大長編 STAND BY ME ゼロえもん ――僕の新世紀・新エロマンガ島――   作:ぽんこっこ

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第9話:あいあいパラソル

 

 

 ぼんやりとした視界に映ったのは、見慣れない天井だった。

 

 そのくすぶった白色を見て、ゆっくりと首をひねり、周囲を覆っているピンク色のカーテンの存在と自分が体操着のままベッドに寝かされているという事実に気づく。枕元には眼鏡と教室で着替えた服が畳んで置いてあった。

 

 保健室だ。たぶん、あの後、気を失ってここまで運び込まれてきたのだろう。

 それにしても……頭を打ったとはいえ、サッカーボールが顔面直撃して気を失うとは。我ながらなんとも滑稽である。まるでギャグ漫画みたいだ。だけど、まだ少し痛む鼻面と左側の鼻孔に詰められたガーゼが、一応現実だということを告げていた。

 

 眼鏡をつけ、後ろ手をついてズシリと重い上半身を持ち上げると、カーテン越しに壁掛け時計が見えた。体育があった六時間目はとっくに過ぎて、ホームルームも終わっている時間だ。ドア向こうの廊下からはギャーギャーと騒ぎ声が聞こえてきた。

 その声を聞き、ふと僕はエロえもんと先日交わした約束のことを思い出していた。今日は塾がない日だが、さすがにあいつも今日は待たずにそのまま帰っているだろう。

 

「やれやれ」

 

 僕はぎしりと鳴るベッドのスプリングに促されるまま立ち上がる。人がいる気配がないので、養護の先生は職員会議か何かだろう。とりあえず汗臭い体操服を上下とも脱いでパンツ一丁となり、そのまま服を右手に掴んだ時だ。

 

「よっ。災難だっ――」

 

 カーテンが勢いよく引かれる音と一緒に、ここ最近聞き慣れた声が背後から聞こえてきた。その声に導かれ僕が振り向くと、これまた見慣れた笑顔を貼り付けたエロえもんと目が合った。

 

 だが、その様子がおかしい。まるで静止したアニメみたいに口角を吊り上げたまま、数秒視線だけを上下に動かし、再び僕と目を合わせるとみるみる顔を赤くする。

 それをボケっと見ていた僕が、パンツ一丁という自分の状態に気づいたのは、エロえもんが無言のままカーテンを閉めた後だ。

 

「ご、ごめん……」

 

 カーテン越しに聞こえてきた謝罪に、僕もうわずった声で「う、うん」と返答する。

 なんだろうね。そんな普通の女の子みたいな反応されるとこちらも調子が狂う。これもラッキースケベってやつに分類されるんだろうか。

 

 僕が着替え終わってカーテンを開けると、エロえもんは先生が使う机の上でノートに何かを描ていた。たぶん漫画のネームかデッサンの類だろう。僕が出てきたのに気づくと、「さ、さっきは悪かったな」と慌ててパタンとそれを閉じた。

 

「ずいぶん派手にやったな。教室から服持ってきた時は驚いたぞ」

「……君が持ってきてくれたの?」

 

 服を見た時は、友達でもないのに持ってきてくれるなんて奇特なやつもいたもんだと思っていたが、なるほど。この子だったのか。

 

「私、実は保健委員なんだぜ」

「そうだったけ?」

「うん。応急処置くらいなら習ってるし、そのガーゼも一回詰め替えたんだがな」

 

 ハニカミながらエロえもんは立ち上がり、僕の鼻に右手を近づける。目前に迫った彼女の指に少しドキリとする。

 

「ぶっ」

 

 と思ったら、ズボッと容赦なく鼻からガーゼが抜かれた。真っ赤に染まったガーゼの先はすっかり乾ききっていて、解放されたに鼻の穴にかすかな消毒液の匂いが届く。

 

