「あの子、大きいな」
「いやあれは美しいだろ」
「いやいや、巨だろ」
「美だ」
「巨だ」
「美だ」
「「はあー・・・・・・」」
無人島試験が終わり3日、次の試験があるのではと張り詰めた状態だったが、日が経つことにそれも解けていき、今ではプールで遊ぶ女子生徒の揺れる胸をプールサイドで眺めている男子がいる状態だ。
まあ眺めているのは俺と橋本以外だが。
「あれはEカップ以上ある!それは美乳ではなく巨乳だ!」
と言うメガネ(
「いーや、大きさなんて関係無く形が綺麗なんだ!形が綺麗だから美、それを巨乳だけで終わらせるな!」
と言うチャラチャラしているやつ(
2人の話は徐々にヒートアップしていき、周りの女子が動きを止めて白い目で見るレベルになっていた。
「なあ、黒瀬」
隣で揉めている中、橋本が聞いてきた。
「どうかしたのか?」
「ここは合わせて美巨乳でいいんじゃないかって思うんだが」
橋本の言葉を聞いて、暑さで気でも狂ったのだと思ってしまう。
「俺は興味無い。というかそれはない人にとっては失礼だろ」
「そうだよな。さか────」
「どうかしましたか?橋本くん」
胸がない人、いや小さい人代表の坂柳が神室を連れて、後ろからやって来た。
もちろん、微笑みながら凄い圧を飛ばしているが。
「黒瀬、頑張れよ」
そう言って、この場から逃げようとした橋本だったが、
「鬼頭くん、お願いします」
鬼頭によって逃げ道を封じられてしまう。
そして、橋本はさっきいたところまで戻ってきた。
「さて、どうしましょうか?」
坂柳の笑みは、こちら側はもう詰んでいるとでも言いたそうである。
(だが助かる方法はまだあるはず!)
「俺は関係ないからここから離れても・・・・・・」
「ダメです。あなたは口には出してませんが、橋本くんより酷いことを思っていたので」
「すいませんでしたー!」
こちらを見透かすような言葉をかけられ、反射的に謝罪してしまった。
(やばい、やらかした!)
「あらあら、本当に思っていたなんて残念です。これは黒瀬くんにも必要ですね」
先程の坂柳の言葉はブラフで、それにまんまと引っかかってしまったようだ。
「最ッ低」
「お前、クズだな」
坂柳の言葉を聞いた神室と橋本からの追撃が胸に刺さる。
「さて、2人に何をすればいいでしょうか?」
「海に投げ捨ててもいいんじゃない?」
神室の発言に恐怖を感じてしまう。
(冗談抜きでやりそうだから!真面目にやめてください!)
「それもいいですが、それだと我々にデメリットが出てしまいます」
その言葉を聞いて安心したのも束の間、次の言葉を聞いて海に投げ捨てられた方が良かったと思ってしまうのであった。
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「ぷっ。橋本は似合ってないけど、黒瀬はただのロン毛じゃん・・・・・・」
俺たちはあの後、坂柳の提案によって女装させられた。
といっても、ウィッグと制服だけだが。
何故か制服のサイズがピッタリで、少し恐怖を覚えている。
(罰として絶対用意しただろ、これ)
その姿を見た神室は笑わないように堪えているが、かなり限界らしい。
鬼頭もいるが、無表情である。
「ていうか、なんで女子の制服とウィッグを持ってんだよ!?」
橋本が有り得ないだろと声を上げている。
「たまたまカバンの中に入っていまして」
「いやいや、たまたまで混入するものじゃないだろ!特にウィッグとか!」
確かに橋本の言う通りである。
(ウィッグなんてカバンの中に入っていたら、誰だって気付くはずだ。なのに気付いていない。もしかしてこれを予知して...)
「たまたまですよ」
「は、はい・・・・・・」
坂柳の圧におされてしまい、橋本は折れてしまう。
「とりあえず、その格好はこの船から降りるまで絶対に変えないでください。分かりましたか?」
「「分かりました・・・・・・」」
「それではお昼に────」
坂柳の言葉を遮って、携帯からキーンと言う高い音が鳴る。
これは学校からの指示であったり、行事の変更などがあった際に送られてくるメールの受信音だ。それとほぼ同時に、船内アナウンスも入る。
『生徒の皆さんにご連絡いたします。先ほど全ての生徒宛に学校から連絡事項を記載したメールを送信いたしました。各自携帯を確認し、その指示に従ってください。また、メールが届いていない場合には、お手数ですがお近くの教員まで申し出てください。非常に重要な内容となっておりますので、確認漏れのないようお願いいたします。繰り返します────』
アナウンスで指示があった通りメールを確認すると、こう書いてあった。
『間もなく特別試験を開始いたします。各自指定された部屋に、指示された時間に集合して下さい。10分以上の遅刻をした者にはペナルティを科す場合があります。本日18時までに2階202号室に集合して下さい。所要時間は20分ほどですので、お手洗いなど済ませた上、携帯をマナーモードか電源をオフにしてお越し下さい』
「私は20時40分からですが、皆さんはどうでしたか?」
メールを確認し終わった坂柳が聞いてくる。
「俺は18時からだ」
「私は19時20分」
「俺も19時20分だ」
「20時だ」
俺、神室、橋本、鬼頭の順で答えていく。
どうやら、この中で一番早いのは俺らしい。
「では黒瀬くん、終わったらこちらに連絡を下さい。それで何をするか決めます」
「今回は坂柳がやるのか?」
「いえ、私は葛城くんの案に乗ってみようかと思っています。これで負けてしまったら、あなたの契約によって龍園くんに渡す40万ポイントを葛城派の人に払ってもらいます」
そう言って坂柳の口元が少し上がった。おそらく、負けの方向に持っていこうとしているようだ。
