狩人と舞う白銀の翼   作:睦月透火

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異変の原因を古龍の仕業と仮定し、シオン達は龍結晶の地へ……

そこで彼らを襲ってきたのは、極低温の冷気を纏う古龍
「イヴェルカーナ」であった……

マサトの約束に名を連ねる彼の龍……
アステラの異変とは、何か関係があるのだろうか?



強襲

 凄まじい速度で放たれる白い液体……壁や床に当たったその場から瞬く間に氷へと変化し、視界と足場を奪っていく……

 

『アナタ達……何故、人間などに手を貸しているのですか!?

 

 それにアナタは、彼の龍の同族……却って好都合ですわ! アナタ達の企み、全てこの場で吐き出して頂きましょう!!』

 

 言うが早いか、イヴェルカーナは空中に舞い上がり、マサトさんに対し何度も尻尾……その先端にある鋭い氷刃を振るう。

 驚きながらもそれを回避するマサトさん……両前足をダイヤモンドで硬化(コーティング)し、口元にも結晶刃を咥え、連続で振るわれる氷刃を巧みに捌いて避ける。

 

『「「「マサト(さん)!?」」」』

 

『来ちゃダメだ!! 彼女は何か誤解してる、まずはそれを解かないと……!(え、シオン?)』

 

 ミラルダさん達が武器を構え踏み出すも、マサトさんはそれを静止……確かに何か誤解をしてそうだけど、あのままではろくに話も出来ない。

 

 マサトさんはイヴェルカーナの背後にこっそり接近する私に気付いたが、幸いイヴェルカーナはマサトさんに対して全神経を注いでいるのか、背面への注意が疎かになっている……私は地上で密かに移動し終えると、飛翔と同時に前足を下から前方へ回り込ませ……

 

『やめんしゃいッ!!』

『ッ!? しまっ……きゃうんッ?!』

 

 羽交い締めからの空中投げっぱなしジャーマンスープレックス……投げ技は初挑戦なのでさすがに細かい所まで気が回らなかったが……イヴェルカーナはほぼ垂直に叩き落とされるも、何とか頭を守ろうとして首を曲げた為に背中を強打。

 

『……ッ……やってくれましたわね……! ……え……っ、あれ……ッ?!』

 

 翼が広がっていた事が仇となったのか横倒しにならず、なんと足が真上を向いたまま綺麗に安定してしまった……

 さすがに歴戦の猛者らしく、この程度で気絶はしない……しかし、綺麗に安定した逆さま体勢は足の動きではびくともせず、自重と翼の大きさのせいで翼自体もほぼ動かせなくなっている……あまりに無防備で滑稽な体勢に、私を含む全員が絶句したまま状況の理解に時間を要した。

 

『……何が、どうなって……くっ……た、体勢が……?!』

 

 ジタバタもがくも全く体勢を崩せず、躍起になって更に足をジタバタさせるイヴェルカーナ……

 

『……ぶふぉっ……!!』

 

 あ、マサトさんが耐えきれなくなって吹いた。

 それを皮切りに、ハンター全員が一斉に吹き出した……

 

「ぶはっ……ちょ……待って……苦し……何で……そんな綺麗に逆さま……アハハハッ!」(エイデン)

「シオンちゃん……さすがに投げっぱなしは……フフフフッ!!」(ミラルダ)

「あははは!! 古龍が逆さま……あはははっ」(天羅)

「くくっ……すみません……さすがに耐えきれません……くふふふ……!」(アミラ)

 

 あ、ヤバい……私も、もう無理。

 

『……ぶはぁっ……!!』

 

 ごめんなさい……さすがに耐えられません……

 

『何を笑っていますの!? 私、ここから動けませんのよ! 少しは同情するとか無いんですの?!』

 

 ごめんなさい、本当にごめんなさい……

 

「まさか……古龍のこんな姿を見るなんて……ぷっ」

「……やめなさいよクリス、笑うなんて……くふっ」

 

「……はぁ……あんた達、もう少し緊張感を持ちな……」

 

──────────

 

『……あの……申し訳ありません、急に襲ったのは私の不手際です……ちゃんと謝りますわ……ですから、この体勢を……何とか……して頂けませんこと?』

 

 さすがに惨めさを痛感したのか……急にしおらしくなって助けを求めたイヴェルカーナに罪悪感を感じたので、私はマサトさんと協力し、綺麗に逆さまで安定したイヴェルカーナの体勢を変える。

 

『……風で身体を浮かせられるかな?』

 

『この冷気、直接触れない方が良さそう……』

 

『れ、冷気が邪魔なら引っ込めますわ! だから早く……うぅっ』

 

 あ、さすがに涙目になってる……マサトさんの風で重さを軽減させ、冷気を引っ込めたイヴェルカーナの身体を横倒しに持っていく……動きに応じて、イヴェルカーナは自分の翼が動かせるようになると、邪魔にならない様に畳んでくれた。

 横倒し状態になってからは自分で元に戻り、立ち上がる……

 

