岩崎 花(♀):今作で何か常に文句言ってる人。PCの操作に疎く、画面が白くなって『応答なし』が出るというのはそれ即ち彼女にとって『壊れた』ということに当たる。
上田 進(♂):今作で岩崎の何の身にもならない話を延々と聞かされる可哀そうな人。出席番号の都合上で岩崎と同じタイミングで日直になるが、彼女に一度も学級日誌を持たせたことはない。
「なぁ上田、ウチにはさすがにそこまでやる覚悟はないんだよ、お前にはその覚悟があるのか?」
「誰に話しかけてるんだ?」
「名前呼んだからお前しかいないに決まってんだろ」
「それならせめて何の話をするか分かるようにしてくれよ。何でいきなり覚悟決めさせられるんだよ戦国時代の戦場でもそんな物騒なことないだろ」
「いや、これからの内の話はそのレベルかそれ以上かもしれない、なんせ命に関わるかもしれないことなんだから」
「どうせ大した話じゃねぇだろ」
「んだと貴様!? それなら今ここで腹切れ!」
「ちょっと待てマジで話が見えて来ねぇ。何でいきなり切腹命じられないとダメなんだよ」
「ほら、理不尽でしょ?」
「ああ、今最もお前に対して抱いてる感情であることは間違いないな」
「そうじゃなくて! 自腹を切るってこういう事なんでしょ?」
「は?」
「だから、お金を払う時に自腹を切るって言うのってこういう事なんでしょ? そこで腹を切るのが嫌だからその代替案としてお金支払ってるんじゃないの?」
「何でお前そんな殺すか殺されるみたいな価値観なんだよ。もう時代は令和なんだよ」
「でもみんな自腹を切るってシチュエーションの時嫌そうな顔してるし、腹を切るよりはマシだとしてもやっぱり納得してないんじゃないか?」
「そりゃ本当にそうだったらそうだろうな。言わずもがなそんな訳も無いが」
「そうなのか? じゃあなんだよ自腹を切るって、さてはこの言葉を作ったヤツ当時よっぽど金欠でそのくらいの気持ちだったってことだったんだな」
「ちょい前から思ってたんだけどどうして言葉のルーツを探る時存在もしない人格をそうやって形成すんの? てかどうして自分をそこまで疑わないのかが不思議でならないんだが」
「それともマジで腹切って『これをお代の代わりにしてくれ』って言って自分の臓器出したとか……怖っ」
「お前のそのアバンギャルドな妄想の方が怖えよ」
「それならいっそ自腹とかそんな怖い言葉じゃなくてせめて『衣服を差し出す』とかその位にした方がいいんじゃない? 服なら質屋で売れるから金にもなるだろうし」
「どうしてお前の想像する人間はもれなくみんな金欠なんだよ。自分と重ね合わせてんの?」
「べ、別にウチはお金あるし……ジュースは無理だけど自販機の水買うくらいなら……」
「ほぼ文無しじゃねぇか。自腹も切れないじゃん」
「……今の発言もしかして今ウチに腹を切れって言ってんの!? これが世に言うハラキリってヤツなのか!?」
「別にんなこと言ってねぇよ、何でちょっとテンション上がってんだよ……ってハサミ出すな!」
「……それとも今の流れからウチに今ここで服を脱げって言うの!?」
「人聞き悪いな! とにかく落ち着け、そんな物好きがいてたまるか」
「それはそれで失礼だな。それにしてもマジで何を思って自腹って言葉使い始めたんだろうな」
「そんなの知らんわ」
「でもやっぱりお金が無いってホントに自腹を切るくらいの覚悟が必要なのかな」
「まぁ金が無いと何もできないからな」
「せめてウチも何かあった時は腹切る真似くらいはした方が良いのかな」
「どうしてそうなるんだよ、てかそんなこと出来んだろ」
「どうしてできないって決めつけるのさ」
「そんな真似なんかマネーの無いヤツができる訳ないだろ。そもそも何だよ腹切る真似って」
「何かこう、形だけでもって言うか」
「形だけの切腹って何だよ誠意どころか意図も伝わって来ねぇよ」
「いや、せめてそういう風に自分が反省してるように見せるんだよ。反省の虫ってヤツ?」
「現在進行形でオケラのヤツがやった所で意味ないだろ」
「何だよ~、じゃあ反省文書けばいいのか?」
「一文無しの反省文とか何の意味があるんだよ」