ハンターを連れたクシャルダオラ、マサト一向……
黒ダオラ襲撃というハプニングがあったものの、無事に合流する事ができた。
彼らの目的も気にはなるが、まずは治療の方が先だ。
古代樹の森の一騒動の翌日……黒ダオラから受けたダメージを癒すべく、私達はアステラからセリエナへと移動していた。
季節風に乗り、同じく渡りを行うレイギエナ達を追いながらゆったりと遊覧飛行……
今回は私達古龍の治療がメインなので、私とマサトさんを中心にクリス、ミラルダさん、天羅さん、アミラさんと、道案内役に大団長のグランさんが付いて来た……レクスとタマは、引き続き死を纏うヴァルハザクを追うと共に黒ダオラの調査も行う事となり、アステラに残る事となった。
「ハハハッ、お前達もスリンガーには慣れたか? こういう小飛竜を使う旅も悪くないだろ?」
新大陸で活用されている装備『スリンガー』の練習を小一時間ほど練習したミラルダさん達をぶら下げた小飛竜の一団を伴い、私達はそれぞれ単独飛行させて貰いながらセリエナを目指していた。
「ええ……景色も良いですよね……」
「風が気持ち良いですわ……」
「なかなか度胸ありますね……私は最初、少し怖かったんですが……」
クリスだけが最初の頃、怖さを感じていたと暴露する中……レイギエナの1体が私達の存在に気付き、独特な高い鳴き声を上げた。
「……ッ……凄い声……!」
「慌ててるんだろうな……ありゃあお前達に相当ビビってるぞ」
ミラルダさんはレイギエナの甲高い奇声に少し嫌そうな顔……グランさんはレイギエナ達の恐怖心を煽っているのが私とマサトさんだと見抜き、私はヤレヤレと肩(?)を竦めた。
『はぁ……心外です……私達は目的地が同じだけで、害する気は無いというのに……』
古龍である私とマサトさんに気付き、一度は慌てふためくレイギエナ達……だが、いくら身構えても一向に襲われない事にしばらく混乱していたが、気付けば私達のすぐそばをレイギエナ達は優雅に飛び回っていた。
もう時折聞こえてくるレイギエナ達の鳴き声も、仲間内の会話のように……戦う際に聞こえる様な声ではない。
『これは……貴重な体験ですね。
レイギエナの群れと遊覧飛行なんて、滅多に味わえないですよ?』
「こんな事が……あるんですね!」
アミラさんはレイギエナ達の意外な行動に感嘆の声を上げた……ミラルダさんや天羅さんも、すぐ側を優雅に飛翔するレイギエナ達に目を奪われている様だ。
「私も……シオンと出会ってから、モンスターの生態には驚かされてばかりです」
『……前にレクスと飛んでいた時は、タマの方が怖がってあまり近づけませんでしたけどね……』
セリエナへレクスと行く時は毎回、タマも同行するのだが……あの時はレイギエナにトラウマでもあるのか、タマがずっと威嚇しっぱなしだったのでロクに近づく事も出来なかった。
……それ故これ程まで接近して観察できるのは、実は今回が初なのである。
(レイギエナと言うのか……私達を友好的に見てもらえたのかな?
誘導してくれている様にも見えるけど、どうなんだろ……それに、何処まで行くのか……)
『レイギエナ達の観測はまだ不定期なのですが……彼らは、この先にある凍土地帯へと渡りを行ってます……目的は不明なのですが、比較的若い個体が多い事から「繁殖の為では?」と研究者達は考えている様です』
(うーむ……なるほどねぇ)
10体前後のレイギエナと私達は、数時間ほど遊覧飛行を共に楽しんでいると、徐々に視界を覆っていた薄雲が晴れていき……私達の眼前に巨大な雪山と白銀の大地が広がった。
「ココからは俺に付いて来てくれ、セリエナはあの山岳地帯の南の辺りだ」
グランさんの指示に従い、私達はレイギエナの群れから離れ……山岳地帯の南、セリエナへと続く道がある森を目指す。
ふと、視界の隅っこに見慣れない龍の影がチラリと見えたが、すぐに見失ってしまった……
森に降りた私達は、セリエナあるあるの例に漏れず凍魚竜ブラントドスの
ちなみにその縄張り争いの最中、
「ようこそ、ここが俺たちの第2の拠点……セリエナだ!」
開拓作業も一通り終わったセリエナは、中央にそびえ立つ蒸気機関から各エリアへと配されるパイプで熱や蒸気を循環させ、屋内は常に一定の温度を保つ工夫が随所に施されており、工房で使用される炉の余剰エネルギーも併せて効率よくセリエナ全体を保温している……その為、山間部という立地も相まってセリエナの中と外では隔絶した温度差になっているのである。
この不思議な光景には、さすがにマサトさん達一向全員が驚嘆の声を上げていた……そりゃ、セリエナの門の外は
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セリエナの中を進み、指令部のある建物の前に到着する。
入り口に居た獣人族研究者の竜人さんは、私に気付いて手を振り始める……が、隣に歩く黒い姿に目を剥いて絶句してしまった。
