岩崎 花(♀):今作で何か常に文句言ってる人。家庭科の授業で最強の卵焼きを作ると公言した数分後、そこにあったのは本人曰くスクランブルエッグだった。
上田 進(♂):今作で岩崎の何の身にもならない話を延々と聞かされる可哀そうな人。消しゴムの角を使われても怒りはしないが、以前岩崎に仮泊された消しゴムで消しゴムハンコを作られた時は烈火の如くブチ切れていた。
「はぁ……マジ凹むわ」
「どうした? あんまり自分を見つめ直すことはしない方がいいと思うぞ」
「それってどういうことだよ……」
「言葉通りだよ」
「まぁよく分からんからいいや、それより聞いてよ。今朝久しぶりに牛乳飲みたくなって冷蔵庫見たら、賞味期限切れてたんだよね」
「お前なら飲めるんじゃないか? 三か月くらいだったらノーダメージで」
「もれなく漏れるよ色々。牛乳って美味いけどあんま長持ちしないのが痛いんだよね」
「てか普通牛乳で賞味期限三か月も切れるってことには普通はならんだろ……まぁ長持ちしないっていうのは確かに難しい所だな、俺はあんまり牛乳好きじゃないけど」
「え……? マジ? まさかお前両生類なの?」
「何で牛乳の好き嫌いで生物学的に分類されにゃならんのだ」
「だってよく言うじゃん、海のミルクって」
「牡蠣は両生類じゃねえよ。何から何まで間違ってるし」
「でも確かに牛乳って結構嫌いな人いるなぁ、何でだろ?」
「まぁちょっと風味とかが変わってるしそれのせいじゃ——」
「ウチが思うに『牛乳』っていう名前の響きが良くないと思うんだよね」
「つくづく話聞かないよなお前。牛乳飲み過ぎて頭蓋骨に飽き足らず脳からも骨が生えてるんじゃないのか?」
「その人間グロすぎるだろ。その形状が許されるのは某佐賀の人間だけだよ」
「佐賀県の歌を歌う人は別にマジで頭から角が生えてるわけじゃないだろ」
「ってもう、また話が横道に逸れてるし……とにかくウチが言いたいのは『牛乳』っていうネーミングをどうにかしたいの」
「どうにかするっつっても……別にそのままでいいんじゃないか?」
「いやぁ、名前で受けるイメージってかなり大きいよ? ストレートな表現で『牛乳』ってやっぱ人によっては抵抗あると思うもん。例えばスポーツドリンクって言えば聞こえはいいけどさ、原材料から名前を付ければ……えっと、『果糖ぶどう糖糖液海藻エキス食塩クエン酸……プラス色々ジュース』ってなるんだよ? そんなの飲みたくなくない?」
「原材料名読み上げてるだけじゃねえか。盛り沢山が過ぎるわ」
「てかなんだよスポーツドリンクって、何か一丁前にスマートな飲み物みたいな感じでお高くとまりやがって、何かスゲームカつくんだけど」
「え? スポーツドリンクに嫉妬してるの? どんな感性したらその感情になるの? 情緒どこに置いてきた?」
「だってズルいじゃん。スポーツドリンクって言えば何かイケメンの好青年みたいな雰囲気になるじゃん。でも牛乳って牛乳だよ? それだったら牛乳もいい感じのイメージ前面に出したいよ。牛乳って健康とか骨に良いからそれなら名前は……『骨太丸』とか?」
「錆びれた漁船みたいになってんじゃねぇか。その船底の木組み絶対に骨粗しょう症だろ」
「でも元の牛乳って名前やっぱり嫌じゃん、~ジュースとかだったら快活な感じするし、さっきのスポーツドリンクはイケメン好青年。それに引き換え牛乳だよ? 絶対どんくさい感じのヤツじゃん」
「お前実は牛乳嫌いなんじゃないの? さっきからメチャクチャディスってるじゃん」
「そんなわけないじゃん! これでも一時期前まではほぼ毎日一日三杯は牛乳飲むほど好きだったんだし」
「どうしてそんなに飲んでるのにカルシウム足りてない人間みたいなこと言ってんだ。さっきまでのお前スポーツドリンクにキレてたんだぜ?」
「そりゃまぁ最近はそんなには飲んでないせいかもしれないけど……それでもうちは牛乳好きだよ」
「慢性的に摂取するもんじゃないだろ牛乳、糖尿病の薬かよ。それで今は牛乳飲むペースどのくらいなんだ?」
「……最後に飲んだの覚えてないからペースよく分からない」
「三か月前とかいう核物質牛乳生み出した犯人お前じゃねえか」