岩崎 花(♀):今作で何か常に文句言ってる人。とあるFPSゲームを勧められたが、他プレイヤーの煽りに彼女が堪えられるはずもなく数分後には彼女の部屋内でスマホが宙を飛び交っていた。
上田 進(♂):今作で岩崎の何の身にもならない話を延々と聞かされる可哀そうな人。~を使って短文を作りなさいと言う問題には岩崎に対するディスを入れて効率的なストレス解消をしている。
「久々に丼物食べたくなってきたわ。なぁ上田、なんか一瞬でパッと出してくれたりしない?」
「んなこといきなり俺に言われても出来ねえよ」
「そんなのやってみなきゃ分かんないだろ!?」
「やってみようと思う前に結果はもう自明なんだよ。なんでその立場でお前が攻め手に回れるんだよ」
「だってやる前にそんなこと言うからさ……自分の可能性に対して否定的なお前にウチはちょっと悔しくなっちゃってさ……」
「さっきもだけど、何であくまでこっちに落ち度がある前提で話勧められてんの? お前の国の独自の文化なの?」
「どんな文化だよ」
「むしろこっちのセリフだっての。まぁもし存在するとすればこんなイカれポンチの文化の灯なんてとっとと消した方がいいだろうけど」
「てかそんなことはどうでもいいんだってば。ウチは丼物が食いたいの!」
「何でその話俺にするんだよ。別に昼休みに食堂に行けば親子丼とかあるんじゃねーの? それ食えばいいじゃねぇか」
「……お前それ本気で言ってんのか?」
「お前の言う『それ』はどこなんだよ」
「親子丼ってお前……それ本気で言ってんのかよ」
「むしろどんなつもりで俺が言ったと思ってんだ」
「だって親子丼ってあり得ないじゃん! よく考えてみ? 鶏肉とタマゴの丼だからってそんな名前付けなくてもいいじゃん!? うちらの物差しで言えば胎児と親が一緒に食われてるってことなんだぜ?」
「お前マジでホントに冗談抜きに止めろよ」
「いいや、ウチだって意見を主張する権利はあるもん」
「元から万人に拒まれるのは意見とは言えねえよ。お前のソレも例に漏れねえんだよ」
「じゃあ上田は親子丼ってネーミングに何も思わない訳か!?」
「何も思わないし、お前の意見に思うところしかないから言ってんだよ」
「マジで? 何で?」
「むしろどうしてお前はそうもネーミングの物差しがが杓子定規なんだよ。もうちょっと柔軟に捉えりゃいいじゃねえか」
「そんなこと言われてもウチは間違ってるものには間違ってると言わなきゃ気が済まない主義だからさ……それがウチの性なんだよね……」
「俺は基本的に事なかれ主義のつもりだったが、今この瞬間だけお前と同じ主義になったわ」
「それなら今日はお互い納得するまで親子丼について語り合おうじゃねえか」
「別にそんな熱量ねえよ。その話ずっと続けるのはさすがにカロリー重すぎるわ」
「まずはウチから言うよ?」
「もう勝手にしてくれ……」
「さっきも言ったけど親子丼って名前は、ウチらが鶏と鶏の子どもの卵を食べてるっていうことへの罪悪感を改めて認識させるもののようにしか思えないんだよ」
「お前に言われるまでそんな罪悪感覚えたこともねぇし、今もそうでもねえよ」
「じゃあお前は罪のない親子を食う事に何の抵抗も無いってのか!?」
「……なぁ一ついいか? お前ちょっと前に家で晩飯でオムライス食べたって言ってなかったか?」
「そうは言ったけどそれが何だよ?」
「お前に一つクイズだ。オムライスの卵以外の部分を何て言うか知ってるか?」
「んなもんケチャップライスとかだろ?」
「まぁ半分正解ってとこだな」
「何だよ急に気ん持ち悪い顔しやがって」
「気持ち悪いっていうのに感情込めるのやめろよ。いいか? あれは『チキンライス』だ」
「……は?」
「それで文字通りあの中には鶏肉も入ってるってワケだ」
「そ、そんな……ウチは知らないうちにそんな刷り込みをされて……こんなやり方で親子丼を認めさせるプロセスを秘密裏に構築していたなんて……」
「万一そうだとしてもその陰謀論ショボすぎるしその目的は何なんだよ。てかそんな万一はねえよ」
「いや……もしかすると親子丼がオムライスへの罪悪感を薄れさせるための隠れ蓑だったってことなのか!?」
「どうして一々料理に対する罪悪感覚えてんだよ。生き方下手くそかアンタ」
「これがまさしく『卵が先か鶏が先か』ってことか……なるほど、先人の哲学者も考えたもんだなぁ」
「オムライスか親子丼でその哲学が生まれようもんならその卵から産まれるのはデブ学だよ」