「今回のリーダーになったことだし、とりあえず作戦を伝える」
「作戦か。どういうものなんだ?」
葛城がその作戦について聞いてくる。
「俺がリーダーになってスポットを占有しまくるガッポガッポ作戦」
右手でサムズアップをしてキメ顔で言う。
「ガッポガ、ポ、作戦とか・・・・・・!」
「ネーミングセンス・・・・・・!」
「だっさ」
だがその作戦名を橋本と司城は笑われてしまった。
(いいと思ったんだけどな)
「作戦のネーミングはどうでもいい。それで我々はどうすればいい?」
葛城は渾身の作戦名を一蹴りし、その中身について聞いてくる。
「ポイントを勝手に使わない限り、自由にしていていいぞ」
「「「は?」」」
「何を言っているんだ?この試験は仲間と力を合わせるもの。それを考えていないのか?」
葛城派の生徒は呆気を取られて、そのことに不信感を抱く。
だがこの作戦は試験のテーマに沿ったものである。
「この試験のテーマを忘れたのか?『自由』だぞ、『自由』。それなのに仲間を縛るなんてリーダーとしてどうか思うんだが」
「っ!ならそれに従おう」
「それでよろしい」
(何とか葛城を丸められたな)
「一応拠点としてそこの森を抜けたところに洞窟を押さえたい。誰か道がわかるやつはいるか?」
洞窟がある方向に指を指しながら、挙手を欲する。
それに葛城が手を上げる。
「なら葛城、みんなをそこに案内してくれ」
「分かったが、お前はどうするんだ?」
「スポットを占有をしてくる。マニュアルにあった地図を使わさせてもらうが」
「地図についてはいいが、もしかして1人で行くのか?」
(そうに決まってるだろ)
「そうだ」
「それは危険すぎる。1人だと他クラスにリーダーがバレて損をするのは俺たちだぞ」
(葛城が言っていることは確かに合っている。
誰だってリーダーをバレたくないと思っている。
だが、俺は違う)
「損をするのは俺たちじゃない。他クラスだ」
「それはどういうことだ?」
「まあ最終日を楽しみにしとけって。それよりも他のやつを洞窟に案内してくれ」
そう言って森の中に入り、少し高い場所にある太い木の枝に向かって跳躍する。
そして木の枝を掴みぶら下がった状態へとなり、そこから勢いをつけて、次の木の枝に向かって飛んで進んでいく。
地図でスポットの場所がわかるように、島の端から探すことにした。
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島の隅々まで探索したため、かなりの時間を使ってしまい、洞窟に行った時には大半の生徒が森に食べ物を探しに行っていた。
その代わりとして、洞窟の中を合わせて20ヶ所のスポットを占有することが出来た。
洞窟の中で次にすることを考えていると、1人の男がこちらにやって来た。
「てめえがリーダーって聞いたからわざわざ来てやったが、そこら辺の雑魚と変わらねえじゃねえか、坂柳の懐刀」
「懐刀って言うより手足に近い。それで何の用だ?Cクラスの王」
やって来たCクラスの龍園だった。
「クク、Aクラスと契約を結びに来た」
龍園は手に持った紙を突き出してきた。
内容はこんな感じだった。
・Cクラスは200ポイント分の物資と情報をAクラスに提供する
・試験終了後、Aクラスの生徒全員は毎月20000ポイントを龍園が在学期間中払い続ける
(かなり美味しい話だが俺たちは損をする。
今回の試験でスポット1ヶ所につき最大19ポイント。
20ヶ所だから最大380ポイント。
契約によって270ポイントは残せる。
そこから最大150ポイントを稼げる。
俺がリタイアして-30ポイント。
となると最大770ポイント。
だが毎月払えば570ポイントしか稼いでいないことになる。
契約を結ばなかった場合、だいたい100ポイントは使う。
そうなると、最大670ポイント。
結ばない方向でいくか)
「断らせてもらう。その契約で損をしたくない」
「そんなことは最初から分かってる」
そう言って龍園は契約書をビリビリに破る。
「てめえにはこっちの契約書を書いてもらう」
龍園は新しい契約書を取り出しこちらに渡してくる。
それは真っ白で何も書いていなかった。
「俺が考えろと?」
「そういう事だ。もちろん、こちら側が有利になるようにしろよ」
(めんどくさいな。
だが上手くやればこちらも得をするな)
そう思いペンを取って契約書を書いていく。
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無人島試験における契約条項
第1条
Cクラス(以下、「甲」という)は、Aクラス(以下、「乙」という)に対し、甲のポイントの使用を承諾し、情報提供を行う。
同様に乙は甲に対し、情報提供を行う。
第2条
(1)甲は乙に対してポイントで購入できる物資を引き渡すものとする。
(2)乙は甲から引き渡された物資について、不備がないかの確認を速やかに行う。
(3)甲が提供する物資は100ポイント相当までとする。
