岩崎 花(♀):今作で何か常に文句言ってる人。中学二年生の時に『サケ』と『サーモン』が同じものだという事を知り、人生最大級の衝撃を受けた経験がある。
上田 進(♂):今作で岩崎の何の身にもならない話を延々と聞かされる可哀そうな人。基本しっかりしているが普段デジタル時計ばかり使っているせいで稀にアナログ時計の七時と八時がこんがらがる時がある。
「まぁうん、確かにお前の言い分も分かるよ」
「お前今何と話してんの?」
「確かに今から言うウチの意見に納得出来ない点もあるかもしれない。ただその上でもお前を納得させたいんだ」
「今から言うってまだ何も言ってないじゃん、何か後に退けなくなってない?」
「確かにウチらは幼少期は何の疑いもなく黒ひげ危機一発で遊んでたかもしれない」
「予備動作ゼロでいきなり本題に入るな。てか何の疑いを以てあれ遊びゃいいんだよ」
「ただウチは黒ひげ危機一髪に潜む悪意を見て見ぬフリでごまかす訳には行かないと思うんだ」
「あれって危機一発の『はつ』って『髪』の方じゃなくて出発の『発』の字なんだよな」
「今それ関係ないだろ。ちゃんと話聞いてんのか?」
「そのブーメラン30cmだけ飛んでお前の額に刺さってるぞ」
「とにかく、ウチは黒ひげ危機一発の嗜虐性について話がしたいんだって」
「どこでそんな難しい言葉覚えたんだ? ついさっきまで見えない相手と話してたのに」
「まぁうん、確かにお前の言い分も分かるよ」
「二回目だけど尚も使うタイミング間違えてるぞ」
「確かにエンターテインメント性で黒ひげ危機一発に勝る遊びってのはないとは思う」
「娯楽のレベルスラム街なの?」
「だがな……それが黒ひげの命をあんな軽視する遊びをやっていい理由にはならない……思うだろ?」
「急に質問してくんな心臓に悪い」
「んで、どう思うよ?」
「何でここから続けれるんだお前。首縦に振る訳ないだろ」
「……じゃあ上田は自分さえよければ、黒ひげの命でさえもどうでもいいって考えなワケだ」
「終始何言ってんだよ。命も減ったくれもないだろオモチャに」
「マジか……まさか上田が命に対してそんな傲慢な考え方を持ってるとは思わなかったわ」
「今のお前、史実の黒ひげとタメ張れるレベルでメチャクチャだぞ。何だよ黒ひげ人形の命って」
「だって考えてみろよ? ウチらがアレで遊ぶ間、黒ひげはずっといつ吹っ飛ばされるか分からない状況に置かれ続けてんだぞ?」
「はぁ」
「しかも自分の身長の何倍のレベルで。ウチらの感覚で言えば……まぁうん」
「何かしら考えとけよ」
「そう、まさしく紐無し逆バンジーをさせられるのと同じって事だぞ? お前もやってみるか?」
「んな学生に初めて酒飲ませる親戚みたいな感覚で殺害予告すんなよ。そんなこと言うなら自分が先にやりゃいいじゃん」
「は? ヤダよ」
「何でだよ」
「ウチ死にたくないし」
「お前今の瞬間黒ひげ超えたぞ。なぁ、傲慢さ余裕で今のお前の方が上だぞ」
「いやウチはこんなにも黒ひげのこと考えてるんだし、そんな訳ないじゃん」
「何で無機物にそこまでより添えるのに生きた相手の温もり感じれないんだよ」
「……」
「何か言えよな」
「まぁうん、確かにお前の言い分も分かるよ」
「その言葉そんな便利じゃねぇんだよ」