「起きたらガーゼ代えてあげて言われたけど、この分だと大丈夫そうだ」

「なんか……いろいろとご面倒をおかけしたみたいで……」

「体育ダルかったから、いいサボリの理由になったよ。それに漫画のネタになりそうな経験だったしな」

 

 にっこり笑ってガーゼをゴミ箱に投げ捨てるエロえもんに、僕はこいつ女子だけど顔だけじゃなくて言動もイケメンだなよぁと呆けつつ、あらためて感謝した。

 

 その後、職員室まで二人連れ立って行き養護の先生に特に何も問題なさそうだと報告すると、定年間近のおばちゃん先生は「サッカーボールで気絶する子なんて何十年ぶりに見たよ」とあっけらかんと笑った。

 

 あと、職員室から出る途中「おう、名誉の負傷だな!」と千条先生にも声をかけられた。一応、体の異常はないかなど一通りの確認をされ、最後に「まあ、今度からは授業に積極的に参加しろよ! ちゃんと周りを見るんだぞ!」と非常にありがたいお言葉を頂いた。

 僕は内心文句のひとつでもつけたくなったが、その発言を聞いたエロえもんの目つきが鋭くなったのを傍目に見て、一触即発の危機を回避するため適当に相槌を打ってその場をあとにする。まったく、どいつもこいつも病み上がりに気を使わせないで欲しいね。

 

 何はともあれやるべきことを終えた僕らは、別れを告げる大声や給食袋を振り回しながら廊下を走る音の間をすり抜け、ランドセルを取るために教室へと向かった。

 

「じゃあ、また放課後。いつもの空き地な」

「うん」

 

 教室がある三階へと向かう途中、誰もいない階段の踊り場でエロえもんからそう切り出され、僕も頷く。

 

 

 エロえもんの家に行ったあの日から。僕らは互いに外せない用事がある時以外は、通学路から少し離れた三丁目の空き地で放課後落ち合った。

 そこで、あるいはエロえもんの家で、互いの漫画を見せ合って反省会をしたり、僕が持っている漫画とエロえもんが印刷してきた漫画の描き方が載ってるホームページやネットの漫画……あとはエロ画像だったりを貸し借りしていた。

 

 エロえもんはある日「なあ、自作漫画以外の話は学校でもやらないか?」と言ってきたが、それに関しては僕がやめとこうと拒否した。

 

 マンガやゲームの類は教師に見つかったら今年度が終わるまで没収されてしまうのもあった(ましてやエロ画像など親に通報ものだ)けど、この頃の男子と女子というのはどのクラスでも一部を除いて冷戦時代の米ソみたいに対立していて、しかも僕はスクールカースト最底辺にいるようなやつだ。僕と一緒に帰っているところを見られたり、クラス内で親しげにオタク臭い話なんてしたら、たぶんエロえもんの立場が悪くなろうだと思ったのだ。

 

 エロえもんは「うまくやるから気にすんなよ」と言ってくれたが、僕はそれだけじゃなくて――たぶん、エロえもんとつるむことにちょっと抵抗を感じていたのだと思う。

 あのおっぱい事件で脅迫されているという状況もあるけど、それ以上に、少し前まで彼女はドラえもん映画ですらまだ行っていないような月の裏側くらいかけ離れた存在だったし、何より漫画に対する本気度が僕と違った。

 

 付き合う中で、エロえもんには色んな漫画に関する技法や知識を教えてもらったし、ラフスケッチを含めると彼女は何百枚も絵の練習をしていて、そのどれもが僕からすれば小学生レベルとは思えなかったのに「まだまだヘタクソだ」と残念がっていた。

 

 ちなみにそれを見て、僕も最近は基礎からやり直し、時間の確保のため学校の宿題や塾の課題はますます適当に済ませるようになった。おかげでテストの点数は散々で、「塾の月謝だって安くないのに……」とお母さんには嫌味を言われた。

 

