やはり普通の俺には普通の学校生活しか送れない。   作:佐羅田

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由比ヶ浜さんが勇気を出す話です。



信楽周は仲裁人である

 

 

 

四時間目の終わりのチャイムが鳴れば昼休みである。ダッシュで購買に走る者、机を動かして弁当を食べようとする者、他のクラスへと足を運ぶ者、皆それぞれ思い思いの事をしている。ありきたりな光景である。

だが今日は雨が降っているためいつもより人が多い気がする。あ、比企谷君も自分の席でパンを食べている。俺が行っても嫌がると思うのでいつも通りに隼人や女王様たちと食べよう。

俺はいつも通りにありきたりな話をして、笑いながら昼休みを過ごしている。もちろん結衣も一緒にいる。と、いうか何で比企谷君は一人で笑っているのだろうか?ちょっとキモ、くなくて怖い。うん見事な切り替えしだ。

俺たちは教室の後ろ側に座っている。なら前方は?前方では何人かが集まってモンスターを狩るゲームをしている。

 

「おいおい弓で来んなよ!チキンか!ww」

 

「お前こそ太刀とかガチじゃねーかw」

 

そんな会話が聞こえてくる。あれ楽しいよね。俺もやってるよ、俺は片手剣が好きだけどな、どうでもいいか。

今日も隼人と女王様はハデハデである。女王様の横に隼人がおりその二人の正面真ん中に俺が座っている。そしてその周りに結衣や海老名さん、戸部、大岡、大和が囲むようにいる。

誰が見ても解る様に二人はこのグループの中心人物である。ここで一応二人の事を説明しておこう。

葉山隼人。サッカー部のエースで次期部長候補、というか次期部長である。オシャレ系イケメン男子であり、男女問わずに人気がある人物である。一言で言うなら比企谷君の対極の存在である。比企谷君ごめんね。ネクタイの代わりにループタイを身に着けており、ループタイ=葉山隼人というものが出来上がってると言っても過言ではない。最初は頑張ってループタイを身に着けていた者も葉山隼人と同じものを着けているということで比べられ、皆ネクタイや他の装飾へと変わっていった。いるだけで周りに影響力のある男である。

三浦優美子。女王様、以上。いや、そうなんだってば。金髪縦ロールで露出が多い女。しかし意外と優しいという一面も持ち合わせている人物である。みんな怖がっているのは言うまでもない。多分隼人と俺は怖がってないと思うが……。

 

「ちょい周聞いてる?」

 

「ん?聞いてなかった。何?」

 

「サーティワンに行こうって言ってんの」

 

「なるほど、隼人は?」

 

取りあえず話を隼人に流そう、適当に行くって言った後に断るのは面倒なのだ。

 

「いやー、今日は無理そうかな。部活あるし」

 

「別に一日ぐらいよくない?今日ね、ダブルが安いんだよ。あーしチョコとショコラのダブルが食べたい」

 

「どっちもチョコじゃん(笑)」

 

「えぇー。ぜんぜん違うし。ていうか超お腹へったし」

 

「俺は抹茶とチョコだな」

 

「えー。くどくなーい?」

 

何を言ってるんだこいつは抹茶は最高だろ。

 

「抹茶は美味しい、これは譲れない!」

 

「信楽くん、まじ日本の心だわー」

 

「抹茶だけで日本とか言うなよ、戸部」

 

「んーやっぱり悪いけど俺はパスだな」

 

隼人が仕切りなおすようにそう言ったあと戸部が続ける。

 

「俺ら、今年はマジで国立狙ってっから」

 

あ、比企谷君が吹いた。絶対こっちの会話聞いて馬鹿にしてるしょ。

 

「それにさー、ゆみこ。食べすぎると後悔するぞ」

 

「あーしいくら食べても太んないし。やっぱ今日食べるしかないかー。ね、ユイ」

 

「あーあるある。優美子スタイルいいよねー。でさ、あたしちょっと今日予定あるから……」

 

「だしょ?もう食いまくるしかないでしょー」

 

どっと笑が起きた。まぁ話して笑うことってあるよね。

隼人は笑いながら女王様に言った。

 

「食べ過ぎて腹壊すなよー」

 

「だーからー、いくら食べても平気なんだって。太んないし。ね、ユイ」

 