第3条
(1)乙は毎月400000プライベートポイントを月末までに龍園翔に譲渡する。
(2)本契約は、龍園翔の在学期間中は継続するものとする。
第4条
(1)乙は物資を本来の用法に従って使用、保管するものとする。
(2)甲は前項に反する使用においての不具合、故障に関しては保証しないものとする。
第5条
乙は本契約に関して甲の事前承諾なく、以下に定める行為をしてはならない。
(1)第三者に今回の契約内容を無人島試験の間に故意に伝える事。
(2)物資を設置場所から目立つ方法で移動すること。
甲の代表 東京都高度育成高等学校1年C組
氏名:龍園翔
乙の代表 東京都高度育成高等学校1年A組
氏名:黒瀬神威
(最終は2万が1万になって、200が100になった。
それに
これで俺1人で負担することも可能だし、葛城が負けた時に罰として払わせることもできる。
あとは、リーダー情報を知れるのはありがたい)
「これで契約成立だ」
「Cクラスがどうやってこの試験を乗り越えるのか知らないが頑張ってくれ」
「てめえに言われる筋合いはねえ。こっちはこっちのやり方でやらせてもらう」
「それはそうだな」
それを最後に龍園は洞窟から出て行った。
(契約を結んだのは坂柳に怒られそうだが、今回の試験でCクラスからの情報があるとかなり助かる。
その情報を元にリーダー当てをする。
現在龍園に頼んだのは、簡易トイレ2つ(40ポイント)、シャワー室1つ(20ポイント)、水3食分(18ポイント)、調理器具セット(5ポイント)、無料で配布されたテント2つ。残り17ポイント。
無料のテントがこちらに渡されるのはありがたい)
「あっ、そういえば」
何かを思い出した俺は葛城を呼ぶ。
「どうかしたのか?」
「スポット探してた時に色んな食料があるところを見つけた。地図にマークしてあるから数人を連れて取ってきてほしい」
「できるだけポイントを節約したいからな。その任務、やらせてもらう」
「頼んだ」
それを聞いた葛城は数人を引き連れて拠点を後にした。
(これで食料は何とかなる。
残りは水だが、綺麗な川があるところが2つあった。
片方は池が居たから占有していないがもう片方は占有出来た。
そこの水を飲めるやつがいればかなり節約ができる。
それにしてもリーダーってだるいな)
「だりー」
「お?お前が疲れてるなんて珍しいな」
思ったことを口にすると、それをたまたま聞いた橋本がそんなことを言ってくる。
「うるせえ橋本」
「まあそれは置いといて、Cクラスが物資を運んでほしいって言ってきたが」
(早いな)
「分かった。数人を残して行くか」
「そうだな」
腰を上げて数人を連れ、Cクラスに頼んだ物資を運んだ。
物資を運び終わって休憩をしているとBクラスの一之瀬と神崎がこちらに来た。
「これは凄いね。流石Aクラスと言ったところかな?」
「そうだな」
「それはありがたい言葉だ。偵察なら自由に見てくれて構わない。と言っても、工夫なんて一切していないが」
「それじゃあお言葉に甘えて自由に見させてもらうよ」
それを聞いた2人は洞窟の中に入る。
その様子を見ていると近くにいた神室が聞いてくる。
「あの2人を洞窟の中に入れて大丈夫なの?」
「特に守りたい情報なんてないから大丈夫」
「それならいいけど・・・・・・」
「どうかしたのか?」
「何でもない」
神室が何を考えているのか知らないが、別に知りたいとは思わないのでそのまま放っておくことにした。
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時刻は夜となり、ご飯の時間になる。
坂柳派と葛城派、中立としっかり分かれてご飯を食べている。
俺はこのタイミングで全員に聞くことにした。
「みんな少し聞いてほしい。今回の試験でCクラスと契約を結び、ポイントがかなり節約できている。だが、1つの問題次第で少し変わってくる。それは水だ。今は3食分の水しかない。これで明日まではいけると思うが、それ以降はまた頼まないといけない」
「残り何食分の水で100ポイントを使い切るんだ?」
それを里中に聞かれる。
(やっぱイケメンは違うな)
「2食分。3食目以降はAクラスのポイントを使ってしまう。俺は流石に水でポイントを失いたくない。だが、人には水が必要だ。そこで1つの提案がある。現在、かなり綺麗な川を1つ占有していて、そこの川の水を飲んで出来ただけ節約したいと思っている。そこの川の水を飲んでもいいというやつは挙手してくれ。飲みたくないやつは無理をして手を上げなくてもいい」
それに男子は大半、女子は数人の手が上がった。
(28人ぐらいか)
「手を下ろしてくれ」
手を上げていたやつの手が下がる。
「明日、挙手したやつでその川の確認に行く。もし、さっき手を上げなかったやつでも来てくれても構わない。そして意見を変えてくれるならかなりありがたい。俺からの話はもう以上だ。自由にしてくれて構わない」
その後、軽く話して1日が終わった。