狩人と舞う白銀の翼   作:睦月透火

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本格的、しかも乱戦になってるシーンは中々に難しいし、
……シリアスも苦手だわ……

ちょっと無茶苦茶かもしれないけど、よろしく。



死闘

 マサトの目の前には、あの時の黒鋼龍がいる……

 

『……フン……ようやくオレの元に下る気になったか?』

 

『いや、止めるためだ……君の考えは間違ってる!』

 

 鋼と黒鋼、2体の風翔龍が古代樹の森へと続く広場で睨み合う……そのすぐ後ろには、アステラ防衛の為に数多くのハンターが集合……ソードマスターである1期団ハンター、ヤマトを筆頭に総力戦の構えを取っていた。

 

 黒鋼龍が放った風弾の前へと敢えて飛び込んだマサト……龍脈の干渉かそれとも自身の覚悟故か、いつの間にかパワーアップしていた『風纏い』で生み出す竜巻を盾にして相殺し、反撃とばかりに高速で飛ぶ風弾を撃ち込んで黒鋼龍の注意を引き付け、アステラから引き剥がそうと風弾を連発する……が、低空飛行では姿勢が上手く安定せず狙いが狂う……同じ種族の黒鋼龍もそれを把握していた様で、敢えて動かず……的を外すマサトを嘲笑した。

 

『オレと同じ天下のドス古龍が……無様だな、やはりオマエはオレに勝てん。さっさと軍門に下るか、大人しく殺られろ!』

 風弾の弾道を見切って黒鋼龍が突撃……マサトは翼を硬化し盾に見立てて防御、反撃として尾先に展開したダイヤモンドの刃を突き込むが、黒鋼龍はこれを同じく尾で払い退け、顎の下から頭突きで返してきた。

 咄嗟に首を捻って頭突きを回避するマサト……黒鋼龍は無理せず様子見に戻り、マサトの隙を伺う……ヤマトは黒鋼龍を抑え込もうとしているマサトを援護するべく、相手の側面へ回り込もうとするが、ココに来て黒鋼龍が呼び集めていた下僕達……「アンジャナフ亜種」「ナルガクルガ」「ディノバルド」そして「ディアブロス」が一斉に動き出し、咆哮しながらハンター達へと向かい始める。

 

「チィッ! 他の竜を下僕として使うか……!?」

 

「第1班はナルガクルガだ! 第5班は援護に回れ! 第2、第6班でディアブロス! アンジャナフ亜種は第3、第4班! ……ディノバルドは任せるぞ!」

 

 ヤマトより一足遅れでアステラから駆け付けたバンはすぐさま全体を指揮し、ハンター達もそれに即応……スリンガーや罠を巧みに使い、固まって突撃してくる4体のモンスターをそれぞれ引き剥がしに掛かる……

 

 アンジャナフ亜種の頭に左右からスリンガーで張り付いた2人……右側が片手剣を使い傷を付けると左側が方向を変えさせ……付近にあった大岩へとぶっ飛ばす。

 

 更に別の2人がディアブロスの眼球を狙い撃ちするように投げナイフをスリンガーで撃ち込みつつ、偶然進行ルート上にいたドクガスガエルを刺激して毒状態にさせ……投げナイフが眼球に当たりディアブロスは痛みに悲鳴を上げながらフラフラと方向を見失って巨木の隙間へと突っ込んで行った。

 

 更に別の2人もナルガクルガへ音爆弾を投射して怯ませ、その隙にシビレ罠を設置……怒り状態に移行したナルガクルガはハンター憎しで足元のシビレ罠に気付かず、一歩踏み出した途端に全身をはい回る電撃を浴びた事で、本能的な恐怖を感じながら悶える……

 

 そして、ディノバルドへと向かい突っ込んで行く人影が1つ……

 

「ハァァァァッ!!」

 

 ヤマトが太刀を手に突撃、対するディノバルドも自慢の尻尾……その大太刀を振り、迫り来る相手(ヤマト)を凪ぎ払わんとステップを踏み、そのまま回転斬りを繰り出した。

 

 キィィンッ!!

 

 しかし、見事なまでに息を合わせ……太刀使い(ヤマト)は抜刀、僅かな残像を残して横凪ぎに振るわれた大太刀を、木葉の如く身を翻して回避し、その勢いのまま大きく踏み込みつつ、直前の回転運動を利用した逆袈裟斬りを見舞う。

 巨体を支える脚に直撃した逆袈裟斬りはディノバルドの脚の靭帯を傷付け、堪らない痛みにディノバルドは転倒……ヤマトは間髪入れずに太刀を構え突き込み、自身もまた突きの勢いを利用してディノバルドの身体を駆け登り跳躍……自身の全体重と落下の勢いを乗せた「鬼神兜割り」へと繋げる。

 

 ギャアゥォォォッ?!

