狩人と舞う白銀の翼   作:睦月透火

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コラボシナリオ第1弾、そろそろ中盤かな?



伝授

『……もっと、込める力を抑えて……それじゃ強すぎるよ』

 

『……シ……これ……つま……調整……キッツ……』

 

 途切れ途切れだけど、マサトさんの声がちゃんと耳に響く。

 ……はい、今まさに『龍の言霊』……いわゆる万能話術の練習中です。

 

 マサトさんは風を操る古龍クシャルダオラ……自身の纏う(オーラ)を大気に混ぜて操るだけあって、やり方を覚えるのは早かった……のだが、用いるエネルギーの出力調整に苦労していた。

 

 この『龍の言霊』とは、鳴き声や吐息にほんの僅かなエネルギーを含ませ、ヒトの五感に合わせた特殊な『波長』として大気に発し、『一種の声』として相手の聴覚・または脳内へダイレクトに響かせる方法だ。

 地脈エネルギーを自在に操れる……らしい私は、これだけ緻密で繊細なエネルギー操作も難なく行えている……けれど本来、大雑把にしかエネルギー操作をしない古龍に、いきなりこんな無茶振り緻密なエネルギー操作を要求するのはさすがに難易度が高過ぎたみたい……

 

 マサトさんも頑張ってはいるものの、()()()()()()()()()()事に難儀しており……込められたエネルギーが強すぎて、伝えるべき『思念』が掻き消されているのだ。

 

(……だはぁぁぁぁぁ……なにこのムズさ! 針に糸を通すよりも難しいよ!?)

 

 ガックリと首をもたげるクシャルダオラ……悲鳴にも似たマサトさんの言い訳鳴き声が小屋の中に響く。

 

『何ですかそのイメージ……あ、そうか……マサトさん、風で感覚を掴みましょう!

 いつもの暴風を纏うやり方で!』

 

 エネルギーの操作は、一度感覚さえ掴めば他に反映させる事もグッと楽になるハズ……ならば、得意な分野で細かなエネルギー操作のコツを掴む方が、より近道になり得る……と、シオンは考えたのだ。

 

(何か……さっきよりも、難易度上がってない?)

 

『私は元々、エネルギー操作が得意な種族らしいので……スイレン(ネロミェール)から概念を教わっただけで出来ましたし』

 

 感覚的な部分は個人的な違いの大きい部分である故に、自らで掴んで貰うしか方法はない……

 

 種族が違うが故に横たわる大きな問題であったが、シオンの種族的特徴を鑑みて、少し考え込むマサト……やがて意を決し、風のコントロール訓練の為……マサトはシオンの案内でセリエナを離れ、なるべく風の被害を抑えられる様な場所……大蟻塚の荒地へと移動するのであった。

 

──────────

 

 大蟻塚の荒地……そこは巨大な蟻塚郡や、地下水源のある複雑な地形の地下洞窟と、そこから伸びる湿地帯や森林が奇妙な形で噛み合わさった複雑怪奇な場所だ。

 全体的に荒地だが緑や水源もあり、北部の砂漠……だが暑くはない荒涼とした荒地と、西部の森……そしてその森から中央部の湿原を貫き、南東の沼地へと流れる水が多種多様な生態系を育んでいる。

 

 私達はまず、中央寄りにあるキャンプ近くへと降り……そこからよくクルルヤックが寝床にしている丘、エリア6へと移動……ココなら竜巻を起こしてもさほど被害は無いだろう。

 

『まずは最弱出力がどれくらいなのか、一度見てみないと……』

 

 私の提案を受け入れ、マサトさんは自身の最弱出力で風を起こす……だが、古龍クシャルダオラの風は如何な最弱だろうとその規模も強さも凄まじく、瞬く間に大量の砂を巻き上げる竜巻となっていろんな物を吹き飛ばしながら50mほど進んでようやく消える……

 

 あ、クルルヤックが落ちてきた……さっきので飛ばされてたのかな?

