岩崎 花(♀):今作で何か常に文句言ってる人。つい最近まで炭酸飲料は炭を溶かした飲み物だと思っていた。
上田 進(♂):今作で岩崎の何の身にもならない話を延々と聞かされる可哀そうな人。岩崎を四字熟語で表すとすればという問いに『不倶戴天』という言葉が真っ先に出てきた。
「教頭って絶対カツラだよな」
「言ってやるなよ、全校生徒の十割が気付きつつ口にはしない暗黙の了解だぞ」
「そうか?」
「そうだよ。更に言ってしまえば当の本人ですら気づかれてるの請け合いの様子だから、誰も触れないで半分アンタッチャブルな聖域だったんだよ」
「そうなのか?」
「今まさにそうじゃなくなっちまったんだがな。もう手垢ベッタベタな状態で撫でくり回したレベルだぞ」
「そう言われてもなぁ……別に分かってることならいいんじゃね? てか隠すことでもないと思うんだけど」
「さすがにそれは体裁というかそういう訳にも行かんだろ。頭髪も秘密も隠さないとダメっていうか何と言うか」
「ちょっと今のもういっぺん言ってみ? 何を隠すって?」
「恥も隠せてねぇ奴に詰られてたまるか」
「でも何で隠す必要があるんだ?」
「そりゃあカツラ被ってるって知られたくないモンだろ。」
「……ウチ思ってるんだけどさ、カツラってだけでマイナスイメージになってるのは良くないと思うんだよね」
「……まぁ岩崎にしちゃ比較的マトモなこと言ってんな」
「それでちょっと考えたんだけど、『カツラ』って言葉がやっぱりダメだと思うんだよね」
「お前のその何でも言葉に責任転嫁するのって遺伝なの?」
「どんな遺伝子だよ。どこお裾分けしてもらえばそんな部分受け継ぐんだよ。とにかくウチはカツラって言い方を変えたいんだよ」
「どういう風に変えるんだよ?」
「もっとオシャレにすればいいんだって! 割と盲点なところと思うんだよねコレ」
「期待値はゼロだけど一応教えてくれ」
「『ウィッグ』」
「絶対無理だよ。『教頭ってウィッグなんだよね~』ってなんねぇだろ」
「でもウィッグをつけてるって表現の仕方お洒落じゃない?」
「ハゲ隠しのウィッグとか洒落臭ぇよ。カツラの清々しさの方が何もかも上回ってるわ」
「そう? 一種のファッション的な感じでいいと思うんだけど」
「的デカ過ぎんだろ。~的の範疇越してるよ。範囲考えたら一面の壁だよ。ファッションの壁ブチ当たってるじゃねえか」
「でもウィッグつけてる教頭ってスタイリッシュな雰囲気じゃん? 時代先取りしてる感じで」
「その時代は未来永劫来ることはないしそもそも来てたまるか」
「案外近いかもよ? 流行りなんてどういう風に巡ってくるか分からないしさ」
「それ即ち世界の終わりだよ。カツラでいいだろ」
「いやぁ、あんまよくないと思うなぁ。だってウチの学校の校長と教頭がWでカツラって何かダサいじゃん? WウィッグでダブルWとかの方が受け良さそうじゃん」
「ダブルタブルで四倍ダッセぇよ……え? 校長マジ……?」