 それでも僕は、脅迫から始まったエロえもんとの交流を続けていく中で、不思議と学校で過ごすのがずいぶん楽になったと感じた。相変わらず毎日嫌なことしか起こらないし、奴隷船のように窮屈だけど。

 自作漫画のことやインターネットという未知の存在、吃音、教師と学校への不平不満。そういう自分の世界を共有できる誰かが一人でもいることが、心のどこかでは、やっぱり嬉しかったのかもしれない。

 

 それに加え、僕らはそういう身近なこと以外にも、この1か月半足らずの間に色々な話をしたと思う。

 

 アポロ郡の小惑星に到達した日本の探査機の話とか、二億年後に地上を支配するのはイカの子孫だとか、世界は実は五分前にできているっていう説があるとか、人が死ぬと二十一グラム体重が減るのは魂が抜けるからだとか、シベリアの永久凍土の中にはマンモスのミイラがあるらしいとか、6月24日はUFOの日と決まっているのだとか。

 

 それらは「漫画家になるにはいろんなことを知っておかなきゃいけないんだよ」というエロえもんの提案から始まったものだったけど、いつしか僕らは学校やクラスへの愚痴より自然とそういった話題を帰り道のオトモとして選択するようになった。

 漫画やアニメ、インターネットの話もおもしろいのだけれど、自分たちの日常とはかけ離れた世界のことや漠然とした未知について話し合うのは、すごく楽しかった。

 

 そう、楽しかったのだ。

 

 そんな話をできるのは家族でも生前のじいちゃんぐらいで、まさかクラスメイトでこういう話題を共有できるやつがいるとは思わなかったし、学校生活の中で楽しいなんて感じることがあるとは思いもしなかった。

 ある時、思わず「じいちゃんと話しているみたいだ」と伝えると「女子にじいちゃんに似てるなんていうやつがいるとは思わなかったよ」とエロえもんは呆れた様子だった。

 

 エロえもんは、そういうことを僕以上に詳しく知っていた。

 そして、僕以上に楽しく、真剣に、そういうことについて考えていたと思う。

 

 それは、あの芸能人や政治家が不倫していたとか、近所の誰誰とこの息子さん実はとか、世間で受けがいい学校や仕事とか――自称情報通の大人たちがよくする話題とは違い、本当に自分が好きで、知りたいことを知ろうとしているように僕には思えた。

 

 

 そんな経緯で、今日もランドセルを取った後、僕らは時間をズラしてバラバラに学校を出て、いつもの空き地に集合する予定だ。

 

 ドアが開けっぱなしになっている教室では、ホームルームからあまり時間も経ってないこともあり、4分の1くらいのクラスメイトが残っていた。あんな事件があった直後ということもあり、教室のドアをくぐった瞬間、僕らは少しだけ注目を浴びた。

 

「わりぃ、わりぃ! 日野、大丈夫だったか!?」

 

 と真っ先に駆けつけて声をかけてきたのは、クラスのお調子者ポジションの安春だった。どうやらこいつがあのロングシュートの犯人らしい。

 

 思いがけない反応に僕が「あっ、だ、大丈夫だった。ありがとう」と若干挙動不審になりつつ答えると、「そっか! ごめんな! 本当に!」と爽やかな笑みを見せて、出久杉たちを中心とした教室後方でおしゃべりしているグループへと戻っていく。

 

 なんだろう。ああいうふうにまっすぐに裏表のない感情をぶつけられると、自分の人間としての小ささというか、卑屈さが浮き彫りになって、なんだか謝らせてしまったこちらの方が申し訳ない気持ちになってくる。疎らに教室でたむろするグループからこちらを伺うような視線もあり、なんだか居心地が悪い。

 

 僕は右腕に抱えた体操服をさっさと体操着袋に押し込んで帰ろうと、自分の机に足を向けた。

 

「付き合ってくれて、ありがとう。じゃあ、僕は――」

 