女王様は結衣に話を振るのが多いようだ。

 

「やーほんと優美子マジ神スタイルだよねー脚とか超キレー。で、あたしちょっと…」

 

結衣の様子がちょっとおかしい。

 

「えーそうかなー。でも雪ノ下さんとかいう子のほうがやばくない?」

 

「あ。確かに。ゆきのんはやば」

 

「…………」

 

天然って恐ろしい。

 

「……あ、や、でも優美子のほうが華やかっていうか!」

 

「タイプが違うから比べんのもむずいぞー」

 

しゃーない、手を貸すか。

 

「じゃあ、周はどう思うのー?」

 

「あ?俺は、んーどーだろよくワカンネ」

 

「なにそれー?」

 

めんどいな、ヘルプ隼人。目で俺は訴えた。

 

「ま、いいんじゃない。シュウも行くんでしょ?部活の後でいいなら俺も付き合うよ」

 

ナイス。あなたはマジで女王様対策ですわ。てかさらっと俺が行くことになってるんですけど。

 

「オッケー、じゃ、メールして」

 

「あの……あたし、お昼ちょっと行くところあるから……」

 

もしかして、ゆきのんか、ゆきのんと昼飯を食べるのか。俺もこっそりついて行こうかな?やめよう。

 

「あ、そーなん?じゃさ、帰りにあれ、レモンティー買ってきてよ。あーし、今日飲みもん持ってくんの忘れててさー。飲みもんないときついじゃん?」

 

レモンティー好きなんだな。こんど機嫌が悪くなったらあげよう。

 

「え、え、けどあたし戻ってくるの五限になるっていうか、お昼まるまるいないからそれはちょっとどうだろうーみたいな……」

 

おお、結衣が口答えしている。俺、初めて見たよ。ほら、女王様も驚いていらっしゃる。

 

「は?え、なに?なんかさー、ユイこないだもそんなこと言って放課後ばっくれなかった?ちょっと最近付き合いわるくない?」

 

そりゃー、部室に来てますから。そーなりますわ。

 

「やー、それはなんて言うかやむにやまれぬというか私事で恐縮ですというか……」

 

サラリーマンかよ、ってかハッキリ喋れー。無理か、無理だよね。

わお、クラスが一気に冷えていくー、やばいわー隼人たちも目伏せちゃってるし。おい、ゲーム組、肉焼いた途端ボリューム下げんなしかも焦ってたのか生焼き肉になってたし。吹いちゃうから、マジでやめてくれ。

そして荒ぶる女王様。

 

「それじゃわかんないから。言いたいことあんならはっきり言いなよ。あーしら、友達じゃん。そういうのさー、隠しごと?とかよくないっしょ?」

 

それ、脅しじゃん。脅迫っしょ。

 

「ごめん……」

 

「だーからー、ごめんじゃなくて。なんか言いたいことあんでしょ?」

 

そろそろまずいかな?結衣ないちゃいそーだし。でもここで言えないとこの先も同じだよな。

俺が悩んでると比企谷君が席を立ちあがった。

 

「おい、その辺で―――」

 

「るっさい」

 

「……そ、その辺で飲み物でも買ってこようかなぁ。で、でも、やめよっかなぁ」

 

カッコイイ!って一瞬思ったけど彼はヘタレだった。なんだよ買ってこようかなーってならレモンティー買ってこいよ。

 

「あんさー、ユイのために言うけどさ、そーいうはっきりしない態度って結構イラッとくんだよね」

 

んー難しいね、俺には空気読めって言ってたのに。でも比企谷君も頑張ったし俺もなんか言おうか?

 

「……ごめん」

 

「またそれ?」

 

結衣はもう今にも泣きそうだった。その目で比企谷君を見ている。きっと助けを求めているんだろう。彼女にとって彼はそういうポジションだったのか。

 

「ね、ユイー、どこ見てんの?さっきから謝ってばっかりだけど」

 

「謝る相手が違うわよ、由比ヶ浜さん」

 

教室のドアを開けた人物が発した言葉だった。その人物におのずと視線が集まる。声でわかっていたがやはりそこには雪ノ下さんがいた。

 

「由比ヶ浜さん。あなた、自分から誘っておきながら待ち合わせの場所に来ないのはどうかと思うのだけれど?」

 

