古龍ゼノ・ジーヴァへと転生した私に「レクス達の娘だった」記憶が蘇る。
しかし、マサトの記憶にある情報にも一致する事が多く、謎は深まるばかり……
翌日……レクス救出に向けて捜索隊が組まれ、私も動向。
マサトさんを始め、ミラルダさん達も参加してくれた……
捜索隊は二手に別れ、陸珊瑚の台地から消息を断ったレクスの痕跡を探し始める。
そこで見つけたのは……
『……間違いない、クシャルダオラの痕跡だ、私とは違う……多分、アイツの』
目的地に着いて早々、自分以外のクシャルダオラの痕跡を発見したマサトさん……彼はまだこの陸珊瑚の台地に来た事はない、したがってこの痕跡は彼以外……あの黒鋼龍のモノで間違いないだろう。
「……マサト」
ミラルダさんが、マサトさんを複雑な表情で見つめる……
2体のクシャルダオラの、己の理想と意地を掛けた避けられない戦い……目前まで迫っているその事実に、ミラルダさんはどうしようもなく不安なのだ。
天羅さんやアミラさんも同じく、マサトさんを心配している……
『大丈夫だよ、私は負けない……それよりも、今はレクスの捜索に専念しよう。
……ほら、しっかり目を凝らして痕跡を探さないと!』
場の空気を切り替えようとマサトさんは声を上げる、優しくも雄々しい
数時間後、レクスの痕跡発見した後……跡を辿って判明したのは……
「……間違いない、ココで途絶えているな」
そこら中に広がる戦闘の痕跡と、崖の端に残された「双剣リュウノツガイ」の片割れ……緑色の甲殻に残された傷跡から、間違いなくレクスの武器だと判明した。
それが、崖の端に突き刺さっていたのなら……
『まさか、ココから……ッ?!』
私は焦燥に駆られながら翼を開き、崖の上を飛びながら下を覗く……うっすらとだが、地面が見えた……が、その距離的に無事では済まない高さである事も分かってしまう。
「下へ降りれるルートはあるのか?」
私を心配して付いて来てくれたレオンさんが、道案内役のデュークさんに訪ねる。
「この下は『瘴気の谷』と呼ばれる危険地帯だ……毒性は低いが、呼吸器に悪影響を及ぼす瘴気が漂っていて、装衣やマスクが無ければ長時間の活動は出来ない……それに」
瘴気、と聞いて私の脳裏に浮かんだのは……ある古龍の存在、瘴気環境に完全適応し……あまつさえ共生関係まで築くあの古龍。
『ヴァルハザク……奴の住み処でもある、という事ですよね……』
瘴気対策……以前に検索したやつは、ヴァルハザクが放ってくる瘴気攻撃に対する対策だったが、今回は必要なのは常に漂う瘴気自体への対策だ。
検索条件は近いけど、違う対策が必要になるかもしれない……
「シオン、前に調べたヴァルハザクの瘴気対策は?」
『多分、あの方法では無理です……ウチケシの実の効果は一時的なモノですし、継続的に消耗を強いてくるこの場合の対策には……』
「そうか……なら、装衣やマスクを取りに戻らないとな」
『ヴァルハザク由来の装備なら、どちらにも効果があるのは確実なんですけどね……』
ヴァルハザク素材の方は「タマゴが先か、鶏が先か」と同じだ……その対策が取れない以上、装衣とマスクを使うしか方法はない。
「陸路で下へ降りる事は出来ないが、すぐ近くにある3期団の船を使えば降りられる……装備を整える為にも、一度3期団の船へ向かおう」
デュークさんの案内で、私達は一度装備を整える為に……この近くにあると言う3期団の船へと向かう事にした。
「はぁい、ようやく来たわネ……待っていたワ、古龍ゼノ・ジーヴァ」
『……貴女は?』
「私が3期団の団長、レジーナ……レクスの件も含めて、アナタ達の事は総司令のボウヤから聞いてるワ」
総司令……バンさんの事をボウヤと呼んだ、竜人族の女性レジーナさん。
捜索の件は既に連絡が来ていたらしく……もう装衣やマスクの用意は整っていた。
古龍は瘴気の影響を受けないらしいので、レオンさんやミラルダさん達には「隠れ身の装衣」と、クリスには3期団の紋章が入った謹製マスクが渡される……デュークさんとカルラさんには自前のマスクがあるとの事で、後は食糧等の補給だ。
