岩崎 花(♀):今作で何か常に文句言ってる人。人生において遊び心は大事とし、テストにおいては解答することより落書きに力を入れている。
上田 進(♂):今作で岩崎の何の身にもならない話を延々と聞かされる可哀そうな人。マークシート式のテストを回収する際、岩崎の解答と同じものを選んでいるのを見る度に尋常じゃ無い程テンションが下がる。
「なぁ上田、やっぱり鶴の恩返しって冷静に考えたらおかしいと思うんだよ」
「どこがだ? お前の倫理観じゃあの程度の借りで恩返しに来る鶴がお人好し過ぎるってことか?」
「そんなに荒んでねぇよウチ。ウチが気になるのはどうして鶴がオッサンの家に来て機を折ってた時に鶴の姿になってたのかってことなんだよ」
「オッサンって……まぁ確かアレって自分の羽を機の材料にしてたんだから、鶴の姿にならないと無理だからじゃね?」
「それならあらかじめ鶴の姿になって、材料分だけ羽根を毟ってから機織りゃいいじゃん。なんでわざわざ鶴の姿で機織ってんだあの女」
「んなこと言われても知らんわ」
「それってつまり自分が見られること前提で、その上見られたら心置きなく出て行くためにあの姿になってたんじゃねぇの? 恩を売らなきゃいけないけど、どっかでオッサンに負い目を感じさせるためにそんなことしてたんじゃね? めっちゃ性格悪いじゃん。普通の人の姿でいればオッサンも罪悪感を感じて生きることなかったってのに……」
「どう生きればそんな歪んだ結論に行き着くんだ。あくまでアレ昔話だからそんな細かいとこ気にせんでもいいだろ」
「てかあの鶴って自分の羽を材料にして機織ってたの? お礼のやり方が重すぎるだろ!? 人間の感覚で言えば自分の爪を使ってガラス細工的なヤツを作るってことじゃん! ヤバすぎるでしょ……」
「そんな吐き気覚えそうな例持ち込んで来るなよ……」
「……そうだ、それもまた結果的にオッサンに後々罪悪感とかを覚えさせるための鶴のやり方なのでは……? ヤバイな鶴の人の追い詰め方、やってることサギ師じゃん……何が鶴だよアイツ」
「まぁあれは最後に覗くなって言われて覗いてしまったおじいさんの方が悪い、って言った感じの話だし」
「はぁ!? ウチならそんなの開始二分で覗くね。信頼できねぇもん。よく考えてみ? 見知らぬ女がいきなり家に上がってきて部屋に閉じこもって『絶対に中を覗いて来ないでください』って言うんだよ? 絶対泥棒疑うわ」
「だからあくまで作り話だからそういう風になってるだけだろ」
「作り話なら何でもいいのか!? あの鶴は最終的にオッサンにひたすらにやり切れなさを残してどっかに行ったんだよ? 立つ鳥跡濁しまくってんじゃん! やり口が汚すぎるよ」
「さっきまで爪で作ったガラス細工とか言ってたヤツにそんなこと言われる筋合いねぇだろ鶴も」
「いやでもホントにそんな恩返しされるんだったらいっそ恩返しに来ない方がいい位だわ」
「ホントか? 実際どっかに見返り求める気持ちはあんだろ」
「んなもんあるに決まってんじゃねぇか。放っときゃ死ぬヤツ助けたんだぜ? それならそれ相応の見返りがあるのは当然だろ」
「みみっちすぎんだろお前……んで見返りとしてはお前は何が欲しいんだよ」
「もちろん巨万の富か、それとも権力とか? 文字通りウチの言う事があらゆる場面において鶴の一声になる訳だし」
「んな場面居る場所が周りにいるのが烏合の衆ばっかで、掃き溜めの中の時くらいだろ」
「それか一生召使として雇うとか?」
「鶴も千年とは言うがその寿命をお前みたいなやつに使わされるのも可哀想だな……」
「まぁウチからすりゃ命の恩人に対してはその位の意気見せるのは当然って感じだし?」
「じゃあお前も命の恩人って思う人がいりゃそんくらいの恩返しはするのか?」
「そりゃもう、一生ついて行くよ」
「アホなことオウム返しするだけのヤツが一生付いてくるとかヤバすぎんだろ」
「何だよそれならウチも機織った方がいいって言うの? ウチの皮で?」
「それならいっそ千羽鶴でも折ってろよ。万倍マシだわ」