 

 ってマサトさん……テヘペロ顔したってダメですよ?

 

(最弱出力……結構抑えたつもりなんだけどなぁ……)

 

『うーん、何かしら指標というか……()()()()()という感覚を掴んで貰えたら、かなり楽になると思うんですが……』

 

 私の種族……ゼノ・ジーヴァと呼ばれる新種の古龍は、地脈をはじめとする様々なエネルギーの精密操作に長けている……らしい。

 だからこそ、大気や大地に流れるエネルギーを直で感じたり、意識を集中させる事で緻密な操作も出来る……しかし、エネルギーの操作自体はクシャルダオラも日常的にやっている風を操るので、強弱の感覚さえ掴めばコントロールそのものは可能なハズなのだ。

 

『仕方ありません……私がマサトさんに対して直接エネルギーを流すので、その強さで感覚を掴んでください……あ、頭を少し下げて下さいね』

 

(……え? ……あ、うん。 ……んなっ!?)

 

 マサトさんの曖昧な返事を喰い気味に肯定と処理し、私は下げられたクシャルダオラの顎に額を当て、前足もマサトさんの胴体に当て……微調整したエネルギーの波動を直に流し込む。

 

 たっぷり30秒ほど時間を掛け、体表に電気を流す様なイメージでエネルギーの流れを作り……マサトさんに感覚を掴ませる……

 

 もう良いかな、と流し終わって額と片手をマサトさんから離れたが……何故かマサトさんはクワッと眼を見開いたままガッチガチに硬直しており、それから5分くらいの間……一切微動だにしなかった。

 

 ……力の加減、間違ったかな? それともクシャルダオラを硬直させちゃうヤツ(エネルギー)を、知らない内に混ぜ込んじゃってた?

 

──────────

 

『……ど、どうかな? 聞こえ方、変じゃない?』

 

『おぉ~、ちゃんと聞こえますよ……後は皆さんと会話も出来れば、成功ですね』

 

 フリーズから復帰したマサトさん……早速コツを掴んだのか、先程までとは段違いに声の通りも響き具合も適度なものになっていた。

 

 やっぱ理知的な理論より、それぞれの感覚頼りな存在なのね古龍って……なんか釈然としないけど。

 

 さて……後はミラルダさん達との会話で、合格判定のテストだ!

 

 

 意気揚々と、マサトさんと共にセリエナへと戻る途中……眼窩に広がった陸珊瑚の森の一角に、揺らぐ大きな2つの気配を感じた。

 

 私は今まで直に見た生き物以外、ほぼ文献でしか知らないので、飛んでいる私達の下で激しくケンカしている……赤と黒の大きな犬っぽい2体の生き物を見るのは初めてだった。

 

『あれ……犬……かな? 同種(?)の黒い方と縄張り争いしてる……』

 

 当然マサトさんが知る訳もなく、私は姿形を頼りに文献の資料を漁っていた頃を思い出す……

 確かあの生き物は……オドガロン、だったかな?

 

 オドガロンは毛皮を持たない獣のような牙竜種で、主に死体の肉を漁り、広い縄張りを持つ……雌雄の見分けは付かないが、一般的に雌の方が一回り大きい……と文献にはあった筈だ。

 

 ヴォォォォォオォォンッ!!

 

 グルルルルッ!!

