岩崎 花(♀):今作で何か常に文句言ってる人。四択のマークシートは『適当に書いても二十五点は取れるヌルゲー』と豪語していたが、この前のマークシートの模試(国語)で三点を叩き出した大物。
上田 進(♂):今作で岩崎の何の身にもならない話を延々と聞かされる可哀そうな人。岩崎と共通項を持つのが何が何でも嫌だと思っているようで、同じシャーペンの芯を使っていたのを知り、まだ一本も使ってないにも拘らず芯入れをゴミ箱に捨てた。
「な―上田。大富豪しようぜ大富豪」
「二人で大富豪するとか不毛過ぎるだろ。第一終わった後どう分けるんだよ? 大富豪と大貧民の両極端か?」
「いや、一発勝負で奴隷とご主人様。んで奴隷は生涯ご主人様の忠誠とかを誓う」
「やだよ、どうしてこんな不毛な戦いで自分の将来の舵取らないといけないんだ」
「まぁ上田はノリ悪いしそう言うとは思ってたけど、一つ気になることがあるんだよね」
「そうか、俺はノリ悪いから聞く必要もないよな」
「生涯の忠誠誓うから話だけでも聞いてくれ」
「お前の忠誠を受け入れない代わりに話を聞いてやるから勘弁してくれ。んで何だ?」
「ほら、トランプって数字あんじゃん?」
「そうだな、俺はお前が数字を読めることに驚いたが」
「それでさ、1って『エース』って呼ばれてるよな」
「まぁそうだけど、それがどうした?」
「ズルくね?」
「はい?」
「だからさぁ、一だけエースって呼ばれてるのに、他の数字は数字でしか呼ばれてないじゃん、あれってどうなの?」
「何が『どうなの?』なんだよ、どこに引っかかってんだ。第一ジャックとかクイーンとかあるじゃん」
「あいつらは十進法という枠組みから外れた選ばれし存在だからそりゃあ王族にだってなるさ」
「そりゃあって何だよ、んなブルジョワ的理論持ち合わせてねえよ」
「それなのに1だけエースとかすっごいカッコいい感じの呼び名があるんだよ? それなのに他の数字は全然そういうの無いしさ、不公平だと思うんだよね」
「不公平も何も仕方ないだろ、そう呼ばれてるもんは仕方ない」
「だから他の数字にも何かそういう呼び名付けてやりたいんだよ」
「個人的にはお前の話を一手に聞いてやらないといけないということが俺にとって不公平なんだが」
「だってこんなつまんない話他に聞いてくれる人いないし」
「よくその発言を張本人の前で出来るな」
「まぁそれは置いといてよ、例えば……2が『セカンド』で、3が『サード』……とかだったらなんかカッコよくない?」
「じゃあその続きはどうするんだよ」
「えっと……4が『ショート』で、5が……『レフト』」
「野球かよ。しかも内野の駒が切れて5の呼び方少し妥協してんじゃん」
「だってしょうがないじゃん。あ、キャッチャーもアリか」
「その理屈で言えばセンター、ライト、ピッチャー、ってことか?」
「まぁそういうことだろうな」
「つまりお前はトランプから『ファースト』を排除したんだな?」
「え?」
「特別扱いさせたくない理論でそういう法則性を決めた結果、今度は逆に『エース』だけが除け者にされたってことだ。身勝手なお前のアイデアのせいでな」
「マジか、盲点だった……それじゃあウチのしたことは……」
「(コイツ底無しのバカだなホント)」
「あ、それならいいこと思いついた!『エース』ってサッカーぽいし、そっちに紐づければいいんだ!ウチってやっぱ天才だわ」
「いや何も紐づいてないしノーペアだよお前の考え方。んで、それなら他の数字はどう呼ぶんだ?」
「えっと、2は『キーパー』で、3が……えっと、『サポーター』で……」
「お前全然サッカー知らないじゃん、その理論なら13とかどうするんだ? さすがにそこも統一しないとダメだろ」
「……キングカズ」
「ダメに決まってんだろ」