岩崎 花(♀):今作で何か常に文句言ってる人。かくれんぼには人一倍力を入れており、公園でかくれんぼをする時は木の上に登って隠れようとするが、大抵間に合わずに終わってしまう。
上田 進(♂):今作で岩崎の何の身にもならない話を延々と聞かされる可哀そうな人。体育の授業の男女混合ドッジボールで、岩崎にぶつけられた時はその場で首を掻っ切りたいと思ったほど恥ずかしかったらしい。
「うーん……」
「またずいぶん思わせぶりに今度は何を考えてんだ? まともじゃないことにジュース一本」
「ウチの真剣な悩みを賭博対象にするのはどうかと思うんだ」
「だってどうせ分かりきってることじゃん、ほら、俺はカフェオレな。行ってこい」
「答え聞く前から賭けに勝った前提でいるのはもっとどうかと思うんだが……今日に関しては割とマジなんだって」
「お前の中では毎日マジだろ、お前ん中では」
「そんなに言うならとことんウチの話に付き合ってもらおうか?」
「すまん、跳ねても今の俺にはそんなに金が無いんだ」
「何でさっきの内の発言を脅迫として受け取ってるんだよ。ウチが言いたいのはトンビのことなんだよ」
「トンビ? またずいぶんお前に似つかわしい鳥だな」
「えへへ、そうでしょ?」
「何で喜んでんだよ。普通トンビっぽいってあんま誉め言葉とは受け取れねぇだろ」
「ふふん、上田にとってはそうなのかもしれないけどまさに今日話そうとしてるのがそのことなんだよね」
「俺と岩崎の会話において基本的に俺の意見は大多数の人間の意見なんだよ」
「必ずしも多数派が正しいとは限らないぞ? トンビの印象だってそうだ。普段は『トンビがタカを産む』とか言われるけど、ウチからすればトンビって序列で言えば上の方の鳥だと思うんだ」
「お前の中では大富豪の革命みたいなことでも起きてんのか?」
「起きてねぇよ。とりあえずウチの話を聞いてくれ。この前外で飯食ってたらいきなりトンビがウチの持ってたパンを持って行きやがったんだよ」
「卑しいな。まるで昼休みの時間に俺の弁当から何の断りもなくミートボールを持って行ったお前みたいだ」
「そん時のトンビの動きったらもうスゴかったんだよ。一直線にウチの方にビューって飛んできてさ。あれはもう狩人のソレだったね。タカでも真似できないんじゃないかって思うくらい」
「お前が鳥に狩られてどうすんだよ。それにタカもやろうと思えば別にそのくらいできるだろやらないだけで。普段は爪隠してんだろ」
「何だよ~、随分タカを買い被ってんな」
「お前がトンビを買い被り過ぎなんだよ。トンビに油揚げをさらわれるって言葉もあるくらいだし、あんまりトンビってのはそんな高尚なもんじゃないだろ」
「いやそれに関してはトンビをどうこう言うものじゃないだろ」
「は?」
「それは盗られたヤツの努力不足だろ」
「は?」
「別に気をつけでもすりゃトンビにもの持ってかれることはないだろ。それこそよっぽど鈍臭い奴じゃない限り」
「お前自分を否定してまでトンビを上げたいのか? さっき自分でトンビにパン持ってかれたって話してたじゃねえか」
「それはその、ウチの努力不足だっただけだから」
「お前トンビに弱みでも握られてんのか? 回し者みたいになってんぞ」
「別にそんなことはないって。ただウチはあの時のトンビの見事な動きに感心しただけだって。それにウチが前に上田から弁当の具を盗んだって言ってたけどアレだってあの時のトンビを意識しての行動だからウチは後悔してないよ」
「文字通り盗人猛々しいな。トンビがタカるヤツ産んでんじゃねぇか」