ウルトラゼロファイトXD   作:火野ミライ

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OP.DREAM FIGHTER
挿入歌.新しい光

襟巻怪獣 ジラース
登場


第一部・零から始まる少女の光
Я1回目:鎧を着た巨人


簡易的に固定された布を屋根とした露店が並ぶ通りの中を進む。あちこちで客寄せの文言や値切りの声が響く。並んでいる品々は正直言ってどれも目劣りしている。けれど売り買いしている人々の顔は基本的に生き生きしてた。

 

『[まるで自分はそうじゃない]って言い方だな』

 

脳裏に響く男の声。その声は頭の中に直接語り掛けてくる割には古いラジオの様にノイズがかって聞こえる。その声色は聞くに堪えない。これなら【テレパシー】覚えたての幼児の方がマシ。でもこの声が聞こえるようになってからだいぶ日数が経っているから慣れた。

 

何処かの誰かさんは最初、語り掛けてくると言うよりチャンネルを合わせてるみたいだったが、次第に何言ってるか分かる程度に。分からないのは何故私に語り掛けてくるか。ま、知ったところで意味ないけど。

 

『はぁ~ なんかお前、妙に達観しているというか、自分の事を他人事のように語るな』

 

呆れたように呟く謎の声。実際、彼の言う通り他人事のように捉えているところはある。

 

『なんでだ?』

 

ノイズ交じりの声からでも分かる真面目な声。だからだろう、その問いに答えたのは__

 

【転生】、この言葉を聞いてどう思う? 異世界ラノベ?ハーレムもの? ()は嫌いだ。別にそういう物語が嫌いな訳じゃない。むしろ……好きだった。実際に転生したあの日までは…………

 

僕が私に転生したのは前世より、数十年後の日本だった。別にそれだけなら嫌いにはならない。TS転生も別によっかた。問題は世界の方だ_____

 

今や空想の生き物だと思われていた怪獣や宇宙人に日本いや、地球は支配されている。正確には宇宙人達のゲーム会場になっているのが現状。ゲームの内容は自分が決めた人数の地球人をこr___キルする事。後はプラスで何かしらの条件を付けてるみたい。[抵抗してきた人のみ]とか色々。

 

『っな! お前のいる地球じゃそんな事になってるのかよ!?』

 

そんなに驚く事? あぁ、自己紹介がまだだったね。 私は【響】。苗字も無ければ、親の顔も知らない。……驚いた?この世界だともう当たり前になってきている。例えば…… 逃げてる時に赤ん坊だけでもと隠してたのが見つかるとか、【エーフ】だから捨てるとか……… まぁ、いろんな理由で捨て子入る。

 

『えーふ………?』

 

エーフって言うのは宇宙人と地球人の間に生まれてしまった子。エーフはどちらかも忌み嫌われているから捨てられるか処分される。良くて奴隷だろう。ちなみに宇宙人は純粋な地球人を【デフォマン】と呼ぶ所もある。宇宙人同士なら種族名で。

 

話を戻すけど、私はエーフ。私は捨てられていたのを【ピグモン】って言う怪獣に拾われ、育てられた。私が3歳の時、他の怪獣から私を守るため囮となって死んだけど。転生してこれなら、転生なんてしなければ良かったと思うだろ? でも、仕方ない。今は地球人の集落とか、エーフの待遇が良い宇宙人の集落をあちこち巡る旅をしてる。

 

その方が生き残りやすいから。他人との関りが薄い程、エーフは生き残りやすい。理由? 簡単。自分がエーフだって分かる頃には一緒にいないから。だから孤独な一人旅をしている。そしていつか孤独に死ぬ。____その日が多分……… 今日。

 

エーフがあるで故に地球人には感じ取らないソレを感じ取る。膨大なエネルギーで転送されてくるソレを。視線を力を感じる方に向けると、ちょうど何もない空に光の溜まりが出現。やがてソレが形を取り、巨大な怪獣の姿に。

 

近くにあった何かが口から吐かれた熱線によって燃える。尻尾が建物を砕く。この集落に元々住んでいたのか買い物に来たのか知らないけど、いろんな人達がエリマキのある怪獣から逃げる。

 

『お前はどうしてるんだよ、響!』

 

私? 棒立ちだけど。理由? 逆に聞くけど生きる意味ってあるのかな? だって一人でも早く死ねばこの惨事も早く終わる。それが奴らの考えたゲームって奴だし。だったら死んだ方が良くない? 私、エーフだし。

 

「ギャオォォーーン!」

 

怪獣が吠える。それにより空が震え、周囲の物が吹き飛んだ。ちょっと、ちょっと怖くなってきた…………って! 後ろに振る向きくと年下だと思われる子達に瓦礫が落ちてきてる。

 

「……危ない」

 

「っえ?」

 

気が付いたら足が動いていた。先の咆哮により立ちすくんで居た女の子達のを強く押し出す。割と本気で押してしまった。エーフの力だから怪我で済んでいれば良いけど…

 

いてて、一体何が…… デェス!?

