」

 

「え、でも……」

 

「なら、こうしよう。クッキーを作らなかったら言いふらす、作った場合何も言わない」

 

「最低だ!?」

 

「まぁ、俺の場合はただ単純に興味がないだけだし」

 

「さらに酷いよ!」

 

比企谷君、本音はダメでしょー、せっかくの俺の説得が。え?説得じゃなくて脅迫?知ってるよ。

 

「周君もヒッキーもマジありえない!あたしやればできる子なんだからねっ!」

 

そう結衣は言い、比企谷君の実体験を聞いたりして雪ノ下さんと仲良く憐みの目で見ていた。

まぁ、なんにせよこれが最初の勝負である。俺は審判Bへとジョブチェンしようじゃないか。

 

「まぁ、カレーぐらいしか作れねーが手伝うよ」

 

お、意外と勝負に乗り気じゃないか

 

「俺も審判役として立ち会うぞ」

 

「そうね、比企谷君の料理には期待してないわ。味見をして感想をくれればいいのよ。そして審判は私の勝利を見ていてくれれば構わないわ」

 

さすがっす!その自信過剰っぷり!一生ついて行くっす!

さて、こうして二人の勝負の幕は切って落とされた!

 

 

 

 

 

 

 

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