「レオン、今良いか? 客を連れてきたぜ」
「大団長? それにシオンまで……レクスはアステラだと聞いてますが……」
「ああ、今回は任務じゃねぇ……主にはコイツらの治療だ」
「治療……? シオン……お前が怪我を?!」
セリエナを預かる若き司令官のレオンさん……グランさんの言葉に少しだけ首を捻るが、私の足に巻かれた包帯に目を剥き、驚きの声を上げる。
『私だけじゃないんです、彼も……』
「
私の隣に歩いてきた黒い身体……クシャルダオラを認識し、レオンさんは少しの絶句の後、慌てて私に説明を求めた。
「な……クシャルダオラ……っ?! え、彼……って、シオン!?」
『彼は私と同じ、共存を望む古龍……クシャルダオラのマサトさんです』
私の言葉に合わせ、お辞儀の様に首を下げるマサトさん。
レオンさんのリアクションは終始驚きのまま……って、私の時とはえらく違いますね。
まぁ、私の時はまだ小さかったですし、可愛がられたのもあって不満はないですけど……
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「……はぁ、なるほどな……我々とは違う思惑で外から来たハンター達……
更にはイビルジョーに次いでもう一体のクシャルダオラ、か……シオンが手も足も出なかったとは、正直言って信じられないな」
「だが、事実だ……その証拠に、マサトもシオンも手酷くやられてな……暫くコイツらを、ココの温泉を使って休ませる為に来たって訳だ」
セリエナには簡易的だが、私の為に……と大きな小屋が作られている。
規模的には私だけでなく、マサトさんが一緒でも余裕の大きさだし、ココの温泉の効力なら、この怪我も早く治す事ができる……その間に、マサトさんに『言霊』を伝授する時間も取れるだろう。
……それに、コッチの工房を預かる腕利きの技師、2期団の親方こと『マイトさん』なら、ミラルダさん達の武器のメンテナンスもできるしね。
「……え、武器のメンテナンス……ですか?」
『はい、ココの工房なら腕利きの方も居ますし……イビルジョー戦での動きに、少し違和感を感じたので……』
イビルジョー戦での動きを外側から見ていた私は、新大陸で活動するハンター達……主にはレクスを……だけど、それ以外にも様々な武器種を扱うハンター達を観察していた。
あの時のミラルダさん達からは、幾つかは別大陸のハンターだからと判る動作もあったが……共通する武器の動作や武器そのものの挙動に少しだけ違和感を感じた……それは多分、武器が本来の性能を発揮していない事によるものだと私は思ったのだ。
「そうね……確かにココ最近、本格的な手入れは出来てないわ……」
天羅さんはその危惧を肌身で感じていたようだ……ハンターの扱う武器は、全体的にかなり頑丈に見えるが、意外にも繊細なパーツの方が多い。
特に複雑な可変機能を持ち、内蔵したビンに蓄積させた高出力のエネルギーを武器に付与するスラッシュアックスやチャージアックス……砲撃や竜撃砲によって少しずつ銃身の損耗が起きてしまうガンランス……特に細かなパーツが多く、その僅かな歪みが弾道の正確性を損ねてしまうボウガンや狩猟弓など……使い手が日々行っているメンテナンスだけでは、解消しきれない部分が必ずある。
勿論その他の武器の切れ味等も、丹念に磨けばそれなりに復活はするが……根本的な欠損となると必ず工房にお世話になる、武器ごとにその頻度が違うだけなのだ。
ミラルダさん達の武器のオーバーホール……時間の掛かる問題だが、治療にもそれなりに時間を要するので、待つ間に出来上がると思う。
「そうですね……確かに、今は戦闘を目的にしてはないですし……お願いしましょうか」
『……だ、そうですよマイトさん』
工房へと案内しつつ話をまとめながら、ミラルダさんの言質を取ったタイミングでカウンターの前に3人を並ばせ、私はカウンターを挟んで待ち受けていた人物へと私は話題を振る。
「ホゥ? お前さん達が外からのハンターか……見たこともねぇ素材の武器だが、手入れの基本はだいたい同じだ……俺ら2期団の
2期団の親方、マイトさんはヤル気満々で胸を張り……後ろの助手達も腕を上げ、気合いの入った掛け声を上げた。
技術者集団でもある2期団……
そのリーダーである隻眼の工房技師マイト。
ゲームと同様に、遺憾なくその実力を発揮してくれる事でしょう……
なお、ミラルダさん達のスリンガー訓練ですが……
RISE系キャラと思われるアミラさんだけは、ものの数分で慣れていた様ですw
RISEでは似た能力を持つ「
さて次回は休養回。
シオンはマサトに、古龍の力を応用した会話方法を伝授します!
この後登場予定のイヴェルカーナですが……
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