『……ありがとうございますわ……アナタ達、普通にマトモな方達でしたのね……』

 

 普通にマトモって……まるでマトモな相手の方が少ない様に感じている風な言い方だなぁ……

 

 感謝の言葉と共に下ろした頭を戻し、イヴェルカーナは居住まいを正してから自己紹介を始めた。

 

『私は「マリナ」……人間達からは「冰龍」(イヴェルカーナ)と呼ばれておりますわ』

 

『シオンです……こちらこそスミマセン、止めるのに深く考えずあんなやり方で……』

 

『クシャルダオラのマサトだよ……誤解は解けたかな?』

 

『それはもう……よく見れば、あの黒い奴とは雰囲気から違いますものね』

 

 会話そのものは物腰柔らかく、何処かの、デキる貴族のお嬢様みたいな雰囲気……でも、最初の問答無用ぶりや逆さまの時に見せたギャップのせいで、世間知らずでお転婆なお嬢さま感が拭えない……

 

 自己紹介を済ませると、戦う雰囲気じゃない事を察してミラルダさん達も武器を納める……

 

『それで……アナタ達は何をしにこの様な場所まで?』

 

『それは……』

 

 

『イブシマキヒコに、ナルハタタヒメ……

 私達を知ると言う事は……恐らく「シロウ」と「キヨヒメ」の事ですわね? ……カムラの里からなら、さぞ長旅だった事でしょう?』

 

 マリナさんは、マサトさんからイブシマキヒコとナルハタタヒメの事を聞くと、すぐに思い至った様だ……懐かしい雰囲気を出しながら、御使いとして遠路はるばる来たマサトさん達を労ってくれている。

 

『……あれ? でも、あの2人は「彼」って……』

 

 降って沸いた疑問……ナルハタタヒメ達から頼まれた時、イヴェルカーナの事を「彼」と言っていたらしい……しかし、マリナさんはすぐにその理由を教えてくれた。

 

『……あぁ、2人と良く会っていたのは、私の弟「シモン」ですわ。

 あの子は数年前、フラヒヤ山脈の方へと旅に出て……今は音信不通ですの。

 

 あの子から、旅立つ前に2人の事を聞き……私が代わりに()()役を……』

 

『そうだったんですか……』

 

 フラヒヤ山脈と言えば……確か「ポッケ村」があり、「霊獣」(キリン)「崩龍」(ウカムルバス)の生息域もある地方だ……

 マサトさんの“旅の出発点”とも聞いている……成る程、あの地方ならココと近い環境だし、何か目的があったのだろう。

 

『……もしかしたら、すれ違ってたかもしれないね』

 

 そんな事を呟きながら、マサトさんは色々と思い出していた様だった。

 

 ミラルダさんから2色の宝玉を受け取り、感慨深く目を瞑るマリナさん……

 しかし、数秒後……マリナさんは何かを感じた様に振り向き、私達に向かって叫んだ。

 

『すぐにココを去りなさい! あの「醜い肉塊」が来ますわ!!』

 

 マリナさんは忠告と同時に冷却ブレスを放ち、私達の後方……入ってきたエリアの入り口を塞ぐ様に氷壁を出現させる。

 それから約10秒後、頑強な氷壁をぶち破ってなだれ込んで来たのは……

 

『うごぉぉぉぁあぁぁぁぁぁッ!!』

 

『……やはり来ましたわね、()()()の下僕……!』

 

 マリナさんは既にアイツと交戦経験があるようだ……前に黒いクシャルダオラと共に去った、()()イビルジョーと。

 

 

 以前よりも禍々しさを増した様なイビルジョー……只でさえ以前から「怒り喰らう」という歴戦個体だったのに、その凶悪さが大きく増している。

 

『またアナタですの? 何度も言わせないで下さいまし……私はアナタ達に荷担などしませんわ!』

 

『……だったら、ココで消えて貰う……!』

 

『それも御免被ります! 今度は氷漬けだけでは済ませません……確実に、その命の灯火を消し去ってあげますわ!!』

 

 マリナさんは宣言と同時に冷却ブレスをイビルジョーへと放つ……勿論イビルジョーも油断なく構えており、ブレスを避けて踏み込み……その強靭な顎をマリナさんへと解放する。

 

『馬鹿の1つ覚えですわねッ!』

 

 当然、マリナさんもその動きは予測していたらしく……空中へと上がって回避した後に尻尾の氷刃を振るい、イビルジョーのすぐ上を棒高跳びの様に飛び越しながら斬り付けた。

 

『グゥ……ッ、嘗めるなぁッ!!』

 

 一瞬怯むイビルジョーだが、そのまま顎で地面を抉りつつ向きを変え……赤い稲妻が煌めく禍々しい黒い霧を吐き出しながら、マリナさんの背後を狙う……

 

『……ッ、させません!!』

『マリナ! 避けてッ!!』

 