 

瓦礫に押しつぶされるその瞬間、金髪の方の声が聞こえた気がした。瓦礫の重量に負け倒れる。血は流れるし、手足力が入らない。なんかあの子達が叫んでる? 朦朧とする意識で聞こえた声。何を言ってるかは分からない。らしくない事した。けど、良いか。こんな死に方も悪くない。

 

『本当に良いのか!』

 

この怪我じゃ、いくらエーフだからって死ぬでしょ。

眠気に誘われるまま瞼を閉じたその時、謎の声が聞こえる。生死の狭間にいてもテレパシーはハッキリ聞こえるんだ。初めて知った。

 

『響、俺になれ!』

 

……は?

彼の言葉に気持ちだけ瞼を開ける。すると視界に映るは先の惨劇ではなく、果てが見えない宇宙。

 

『俺と同化すればその程度の傷、どうにでもなるぜ!』

 

正面に見える光のモヤから聞きなれた声が聞こえた。ここ数日聞き続けた彼の声が。

 

『それに奴を…… あの怪獣を倒せる!!』

 

あんた、誰?

これまでで初めて…… 響としても初めて、他人と距離を詰めようとしている。

 

『M78星雲からやって来た宇宙人だ! _____っと言っても、平行宇宙のM78星雲だけどな』

 

宇宙人 ……侵略者(あいつら)と同じ?

 

『バカ言え! 俺は地球人(お前達)の味方だ!』

 

もう、何もかも遅い……

今さら味方が出来たところで、怪獣を倒せたところで何も変わらない。

 

『そんなことねぇよ!』

 

どうして言い切れるの?

 

『本当にそう思っている奴は、他人を助けやしねぇ!』

 

___あっそ。

何処までも真っすぐで自信満々に答える彼。それは暗雲がの中で輝く一番星の様に眩しくて、現実しらずの幼児な意見に思えて。けど……… 悪くない。どうせ滅ぶのを待つだけ。なら、光に身を委ねるのも良いかな。

 

「……どうすればいいの?」

 

自然と尋ねていた。その言葉に彼は嬉しそうに笑うと、小さな光が私の傍に来る。光が晴れると赤・青・銀の派手なサングラスの様な物が浮かんでいた。耳に引っかける部分もゴムもない。

 

『ウルトラゼロアイを使え!』

 

「ウルトラゼロアイって、これ?」

 

『あぁ!』

 

目の前に浮かぶ【ウルトラゼロアイ】を手に取る。その瞬間、目の前の光の塊が人型に変化。薄らっとした輪郭だが胸部・額で宝石のような物が輝き、瞳と思わしきものが黄色に発行。ただ何となく、前に会った【バルキー星人】に似てる気がする。___そんな事より………

 

「名前」

 

『え………?』

 

「だから、あんたの名前」

 

『俺はゼロ。ウルトラマンゼロだ!』

 

ウルトラゼロアイを手に取ってから彼、【ウルトラマンゼロ】の声がハッキリと聞こえるようになった。繋がりが強くなったというのが正しいのかも。頭の中に流れたイメージに身を任せ、ウルトラゼロアイを目元に装着。

 

私とウルトラマンゼロの意識と体が重なった_____そんな気がする。こうして私は光へ。

 


 

深緑の皮膚に黄色の模様、背中から尻尾の先にかけて生える骨の様な背びれ、首元のに付いた大きな襟巻が特徴の【エリ巻き恐竜 ジラース】が口から吐く、白い熱線で風化した建物を焼き払う。火の粉が舞い、煙が立ち込める中、怪獣の足元にある瓦礫に近づかんともがく少女とそれを押さえる少女の姿そこにあった。

 

「離して切ちゃん!」

 

「ダメデス、調! 今行ったら踏みつぶされちゃうデス!」

 

「でも、あの人が!」

 

黒い髪をツインテールに結びピンクの瞳を持つ少女【月読調】が金髪のショートヘアーに緑の瞳を持つ少女【暁切歌】に向けて叫ぶ。腕を脇に通し羽交い絞めにする事で調べを何とかその場に留める事が出来ている切歌。

