岩崎 花(♀):今作で何か常に文句言ってる人。自分ほどの才能があれば何でもできると意気揚々に折り紙を始め、苦心の末に彼女の力作である『丸めた紙』が出来上がった。
上田 進(♂):今作で岩崎の何の身にもならない話を延々と聞かされる可哀そうな人。神の気まぐれ以上に気まぐれとされる岩崎と意思疎通が行えることからクラスメイトからは陰で『預言者』と呼ばれている。
「上田よ、さすがにこれはウチでも見逃せない問題だと思うんだ」
「そんなワンバンのクソボールなんて見逃しちまえ」
「いや、これに関してはウチらが手を出していかないと未来永劫解決されない問題だと思うんだ」
「ああ、お前の知能の問題か。それに関しちゃ手遅れだ、俺には見過ごすことしかできない」
「何でだよ触れろよ、てかウチの知能の問題じゃねぇよ。むしろ今回は理知的な問題」
「お前如きが理知的と言う言葉を知っていた事実に驚きと感銘を隠せんから、今回限りは話を聞いてやらんことも無い」
「なんだよそれ、まぁここで突っかかるのもバカらしいし続けるけどさ……あのさ、『青菜に塩』とか、『ナメクジに塩』って言うじゃん?」
「まぁ、そんな言い回しもあるな」
「その表現ってめっちゃサイコパスじゃね?」
「最高に話が飛んで行ったな。全く要領を得ん」
「だってさ、青菜に塩振ったらしおれるじゃん? しかもナメクジに至っては溶けるんだよ? それなのにウチらは慣用句として普通にそんなこと言ってんだよ? これって命の冒涜じゃん!」
「よくもまぁそんな点からポリコレ的思考振りかざせるな、その理論ツイッターに上げたら有名人になれるだろ」
「だって弱い立場相手に対しては普通に相手を殺せるものを慣用句に使ってて、言ってしまえば人食いザメが『人間に硫酸』って言ってるようなもんだよ!? そう考えたら倫理観ヤバすぎるでしょ!」
「人食いザメが慣用句を使う知能があると考えてるお前の世界観の方がよっぽどヤバいぞ」
「それにいくら叱られたりしたってさすがに溶けたりしないじゃん! マジでそんな言葉使うとかありえないし人間はもう一度何かこう、原点に立ち返るべきだと思うんだよ」
「なるほど、それでネアンデルタール人まで遡った結果がお前か」
「何だそのネパールと、ねればねるほど美味しくなるお菓子みたいな言葉の組み合わせみたいな造語は」
「お前脳漿で脳溶けてんのか?」
「脳漿で溶けるのはさすがにグロすぎるでしょ……てかそんなことじゃなくて! とにかく同じ意味でももっと人道的な言い回しをすべきだと思うんだよ」
「例えばどんな風だ? 萎縮するって意味の言葉なら『お前に正論』とか?」
「それは相手を選ぶ代わりに言い得て妙かもしれないが……何か違う気がする」
「そうか、お前に対してはピッタリだと思うのだが」
「そんなことないってば、ウチは真っ当に生きた人間だし正論ぶつけられても何も気にしないしそれならむしろ——」
「お前今日の数学の宿題してないならやっといた方がいいんじゃないのか?」
「あぁぁぁ聞こえない!」
「正論が覿面じゃねぇか」