 私とマサトさんは同時にブレス攻撃を慣行……青白いエネルギー弾がイビルジョーの足元を穿ち、流れの狂った地脈エネルギーは小規模ながら爆発を引き起し、圧縮され回転も掛けられた空気弾がイビルジョーの黒い霧ごと身体を抉る。

 

『ぐっ……がぁぁぁあぁぁぁ?!』

 

 更に、ミラルダさんと天羅さんがダメージに喘ぐイビルジョーの足元へと入り込み……

 

「隙だらけ、だッ!!」

「邪魔は、させませんッ!!」

 

 最大級の威力を誇る、太刀の「居合抜刀気刃斬り」とチャージアックスの「超高出力属性解放斬り」……いつの間に準備を済ませたのか、事前行動無しの単発攻撃を同時に片足を狙い、足を挟んで交差させるように繰り出された。

 

『グゥウゥ……お、おのれぇ……ッ?!』

 

 度重なる攻撃に大きく怯み、イビルジョーの注意がこちらに向く……だが、私とマサトさんに注意が行き過ぎたが故に、更なる駄目押し攻撃を受ける事になろうとは……

 

『……?! ばくんっ……がっはぁ……!?』

 

 放物線を描きながら口内に飛び込んだ()()を反射的に飲み込んでしまうイビルジョー、その後に起きた口腔内での爆発……視界の隅でエイデンさんがガッツポーズをしている事から、恐らく「拡散弾」だろう。

 如何に強靭な皮や甲殻を持とうとも、口の中で起こされた爆発ではダメージも免れない……そして、不意の激しい痛みに呻くイビルジョーの左目に、矢が吸い込まれる様に突き刺さり……防御不可能の一撃は、その瞳から永久に光を奪った。

 

『ぬがッ?! め、目がァァァ!?』

 

 視界を奪われ、狼狽えるイビルジョーにトドメを刺すべく……マリナさんが一足飛びで急接近、同時に私達へ『死にたくなければ避けなさい!』と一言だけを告げ、最大威力の冷却ブレスをばら蒔く……

 

『……ッ!? みんな、伏せて!!』

 

 マサトさんの合図に、全員がブレスの範囲を避けて屈む……

 

 ばら蒔かれた冷却ブレスが無数の氷柱を生み出すと、マリナさんは空中へと飛び上がった後に更なる冷却ブレスを大地へと放つ……放たれ続ける冷気は止めどなく周囲を凍て尽かせ、尚も大気から熱を奪い続けていく。

 

 ……それこそ、イヴェルカーナの必殺攻撃絶対零度(アブソリュート・ゼロ)

 極低温の氷柱を無数に生み出し、その氷柱の乱立する領域内の温度をまさしく絶対零度-273.15 ℃まで低下させ、あらゆる物体の、分子レベルの活動を完全に停止させてしまう……物理法則に則った、文字通りの「必殺技」である。

 

 ヴゥグゥォォォォァァァァ!!

 

 怒りと痛みと理不尽さ……様々な怨嗟を乗せた、筆舌し難い恨みの雄叫びと共に倒れ込む……さしもの狂暴なイビルジョーでも、これ程まで大威力を連続で直撃させられ、生物の急所までも穿たれ……だがしかし呆れた生命力故か、虫の息ながら辛うじて生き残っていた。

 

『……まったく、あの黒鋼龍は……とんだ傍迷惑ですわね』

 

 鼻息荒く、黒ダオラへの恨み言を呟くマリナさん……この時、不覚にも私は彼女に「戦乙女の様な、強さと優しさを併せ持つ乙女」の姿を重ねて幻視してしまい……もし、未来の自分もこんな風に強く優しくなれたら……と、妄想してしまった。

 

『……マリナ、お姉さま……』

 

『……??』

 

 側に居たマサトさんだけが、私のその呟きに気付いて首を傾げる……

 

『あ……何でもないですッ?! 何でも……』

 

『うん? ……そ、そうなんだ……』

 

 不覚です……思った事を口に出してしまうなんて……!

 

「……もうさすがに暴れはしないだろうな?」

 

 エイデンさんは用心深くイビルジョーの様子を伺う……が、奴はもう止まり掛けの荒い呼吸をするだけで精一杯らしい。

 投げ当てられた小石に、反応らしい反応すら出来なかった……




笑いとシリアスの天秤がこうさせたんだ!
私は悪くないッ!!

とはいえ、イヴェルカーナに微笑ましい失態を強要し、
怒り喰らうイビルジョーに嘗めプをさせて死にかけて貰う……

よくよく考えたら私って、鬼畜……?
ところで、オリジナル命名キャラはメモ(まとめページ)が必要ですか?

エイデンさんの過去はネトフリ独占アニメで見れますよ。
私もまだ未視聴ですけど……性格改変になってないよね?
(´・ω・)

次回、黒ダオラの暗躍が……

感想待ってま~す♪

キャラ紹介は必要ですか?

  • できればネタも含めて詳細を
  • 名前と原作と違う部分だけでも
  • 大まかに名前だけで良いから
  • 特に気にならないので要らない
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