岩崎 花(♀):今作で何か常に文句言ってる人。競争率の低い懸賞にたまたま二回連続で当たり、クラス中に自分が幸運の女神と触れ回っている最中、あばら骨に机をしたたかに打ちつけ悶絶していた。
上田 進(♂):今作で岩崎の何の身にもならない話を延々と聞かされる可哀そうな人。岩崎の話を聞き続けた故に至高の聞き上手となり、割とクラスで人気がある。話を聞く際の条件は岩崎が半径200m以内に存在しないことである。
「やっべー! もうちょっとで遅刻するところだった! いやぁ危ない危ない」
「いつもにまして遅刻ギリギリだったな。何かあったのか?」
「いやぁ、実は昨日の夜に目覚まし時計のスヌーズ機能? ってやつを発動しないようにしたんだよね。」
「あぁ、それで起きたら危ない時間だったと」
「そうなんだよ~、でもそれを踏まえて思ったことがあるんだよ」
「何だ?」
「目覚まし時計って結局は主君に仕えるモノじゃん?」
「その前提に否定はしたいが一応続けてみろ」
「だからさ、ウチがスヌーズを解除したとはいえ結果的に時間が危なそうだったら鳴ってほしいんだよね」
「こんなクソみたいなご主人様に使われてしまう目覚まし機能くんが俺は不憫でならんのだが」
「だってさ、バトル系の熱血マンガとかで主人公のパーティと決別したはずの相棒が、主人公の大ピンチに駆けつけて強敵を打ち破って強固な友情が生まれる、みたいなお話ってあんじゃん?」
「お前は主人公でも、目覚ましくんもお前の相棒でも何でもないという前提を除けばその理論は正しいと思うぞ」
「全否定じゃん……そんなだからお前はいつまで経っても上田なんだよ」
「そんなだからお前はいつまで経っても岩崎なんだよ」
「あー……もうこの話を始めたら終わんなくなっちゃうからやめやめ! とりあえず私が言いたいのは目覚ましくんにはもうちょっと自主的に動いてほしいってこと」
「目覚ましくんに有給休暇を与えたのはお前の方だろ。そこからやっぱり出勤しろとか言ったら向こうだって反感示すに決まってんじゃん」
「なーんで上田はそうも目覚ましくんの肩を持つわけ? もしかして目覚ましくんのこと大好きだったりする? 職場恋愛はご法度ですぞ~?」
「そんな悪趣味な満面の笑みを浮かべてるとこ悪いが、百人に聞いても百一人は俺と同じ意見だと思うぞ」
「増えてんじゃん一人」
「とりあえず俺が言いたいのはお前の言ってることが何の理にも適ってないってことだ」
「お前のドッペルゲンガーがお前の意見に賛同してウチを攻めてる時点で理も減ったくれもないじゃん」
「お前ホントに他者の穴を突くのは手慣れてるよな……」
「ってまた話が変な方向に行った! 目覚まし時計って結局何なんだよ!」
「仕えてるご主人様の目を覚まさせるものでしょ」
「でも結局今日は全然その仕事してくれなかったじゃん!」
「お前が目覚ましくんに暇をやったからな」
「でもウチは今日ゆっくり準備をする『暇』もなかったんだけどね!」
「上手いこと言ったつもりになって〆てんじゃねえよ。当然言う程も上手くねぇよ」
「上から叩き潰すぞ」
「このご主人様怖っ」