岩崎 花(♀):今作で何か常に文句言ってる人。(中略)
上田 進(♂):今作で岩崎の何の身にもならない話を延々と聞かされる可哀そうな人。(中略)
「喜べ上田! ウチの長きにわたる研究の結果、とうとう人間の構造の中の一番の欠陥が見つかったぞ!」
「すぐにプッチンするお前の血管か?」
「んな訳ねぇだろバカか? ぶっ殺すぞ」
「んな訳あるじゃん」
「そうじゃなくて、ウチなりに見つけた人間一番の欠陥は足の指なんだよ」
「あー……もう大体言いたいこと分かったからもういいや」
「何でだよ!? まだ何も話聞いてないだろ!」
「じゃあ言ってみろよ」
「フフン、それは——」
「「タンスの角に小指ぶつけたらメッチャクチャ痛いってことさ」」
「……え?」
「ハイ今日の話終わり。帰った帰った」
「ちょっと待て!? どうしてノーヒントでそこまで分かったんだよ!?」
「足の小指の枕詞とかタンスの角以外に無えよ。逆に何でバレないと思ったんだ」
「そうか……だがまだその段階だと甘いぞ? 上田」
「何がだよ」
「課題が見つかった所でそれに対して取り組む姿勢を見せない限りは、人類に成長は無いって昨日の学年集会のハゲの外部講師が言ってたろ?」
「ハゲには触れてやんなよ、デリケートな問題だし」
「ハゲは今どうだっていいんだよ!」
「少なくともハゲの解決は足の小指どうのこうのの問題以上に需要はあると思うがな」
「と、とにかく! ウチは絶対に足の小指をタンスにぶつけた時のあの全てがぶっ飛ぶような痛みを無くす方法を見つけたんだよ」
「タンスが無けりゃ全解決だな」
「お前この問題に対して真っすぐに取り組むつもりあんのか?」
「何であると思ったんだよ」
「そんな投げやりなやり方じゃなくて、もっといい方法をウチは見つけてんだよ」
「……何だよ」
「簡単な話だよ、これさ」
「……分かんねぇよ」
「まだ分からないか? ウチは今日、靴下を多重構造にしてここまで来たんだ。その枚数何と十枚!」
「アホの多重構造じゃねえか」
「アホとは失礼だな。ほら見ろ、こうやって何度も机の脚のとこに小指ぶつけても全く痛そうには見えないだろ?」
「そりゃぶつかるって分かってたら心の準備とかもあるし問題ないだろうな」
「何だよ、そんなに言うんだったらじゃあ偶然にぶつかってやるよ!? やればいいんだろ!?」
「お前自分が今何言ってんのか理解してんのか?」
「うるさい、これはウチが人類を超越するための大いなる実験の第一歩なんだ! 張り切ってやってくぞ!」
「アリの一歩はどれだけ当人が頑張っても僅かなものだがな……って危ねぇから腕振り回すな!」
「はっはっは! ウチは今日教室の中で物凄く自然に足の小指をぶつけてやるからな! 見てろよ!」
「お前を含めて誰が得するんだよそれ……」
「それはもちろん人類の発展につながッ!?」
「……今机の角にヒジぶつけましたよね、岩崎さん?」
「……」
「……」
「……どうだ、ウチの実験は……? ビリっと来たろ……?」
「肘がビリビリしてそうだなとは思ったよ」