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「……やっぱり、アナタの雰囲気は独特ネ……謎は深まるばかりだワ」
『え……っ?』
「こっちの話よ、気にしないデ……それにしても、あの時にだけ現れたヴァルハザク……何故、奴はまた谷に引き篭ったのかしラ?」
3期団は初遭遇以来、ヴァルハザクをずっと追っていたらしい……その初遭遇は今からもう十数年も前の出来事なのだそう。
そこまでヴァルハザクを追う理由は問えなかったが、彼女達3期団なりの信念によるものなのだと私は思った……
『レジーナさんも聞き及んでいると思いますが……多分、今回のヴァルハザクの行動は、例の黒ダオラのせいではないかと……』
ヴァルハザク自体の性格はどうあれ、好戦的ではないと考えている私は「移動の理由は外的要因」にあるのでは? とレジーナさんにぶつけてみた。
「そうネ……そもそもヴァルハザク自体、初遭遇から今の今まで発見出来なかったのが災いしてて、ろくな調査が出来てないから……別種とはいえ、アナタのその意見は参考になるワ」
『……レクス……』
ヴァルハザクの事を考えると、同時に浮かぶのはレクスの安否……レジーナさんは古龍である私の心情を理解してか「無事だと良いわネ……」と慰めてくれた。
補給を済ませた私達は、3期団の船を使って「瘴気の谷」へと降りる……
ただし、その方法は真っ当な手段ではなかった事を敢えて言っておく。
「……ちょ……どういう事ですか? これって……」
「悪いわネ……谷へと降りる一番手っ取り早く、確実な方法は
陸珊瑚の台地に係留されている3期団の船は、ただの船じゃない……
……この複雑な陸珊瑚の地形を隈無く調査するために改造された「気球船」なのだ。
そして、クリス達は……その気球船の錨、つまり係留するために使われる部位を改造した昇降装置の上に立たされていたのである。
『うーん、まさしく絶叫マシン……』
呑気に感想を述べるマサトさん……自分が乗らないからってチョット不謹慎デスヨ?
「さぁ、準備は良いわネ? ……降ろすわヨ」
ガゴン、と音を立ててロックが外れ、巻かれた鎖がゆっくりと動き出す……ミラルダさん達は興味津々といった所だが、唯一クリスだけはガクブル状態だった。
「もう吊り下げは無いと思ってたのにぃ~~~!!」
金網で十分に補強されているとはいえ、錨をそのまま籠の様に改造した昇降装置……見晴らし抜群、風通し抜群、そして吊り下げ式故に揺れも抜群だったのは言うまでもない。
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その頃、ココは「瘴気の谷」の最深部……腐敗と侵食が進みきった数多の死体が所狭しと折り重なり、大地など一辺たりとも見えないこの地に……2体の生き物の動く気配がしていた。
その姿は他の地の近似種とは幾分か痩せてはいるものの、全体的には変わりなく……毛並みも薄汚れてはいるが、皮膚病などとは無縁の逞しさがあった。
彼らの名はテトルー……森に居た同種族は近縁であり、彼らは食糧の少ないこの地でも逞しく生きていた。
食糧を探しに来た彼等の肌を、一瞬だけゾッとする様な感覚が襲う。
『『……ッ?!』』
毛を逆立て警戒し始めるが、もう既に彼らは逃げられない事態に陥っている事に気付いては居なかった……ココに繋がる唯一の通路、そこから巨大な影がゆっくりと現れ……その姿に気付いた2匹のテトルーはその圧倒的な威容に心臓が止まる寸前まで追い詰められてしまっていた。
『………………っ……?』
その姿はまさに死神……腐肉と瘴気をその身に纏い、まるで巨大な死体が自らの意思で動いている……そんな身体を、更に胞子や菌糸で彩った白い風貌。
死を纏うヴァルハザク……後の人々はこの古龍をそう呼ぶ事になる。
3期団の団長さん登場!
竜人族の女性という珍しいヒトですので、印象に残っているプレイヤーは多いのではないでしょうか。
シオンとの会話は短かったですが、彼女はシオンに何かを感じていた様です……
そして、再び出てきた『死を纏うヴァルハザク』……
テトルーくん逃げて! 超逃げて~!?