 

 激しく暴れ回る2匹のオドガロン達を尻目に、私達はミラルダさん達の待つセリエナへ、空路を並んで飛翔するのであった。

 

──────────

 

 それから数日後……ミラルダさん達の武器の手入れが終わったとの事で、私達は先にトレーニングエリアにて待機し、工房で受け取りを済ませたミラルダさん達が到着するのを待った。

 

「マサト、シオンちゃん……お待たせ」

 

 すっかり小飛竜の扱いにも慣れたミラルダさん達……もうアステラやセリエナのハンター達と遜色ない手際で、マサトさんと私が待つこのトレーニングエリアへと降り立った。

 ココは仮想標的や樽などを使って、武器のテストを行う為に作られた場所なので、ミラルダさん達の武器をテストするにもちょうど良い。

 

「マイトさん達の技術は凄いわ……アタシのアックス、まるで新品みたいに直ってる」

 

 天羅さんが早速いつもの要領でチャージアックスを構える……だが、その手に掛かる武具は

 

「……!? 軽い……!」

 

 単なる武器の重量ではない、使い勝手という意味で軽快さを感じた天羅……しかも以前よりも手に馴染む。

 

「本当です……こんなに手に馴染むのは何故……?」

 

「弦が前よりも格段に引きやすい……でも威力はほとんど落ちてない、どういう事でしょうか?」

 

「そりゃあお前さん達の癖に合わせた調整の結果だ……俺らは隔離されたこ新大陸の中で使える物を探しだし、大事に使ってる……だから結果的に長く使える様に、最初の内から使い手の癖に合わせておくのさ。

 

 癖ってヤツはなかなか抜けないモンでな……時には無理な力が加わって武器の寿命を縮めちまう事にもなる。

 お前さん達の武器の使い込み具合から、癖を読み取った上で設計し直したのさ……勿論、使い勝手はそのままにな、ガハハハッ!」

 

 マイトさん達は、損耗した武器のパーツを交換する際にそれぞれの癖に合わせて微妙に調整し直したパーツを使い……僅かな不備すらも一つ一つ丁寧に潰していったのか……

 マイトさん達は使い手の癖を見抜き、武器に反映させる天才的な技量と眼力……そして既存に囚われない柔軟な発想力の持ち主だ。

 

「「「マイトさん、ありがとうございました!」」」

 

「ガハハハッ! 良いって事よ! 向こうの新素材を扱えたのも、俺達にゃ良い刺激になったからな」

 

 既に新大陸で結構な時を過ごしたマイトさんにとって、セルレギオスやネルスキュラの素材は未知の世界だったようだ……何かまだウズウズしてる。

 

『……良かったね、3人とも』

 

 タイミングばっちり、突然響いた男の声にビックリして周囲をキョロキョロしてるミラルダさん達……ココにはマイトさん以外、人間の男性は居ない。

 なのに響いた男の声、しかもマイトさんは笑い声と共に歩き去っている最中……

 

 そこから導き出される結果に、最初に行き着いたのは……

 

「あっ……もしかして……マサト……なの?」

 

「えっ?! これ、マサトの声なのか!?」

 

「マサトさん……これが貴方の声なのですね……」

 

『……うん、やっと皆と自由に話せるよ!』

 

 ミラルダさん、天羅さん、アミラさん……3人それぞれのリアクションを経て、マサトさんが次の言葉を紡ぐ……

 短期間で習得したとはいえ、思考や発想力は人間と同じマサトさんだ……モノにすれば、応用はさほど苦もなかったみたい。

 

 序盤からさほど苦もなく話せた私はともかく……長い期間苦楽を共にしたマサトさんとミラルダさん達なら、感激も極上のはずだ……良かったですね、マサトさん♪




マサトさん、ついに自由会話能力を獲得!!

ちなみにこの能力を突き詰めると、物理的な破壊力を生みます。
つまり、アイスボーンのラスボス「アン・イシュワルダ」が持つあのヤバい能力は、進化の果てに獲得したという設定が成り立つ訳で……

さて、あの黒ダオラとかイビルジョーもだけど
森に現れた「死を纏うヴァルハザク」は何をしているのかな……?

死を纏うヴァルハザク、どういう設定ならこの小説に合いそう?

  • 無垢で人懐っこい子供、でも能力のせいで
  • 能力のせいで常に悲観的、無気力系女子
  • 実は「菌が見える系」の転生者というオチ
  • 無口で無愛想、本当は寂しがり屋な男の娘
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