岩崎 花(♀):今作で何か常に文句言ってる人。彼女の中でさやいんげんを進化させたものが枝豆で、枝豆を進化させたものはソラマメらしい。
上田 進(♂):今作で岩崎の何の身にもならない話を延々と聞かされる可哀そうな人。LINEでは岩崎の登録名を騒がしさから『選挙カー』にしているらしい。
「あぁ……またやらかしたクソ……」
「どうした? 人生をか?」
「ウチは一度たりとも人生間違ってねぇよ」
「逆にその自信はどこから湧いてくるんだよ。俺でもそこまでハッキリとは言い切れねえよ」
「少なくともウチはここまで何も間違ってねぇよ」
「ついさっきやらかしたって言ってたじゃねえか」
「でも今回のレベルならウチの中じゃ間違いとはカウントしないからな」
「ホントポジティブだな。火の不始末で家燃やしても同じこと言うんじゃねえの?」
「それはもう間違いというか通り越して一巻の終わりだろ。そこまで突き抜けたらもう逆に間違いじゃなくね?」
「じゃあもうお前人生間違い放題じゃねえか。今までもその感覚で処理してきたろ絶対」
「いや流石にウチでも家は燃やしたことはないってば、今回ウチがやらかしたって言ったのはさっき返された作文だってば」
「お前いっつも小論文の内容酷くてそれで一回職員室に呼ばれたことあったよな。今に始まったことじゃないだろ」
「あれはちょっとだけ表現が汚かっただけだから」
「小論文で『マジでそれはクソ』とか書くヤツは確かに初めて見たな。少し汚いとか言う話じゃないんだよ」
「まぁそれで今回もあんまり内容面はあんまりよくなかったんだけどさ、今回ウチがミスったのは誤字なんだよね」
「あぁ、あれ地味に点数引かれるもんな。でもお前の小論文って基本的に幼児が書いたのかって思うレベルで平仮名敷き詰められてんじゃん」
「そこまではひどくねぇよ名前はちゃんと漢字で書いてるし」
「到達点が低すぎるだろ……」
「んでウチが間違えたのが『専』って漢字なんだけどさ。うっかり右上に点を付けちゃったんだよね」
「あー、確かに紛らわしいっちゃ紛らわしいかも」
「てかよく考えたらおかしいんだよ。『博』とかは右上に点があるのに『専』の字には点が無いってどう考えても陰謀論だよね?」
「何もかも陰謀論にこじつけするようなヤツに退化するな。いや、むしろ進化か?」
「失礼だな、てかたまにウチはお前に人間扱いされてない時があるんじゃないかって思うんだが」
「大丈夫大丈夫、ギリギリそう思ってるから」
「ギリギリって何だよ、ウチだってもう何年かで大人なんだからな?」
「点忘れてるぞ、『大』の字に」
「人間扱いじゃねーじゃねーか、ウチ犬じゃねぇよ。動物じゃん」
「まぁ人間も動物だから似たようなもんだろ」
「なんか納得行かねぇな……とにかくウチはこんな感じの紛らわしい漢字にムカつくんだよ」
「ヒザとヒジの次は漢字かよ。ありとあらゆる言語対象に文句言ってんな」
「だってこんな一つの文字に点忘れただけで点引かれちゃうんだよ? そう考えたらこんな間違えそうになるの考えたヤツに腹が立って来るんだよ」
「それも含めて覚えるしかないだろ。どうこう言ったって漢字が変わる訳じゃあるまいしさ」
「……」
「(珍しく黙りこくってるな……自分なりにちゃんと考えてんのか?)」
「ちょっと思ったんだけどいいか?」
「ん、どうした?」
「さっきウチ漢字の感じって言ってたけどこのダジャレってどうなんだ?」
「テメェさっきの俺のほんのちょっとの感心返せよ。触れなきゃダジャレで処理する必要もねぇだろ」
「そう言えば感心で思い出したんだけど『関心』と『感心』ってのも中々ややこしいよね」
「その何の脈絡もなく話題を分裂させていくの何なんだよ」
「でもマジで漢字って紛らわしいヤツ多すぎるよ」
「だからそれはもう覚えるしかないだろ、最近スマホとかばっかでしか文字見てないから実際に書いてみないと覚えれないんじゃないか?」
「めんどくせーな……そもそも漢字なんてそんな細かく覚える必要ないだろ。適当でいいんだってば」
「でもそうやって何もかも面倒臭がった結果今のお前みたいな状態になってんだろ?」
「今のウチは完璧だと思うけど?」
「それは完全に壁にぶち当たったの略か? お前の璧は玉とかじゃなくて土で出来てるみたいだがな」
「何だよ壁にぶち当たったって。そんな土の何かとか容易くウチがブチ破って消してやるよ」
「んなこと言うお前に俺は辟易してるんだよ」