「俺も葛城がどうするか知らないがそれに乗るか」
「これは葛城が少し可哀想に思えてきたな・・・・・・」
「分かるけど、その格好で言われたら・・・・・・」
俺は今の格好が違うことを思い出す。
(何か嫌になってきた・・・・・・)
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18時の少し前、俺は指定された部屋に行きノックをする。
「空いてるから入ってもいいよ~」
許可をもらい部屋に入る。
そこには
「何か面白いことでもあったのかな?」
「ど、どうしたんだ黒瀬・・・・・・」
「格好が違うぞ・・・・・・」
星之宮先生は楽しそう見ているだが、町田と森重は驚いている。
ちなみに、ここへ来る前に司城と里中に会い、司城に笑われて、里中には頭の方を心配された。
「ちょっとした罰ゲームみたいなものなので、聞かないでほしいです」
「私は気になるな~。黒瀬くんが女装している理由」
「ゲームに負けただけですよ・・・・・・」
本当の理由を話していたら、長い時間拘束されそうなので
ありきたりなことを言っておく。
「その話はまた今度ってことで空いてる席に座ってね」
(今度だろうと、絶対に話さないからな)
空いている椅子に座ると先生が話を始める。
「Aクラスの黒瀬くん、町田くん、森重くんだね。じゃあこれから特別試験の説明をやるよ」
そこから星之宮先生から今回の試験に関する説明が行われた。
俺たちが配属されたグループは『卯』(兎)。
メンバーは、
Aクラス:黒瀬神威 町田
Bクラス:
Cクラス:
Dクラス:
ルールは、
・試験開始当日午前8時に一斉メールを送る。『優待者』に選ばれた者には同時にその事実を伝える。
・試験の日程は明日から4日後の午後9時まで(1日の完全自由日を挟む)
・1日に2度、グループだけで所定の時間と部屋に集まり1時間話し合いを行うこと。
・話し合いの内容はグループの自主性に全てを委ねるものとする。
・試験の解答は試験終了後、午後9時30分〜午後10時までの間のみ優待者が誰であったかの答えを受け付ける。なお、解答は1人1回までとする。
・解答は自分の携帯電話を使って所定のメールアドレスに送信することでのみ受け付ける。
・『優待者』にはメールにて答えを送る権利が無い。
・自身が配属された干支グループ以外への解答は全て無効とする。
・試験結果の詳細は最終日の午後11時に全生徒にメールにて伝える。
・他人の携帯を盗んだり、脅すなどの脅迫行為で優待者のに関する情報を確認することや、勝手に他人の携帯を使って答えをメールするなどの行為、最終試験終了後は直ちに解散し一定時間他クラスの生徒同士での話し合いを禁じそれを破れば『退学』とする。
あとは、
・明日から午後1時、午後8時に指示された部屋に向かう。
・初顔合わせの際には室内で必ず自己紹介を行う。
・室内に入ってから試験時間内の退室は基本的に認められていない。
・万が一トイレ等が我慢できなかったり体調不良の場合はすぐに担任に連絡し申し出る。
そして今回定められた『結果』は、
1, グループ内で優待者のクラスを除く全員の解答が正解していた場合、グループ全員に50万プライベートポイントを支給する(優待者の所属するクラスメイトも同様のポイントを得る)。優待者には100万プライベートポイントを支給する。
2, グループ内で優待者のクラスを除く全員の答えで、1人でも未解答や不正解があった場合、優待者には50万プライベートポイントを支給する。
上2つとは違い、試験中24時間いつでも解答を受け付けるものが下の2つで、
3, 優待者以外の者が、試験終了までに答えを学校に告げ正解していた場合、答えた生徒の所属クラスはクラスポイント50ポイントを得て、正解者には50万プライベートポイントを支給する。また優待者を見抜かれたクラスは-50クラスポイントのペナルティを受ける。及びこの時点でグループの試験は終了となる。なお優待者と同じクラスメイトが正解した場合、答えを無効とし試験は続行となる。
4, 優待者以外の者が、試験終了までに答えを学校に告げ不正解していた場合、答えを間違えた生徒が所属するクラスは-50クラスポイントのペナルティを受ける。優待者は50万プライベートポイントを得ると同時に優待者の所属するクラスは50クラスポイントを得る。答えを間違えた時点でグループの試験は終了となる。なお優待者と同じクラスメイトが不正解した場合、答えを無効とし受け付けない。
簡単にすると、
結果1は4日後の午後9時30分から午後10時までに全員正解した場合。
結果2は4日後の午後9時30分から午後10時までに1人以上が不正解した場合。
結果3は4日後の午後9時30分までに優待者を答え、正解した場合。
結果4は4日後の午後9時30分までに優待者を答え、不正解した場合。
結果発表時に優待者と解答者の名前は公表されない。
また、望めばポイントを振り込んだ仮IDを一時的に発行することや分割して受け取ることが可能。
あとは先生が言っていた「大前提としてAクラスからDクラスまでの関係性を1度無視しろ」ということはかなり重要だろう。
先生は話を終え、退室を欲する。
俺たちは指示に従い外に出る。
(ここで引き止められたら、長時間コースだったな。止められなくてよかった...)
特にこの3人で話すことはないので、部屋に戻る。
部屋に戻ると誰もおらず、そのまま寝てやろうかと思ったが、坂柳に今回の試験について連絡する。
服とウィッグを脱いで、着替えているとメールが返ってきた。
『葛城くんのことですから、攻めることはないと思います。そうなると、1か2を狙っていくかと』
そうだなと返信をして、携帯の電源を落として眠ることにした。