 といかにもよそよそしくエロえもんに声を変えた時、僕はそれに――先ほどから一言も喋らないで突っ立っていたエロえもんの視線の先に気づいた。

 

「あっ……」

 

 僕は、なんともマヌケなことに、今の今までその存在に気づかなかった。

 

 教室の黒板。普段は明日の日直くらいしか書かれていない右側の3分の1を埋めていたのは、不格好な三角形と中央を割るように引かれた一本線。かなり大きな相合傘の落書きだ。

 

 

 そして――その傘の中には、僕の名字とエロえもんの名字が書き込まれていた。

 

 

 心臓がどくん、どくんと強く鳴り、鼓動が早くなる。

 幼稚な落書きだ。そう思おうとして、どこか他人事のように「バレてんぞ!」とか「ケッコン!! ケッコン!! さっさとケッコンーー!!」と相合傘の周囲に書かれている文字たちを目で追っていくが、いくらそれらを眺めても、身体は動こうとしない。

 

 僕は電池が切れかけたAIBOみたいにゆっくりと首をねじり、クラスを見渡した。

 

 興味がないように我関せずで喋り込むグループ、ひそひそと笑いこちらを見るグループ、「おっ、気づいた」とか「ヒュー」とか隠し立てることなく笑うグループ。

 反応はそれぞれだけど、男子も女子も、そのどれもがまるで最近流行りの恋愛バラエティを観るみたいに僕とエロえもんに好奇の視線を向けていた。

 

 その反応や黒板の落書きから察するに、たぶん、見られていたのだ。僕とエロえもんが空き地でやっていることや一緒に帰っているところを。

 

 そして、それに気づいたと同時になんとなく……これは、僕に対する見せしめみたいなところもあるんじゃないかと思った。単純に楽しそうなおもちゃがあるから遊んでみただけなのかもしれないけど、クラスの中心にいるエロえもんと仲良くして調子に乗ってるなんて思われている可能性だってある。

 

 そう考えてると、僕は体が強張ってしまった。なんでもないイタズラだけど、今まで透明人間みたいに過ごしてきた分、こんなにも多くの意思に晒されるのは久しぶりで。顔がわからない、けれど確実に近くにいる悪意に……どうしていいかわからず、立ち尽くしてしまった。

 

「うわぁ、なにこれ。ウケルんだけど」

 

 その時、耳元でハツラツとした声がした。エロえもんだった。

 僕と二人の時とは違う教室モードの明るい喋り方で、「もう、しょうがないなぁ」と黒板消しを掴む。他のやつらに悟られない程度にこちらに「気にすんな」という視線を寄越してきた。エロえもんが落書きを消し始めると、ようやく僕の時間は動き出して、慌てて黒板の前に行く。

 

 横で容赦なく相合傘を消し去っていくエロえもんを見て、やっぱりこいつは僕より男らしいな、なんてかっこ悪い尊敬を抱きながら僕もワタワタと黒板消しを手に周りのからかい文句を消していく。

 だけど、そうして、残るはエロえもんの近くにある一言のみとなった時、黒板消しを持つ彼女の手がピタリと止まった。

 

「? みどりか――」

 

 エロえもんにどうしたのか聞こうと名字を呼び掛けた時、そのからかい文句に目が止まる。

 

 

 

『マンガ家バカップル』

 

 

 

 そこには、白のチョークでそう書かれていた。

 そして、それを見た瞬間、今まで平然としていたエロえもんの耳元が真っ赤に染まり、そのままうつむきがちになってしまう。僕はハッとした。

 

 エロえもんは、自分で漫画を描いていることはクラスのみんなに秘密にしている。鍵付きの引き出しに入れていたくらいだ。きっと、今はまだ――誰にも知られたくはなかったんだろう。

 

 僕はクラスで一人だったからそんなこと気にせず学校でも描いていたけど、自分の漫画を誰かに読まれたり、描いてることを知られるのが恥ずかしいという気持ちは、痛いほどわかった。