 

しかしその心の中は調と同じく今すぐ瓦礫の元に向かい、自分達を助けた人を助けに行きたい気持ちで溢れていた。そう彼女達は先程、響が押し出して助けた少女達。その皮膚に出来た擦り傷が何よりもの証拠だ。

 

アドレナリンが出ているのか自分の体が壊れるのも気にせず拘束から逃れようと暴れる調。それを他所に逃げる人々。そんな人間をあざ笑うかのようにジラースから放たれた熱線。彼女達が目をつむり視線を逸らす。

 

誰もが熱線で焼き払わると思ったその時! 空から舞い降りた一筋の光が人々の盾となる。

 

「あれはなんだ!」

 

「新しい怪獣か!」

 

人々の胸に不安が広がる中、光は徐々に人型へと変化していく。赤い下半身の皮膚に走る青と銀のライン。手は青く、上半身と頭部はメタリックに輝く武具。装甲をつなぐオレンジのコードが熱を発し輝き、口元と首元が武具の隙間からわずかに確認できる。

 

「なんデスか、あのトンデモ! 見たことない宇宙人デス!!」

 

「なにあれ」

 

人と同じ特徴を持ちながらも人とは異なる生物。49mの巨人が足を肩幅に広げ、左手を腰に持っていき握りしめ、右腕をジラースへと向けて伸ばす。まるで格闘技の構えを取ったところで、コードが音をたて引き締まった。

 

切歌が巨人を指さし驚く横で、調は巨人の動きを阻害するかのように伸縮する胸部のコードを見つめる。そしてそれは巨人、ウルトラマンゼロも同じであった。

 

『なぜテクターギアが……ッ!』

 

〔………テクターギア?〕

 

人々や怪獣からの視線を一身に受けるゼロが内心狼狽える。その驚愕の声が聞こえたのは彼と同化した響のみ。視線はジラースに向けたまま【テクターギア】について疑問を浮かべる。

 

「ギャオォォーーン!」

 

『っぐ! 早い話が装着者の力を封じる鎧だ!』

 

一方に動く気配がないゼロに向けかぎ爪を振るう。ジラースの一撃を腕の装甲で防ぎ火花が散るのを目にしながら響の疑問に答えるゼロ。

 

〔____なんでそんなの着てるの……?〕

 

『俺が訊きていよ………っと!』

 

次々と迫りくる拳を防いでいき、振るわれた尻尾の下を前転で潜り抜けたゼロ。ジラースの攻撃をさばきながらも会話をする余裕があるのは、ゼロ自身がテクターギアの防御力を身に染みるほど知っているから。

 

『しゃーねぇ、このままいくぞ! シェアッ!』

 

「ギャオォォーーン!」

 

『うぉっ!?』

 

今度はゼロからジラースへと接近、右腹部へ向けて鋭い蹴りを放つ! しかしその瞬間、鎧のコードが縮小しゼロの動きを阻害。思うように力が乗らず、たやすく受け止められた。受け止めた右足を掴みゼロを力の限り投げ飛ばす。なんとか空中で態勢を整え着地するゼロ。

 

〔やっぱりダメか___〕

 

戦意喪失する響。そんな彼女の負の感情に呼応するかのように鎧はさらにゼロを締め付ける。

 

『そうか、分かったぜ! このテクターギアは響、お前の心そのものだ!』

 

〔……………は?〕

 

『お前の諦め、自身への劣等感と言うマイナスエネルギーがこの鎧を生み出しているんだ!』

 

〔私がゼロの足かせに………〕

 

ゼロの憶測を聞き、初めて声に感情が乗った響。膝から落ちるような感覚に襲われる中、肉体の主導権を持つゼロは逆に立ち上がり、しっかりと大地を踏みしめるのだった。

 

『そんな事ねぇ! むしろちょうど良いハンデじゃねぇか! 俺が見せてやるよ響、どんな時も諦めない心ってやつをなぁ~~っ!』

 

目元を覆うゴーグルの向こうの瞳を強く輝かせ、天まで届くほどの雄たけびを上げるゼロ。土煙を託上げジラースに接近するとその首元ををさえる。拘束から抜けだろうと足掻くジラースを押さえ付けながら、顎辺りに何度も膝蹴り。

 

何度も脳を揺らされ次第に力をしなっていくジラース。抵抗する気力失ったその瞬間、正面へと回り込んだゼロのダメ押しのアッパーを受けダウン。倒れたジーラスを無理立たせるとその特徴的な首回りの襟巻を引きちぎった!