 

 次々に襲い来る痛みに困惑し続けるディノバルド……ソードマスターと呼ばれるヤマトの剣技は、最早超人の域に達している。

 

 これこそ人の見出だした一つの極致、と言っても良いかもしれない……

 

「……お前には悪いが、次はその(くび)を跳ねる……!」(チャキッ)

 

 刃に付いたモノを振るい落とすと、ディノバルドも起き上がる……己の相手(ディノバルド)を正面に見据え、再びヤマトは構えを取った。

 

──────────

 

『クハハッ! どうした? その程度ではオレを止められんぞ!?』

 

『それ……でも、ッ……私は……!』

 

 黒鋼龍の持つ異質な力……重力の(くびき)が再びマサトを大地に縛り付ける。

 マサトにも異質な力……甲殻に含まれる大量の炭素成分を利用した「元素変換能力(ダイヤモンド)」を持つが、操作は限定的で自身に触れてなければ強度を保つ事が出来ない為、遠距離でも使える黒鋼龍の「重力操作(グラビコン)」との相性は悪い。

 

『……何故、そうして自分以外を見下すんだ……ッ……彰斗(あきと)っ?!』

 

『その名で呼ぶなッ!!』

 

 黒鋼龍の怒りに呼応して重力のパワーが増し、マサトの身体へ20倍の重力が掛かり始めた。

 

『世界がオレを見下すからだ! オレは選ばれし者なのに……前世でも、この世界でも! 誰もオレを認めようとしない……!』

 

『……っく……』

 

『世界がオレを認めないなら、力ずくでも認めさせてやる……ああそうだ、認めさせてやるのだ! この身体と、力で! クハハハッ!!』

 

『……あ、彰斗……!』

 

『くどいぞ! 今のオレはアギト……黒鋼龍のアギトだ! 人間ごときの(前世の下らん)名でオレを呼ぶなッ!!』

 

 沸き上がる怒りに任せて重力で加速させた尾を叩き付け、マサトの顔を殴る……打撃の瞬間、抑え付けられていた軛が解かれてたたらを踏み、アギトが尾先に発生させた重力球の影響を受けて吹っ飛ぶマサト……

 鞭の如く振るわれる尾先の速度で、マサトには大型トレーラーと同等の質量をぶち当てられるレベルの衝撃を受けてしまい、盛大に吹き飛んだのだ。

 

『ぐっ……桁違いのパワー……これも重力の効果、なのか……?』

 

『ああそうさ……この力があれば、他の古龍だろうが禁忌だろうが恐るるに足りん!』

 

 アギトは再びマサトを睨み付け、重力の井戸へと引き摺り込む……対象に掛かる負荷や重力を何倍にも増幅させる「重力操作(グラビコン)」によって、マサトへの加重負荷が50倍にされ……全身の関節が悲鳴を上げる。

 

『……っぐ……ぁ……ッ!?』

 

 文字通り問答無用で容赦なく押し潰される感覚に、マサトは肺の空気を強制的に吐き出させられ……悲痛なクシャルダオラの声が周囲に響く。

 

「「「「『マサト(さん)……ッ?!』」」」」

 

 そこへようやくシオンとミラルダ達が到着した……

 

──────────

 

「この野郎! マサトを放せッ!!」

 

 抜刀と同時に剣モードへ変形させて斬り付ける天羅さん……だが黒鋼龍は軽々と回避し、お返しと言わんばかりに風弾を放つ。

 

「……っく、前より動きが早い……?!」

 

『その武器の動きはもう見飽きてんだよォ!?』

 

『ッ……天羅さんっ?!』

 

 私は前脚を大地に叩きつけて龍脈のエネルギーを操作し、黒鋼龍と天羅さんの間……天羅さんを庇う様に爆発を起こす……咄嗟の事だったのでほとんど無意識だったが、功を奏したのか黒鋼龍は爆発に気を取られて狙いを外した。

 

『……チッ、この雰囲気……古龍種か? だが見たこと無い奴……新種か?』

 

 相手は間違いなく強敵だ……天羅さんの動きを完全に見切っていたし、初見なはずの地雷爆破(グランドボム)(ちょっと前に覚えて命名した)を避けた。

 

(マサトさんから、黒鋼龍は転生古龍だという事は教わったけど……ッ?!)

