大長編 STAND BY ME ゼロえもん ――僕の新世紀・新エロマンガ島――   作:ぽんこっこ

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最終巻 STAND BY ME
四時限ソケット(作・21ゼロえもん殿下) レビュー投稿者:ななしのエロ犬


 

 

 エロ漫画の単行本を購入するのは初めてで、21ゼロえもん殿下先生の作品を読むのも初めてです。長い割にヘタクソで中身のない感想になります(一部バレ含みます)。

 

 10作の個別読切(各話に同じ学校であることを暗示する薄い繋がりはありますが)は、一貫してハイテンションなやり取りやパロディを多く含むギャグ系統のエロコメといった感じで、全体を通してコミカルなストーリーテリングになっています。ただし、導入部~前半のエロコメパートは軽めのボリュームでまとまっており、エロパートも構成的に十分あります。どの作品も安定的に実用性の高いものになっていると思います。

 

 女の子のジャンルとしては、学校という舞台がありほんとど同じですが、校庭やプールサイド、科学室、文化祭のお化け屋敷の中など……舞台に変化を持たせ、マンネリ化を防ぐ工夫がされています。属性も委員長タイプに不思議系ガール、クールな理系美少女、女性教師とそれぞれ違ったタイプのヒロインが出てきますが、性格的な造形としては、思春期ゆえの性的なものへの興味や羞恥心に振り回されながらもエッチなことを積極的(多少暴走気味?)に取り組む姿勢が根底にあり、性に対して一貫して純粋な感情が描かれています。

 

 また各話の相手役の男子はヒロインに振り回されることが多いですが、どのキャラもきちんとスケベな気持ちがあり、主導権を握らせるだけでなく、きちんと自分の意思と性癖を持ち合わせています。多少アブノーマルな面があってもそれをお互いに素直にぶつけ合い、両者の欲求が合意のもと達成させられるという描写になっているので、全体的にポジティブで明るい雰囲気に仕上がりになっています。ベーシックな行為の流れと擬音、台詞のバランスの良さもあり、どことなく普遍的な心地よい読後感を得られるのではないでしょうか。

 

 女の子の外見的な描写は属性により細かな違いはありますが、共通しているのは巨乳です。この先生は一貫して巨乳ものを描き続けられているみたいですね。

 

 エロ漫画は裸体だからこそ人体を描く技術にごまかしがきかないらしいですが、素人目に見てもおっぱいを中心に各体パーツの描写には十分な健康的なエロさがあり、特に違和感はありませんでした。エッチです。

 

 絵柄としては、線は細く柔らかいタッチですが、最近のアニメの流行も取り入れて新鮮味も両立しています。女の子の服の装飾、行為に至るまでの表情の変化なども丁寧で、全体的に繊細な画面作りを心掛けているのかなと感じます。絵柄のバラつきは少なく、全体的に親しみやすく綺麗な絵が前述の軽くコミカルなストーリ展開・エロパートとマッチし、小生のようなエロ漫画初心者でも取っつきやすい窓口の広いエロ漫画と言えのではないでしょうか。

 

 ただ、ひとつだけ。単行本の最後に位置する『ジュブナイル』という話だけは、前述した作品群とは大きく異なる印象に仕上がっています。

 

 これまでのコメディテイストな明るい画面とは違い、絵も夕刻の陰影を強調した若干濃いものになっています。ただ丁寧な線と背景の空白とのバランスゆえにごちゃごちゃとした印象は見受けられません。コマ枠内のバランスに気を使っておられるのだと思います。

 

 詳細は省略しますが、ストーリーとしては男勝りの女の子と東京への進学を決めた年上の男の子の話です。ただ、エロ漫画において没入感を阻害させないため無個性になりがちな男性が特殊性癖を持っていることを強調し、それに起因する二人の感情のすれ違いが、作品の印象に大きく寄与するポイントだと思います。

 

 どうしようもないやり場のない感情。自分や世界への葛藤。それは大人や「普通」を生きる人にとってはとても些細で、理解し難い葛藤なのかもしれません。

 

 自己と世界の断絶と再生。これはエロ以外の一般作品でもよく目にする手垢のついたテーマではありますが、本作品はエロ漫画という媒体を活かし、ヒロインはセックスという手段でそれらを解決しようと試みます。しかし、物語の結末としては結局ヒロインと男の子の心の距離は埋まることはなく、一般作品であれば問題の解決と成長という一連のプロセスを得てたどり着くはずの結末は、何も得られないほろ苦いものになっています。

 

 それが徹底的にムダを排した最低限の台詞と繊細な表情の移り変わりで進む情事にも表れ、これまでの作品と違いどこか文学的なエロさになっています。ただ、こういったシリアス系統……少し悪い言葉で言い換えれば、サブカル的で実用性に劣る作品とも取られかねない印象の中、作品のエロさを引き立てているのが、ヒロインが行為を通して伝えようとしている切迫した感情の静かな爆発だと思います。

 

 性的な成長も終わりを迎え始めた少女の体は、好意を寄せる少年の性的対象とはどんどんかけ離れていき、男の子が東京の大学に進学を決めたことで感情面だけでなく、物理的な距離までもが離れていく。それに耐え切れず体の繋がりを強要する。思春期特有の不安定なアイデンティティと自己形成を他人との繋がりのみに求めてしまう危うさ――そうした心の動きを丁寧に掬い取った行為の描写が本作品の真骨頂なのではないでしょうか。

 

 ただ、翌春、女の子らしくなったヒロインが微笑む最後のページには、ヒロインが起こした行動の先に生まれた変化と微かな救いがありました。切なさと晴れやかな感情が同居したラストページ。ここに先生がエロ漫画に込めた情熱の欠片とキャラクターへの優しさが感じ取れます。実用面などで賛否はあるかと思いますが、個人的にはすごく好きな終わり方です。

 

 一つの学校を舞台にヒロインたちの衝動と感情の揺さぶりをコミカルに、そしてほんの少しの切なさを込めて描いた本作は、一般漫画のラブコメとも日常系とも違う……エロ漫画でしか表現できないものだと思います。大人になったおじさんにそんな青い感情を思い起こさせ、いい意味で虚構を追体験させててくれたとても素晴らしい作品でした。

 

 

 

 先生の描くエッチな女の子が好きです。先生の描く世界が好きです。

 人は……おっぱい以外を好きになることはあっても、おっぱいを嫌いになることはありません。先生には、これからもぜひ好きなものを描き続けていただきたいです。

 

 

 

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