 

「ギャオォォーーン!?!?!?」

 

『デェェヤーーーァアア!』

 

悲鳴を上げ首元から周囲に赤い粘液が飛び散らすジラース、一方のゼロは人のいない方へと襟巻を放り投げた。痛みにのたうち回るジラースを背負い投げの要領で年メートルも先へと投げ飛ばす。

 

起き上がりざまに熱線を吐こうとエネルギーを堪るジラースの口元をアッパーで塞いだゼロ。エネルギーは体内へと逆流し、ジラースの内部で小規模な爆発を起こし内蔵を傷つけた。怒りの形相でゼロを睨みつけると大地が沈むほどの力で走り、ゼロへと接近。

 

『………………』

 

「…………………」

 

〔………………………〕

 

「「「……………………………」」」

 

二つの影が交差。爪もしくは手刀で攻撃した体制のままどちらも動くことなく制止する。戦っていた両社は声を出すことなく背を向け、戦いを見つめる人々は唾液を飲み込む。やがて一筋の風がブルーシートを巻上げたその時、緑色の巨体が音もたてずに崩れ落ちた。

 

〔…………すご___〕

 

瞬きすら許されない刹那の時間。ジラースの鋭い爪をギアで受け流しながらゼロは、今だ血を流し続ける首元に向け手刀を叩きこんだ。その一撃は触れた脊髄を砕き絶命する主な要因へとなった。

 

『__シェアッ!』

 

両腕を伸ばし空の彼方へ時へ去ったゼロ。やがてゼロの身体は光の粒子となり誰にも気が疲れる事もなく地上へと降り注ぐ。やがて光は一人の少女の姿へ。

 

「____諦めない……か」

 

数分前までは人の活気あふれる場所だった通りで響の声が静かに溶け込む。周囲を見渡すと店だったものや商品と思わしき残骸が転がり、どこか焦げ臭いにおいが風に運ばれてくる。

 

『改めて、これからよろしくな、響!』

 

「よろしく………… え?」

 

辺りの惨状を見つめていた響の脳内にゼロの声が響く。ふと左腕に重みを感じて視線を向けると見覚えのないブレスが装着されていた。中央のクリスタルが淡く輝く中、ゼロに先の言葉の意味を問い合わせようとしたその時、響のそばにやって来た二つの影。

 

「っえ?! さっき助けてくれたお姉さん……!」

 

「な、なんで無事なんデスか!?」

 

その影の正体はなんの偶然か、響が咄嗟に助けた二人組の少女だったのだ。そんな少女達の姿に出掛かっていた言葉を飲み込むと響は体を二人に向け、自虐を込めた言葉を紡ぐ。

 

「__なんでってエーフだし」

(この子達ぐらいならこの一言で逃げていくはず)

 

過去の出来事を脳裏に浮かべながら彼女達を遠ざけるように放ったその言葉。しかし現実は響の予想を大きく外れる事となった。

 

「マジデスか!?」

 

「実物を始めて見た!」

 

(……?)

 

二人から向けられる視線。それは有名人とした人の様なテンションで、動物園の希少な動物を純粋無垢に見つめるように、憧れのヒーローと出会った幼児の様に目を輝かせる。

 

「怖くないの?」

 

「うん、怖くない!」

 

前世含めて向けられた事のない視線に思わず尋ねる響。そんな彼女にツインテールに髪を結んだ少女が首がちぎれそうな勢いで縦に振る。それに続くかのように元気よく金髪の少女が名乗りを上げた。

 

「自己紹介するデス。 私は切歌、暁切歌デェス!」

 

「私は月読調。お姉さんは?」

 

「_____響」

 

「「よろしくお願いします/するデス!!」」

 

これまでの経験と真反対の状況に困惑しながらも名乗る響。暁切歌と月読調、この二人の出会いが響に大きな影響を与える。静かに見舞っていたゼロはそんな予感めいた確信を胸に抱くのだった。




テクターギア・ゼロ


K76星で修行していた時の姿。身を守る鎧であると同時に能力を封じ・制御するギブスでもある。頭部の黒いゴーグルの奥で感情に高まると黄色く発光。外すには外部からしてもらう必要がある。

今作では同化した響の全て諦めたと言うマイナスエネルギーによって出現した。その為、正確にはテクターギア・ゼロと異なる名称が正しいのかもしれない。響か自分から諦めず戦う気になればきっとその鎧と言う名の楔は自然と消えるだろう。
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