「……ごめんね。あ、でもあたしゆきのんの携帯しらないし……」

 

「……そう?そうだったかしら。なら、一概にあなたが悪いともいえないわね。今回は不問にするわ」

 

「ちょ、ちょっと!あーしたちまだ話終わってないんだけどっ!」

 

「何かしら?まだ昼食を取っていないからあなたと話す時間が惜しいのだけれど?」

 

喧嘩腰だね、雪ノ下さん。

 

「は、はあ?いきなり出てきて何言ってんの?今、あーしがユイと話してなんだけど」

 

「話す?がなりたてるの間違いじゃなくて?あなた、あれ」

 

マズイそろそろマズイこのままだと討論というか一方的に雪ノ下さんが優美子に言いまくってしまう。そう思った俺は雪ノ下さんに声をかけた。

 

「や、やー雪ノ下さん!ちょっといいかな!」

 

「なにかしら?信楽くん。私はまだ言い足りないのだけれど」

 

「いいからいいから」

 

俺は、強引に雪ノ下さんを廊下に押しだす。

 

「ちょい、時間ちょーだい、俺が何とかしてみせるから」

 

「はぁ、私はあの女が気に食わないのだけれど」

 

「マジでお願いします」

 

「そこまで言うのなら少し待ってあげる」

 

「ありがとう」

 

俺はそう言って教室に戻る。なぜか俺が戻ってきたらめっちゃ見られた。

 

「優美子、あの言い方はよくない」

 

「は?周もあの女と同じなん?」

 

「いや、そーじゃなくてあれは怒鳴ってるようだったしもろ脅迫に近かった。あの言い方なら結衣も謝ることしかできないって。別に喧嘩したいわけじゃないんだろ?」

 

「それはそうだけど……」

 

「なら、もうちょい優しく言ってやれよ。結衣はああいうの苦手な子なんだから友達としてお前が少し気をつかってやんないとだめだろ。レモンティーは俺が買ってきてやるから」

 

俺は早口でさっさと終わらせてお金を取りに行く。

 

「優美子は不器用なんだよ、気分が悪いからってすぐ怒んないように、じゃないと」

 

お金を取って俺はそう言い女王様だけに聞こえるように付け加えた。

 

「隼人に好きになってもらえないよ」

 

俺の言葉を聞いて女王様の顔が赤くなった。そしてふんっと言って携帯をいじり始める。

空気はかなり重いがさっきほどではないためみんながそれぞれ言い訳をいって一斉に外に出て行く。ビックウェーブのようだった。ちなみに比企谷君もいる。

結衣は比企谷君になにか言っていたがよく聞こえなかった。そして俺も教室の外に出ようとする。

 

「結衣、言いたいことがあるなら今しかないぞ。変わりたいなら頑張れ」

 

俺はそう言ってドアに手をかける。

 

「ありがとう、頑張る!」

 

結衣は少し涙目のまま笑ってそう言った。

俺はそれに無言で笑った後教室を出てドアを閉める。そこには比企谷君と雪ノ下さんがいた。

 

「おつかれ」

 

俺は比企谷君にそう言って自販機に足を進める。後ろから皮肉かよ……って聞こえたが無視だ無視。

我ながら意外なことをしてしまった。

二次元のように喧嘩の仲裁などしてしまった。

しかし、こういうのも悪くはないな。

俺はそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

          進路指導アンケート

       総武高等学校 2 年 F 組

           信楽    周(しがらき    あまね)

       出席番号 11      男

       

      あなたの信条を教えて下さい  

       ごくごく普通の人生をまっとうして死ぬ

      卒業アルバム、将来の夢なんて書いた?

       一般ピーポーもしくは社会人もしくは村人B

      将来のために今努力していることは?

       毎日を一生懸命に普通に生活していること

      

      先生からのコメント   

       清々しいぐらい希望も中身もなにも入ってない文章でした。

       将来の夢にある一般ピーポーの部分はふざけましたね?

       毎日を生活することは努力と言わないのでまずは将来の夢から

       真面目に考えていくことが大切だと思います。

 

 

   比:「お前がなんでリア充なのか意味わかんねぇよ……」

   

   雪:「時間を無駄に使っているわ」

    

      




材木座か戸塚のどっちかをオリジナルにしようと思っています。
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