 

 私を狙って風弾が乱射され、動きを阻害される……私は相手と違って防御に使える技は無いけど、相手の防御を喰い破れる高威力のブレスがある。

 

『チッ、新種だからか……動きが読めん、だが戦い慣れては無いと見た……!』

 

『えぇ、仰る通り……そもそも、私は無闇に戦う事はしません』

 

 風弾を屈んでやり過ごし、黒鋼龍に言葉を返す。

 

『……古龍種のくせに戦わないだと? ハッ、まるで子供の戯言だな……!』

 

 不機嫌度が増した黒鋼龍は、私の細やかな思いを「子供の戯言」と切り捨てる。

 

『それの何処が悪いんですか? 誰にだって、戦いたくない時くらいあるでしょう?!』

 

 戦わずに済むなら、誰だってそうしたい……少なくとも、レクスやミラルダさん達……私が見てきたハンターと、その周りで生きている人たちは皆そうだった。だけど……

 

『オレには無いな、そんな甘い考えなど! ……この世界は文字通り弱肉強食、そんな甘い考えじゃ到底生き残れん……それに人間なんぞと一緒に居れば、良いように利用されて殺されるだけだ!』

 

『それは偏見です! ヒトはそんな狭量な者ばかりじゃない!』

 

『それこそ偏見だ! オマエは人間どもの浅ましさや裏の顔を知らんからそう言える!』

 

 互いが互いの見たものを否定し合う泥沼の舌戦……その間も双方は動きを止めず、一進一退の攻防を繰り広げている。

 シオンの光線(ブレス)を地形を利用して躱す黒鋼龍と、風弾を避けながら、何とか直撃させて戦意を無くして貰おうと隙を伺うシオン……

 

 確かに直撃させれば、如何に黒鋼龍といえども手痛いダメージは免れないが、そもそも相手は自分がどんな存在なのかを認識している転生古龍……戦闘の経験値からして私に勝ち目は無いに等しい。

 

(……でも、マサトさんは酷いダメージで動けない……少しでも、私が頑張らないと……!)

 

 マサトさんは彼に過ちを犯して欲しくないのだ……邪な形で力を振るえば、古龍とて世界から戒めを受ける……あの時、龍結晶の地で垣間見た記憶……過去に起きたとされる【竜大戦】の断片であろうあのビジョンはそう言う事なのだ。

 あの時のヒトは過ちを犯した……だから竜達は怒りに狂い、そしてヒトは滅びに抗い……お互い絶滅寸前にまでなってしまったのだ。

 

 滅びに抗うのは間違ってない……その前に過ちを犯したのが悪かった。

 だから、古き白の龍王は自らを以て「理」を成した……再びその過ちを犯さない様に、互いに過ちを繰り返さない様に……

 

 

 息吐く間もない猛攻に、戦い慣れてない私は防戦一方……天羅さんやアミラさんも加勢してくれるが、その度に軽々と避けられ、容赦ない反撃まで繰り出してくる。

 まるで2人の動きを完全に見切っているみたいだ……どの位置からでも避けきり、動きに併せて反撃までしてくる。

 

『オマエもオレを否定するなら……殺すッ!!』

 

『……ッ?! しま……っ!?』

 

 特大の風弾が一瞬の隙を突いて私に放たれる……弾が掠めた地面は深々と抉られており、その威力を見せ付けており、私はその時、アミラさんが黒鋼龍の尾で叩かれない様……大地にブレスで線を描き、牽制をしている最中だった。

 

「……っぐ……ぅッ?!」

 

 だが、特大風弾の弾道に人影が入り込み、そのあまりの威力に数メートルもの距離を勢い良く吹き飛ばされる……目立つ色と独特なデザインの防具に、誰かが分かった瞬間……私は全身の血の気が引くのを感じ、その人の名前を辛うじて口にしながら目で追う事しか出来なかった。

 

『……え、っ……ミラル、ダ……さん……?』




黒鋼龍の詳細をちょこっと……

かつて人間だった転生古龍。(キャラ原案:紅龍機神さん)
全身が漆黒に染まった鋼龍クシャルダオラであり、人間だった頃の名前は「黒鋼(くろがね) 彰人(あきと)」。
典型的な自己中でそれなりの才能はあるものの、性格や考え方のせいで完全にダメになっている系キャラ。
軽い失敗でも他人のせいにする、自分さえ良ければ良い、他人に感心が湧かない、等々……嫌われ役を地で行く上、力のある古龍に転生した事から選民思想にも染まって来たのでもう属性過多ぎみ。
マサトとは新大陸の前後から何かあった様で、人間にフレンドリーなマサトを毛嫌いしており、常々マサトの手で人間を殺させる事なんかを画策していたらしい……

今回はマサトを強制的に従えるべく、数の利を利用した戦法を取ってきたが……アステラの勇者と呼べる者達(凄腕ハンター)とソードマスター・ヤマト、バンの采配には敵わなかった様子。

次回、マサトが……

黒鋼龍編の後は?

  • バルファルクと関わる2つ目のコラボ
  • アイスボーンシナリオ本編
  • オリジナル閑話、または日常回
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