岩崎 花(♀):今作で何か常に文句言ってる人。あまり動物に好かれないタイプらしく、猫には三割方無視される。残りの七割は撫でようとすると問答無用で引っかかれる。
上田 進(♂):今作で岩崎の何の身にもならない話を延々と聞かされる可哀そうな人。母には岩崎のことを『アホ』と呼称しているが、母は母で一種の照れ隠しと捉えているらしく、岩崎に好意を持っていると勘違いされている。そのこと知ったらショックで自害するんじゃない? 彼。
「なぁ上田、ウチはあまりのひどさに幻滅したよ」
「とうとう自分のノータリンっぷりに気づいてしまったか……まぁそう気を落とすな」
「ちげーよ、てかそれはさすがに失礼過ぎんだろ」
「今までのはセーフなのか」
「とにかく! ウチが幻滅したのは人の身勝手さだよ、マジで信じられないんだけど」
「身勝手さ……ああ、この前缶ジュース買うのにお金が必要だけど150円だったらもしもの時に何かあるかもしれないとか言って俺に2万円をタカろうとした岩崎って奴の話か、確かにアレは幻滅モノだな、醜悪だわ。」
「そうじゃないし、そんなことする奴がこの世にいる訳ないじゃん」
「ああ、俺の常識の範疇にはそんな奴はいねーよ」
「ウチが言いたいのはアレだよ、『ネコイラズ』」
「ネコイラズ? ってあのネズミを殺す奴か。お前のそのネズミの脳より小さい脳ではそれがどう人の身勝手さに繋がってんだ?」
「確かにネコイラズはネズミを殺せるかもしれないけどさ、だからと言ってそんな名前つけることないと思うんだよ、だって『猫要らず』ってことじゃん? ネズミを殺す手段が他にあれば猫の存在はいらないってことなの!? ヤバすぎるでしょ人間!」
「いやまぁ、そりゃ言葉のアヤってヤツだろ。別にそんな本気に取らんでも。まぁ昔は今よりもペットとしての猫っていうのがあんまり浸透してなかったとかじゃない?」
「そうは言ってもこりゃあんまりだよ、ウチだって家で飼ってる猫いるけどネズミ追い払ってくれるとかそんな見返り求めてないもん」
「……たまにはマトモなこと言うんだな、とはいえあくまで名前は形式的なモンだ。そんなに深く考えることも無い」
「……そっか、確かにそうかもね、どう猫が認知されようがウチの用心棒はかわいいし」
「用心棒? お前ん家そんなのいるのか」
「いるも何もうちのペットの名前だよ?」
「形式的とはいえ話の流れ汲めや……さっきのほんの少しの感動を返せ」
「うわっ! 急にキレるなよ……」
「キレてるとかじゃなくて呆れを通り越して何か腹立ったんだよ」
「普通順序逆だろ、マトモに聞いた俺が馬鹿だった」
「まぁお前には少し高尚過ぎる話だったかもしれんな、まさに猫に小判ってやつか」
「てめぇの猫の額程度の脳内で組み立てられた話に呆れたんだよ」
「ウチの脳内そんな毛は生えてねぇよ」
「そんな物理的なことがあってたまるか。まぁでもお前ほどの図太い奴だったら心臓だけじゃなくて脳に毛が生えてても不思議ではないがな」
「どんな育毛剤使ったらそんな悲惨なことになんだよ」
「物理的っつったろハゲ」
「困った時にそのフレーズ使うのやめろよ! そもそもウチはハゲてねーし! 知的なウチにそんなこと言うとか……」
「知的のメッキはとうの昔にハゲてるがな」