 それは本当に漫画が好きで、本気でやっているからこその感情で――ぎゅっと唇を噛むエロえもんの横顔を見た瞬間、自分でも信じられないくらい猛烈な何かが足元から湧き上がってくるのを感じた。

 

「日野……?」

 

 僕は黒板に背を向けて、教室内を見渡した。

 相変わらずお喋りしているグループ、違う。ヒソヒソと遠巻きに笑っている女子たち、違う。先ほどはやし立てていたやつら、違う。

 その時、自分の席に座り、ニヤニヤと笑いながらこちらをじっと見ている二人組――幸田と細川と目が合った。

 

 こいつらだ。

 

 証拠はない。だけど、なぜか直感がそう告げていた。無言で近づいていく僕に、教室が少し静かになり、放課後の喧噪が遠くなる。

 

「あれ、『マンガ家バカップル』ってやつ、幸田と細川?」

「だったらなんだよ」

 

 正解だった。

 

 幸田は気に食わないといった目つきで僕を見上げ、細川はまさかこっちに来るとは思っていなかったのか少々うろたえている。

 僕は奥歯を噛み締めて、先ほどから自分の中に渦巻いている気持ちを押さえ込むのに必死だった。

 

「……僕は別にいいけど、謝れ」

「あ?」

「あいつの漫画をバカにしたことは謝れっ!」

 

 自分でも信じられないくらい大きな声が出た。教室を震わせた。

 同時に頭がかぁと熱くなって、次の瞬間、右手には痛みと今まで感じたことがない嫌な感触が残っていた。無意識のうちに幸田の頬を殴っていた。

 

「何だよっ! オイ!」

 

 一瞬呆気に取られていた幸田は、すぐに立ち上がって僕の胸ぐらを掴んで押し倒した。中学生みたいなガタイの幸田とヒョロヒョロの僕では、たぶん二倍くらいの体重差があるだろう。伸し掛かられるといくら力を入れてもビクともせず、僕はタコ殴りにされながら何度も不格好な蹴りを入れた。不思議と痛みは感じなかった。

 敵うはずないのに。ただ、相手を屈服させて、謝罪させるという暴力的な意識だけが、今の僕を突き動かしていた。

 

 僕らが転がると周りの机が床を引っかいて不協和音をあげ、巻き込まれた椅子が倒れ、もはや体の一部……いや、本体といっても過言ではない僕の眼鏡がまたもや吹っ飛んだ。ぼんやりとした視界の外で、クラスメイトたちの嬌声と叫び声が聞こえる。殴られたり、肘打ちされた体のあらゆるところが熱くなって、でも恐怖は感じなかった。脳ミソのストッパーが外れてしまったみたいに、ただひたすら取っ組み合いを続けた。

 

「おい! お前ら! なにやってんだ!」

 

 その時、僕の視界を支配していた幸田の体がふっと消えた。

 幸田を遥かに凌ぐ力が互いの肩にかかり、僕らの体は強引に引き離された。僕は息も耐えだにまだ幸田に向かおうとしていたが、「いい加減にしろ!」と鼓膜を直接揺さぶられるような声に静止する。

 

 振り向くと、担任の田中先生が普段の昼行燈みたいな表情からは想像もつかない真っ赤な顔をしている。向こうでは、幸田が同じように千条先生に羽交い絞めにされていた。

 

「お前ら! 六年生になってまで何やってんだ! 全員職員室に来い! いいな!?」

 

 田中先生の怒声で、教室は嘘のように静まり返った。

 教室に残っていたやつらは高木先生の手によって職員室へと連行され、僕と幸田は保健室へと連れていかれる。

 

 教室を出る時、エロえもんと一瞬だけ目が合った。

 だけど、僕らは互いに何も言えず、そのまま教師たちに背を押され、教室をあとにした。

 

 

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